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おもなアレルギー疾患


◎花粉症(花粉アレルギー)

○症状
 花粉が飛散する季節に一致して、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状、目のかゆみ、なみだ、異物感、充血などの眼症状が出現します。鼻、眼症状が強いときには鼻痛、咽頭腫脹感、咽頭痛、腹痛、下痢、皮膚炎、頭痛、全身倦怠感、微熱などもみられます。ぜんそくをおこすことはまれです。

 なお、北海道に多いシラカバ花粉症患者の約半数ではシラカバと抗原が類似したりんご、さくらんぼ、西洋梨、セロリ、にんじん、大豆、ヘーゼルナッツなどを食べると30分以内に口内にかゆみやビリビリ感が生じる口腔アレルギー症候群を合併することが知られています。

○原因
 スギ、ヒノキ、アカマツ、カモガヤ、イネ、ヨモギ、ブタクサ、カナムグラなどが頻度の高いアレルゲンですが、その多くは花粉が風で運ばれるということです。

 地方によって時期は多少ずれますが、春にはスギ、ついでヒノキ、マツ、ブナなどの樹木、夏にはイネ、カモガヤなどのイネ科植物、秋にはヨモギ、ブタクサなどのキク科植物、カナムグラが飛散し、花粉症の原因となります。

 花粉に対するIgE抗体による1型アナフィラキシー型反応が、花粉にさらされる鼻粘膜、眼結膜で起きるために発症します。

 毎年同じ様な時期に、鼻、眼症状が出現するときには、その時期に飛散する花粉アレルギーである可能性が考えられます。通年性に鼻、眼症状がある場合は複数の花粉アレルギーの事もありますが、花粉よりもハウスダスト、ダニ、カビ、ネコなどのペットへのアレルギーである可能性が考えられます。

 皮膚テストや血液検査で花粉と反応するIgE抗体を測定し、要請ならその花粉による花粉症と診断されます。皮膚テストとしてはプリックテストが簡便なのでよく用いられます。皮膚を針先で出血しない程度に刺激し、そこに抗原液を数滴たらして20分後の皮膚反応で判定されます。

○治療、予防

 花粉にさらされないよう飛散量の多いときは、帽子、めがね、マスクをします。マスクは花粉用のものが効果的です。外出から帰ったときは外で服をたたいて花粉を落とす、洗顔をする、こまめに掃除機をかける、寝具を外では干さないなども効果的です。

 薬物療法としては飛散初期(症状の強い人はその1〜2週間前から)から抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬を服用します。症状のあるときは抗アレルギー薬や、ステロイド薬を点眼、点鼻します。

 重症度に応じてこれらの薬の組み合わせを増やしていきます。特に鼻づまりが強いときはステロイド薬の点鼻、抗アレルギー薬のひとつの抗ロイコトリエン薬の服用、血管収縮約の点鼻をおこないます。ただし、血管収縮薬は即効性がありますが、指示された回数以上に用いると、使用後にかえって粘膜の血管が拡張したり、粘膜が萎縮して年中鼻症状が続くこともあります。そのため症状が改善されないときでも、点鼻橋時回数以内にとどめ、他の薬と併用して症状を抑えます。


アレルギー つづき


◎経口アレルゲン

 経口アレルゲンのおもなものは、牛乳、大豆、そば、小麦、えびやかになどの海産物、各種の食品添加物、着色料、防腐剤、経口薬剤です。牛乳、卵、大豆がもっとも頻度の高いアレルゲンです。

◎接触性アレルゲン

 接触性アレルゲンのおもなものは、化粧品、洗剤、外用薬、塗装金属(ニッケル、コバルトなど)、ウルシなどの植物などです。

◎アレルゲンの侵入経路による症状

 吸入によってはアレルギー性鼻炎、ぜんそく、過敏性肺炎など気道の病気が、経口によっては下痢、腹痛、嘔吐などを伴う胃腸炎が、接触によっては皮膚炎などの皮膚疾患がおきます。しかし症状は必ずしもアレルゲンが侵入した臓器にかぎられません。

 食物アレルギーで胃腸症状はないのにじんましんや喘息が起きることがあるように、その人が過敏な臓器やアレルギー物質が分解、蓄積される場所で症状がおきることもあります。

日時:2012年5月16日 09:53
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アレルギー つづき


◎アレルゲンの侵入経路と症状

 アレルゲンは体へ侵入する経路によって吸入アレルゲン、経口アレルゲン、接触性アレルゲンなどに分けられます。薬剤ではそのほかに血管内、筋肉内などへの投与があります。

◎吸入アレルゲン

 吸入アレルゲンには室内塵(ハウスダスト)、ネコ、小鳥などの動物の毛、ふけ、羽、スギ、カモガヤやブタクサなどの花粉、カビなどがあります。

○ダニ

 アトピー性気管支喘息や通年性のアレルギー性鼻炎の最も重要な原因吸入アレルゲンは室内のほこりの中に生息するチリダニ科のヒョウヒダニ(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ)の糞や死骸です。接触によってアトピー性皮膚炎の悪化の原因ともなります。

 ツメダニなど人を刺すダニとは異なり、ヒョウヒダニはふけ、あか、食物のカスなどをえさとするダニで、食卓のまわり、じゅうたん、寝具、ソファー、綿ほこりの中などに生息しています。そのため室内塵ダニともいわれます。温暖で多湿の環境を好み、夏に多く発生します。

 最近谷によるアレルギー疾患が増えているのは、家屋の密閉性、保温性が高まり、チリダニが繁殖しやすくなったのが大きな原因といわれています。アトピー性ぜんそく患者の八割以上がチリダニのアレルゲンに対するIgE抗体をもっているといわれています。空中に舞い上がったダニの死骸、糞がアレルゲンとなりますが、最も多くダニにさらされるのは、就寝中にダニの発生源である布団から至近距離でダニアレルゲンを吸入するときです。ダニアレルゲンへの接触を減らすには、室内の通気を良くする、じゅうたんなど敷物を敷かない、布団を乾燥させるなどの方法でダニの繁殖を抑える、アレルゲンを撒き散らさない型の掃除機で布団、床のダニ抗原を吸引除去するなどの方法があります。また、高密度繊維性のふとんカバーでダニアレルゲンを通過させない方法も有効です。

○シックハウス(シックスクール)症候群

 最近、家屋や家具から放出される化学物質によって目、鼻、咽頭の刺激症状、皮膚の紅班、湿疹、じんましん、疲れやすい、頭痛、などの症状が起きるシックハウス症候群(原因が学校や幼稚園の建材や建具である場合は、シックスクール症候群という)が問題となっています。その大部分はアレルギーではなく、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、シロアリ駆除剤、などによる直接的な刺激や中毒が原因と考えられています。

日時:2012年5月14日 09:36
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アレルギーとは つづき



 本来、生体に役立つはずの免疫反応が全身あるいは体の局所に障害を与えるとき、アレルギーといいます。アレルギーの原因となる抗原物質がアレルゲンです。アレルギーは多くの場合アレルゲンに繰り返しさらされてアレルゲンと反応する抗体やリンパ球が産生されているときに、再び同じアレルゲンにさらされて強い反応がおこりアレルギー反応が発症します。

◎アレルギーの型

○1型(アナフラキシー型反応)

 アレルゲンに反応してIgE抗体を産生しやすい遺伝子的体質をアトピー性素因といいます。両親がアトピー性素因を持っていると、子供もそうである可能性が高くなります。アレルゲンに反応して産生されたIgEはマスト(肥満)細胞の表面に結合しています。このような状態でアレルゲンにさらされると、IgEとアレルゲンが結合し、マスト細胞が活性化され、ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどの活性物質を放出します。

 活性物質の作用によって血管からの結晶の漏出、血管の拡張、粘液の分泌、気管支の収縮などを起こし、じんましん、鼻水、喀痰、呼吸困難、血圧低下などの症状を引き起こします。全身反応を伴う激しいものがアナフラキシーで、これによる血圧低下をアナフラキシーショックといいます。アトピー性気管支ぜんそく、じんましん、花粉症、ハチアレルギー、ラテックスアレルギー、ペニシリンなどの薬剤によるショックなどがこの型に入ります。この型のアレルギーで起こる病気がアトピー性疾患です。

○2型(細胞障害型反応)

 細胞、組織に結合した抗原と抗体が反応し、その結果マクロファージによるドン食、補体による細胞障害などにより組織細胞が傷害される反応です。ペニシリン系の抗生物質による溶血性貧血などはこの型による反応です。自己の血球に対する抗体による自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病などの自己免疫性疾患もこの型の反応による病気です。

○3型(免疫複合体型反応)

 血液中で抗原と抗体が結合し免疫複合体が形成され、補体を活性化して血管や近傍の細胞を傷害する反応です。薬剤による溶血性貧血、ジフテリア抗血清による腎障害、ウイルス感染後の紫斑やじんましん、カビなどに対する過敏性肺炎などは主にこの型のアレルギー反応です。自己免疫疾患のうち全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性リウマチなどもこの型の反応によっておこる病気です。

○4型(細胞免疫型反応)

 抗原と結合した細胞、組織がTリンパ球(細胞障害性Tリンパ球、遅延型過敏反応性Tリンパ球)によって傷害される反応です。化粧品などによる接触性皮膚炎や多くの薬疹、薬アレルギーによる肝障害はこの型の反応です。アトピー性気管支喘息などは、1型反応だけで起きるのではなく、4型反応によって白血球のひとつである好酸球が動員活性化され、その作用などで気管支に炎症が起きて過敏になっていて、容易に発作が起きると考えられています。


アレルギーとは つづき


◎免疫反応とそのしくみ

 免疫をおもにになっているのは、白血球に含まれるリンパ球と組織中の樹状細胞といわれる細胞です。樹状細胞は抗原提示細胞とも言われ、体内に入った抗原を取り込み、分解して、細胞表面に差出、免疫の主役であるリンパ球がみわけやすいようにします。樹状細胞は抗原を差し出すだけでなく、抗原の種類や抗原が入ってきたときの状態に応じてリンパ球の反応の仕方を調節する役割も持っています。

 リンパ球にはTリンパ球(胸腺でつくられる)、Bリンパ球(骨髄でつくられる)があります。Bリンパ球、Tリンパ球にはそれぞれ特定の抗原と結合する部分(レセプター)があります。Tリンパ球は胎生期までに色々な抗原と反応する無数の株(クローン)ができ、用意されていますが、自己の抗原と反応する株は死滅し、残っているのは非自己の抗原と反応するクローンだけです。このために自己の抗原とは反応しません、このしくみが異常となり、自己と反応する細胞や抗体ができて、自己の組織が障害されるのが自己免疫疾患です。

 樹状細胞の表面に差し出された抗原と反応したTリンパ球クローンは、分裂増殖すると同時に、さまざまな役割を持ったTリンパ球に変化します。このうち、細胞障害性Tリンパ球は、抗原を持っている細胞(ウイルスに感染した細胞、がん細胞、くすりが結合した細胞など)を直接傷害します。遅延型過敏反応性Tリンパ球はリンフォカインという活性物質を遊離して、他の白血球を動員、活性化してその力で抗原を持つ細胞を障害、排除します。細胞であるTリンパ球によるこの反応を細胞性免疫といいます。

 Tリンパ球は、また、抗原とし結合した特定のB細胞クローンを増殖して抗体産生細胞に分化させ、抗体を産生させます。抗体はグロブリンというタンパク質で、それぞれ特定の抗原と反応します。免疫に関係することから免疫グロブリンといわれます。免疫グロブリンはIgG、IgA、IgE、IgDなどの種類があり、血液などの体液中に存在しています。抗体が抗原と反応する(抗原抗体反応)と、他の補助タンパクを活性化して、抗原を持つウイルスなどを傷害したり、マクロファージを刺激し、抗体を取り込み分解させます。体液中の抗体によるこのような反応が液性免疫です。Tリンパ球には樹状細胞の反応や細胞性免疫、液性免疫の強さや反応の仕方を調節する作用もあります。

 このようなTリンパ球は調節性T細胞といわれます。免疫反応は必要なときに必要な反応がおき、行き過ぎた反応がおこらないように調節されています。


アレルギーとは


◎免疫とは

 動物には生まれつきもっている自分の体内にあったもの(自己)と、それ以外のもの(非自己)とを区別し、非自己の物質を体外に排除して自分の命を守ろうとします。ウイルス、細菌、寄生虫などの病原微生物に一度感染すると、それが記憶され、ふたたびさらされても感染・発病しなくなるのはこのしくみによるからなのです。

 疾病を免れるということから、このしくみを免疫といいます。免疫は病原微生物などの外来物だけではなく、がんなどの悪性新生物が体内で新たに発生しようとするときにもこれを排除するのにはたらいています。非自己の物質に対するこのような反応を免疫反応といい、免疫反応を起こす原因となった物質を抗原といいます。

 予防接種はこの反応を利用したものです。弱毒化、あるいは不活化して病原性をなくした病原微生物(ワクチン)を繰り返し投与してこれに対する免疫反応を起こしておくと、本当の病原微生物にさらされても感染・発病しなくなります。

日時:2012年5月 9日 10:14
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全身性硬化症(強皮症)


 この病気は皮膚のみでなく内臓などにも硬化性病変が見られます。男女比は一対三とやや女性に多く、子供、高齢者にも発病します。原因は不明ですが、免疫異常や代謝異常などが原因といわれています。

 また、美容整形などで異物を注入した人に類似した症状を見ることから、環境因子も重視されています。レイノー現象が、他の症状が出る前から長年にわたって認められることがあります。

症状

 早期にはレイノー現象とともに手指のはれと皮膚硬化がみられます。皮膚硬化は浮腫期から硬化期、萎縮期へと進行します。硬化期では手指の関節が屈曲して固まりわしの指のようになります。皮膚の硬化は手指から腕、顔、胸部などにも広がりますが、硬化の範囲により全身性皮膚硬化型と限局性皮膚硬化型の二つの病気の型にわけられます。硬化とともに指尖潰瘍、短指症、皮膚潰瘍、口が開きにくくなる、色素沈着、色素脱失、毛細血管の拡張、皮膚石灰化などがみられます。関節痛や筋肉痛、筋力低下もみられます。

 内臓の障害では、物を飲み込むときにつっかえる感じ、腸管の消化吸収障害、間質性肺炎、肺線維症、肺高血圧症、不整脈、腎障害、腎生高血圧などがみられます。

診断

 手や足の皮膚から、顔面や体幹など、体の中心に近いところの皮膚が硬くなることが大切な所見で、これに加えて、1・手指や足の指の皮膚が硬くなる、2・指先に潰瘍や小さなくぼみを伴う瘢痕がみられる、3・肺線維症が見られる、の三つのうち二つ以上みとめられると、全身性硬化症の診断がつきます。

治療

 すべて対症療法です。ペニシラミン、コルヒチン、副腎皮質ステロイド薬などが用いられます。レイノー現象や末梢循環障害に対して、血管拡張薬や抗血小板薬、抗凝固薬などが用いられます。腎性高血圧症に対して血圧降下薬が、肺高血圧症に対してはプロスタグランジン製剤を含む血管拡張薬や酸素吸入などがもちいられます。


膠原病のおもな病気 つづき


◎全身性エリテマトーデス

 全身性エリテマトーデス(SLEともいう)は、自己免疫異常をとして発症し、良い状態と悪化を繰り返す慢性の炎症性疾患です。原因は不明ですが、かかりやすい体質、素因と紫外線やウイルス感染、薬剤などの要因が重なり発病するとされています。20〜30代の女性に多く比率は女性1対男性9の割合、若年者、高齢者にも発病します。

症状

 全身倦怠感や疲労感などとともに発熱、関節痛、紅班、レイノー現象(寒冷や刺激、精神的ストレスなどによって手指などの皮膚が白色となり、紫紅色、赤色の三段階の変化で元へ戻る現象)などで発症します。

 紅班は顔面に見られる蝶形紅班が特徴的ですが、同じ様な紅班は前胸部、手指、手のひらなどにも見られ、日光過敏症の人に多くみられます。紅班は、急性の紅班のみならず亜急性紅班、円盤状紅班のこともあります。脱毛や皮膚潰瘍や口腔内潰瘍もみられます。関節痛、筋肉痛もよくみられますが、関節破壊はまれです。心臓、肺の症状では、胸膜炎と心外膜炎がしばしばみとめられ、まれに肺出血、肺梗塞、肺高血圧症などがみられます。腎臓はもっともよくおかされる内臓器です。尿や腎機能の検査、ときに腎生検の検査が必要となります。ネフローゼ症候群の状態では浮腫が見られます。精神、神経症状は、てんかん様のけいれん、意識消失発作、うつ状態、興奮状態、不眠、神経症、情緒不安定など多彩です。また、まひや髄膜炎、視力障害、片頭痛などをみることがあります。その他、リンパ腫、月経異常、ループス膀胱炎などもみられます。

治療

 抗炎症療法と免疫抑制療法により、できるだけ早く良い状態にし、その状態をキープし社会復帰できることを目標にします。治療法には、非ステロイド抗炎症薬、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、アフェレーシス療法などがありますが、病気の状態によって治療が異なってきます。

 非ステロイド抗炎症薬は、解熱、鎮痛の目的で経口薬あるいは座薬でもちいられます。抗リン脂質抗体症候群など血栓症を起こしやすい状態の場合にアスピリンが少量用いられることがあります。

 ステロイド薬は、広範囲にある皮膚症状、腎障害、精神、神経症状、間質性肺炎、胸膜炎、心外膜炎、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、急性腹症、などに対して経口薬でもちいられます。

 また、皮膚症状に対してクリームや軟膏などの外用薬が局所的に使用されることもあります。

 病気の状態が良くなると、ステロイド薬はゆっくりと減量します。ステロイド薬には色々な副作用が見られますから治療中は定期的にチェックがおこなわれます。ステロイド薬を使用しても十分な効果が見られなかったり、ステロイド薬による大きな副作用が見られたりする場合には、免疫抑制剤や血漿交換療法が用いられます。そのほか、レイノー現象や末梢循環障害に対しては末梢血管拡張薬や抗血小板薬などが用いられます。腎不全に対して血液透析がおこなわれます。

経過

 良い状態ができるだけ長く続くよう治療します。悪化させるような要因となるものについては日常生活においても注意します。経過中は、感染症やステロイド薬による副作用(消化管潰瘍、糖尿病、骨粗しょう症、副腎機能不全など)、免疫抑制剤による造血器障害、シクロホスミドによる出血性膀胱炎、長期経過に伴う動脈硬化症、高血圧、悪性腫瘍、無菌性骨壊死(大腿骨頭に多くみれる)などの合併症に注意します。


リウマチ性疾患と膠原病のおもな病気 つづき


◎関節リウマチ

 関節リウマチとは、多関節炎をきたし、経過とともに関節破壊と機能障害をもたらす病気です。原因は不明ですが、かかりやすい体質・素因とウイルス感染を含む誘因が重なり合って発病するとされています。おもな病変は関節中における滑膜の炎症と異常な増殖で、これにより骨・関節の破壊がもたらされます。

 経過中、関節以外の症状も見られ、時に血管炎による内臓の障害をもたらすこともあります(悪性関節リウマチ)。

 日本での関節リウマチの患者数は約0.3%と推測されていて、そのうち7万人は身体障害者です。性別では女性が男性に比べて3倍多く、かかりやすい年齢は30−50代です。子供や高齢者にも発症しますが、子供の場合には若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)と呼ばれます。悪性関節リウマチの患者数は関節リウマチの1%未満です。その発症年齢は50代がピークで、男女比は1対2です。

症状
 発病時に多い症状は、朝の起床時にみられる関節のこわばり(朝のこわばり)です。関節を動かすことにより消失されます。だるさや疲れやすさ、微熱などの全身症状を伴いますので全身性疾患でもあります。関節リウマチでおかされやすい関節は、指の一番末端の関節を除く手指の関節、足の指の関節、肘、膝、首の骨、あごなどの関節です。左右対称性に障害を受け、痛みやこわばりだけではなく、発赤、腫脹もみられます。進行すると指全体が小指のほうへかたむいたり、スワンネックの変形(指が白鳥の首のように曲がる)などになります。頚椎の障害による手足のしびれや麻痺が起こることがあります。関節の炎症や破壊の程度、進行の程度をみるのに、関節のレントゲン検査、MRI検査、関節シンチグラフィなどの検査がおこなわれます。レントゲン検査による関節破壊の程度をみる病期分類が示されています。

 関節以外の症状では、肘や後頭部などの皮下にしこり(皮下結節)や、爪の周りに小出血斑や皮膚潰瘍、指先の壊疽、手足のしびれや運動の障害などをみることがあります。これらは血管炎によるもので、多くは悪性関節リウマチでみられます。内臓障害では、心外膜炎、胸膜炎、間質性肺炎または肺線維症などの症状がみられたり、目に上強膜炎や虹彩炎をみることがあります。


リウマチと膠原病


○リウマチとは
 リウマチという言葉は、ギリシャ語の流れという意味の言葉に由来しています。昔は、体の中の液体が関節のすき間などに入って痛みを起こし病気になると考えられていました。最初にリウマチという名前がつけられた病気はリウマチ熱と考えられます。そして、その後関節リウマチがリウマチ熱と非常に似ていることから、実際には、リウマチ様関節炎と呼ばれたのです。一方、筋肉や骨、関節に痛みとこわばりがみられる病気はリウマチ性疾患という大きな枠に含められます。関節リウマチを含む膠原病はいずれもこのような症状が見られますので、リウマチ性疾患の中に膠原病に含まれるすべての病気が含まれます。

○膠原病とは
 膠原病はひとつの病気でなく、いくつかの病気を総称したものです。すなわち、膠原病に含まれる病気にはいくつかの共通性がみられるのです。

 そのひとつは、関節や筋肉に痛みやこわばりがみられることで、このような症状をみる病気はリウマチ性疾患という範疇にふくまれます。もうひとつは、身体の結合組織というところに炎症性の病変が見られ、このような病変をみる病気は結合組織疾患という範疇に含まれます。もうひとつは、自分の組織や成分に対して異常な免疫反応がみられ、このような免疫反応をみる病気は自己免疫疾患という範疇にふくまれます。

 そのほか、遺伝病ではないこと、感染症ではないこと、副腎皮質ステロイド薬が効くこと、抗生物質が効かないこと、が共通点としてあげられます。

 現在膠原病には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎などのびょうきがふくまれます。

日時:2012年4月28日 09:36
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痛風


 血液中の尿酸値が高い場合を高尿酸血症といいますが、この状態が長く続いたために急性関節炎を起こしたものを痛風といいます。

○原因
 尿酸とは核酸の一部であるプリン体の最終分解物ですが、血液中には一定量存在し、余分の尿酸は尿や便から排泄されます。もしもプリン体の先天的な代謝異常があったり、プリン体を多く含む食事をとりすぎたりして、尿酸が過剰につくられると血液中の尿酸値が上がります。また尿中へ排泄する腎臓の働きが悪い場合も高尿酸血症がおこります。高尿酸血症が長期間続き、関節内に蓄積した尿酸塩が、何らかの原因で関節空内に脱落したときに、関節炎を起こして激痛を発生します。これが痛風発作です。発作は薬を使い始めて血中の尿酸値が急激に低下したときにも誘発されやすいのです。

○症状
 痛風は中年の男性におおい病気で、女性ではまれです。何故男性に多いのかその理由はまだわかりません。また最近では、発症年齢が低年齢化して30代で最も多くなりました。恐らく食生活の欧米化やアルコール摂取量の増加、肥満などが影響しているものと思われます。痛風発作はある日突然激しい関節の痛みを起こします。痛みの出やすい部位は足の親指の付け根の関節です。また足首の関節や膝の関節が痛むこともあります。痛みの部位は赤くはれて熱をもちます。同部位には尿酸の結晶がたまり、コブのようなもり上がり我で着ますが、これを痛風結節といいます。血液中の尿酸値が男性では7.0ミリグラム/デシリットル、女性は6.0ミリグラム/デシリットルをこえていれば、高尿酸血症の診断がつきます。尿酸値が8.0ミリグラム/デシリットルをこえたら薬物治療を開始します。治療の目標値は6.0ミリグラム/デシリットル以下です。

○治療
 1痛風発作の治療時には非ステロイド抗炎症薬やコルヒチンという薬を服用します。2高尿酸血症は痛みが治まったら、血液中の尿酸値を正常域に下げるために、尿酸を尿中へ排泄させる薬や、尿酸の生合成を抑える薬などを使用されます。また尿酸がたまって尿路結石をつくらないように、水分摂取量を増やして、一日の尿量が二リットル以上になるように心がけます。また、尿がアルカリ性を保って尿酸を中和するように、酸性尿改善薬を使用されます。

 高尿酸血症を放置しますと、痛風発作を繰り返したり、関節や腎臓に尿酸の結晶がたまっていきます。ひどくなると関節は変形し、破壊されます。腎臓では結石ができ、腎臓の働きが徐々に低下します。また高尿酸血症や痛風をもつ人では肥満、高脂血症、高血圧、糖代謝異常んなどを高頻度に合併し、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなります。

 プリン体の含まれる量が多い食品、肉類などを避け、アルコールは特にビールを制限する必要があります。また適度の運動をおこない、肥満にならないように注意が必要です。

日時:2012年4月25日 10:27
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高脂血症


 高脂血症とは、血液中の脂質成分が過剰になった状態をいいます。脂質の主なものはコレステロールと中性脂肪です。コレステロールが多くなった場合を高コレステロール血症、中性脂肪が多くなった場合を高中性脂肪血症といいますが、このどちらも高脂血症です。コレステロールには悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールと善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールがあります。前者が、高値の時には血管壁に沈着して動脈硬化を促進するので悪玉コレステロールと呼ばれています、後者は逆に動脈硬化を抑制するはたらきをするので善玉コレステロールと呼ばれています。また中性脂肪は脂肪組織で蓄えられ、必要に応じてエネルギー源として利用されますが、過剰に蓄えられると肥満になります。

○原因
 高脂血症は加齢で起こりますが、また食生活の不摂生や運動不足など生活習慣が不良になるとおこってきます。男性では40歳以降に多くみられます。女性では閉経後の女性ホルモンの欠落が大きく影響してきます。また、これらのほかにも遺伝をもとに起こる家族性高脂血症や、高脂血症をおこしやすい病気が元で起こる二次性高脂血症もあります。

○症状
 高脂血症は自覚症状がほとんどありません。しかし、コレステロールが非常に高い状態が長い間続くと、手足の関節に脂肪のかたまりができます。黄色くコブのように盛り上ってきますが、痛みは伴いません、これを黄色腫といいます。

 特にできやすい場所はまぶたの内側や、肘の外側、ひざなどです。またアキレス腱が厚くなり、足首が太くなってきます。

 血液中に中性脂肪が極端に増えてくると、血清がにごって牛乳のように白濁します。これを乳び血清と呼びます。この場合急性膵炎を併発して急激な腹痛に襲われることがあります。

日時:2012年4月22日 09:42
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糖尿病 つづき


◎急性合併症、糖尿病性昏睡

○高浸透圧性ケトン性昏睡
 
 著明な高血糖、脱水、血液の浸透圧の上昇によって重篤な意識障害をきたす病態です。ケトアシドーシスが1型糖尿病に多いのに対し、この病態は2型糖尿病の高齢者に多いのが特徴です。誘因としては、暴飲暴食のほか、脱水、輸液の不注意(高カロリー輸液)、中心静脈栄養、副腎皮質ステロイド薬投与、利尿薬投与などがあります。

 いちじるしい高血糖と脱水が見られるにもかかわらず、血中や尿中ケトン体はほとんど増加せず、アシドーシスの示さない点でケトアシドーシスと判別されます。治療が遅れると高齢者が多いだけに死亡率も高く、早期発見早期治療が大切です。

 治療は、十分な輸液による脱水の改善と、インスリン投与による高血糖の改善が不可欠です。経過中、脳梗塞や心筋梗塞、感染症の併発に注意します。

○低血糖昏睡

 ケトアシドーシスや高浸透圧性非ケトン性昏睡が著しいインスリンの欠乏による代謝異常、意識障害であるのに対して、糖尿病の薬物治療に伴って血糖値が低下しすぎた結果、引き起こされる意識障害が低血糖昏睡です。

 低血糖症は、多くの場合、強い空腹感、冷や汗、動悸、手指のふるえなど特徴的な症状がみられますが、時には前駆症状がないまま、意識障害をきたすこともあります。

 昏睡を起こした場合はブドウ糖の静脈内注射が必要です。

日時:2012年4月21日 10:15
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糖尿病 つづき


◎急性合併症、糖尿病性昏睡

 糖尿病性合併症の中に糖尿病のいちじるしい代謝異常や、糖尿病の治療に伴って起こる急性合併症があります。ただちに生命の危険につながる病態です。

○糖尿病性ケトアシドーシス
 
 インスリンのいちじるしい欠乏によって引き起こされる重大な代謝異常で、いちじるしい高血糖、それに伴う多尿、強い口渇感、脱水、強い倦怠感、ケトン体の増加、ケトーシスに伴うアシドーシスが特徴です。重篤になれば意識障害が進行し、昏睡におちいる場合があります。

 誘因は、感染症の合併、胃腸障害、インスリン注射の大幅な減量や中断、暴飲、暴食などであり、1型糖尿病に多くみられます。1型糖尿病に多くみられます。1型糖尿病がケトアシドーシスで発症することがあり、そのようなケースでは、診断が遅れる危険性があり、特に注意すべきです。
 
 1型糖尿病で発熱や腹痛、嘔吐、食欲不振などがみられた場合、不用意にインスリン注射を減量したり、中止したりしてはいけません。ケトアシドーシスに伴う腹部症状が急性腹症のような形で現れ、虫垂炎や腹膜炎などと誤診される場合があります。

 また、2型糖尿病であっても、暴飲暴食や糖質を多く含む清涼飲料水のがぶ飲みによっていいちじるしい高血糖とケトーシスを起こすことがあり特に清涼飲料水ケトーシスと呼ばれ、注目されています。これは若い肥満男性の2型糖尿病のことが多く、このような病態の場合もインスリン注射が不可欠です。

 ケトアシドーシスの治療は、インスリンの投与(多くは速効型インスリンの少量静脈内持続注入療法)による高血糖、ケトーシスの是正と十分な輸液(多くは生理食塩水の点滴)による脱水と電解質異常の是正です。

日時:2012年4月19日 09:34
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糖尿病の合併症 つづき


○糖尿病性腎症

 高血糖の持続によって、腎臓の重要なろ過機能を行っている糸球体に変化がおこり、タンパク尿が出現し、やがて腎機能が徐々に低下し、血清クレアチニンの上昇、さらに腎不全へと進行する病気です。

 糖尿病性腎症の早期発見早期治療が重要であり、早期発見には尿中アルブミンの検査が役立ちます。腎症の予防と治療には、血糖コントロールのみならず、血圧のコントロールが重要です。顕性腎症期になると血糖コントロールとともに降圧治療、タンパク制限食が必要です。慢性腎不全の状態になれば、やがて人工透析が必要となります。最近まで、新規に透析に導入される腎患者の第一位は腎炎でしたが、1998年には、初めて糖尿病性腎症が第一位となり、今後はますます増加するものと危惧されています。

○糖尿病性神経障害

 足先のしびれ、冷感、ジンジンする痛みなどを訴える末梢神経障害と自律神経障害に分けられます。網膜症や腎症よりも早く現れる合併症であり、多くの糖尿病患者にみられます。

 自覚症状としては、下肢に現れることが多く、遠位部(足先)から対象性に見られます。まれに、単一神経障害によって顔面神経まひ、動眼神経まひ、外転神経まひなどもみられます。

 自律神経は内臓の働きなどを調節する神経で、その障害によって起立性低血圧(立ちくらみ)、排尿障害、下痢、便秘、胃腸障害、勃起障害、発汗異常など多彩な症状が出てきます。

 神経障害の検査には、膝蓋腱反射やアキレス腱反射の減弱消失の有無、振動覚、神経伝達速度などがあります。

 治療には、血糖コントロールが重要ですが、そのほかアルドース還元酸素阻害薬やビタミンB12製剤などがもちいられます。

○糖尿病性壊疽
 
 糖尿病患者にみられる足病変のうち、最も重要なものは壊疽です。足の動脈硬化症による血行障害に末梢神経障害による感覚低下なども加わって皮膚や皮下組織の壊死をきたすもので、多くは激しい痛みを伴います。感染を合併することもしばしばです。

 誘因としては靴ずれ、水疱形成、低温やけど、みずむし、外傷などで、ちょっとしたことから重大な事態に至ることもまれではありません。予防には足の清潔を心がけるとともに、適した靴を履くこと、毎日きちんと足先まで観察することなど日常生活におけるフットケアが大切です。


糖尿病の合併症


 糖尿病患者にとって高血糖自体の症状(口渇、多飲、多尿など)は、一時的に強くあらわれるとしても長続きしないため、つい放置してしまいがちです。しかし、コントロールが不十分なまま長時間経過すると、さまざま合併症が出現し、進行すれば失明、血液透析、足の切断など重要な障害を引き起こす病気です。また、糖尿病があると動脈硬化の促進され、心筋梗塞や脳梗塞など生命を脅かす合併症の頻度も高くなります。

 糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害は三大合併症とも言われています。

○糖尿病性網膜症

 糖尿病がコントロール不良のまま経過するとやがて眼底の血管に変化があらわれ、進行すれば眼底出血、白斑、硝子体出血、線維性増殖、網膜はく離などが起こり、視力障害を引き起こします。網膜症の病態は、単純網膜症、前増殖網膜症、増殖網膜症、黄斑などに分類されます。

 網膜症は成人の失明の原因疾患の第一位となっています。そのほか白内障や緑内障も失明原因となります。が、これらも糖尿病患者におこりやすいので、糖尿病患者の目の合併症は視力低下の大きな原因となるのです。

 網膜症の単純網膜症の段階では、なんの自覚症状もあらわれないので、糖尿病と診断されたら、定期的に眼底検査を受けることが、早期発見、早期治療には大切です。網膜症の予防と治療には糖尿病のコントロールが重要です。眼科的治療としては、レーザーによる網膜光凝固療法が有効で、重症の場合には硝子体切除術などもおこなわれています。

日時:2012年4月16日 09:46
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糖尿病 つづき


○運動療法

 運動療法も食事療法と並ぶ基本的な治療です。運動療法の降下もインスリンの節約、インスリン抵抗性の改善がポイントであり、2型糖尿病の多くは食事療法と運動療法を適切に実践すれば、血糖コントロールはかなり改善されるのです。
 
 過剰なエネルギー摂取やエネルギーの蓄積(肥満)を食事療法で制限するとともに、運動療法で消費することができれば肥満の是正、インスリン抵抗性の改善は著しいものとなります。

 運動療法の効用としては、そのほか脂質代謝の改善、筋肉や体力の増強、心肺機能の改善、強化、ストレスの解消などが期待できます。

 食事療法がすべての糖尿病患者に有効な治療であるのに対し、運動療法は必ずしもそうではありません。例えば、高血糖がいちじるしい場合には運動によってかえって血糖値が高くなることがあります。インスリンの分泌や作用の低下が著しい場合には、糖質の利用でなく、脂肪がエネルギー源として使われるため、ケトン体が増加することがあるのです。

 そのほか、進行した糖尿病性網膜症や腎症などの慢性合併症をもつ人が運動療法をおこなうと、眼底出血が起こったり、腎症が悪化する場合があります。足や腰に障害がある人も運動によって悪化する危険があります。さらに狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患を合併する人も運動が禁忌となる場合があり、運動療養前のメディカルチェック大切です。

 糖尿病の治療に適した運動としては、無理なく長期間続けられるもの、相手や道具などを必要とせず一人で手軽にできるもの、運動の強弱を調節できるものがよく、具体的には、歩行、ジョギング、体操、自転車、水泳、ダンスなどがおすすめです。一回に30分くらいをめやすに、食後血糖値が上昇する1〜2時間後におこなうのが効果的です。運動の効果はあまり持続しないので、一週間に3日はおこないたいものです。

 薬物療法をおこなっている場合には、運動による低血糖の出現に注意する必要があり、飴や、砂糖、ビスケット、ジュースなどをけいたいしておくことが大切です。

日時:2012年4月15日 10:39
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糖尿病 つづき


◎糖尿病の治療

○治療の目的

 糖尿病は初期や一部を除いて根治しうる病気ではなく、コントロールしうる病気であるといわれています。治療の目的は、良好なコントロールを長期間にわたって維持し、網膜症、腎症、神経障害などの慢性合併症や糖尿病に併発しやすい動脈硬化症の発症や進行を抑えることにあります。その結果、糖尿病を持っていても、糖尿病をもたない人と変わらない生活の質を保ち、寿命をまっとうすることができれば、治療の目標は達成できたといえます。そのためにはどのような治療が必要なのでしょうか、糖尿病ではインスリンの作用不足に基づいて起こる病気ですから、乏しいインスリンを節約して、インスリンの効きかたを高めるような治療が何よりも有効です。このような目的にかなう方法が食事療法と運動療法です。

○食事療法

 食事療法は糖尿病の病型にかかわらず、最も重要な治療です。高血糖を改善するためにインスリン注射が不可欠なタイプである1型糖尿びょの場合にも、食事療法が基本であることはかわりません。食習慣の是正が何よりも有効な2型糖尿病では、特に食事療法の効果が大きく、食事療法を適切に実行することによって、糖尿病の症状がなくなるのはもちろん、血糖値がいちじるしく改善することはしばしば報告されます。

 肥満や食べすぎは、インスリン抵抗性を増大させる大きな要因ですから、食事療法によって肥満が是正できれば、インスリン抵抗性も軽減し、血糖のコントロールも改善するのです。経口糖尿病薬やインスリン治療を必要とする場合でも、食事療法の実践が前提となります。食事療法をおろそかにして、良いコントロールを達成することは困難です。

日時:2012年4月14日 09:50
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糖尿病 つづき


◎糖尿病合併症の診断のための検査

○血中、尿中ケトン体
 インスリンの作用不足が著しくなると、エネルギーを利用するために脂肪の分解が進み、血中にケトン体が増加します。その結果、尿中にもケトン体が出現しますので、試験紙で簡単に検査できます。ケトン体の増加は、1型糖尿病で起こりやすく、いちじるしい場合には、ケトアシドーシスになり、糖尿病性昏睡におちいる危険性があります。また、飢餓、長時間の絶食によってもケトン体が増えます。

○尿タンパク、尿中アルブミン
 尿タンパクは腎臓の糸球体の機能低下を反映する重要な所見であり、陽性であれば糖尿病性腎症を疑う必要があります。尿中のアルブミン排泄量を定量することによって、早期腎症の診断ができるようになりました。蓄尿の一部や、早朝尿などスポット(随時)尿のアルブミン排泄量を測定し、判定されます。

○血算(血球計算)、血液生化学
 糖尿病性腎症が進行すると貧血もおこります。血液生化学では血清脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロールなど)や腎機能(尿素窒素、クレアチニン)、肝機能(AST、ALT,ガンマGTP、ビリルビン、LDHなど)、膵機能などが重要です。

○眼底検査
 糖尿病患者における白内障、網膜症、緑内障は視力障害(失明)の大きな原因であり、自覚症状の有無にかかわらず、視力、眼圧とともに眼底検査を定期的におこなう必要があります。眼底については網膜症の所見だけでなく、動脈硬化症や高血圧性変化の判定も大切です。

○神経機能検査
 末梢神経障害二よってアキレス腱反射や膝蓋腱反射の減弱や消失が高率に見られます。そのほか、振動覚の低下や痛覚の低下によって神経障害の客観的評価をおこなうことができます。

○心電図検査
 糖尿病では動脈硬化も促進され、心筋梗塞などの虚血性心疾患は生命予後を左右する重大な合併症です。無症候性心筋虚血、無痛性心筋梗塞など糖尿病患者では自覚症状を欠いたり、乏しくても重大な病変が認めることがあり、定期的な検査をおこなう必要があります。安静時の心電図では、変化が認められないことも多く、負荷心電図もしばしばおこなわれます。

日時:2012年4月12日 09:54
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糖尿病 つづき


○糖尿病の症状
 糖尿病の典型的な症状は、のどが渇く(口渇)、水をよく飲む(多飲)、尿の回数や量が多い(多尿)、よく食べるのに体重が減る(体重減少)、体がだるい(全身倦怠感)などです。これらの糖尿病の症状は、インスリンの働きが低下し、エネルギーの利用が不十分になることや、高血糖のために尿糖の排泄が増え、それに伴って尿量が増えることによるものです。

 これらの症状は1型糖尿病では多くの症例で見られますが、2型糖尿病では必ずしも自覚しない場合が少なくありません。むしろ、多くの2型糖尿病では無症状であると考えるべきかもしれません。また、例え高血糖が持続しても本人の自覚症状とは乏しいことも注意する必要があります。症状がないからといって安心はできないのです。

 糖尿病の人に見られる症状として重大なものは合併症による症状です。目がかすむ、視力が低下してきた、足がしびれる、足が痛む、むくみ(浮腫)が出てきた、おでき(皮膚の化膿性疾患)ができやすい、陰部がかゆい、性欲が低下し、性機能の低下が見られるなどの症状は、糖尿病の合併症状や併発しやすい病気の症状です。これらの多くは、糖尿病が発症してかなりの期間がたってからみられるものですが、実際には検診で尿糖が陽性である、血糖値が高い、ヘモグロビンA1cが高いといった糖尿病と診断できる検査データがあってもなんの自覚症状(高血糖にもとづく)もないために、長期間にわたって放置し、合併症の症状が出て初めて受診する人も多くいます。

日時:2012年4月11日 09:58
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糖尿病


○糖代謝とインスリン
 血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度を意味し、健常者の場合、食事摂取によって上昇するものの、比較的狭い範囲にたもたれています。食物として摂取されたでんぷんなどの糖質は消化管で分解され、ブドウ糖になって吸収されます。体の細胞はブドウ糖を取り込み、エネルギー源として利用するとともに、過剰なブドウ糖はグリコーゲンに変換されて肝臓や筋肉に、また中性脂肪に貯蔵されます。空腹時に血糖値が低下すれば、貯えられたグリコーゲンはグルカゴンやアドレナリン(エピネフリン)などのホルモンの働きによって分解され、ブドウ糖として供給されます。いっぽう、食事摂取後、血糖値が上昇すれば、膵臓のベータ細胞からインスリンが分泌され、血糖値は低下します。

 インスリンは血糖値を低下させる唯一のホルモンで次のようなはたらきをします。

1・血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪細胞などに取り込ませる。2・肝臓や筋肉で、ブドウ糖からグリコーゲンへの合成を促進する。3・肝臓におけるブドウ糖の産生や放出を抑える。4・脂肪細胞でブドウ糖の利用を促進し、脂肪の合成を促進し、脂肪の分解を抑える。

 インスリンの作用の不足によって高血糖状態が持続する病気が糖尿病です。インスリンの作用不足はインスリン分泌の絶対的欠乏、インスリン分泌の相対的な不足、インスリン抵抗性によって起こります。

日時:2012年4月 8日 09:49
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糖尿病の成因にもとづいた分類


○その他の特定の機序、疾患によるもの
 糖尿病の第三の病型は、さらに細分化して、A「遺伝子素因として遺伝子異常が固定されたもの」と、B「他の疾患、条件に伴うもの」に分けられます。Aは、最近次々にあきらかになった単一遺伝子異常による糖尿病であり、インスリン遺伝子やインスリン受容体遺伝子異常などのほか、若年発症で濃厚な家族歴があり(常染色体優性)、若年発症成人型糖尿病と呼ばれるものやミトコンドリアDNAの異常による糖尿病などが含まれています。

 ミトコンドリアはエネルギー産生に重要な働きをしている細胞内小器官ですが、ミトコンドリアDNAの変異によってインスリン分泌が低下し、超尿病をきたすことがあきらかになりました。このタイプは、母系遺伝すること、難聴を伴うことが多いなどの特徴があり、日本人では全糖尿病の1パーセント程度に見られるといわれています。

 その他の糖尿病のBは、いわゆる二次性糖尿病であり、膵外分泌疾患、内分泌疾患、肝疾患、薬剤性などに細分されます。内分泌疾患によるものは、末端肥大症、クッシング症候群、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症などに伴うものです。

 ありふれた2型糖尿病と診断されている中に、これらの内分泌疾患による二次性のものがひそんでいる場合があります。例えば、末端肥大症では脳下垂体の腫瘍を摘出することによって、糖尿病が完全に治癒する可能性があります。薬剤性のものでしばしば見られるのは副腎皮質ホルモン薬服用中にみられる糖尿病です。


糖尿病の成因にもとづいた分類


○2型糖尿病
 2型糖尿病は、1型糖尿病のようなあきらかな特徴に乏しいタイプと言えます。インスリン分泌低下にインスリン抵抗性が加わってインスリンの作用の不足がおこるもので、糖尿病患者全体の90パーセントくらいを占めています。

 2型糖尿病の臨床的特長は中年以降に発症することが多く、発症はゆるやかで、肥満している人が多いこと、家系内に糖尿病の人がいる場合が多い(遺伝性が濃い)などです。糖尿病を起こしやすい遺伝素因があり人に肥満、過食、高脂肪食、運動不足、ストレスさらには加齢などの環境因子、後天的な因子が加わってはっしょうにいたるものです。「生活習慣病」に含まれる糖尿病は2型糖尿病です。したがって、治療はまず食事療法、運動療法をおこなうことが大切で、生活習慣の是正によって肥満が解消できれば高血糖状態もいちじるしく改善することが期待できます。

 2型糖尿病の真の原因は今のところよくわかっていません。すなわち、何故インスリン分泌が低下するのか、インスリン抵抗性が起こるのかという根本的な原因は解明されていません。2型糖尿病は病態(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性、高血糖の程度など)の点でも、成因の点でも不均一であり、多様な疾患が集まっている状態ともいえます。

 ここで、インスリン依存型、非依存型という呼び名と、1型、2型という呼び名の関連についてもう一度説明すると。インスリン依存型、非依存型という呼び名は、インスリン依存性の程度あるいは治療上インスリン注射が不可欠かどうかという観点にもとづくものです。いっぽう、1型、2型は成因による分類の呼び名です。1型糖尿病の多くはインスリン依存型(あるいはインスリン依存状態)にしんこうします、1型イコールインスリン依存型と考えても良い場合が多いのですが、中には1型でも徐々に進行(悪化)していく途中の過程でとらえればインスリン非依存型(状態)の場合もあります。また、逆に成因的には2型糖尿病であっても、一時的にインスリン注射が不可欠な状態(インスリン依存状態)におちいることがあります。例えば重症の感染症を合併した場合や、清涼飲料水を多飲していちじるしい高血糖とケトン体の上昇がみられ、ケトアシドーシスを呈するような場合です。後者のような状態を清涼飲料水ケトーシスと呼ぶことがありますが、若い2型糖尿病の肥満男性にときどきみられます。


糖尿病の成因にもとづいた分類


○1型糖尿病 つづき
 1型糖尿病の臨床的な特徴は25歳以下の発症(若年発症)が多く、肥満でないことが少なくありません。発症は急激な場合が多く、口渇、多尿、多飲、体重減少など典型的な症状があらわれ、治療が遅れると著しい高血糖とケトン体の上昇のため糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態におちいることもまれではありません。このタイプは、2型にくらべると遺伝傾向が少ないことも特徴です。

 1型糖尿病の発症の誘因として、ウイルス感染も想定されており、実際にインフルエンザ、風疹、流行性耳下腺炎などのウイルス感染が先行する場合もみられます。

 成因的には1型糖尿病と考えられる症例でも必ずしも急激な経過を取らず、発症当初は症状も乏しく、食事療法や経口糖尿病薬で治療を受けている場合があります。このようなタイプは緩徐進行型の1型糖尿病と呼ばれています。また、きわめて急激に発病し、自己免疫が関与しないタイプとして劇症1型という亜型が提唱され、注目されています。


糖尿病の成因にもとづいた分類


 糖尿病は、WHO(世界保健期間)の1985年の分類ではインスリン依存型糖尿病(1型)、インスリン非依存型糖尿病(2型)、栄養障害関連糖尿病、その他の糖尿病の四つに分かれていました、近年、糖尿病の成因に関する進歩により、遺伝子異常にもとづく糖尿病などが次々にあきらかになってきました。そうした成果をふまえて糖尿病の分類についても世界的に見直しがおこなわれ、1989年にはWHOから診断と分類に関する暫定報告が出されました。

 その分類では、1インスリン依存型糖尿病を1型糖尿病、2インスリン非依存型糖尿病を2型糖尿病と呼ぶことにし、さらに、従来の栄養障害関連糖尿病という分類を廃止し、3として特定の原因によるその他の糖尿病をまとめ、さらに4に妊娠糖尿病が位置づけられるようになりました。インスリン依存型、インスリン非依存型という従来の分類を1型、2型と呼ぶことになりました。

1型糖尿病

 1型糖尿病とは、インスリンを産生、分泌する膵臓のベータ細胞が破壊されてしまい、インスリンが分泌されず、その結果著しい高血糖になり、それを改善するためにはインスリン注射が不可欠な病型です。ベータ細胞の破壊の原因は自己免疫のしくみによることが多く、このタイプの発症早期の患者の血中には膵臓の 糖尿病は、WHO(世界保健期間)の1985年の分類ではインスリン依存型糖尿病(1型)、インスリン非依存型糖尿病(2型)、栄養障害関連糖尿病、その他の糖尿病の四つに分かれていました、近年、糖尿病の成因に関する進歩により、遺伝子異常にもとづく糖尿病などが次々にあきらかになってきました。そうした成果をふまえて糖尿病の分類についても世界的に見直しがおこなわれ、1989年にはWHOから診断と分類に関する暫定報告が出されました。

 その分類では、1インスリン依存型糖尿病を1型糖尿病、2インスリン非依存型糖尿病を2型糖尿病と呼ぶことにし、さらに、従来の栄養障害関連糖尿病という分類を廃止し、3として特定の原因によるその他の糖尿病をまとめ、さらに4に妊娠糖尿病が位置づけられるようになりました。インスリン依存型、インスリン非依存型という従来の分類を1型、2型と呼ぶことになりました。


副腎のはたらき つづき


 いっぽう、索状層からのコルチゾールの分泌はおもに下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)により制御されています。コルチゾールはグリコーゲン合成促進やグルコース利用の抑制など、糖代謝への影響が強いために糖質ステロイドとも呼ばれます。そのほか、脂肪動員作用やタンパク異化(タンパク質を分解する作用)、電解質作用(アルドステロンと類似の作用)、免疫抑制作用、ストレス防御作用など多様です。アレルギー疾患や自己免疫疾患で糖質ステロイドが使用されるのは、その免疫抑制作用のためです。

 副腎網状層からは、副腎アンドロゲンと呼ばれるステロイドが分泌されています。その分泌調整機構はまだよくわかっていませんが、副腎アンドロゲンは加齢とともに減少します。副腎アンドロゲンは睾丸のテストステロンより男性化作用は弱いものの、タンパク同化作用があり、筋肉量を増加させたり骨を強くする作用があります。

 副腎髄質は皮膚とは全く由来が異なり、交感神経系から生じたものと考えられます。髄質ではアミノ酸であるチロシンからアドレナリン(エピネフリン)というホルモンが合成貯蔵されます。アドレナリンは不安、驚愕、怒りなどの交感神経が興奮する場合に分泌され、おもの心臓に作用し、脈拍を速めます。そのほかに肝臓、脂肪に作用して脂肪を分解したり、グリコーゲンを分解する作用もあります。

 副腎からはアドレナリンのほかノルアドレナリン(ノルエピネフリン)も同時に分泌されますが、その比率は20%程度です。交感神経節からはおもにノルアドレナリンが分泌され、心臓に対する作用よりも血管収縮作用が強く、血圧を増加させます。


副腎のはたらき


 副腎は左右の腎臓上部にある内分泌腺で、外側の副腎皮質と内側の髄質に分かれます。皮質には球状層、索状層、網状層の三つの層があり、球状層からアルドステロン、索状層からコルチゾール、網状層から男性ホルモン作用を示すアンドロゲンが分泌され、髄質からはカテコールアミンが分泌されます。

 皮質のステロイドはコレステロールを材料として、さまざまな酵素の働きで作られます。アルドステロンは電解質、特にナトリウムを保持する大切な役割を果たします。アルドステロンの分泌はおもにレニンーアンジオテンシン系というシステムによって調整されます。

 腎臓は、傍糸球体装置という特殊な部分からレニンという一種の酵素を分泌します。循環血漿量の減少やその他の原因で腎血漿量が減少すると、レニンが分泌されます。レニンは血液中のアンジオテンシノーゲンに作用してアンジオテンシン1という物質を作ります。これにアンジオテンシン変換酵素が作用すると、アンジオテンシン2になります。このアンジオテンシン2は血管にはたらいて血圧を上げるとともに、副腎球状層に作用してアルドステロンを作ります。アルドステロンは腎臓に作用してナトリウムの再吸収を促進し、カリウムを排泄する作用があります。もし循環血漿量が増加すると、レニン分泌は抑制され、アルドステロン分泌も低下します。この結果、ナトリウム排泄は増加し、循環血漿量も低下します。

日時:2012年3月22日 12:57
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カルシュウム代謝とその異状 つづき


 副甲状腺は甲状腺のうしろ側に接する四つの内分泌組織です。PTHは骨にはたらいて骨吸収を促進し、骨から血液中にカルシウムを供給する役割があります。また腎臓に作用してカルシウムの再吸収をうながす、あるいはビタミンDを活性化する作用があり、これらによりPTHは血液中のカルシウム濃度を上げるようにはたらきます。

 もし血液中のカルシウムが低下すると、カルシウムセンサーと呼ばれる分子によって感知されて副甲状腺からのPTH分泌が増加し、逆に血液中のカルシウム濃度が正常以上に上昇するとPTH分泌が抑制されます。このようにして血液中のカルシウム濃度が一定の範囲に保たれています。カルシウムの調整でもう一つ重要なホルモンはビタミンDです。ビタミンDは食物から摂取されるか、あるいは紫外線によって皮膚で作られます。その後、肝臓、ついで腎臓で変化して最終的に活性型ビタミンDとなります。活性型ビタミンDは消化管からカルシウム吸収を促進し、骨形成にはたらきます。


カルシュウム代謝とその異状


 体には約キログラムのカルシウムがあり、その99パーセントは骨の成分で、血液などの細胞外液中に900ミリグラム程度存在します。骨は体の保持だけではなく、血液中にカルシウムを提供する重要な役割の果たします。骨は静止状態の組織ではなく、絶えず骨吸収と骨形成を繰り返しています。

 骨吸収とは、骨が破骨細胞によって分解されることで、骨からカルシウムが放出されて血液中に提供されます。いっぽう、骨形成とは、おもに骨芽細胞によって骨組織は作られることをいいます。

 このように骨は、破壊と形成のバランスをとりながら維持されています。私たちは一日に500〜1000ミリグラムのカルシュウムを食物として摂取し、50〜200ミリグラム程度は尿や便から排泄します。したがって、カルシウムを最低500ミリグラム程度取らなければ、カルシウムのバランスは少なくなり、その分だけ骨からカルシウムが失われることになります。食物からのカルシウム吸収にはビタミンDが必要で、これがないとカルシウムの吸収が不良になります。カルシウムはいろいろな細胞の機能に重要で、血液中の濃度は9〜10ミリグラム/デシリットル程度に保たれ、高くても(高カルシウム血症)、低くても(低カルシュウム血症)障害を生じます。このカルシュウムの調節に関与するホルモンで一番大切なのが副甲状腺ホルモン(PTH)です。


内分泌・代謝異常の病気


◎慢性甲状腺炎(橋本病)

○診断
 甲状腺ホルモン濃度が低く、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の増加で診断は容易につくようです。橋本病では血液中には甲状腺の成分に対するいくつかの自己抗体が検出されます。機能が低下すると、血液中のコレステロールや中性脂肪が増加したり、肝機能の障害を起こしやすく、肝臓病として治療される場合もあります。まれに小児でも橋本病による甲状腺機能低下がみられる場合もあります。

 機能低下があると、身体発育や精神発達も遅れます。甲状腺ホルモンは精神神経系や骨の成長にも必要なためです。

○治療
 橋本病であっても機能が正常なら治療の必要はなく、定期的な検査で過ごせます。機能低下があれば甲状腺ホルモンの補給が必要になります。通常少量の甲状腺ホルモン(サイロキシン)からはじめられ、血液中の甲状腺ホルモンやTSH濃度を測定しながら増量し、濃度が正常化したら、以降は一定量の甲状腺ホルモンを服用します。

 橋本病自体は回復することはないので一生にわたる甲状腺ホルモンの服用が必要となります。量が適切であれば、副作用はありません。甲状腺ホルモンを服用していても妊娠、出産、授乳に何の問題もありません。ただ、妊娠すると甲状腺ホルモンに対する需要が増すので、服用量を増やすこともあります。甲状腺機能低下状態では月経が不順になったり、妊娠しても流産の頻度が増加します。甲状腺ホルモンの濃度が正常化すれば、症状は数ヶ月以内に消失し、日常生活にも制限はありません。ただし、ヨード分を含む食品(こんぶなど)の大量の摂取は避ける必要があります。甲状腺機能が正常な橋本病患者でもヨードを大量に摂取すると、簡単に甲状腺機能が低下してしまいます。

 ヨードは甲状腺ホルモンの材料として必要ですが、多量のヨードは甲状腺機能を抑制する作用もあるからです。


内分泌・代謝異常の病気


◎慢性甲状腺炎(橋本病)

 橋本病はバセドウ病と同様に自己免疫の異状による疾患です。リンパ球が甲状腺の中に入り込み、そこで自己免疫性の炎症を起こして、甲状腺組織を障害します。この組織破壊が高度になると、甲状腺ホルモンの合成ができなくなり、機能低下におちいります。

 リンパ球は直接に、あるいは各種のサイトカインや甲状腺組織に対する抗体によって組織を破壊すると思われます。この病気も女性に多く、また加齢に伴って増加します。中年以降の女性では数%がかかっているといわれていますが、甲状腺機能が低下するまでにいたるのはそのうち10%以下で、ほとんどは無症状で経過します。

○症状
 多くの場合、甲状腺にはさまざまな程度にびまん性の比較的かたい腫れがみられます、逆に萎縮することもあります。機能が低下すると、バセドウ病とは逆に代謝が低下するので、体重は増加傾向を示します。進行すると寒がりになり、疲れやすく便秘がちになります。気力、積極性が失われ、いつも眠く、居眠りが多くなります。

 また声が低くなり、早口で話すのが困難になり、聴力も低下します。顔つきもなんとなく生気がなく、ぼんやりとします。まゆ毛の外側の毛や頭髪も薄くなります。脈拍はおそくなり、体温も低下する傾向を示します。心臓の外側の心嚢に水がたまって心不全症状を示すことがあります。さらに記憶障害や精神症状があらわれ、高齢者では認知症と間違われることがあるでしょう。重症になると昏睡からしにいたることもあります。


内分泌・代謝異常の病気


◎甲状腺機能亢進症(バセドウ病)つづき

 若い女性に多い病気のため、妊娠や出産には注意が必要です。甲状腺機能が亢進している間は早産などの合併症が多くなるため、妊娠を避けるようにします。機能が正常化したら抗甲状腺薬を服用しても妊娠は差し支えありません。ただ抗甲状腺薬を多量に服用している場合には、薬剤が胎盤を通じて胎児に移行し、胎児の甲状腺機能を抑制する可能性があります。妊娠を希望されている場合や妊娠中の抗甲状腺薬の使用法は、専門医と相談されると良いでしょう。母親の血液中のTRAbの濃度が高い場合には、この抗体が赤ちゃんの甲状腺を刺激してバセドウ病を起こすことがあります。これが新生児バセドウ病です。出生後2〜3週間で自然に良くなりますが、この間治療が必要です。

 抗甲状腺薬が原因の奇形については報告はありますが、まれなものと考えられています。

 妊娠してから初めてバセドウ病が発見されることもあり、この場合も抗甲状腺薬を服用して母親の甲状腺機能を正常化することが大切です。抗甲状腺薬は母乳にもわずかに移行しますが、服用量が少なければ授乳もさしつかえありません。一般的には乳汁への移行の少ないPTUが使用され、四錠以下であればMMIでも差し支えないと報告されています。

 バセドウ病は妊娠中には一般に軽快する傾向があります。出産後数ヶ月後に悪化することが多く、定期的なチェックが必要です。

 目の症状に対しては症状に応じて対処します。眼球突出や眼けん挙上のため睡眠中に完全に目が閉じないで、角膜の炎症を起こすことがあります。睡眠前に点眼薬を使用したり、眼帯で保護する場合もあります。眼球突出がひどい場合には手術もおこなわれます。目の症状が強く、進行性の場合には副腎皮質ステロイド薬、利尿薬や目の後部に対する放射線治療をおこなわれることがありますが、眼科の専門医による診察をおすすめします。複視に対しては時期によっては手術も必要となります。


内分泌・代謝異常の病気


◎甲状腺機能亢進症(バセドウ病)つづき

 外科的治療は、甲状腺の一部を手術によって切除し、甲状腺ホルモン濃度を正常化するものです。まず内科的治療で甲状腺機能を正常化してから手術を行います。大部分は術後すぐに機能が正常化しますが、再発や機能低下症も起こることがあります。一般には甲状腺の腫れが非常に大きい、副作用で抗甲状腺薬が使用できない、あるいは抗甲状腺薬が効きにくい場合には手術治療がすすめられます。

 放射線治療は放射性ヨードを服用する方法です。ヨードは甲状腺にはよく取り込まれるので、その放射線によって甲状腺組織を破壊します。服用2〜3週間ほどで甲状腺ホルモンが低下します。放射線を使用しますが、ガンや白血病などの危険はありません。多くの場合、治療は外来でおこなわれ、入院の必要はありません。ただし服用して数年してから甲状腺機能低下症に移行することがかなりの頻度であります。低下症になった場合には甲状腺ホルモンを一生服用する必要があります。

 三つの治療法は一長一短があり、病状や本人の希望、医療施設の状況などにより治療法を決定します。妊娠中の人に放射線治療はしません。

 日常生活の注意としては、甲状腺機能が亢進している間は過労やストレスを避けることです。喫煙や飲酒も勧められません。喫煙は目の症状が悪化することが報告されています。機能が正常化したら日常生活に制限はありませんが、多量のヨードは抗甲状腺薬の効果を抑えるので、こんぶなどヨードを多量に含む食物の摂取は控えるようにします。


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◎甲状腺機能亢進症(バセドウ病)つづき

 診断は、症状と血中甲状腺ホルモンが高値であること、TSHは抑制され、血中に抗体(TRAb)が存在することで診断されます。目の症状はバセドウ病の特徴です。一般検査では肝機能が異常なことがあります。コレステロールなど血中脂質は低下します。ときに尿に糖が出ることがあり、糖尿病と間違われることもあります。

 治療では、過剰な甲状腺ホルモンの分泌をなくし、機能を正常化することが原則です。治療には内科的治療、外科的治療、放射線治療の三つがあります。
 
 内科的治療では抗甲状腺薬が使用されます。この薬剤は甲状腺に作用して甲状腺ホルモンが作られるのを阻害します。通常、薬を服用すると1〜2ヶ月で機能が正常化します。そのあと服薬量をしだいに減らし、一定量を2〜3年服用。機能が正常化すれば症状は消え、体重も増加します。

 内科的治療の欠点は、治療期間が長いことと、薬を中止したあと再発例が多いことで再発の頻度は治療期間やバセドウ病の重症度にもよって20〜50%と異なります。

 また甲状腺薬は比較的副作用の多い薬剤です。最も多い副作用は薬疹で、使用した人の数%にみられます。そのほか肝臓の機能障害や関節痛などもあります。深刻な副作用として血液中の白血球が減少する顆粒球減少症がまれにあり、この場合には感染症によって死亡することもあるので、服用中に発熱、のどの痛み、扁桃のはれなどの症状が出たら、ただちに服用をやめ検査を受けることが必要です。これら副作用は服薬を中止すれば回復しますが、薬を飲み続けると危険です。重篤な副作用のある場合は、手術や放射線など他の治療を選択します。

 なお抗甲状腺薬とともにβ遮断薬を使用して、脈拍や震えを抑えると自覚症状がかなり軽快します。多量の無機ヨードも甲状腺ホルモンも分泌を抑制する作用があるのでバセドウ病の治療に使用されることがありますが、一般的には短期間しか効かないのでバセドウクリーゼやバセドウ病の外科手術の直前など短期間に使用されます。


内分泌・代謝異常の病気


◎甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

 代表的な甲状腺機能亢進症です。若年の女性に多く、男性の数倍の頻度で見られます。人口10万人あたり100人ほどの患者がいると推定されます。

 発症には遺伝的な素因と環境因子が関係するようです。過労、心労、外傷、出産などのストレスのあとに発症する場合が多いといわれています。

 バセドウ病は甲状腺細胞に存在するTSH受容体(TSHレセプター)に対する抗体が原因です。この自己抗体はTSH受容体と結合して甲状腺を刺激し、過剰な甲状腺ホルモンを作り機能亢進症をおこします。過剰な甲状腺ホルモンによってTSHの分泌が抑制され、血中TSH濃度は測定できないほど低くなります。

 症状の大部分は甲状腺ホルモンの過剰によるものです。体の代謝が過度に刺激されて、安静にしていても運動時と似た状態になります。熱がりで汗をかきやすく、飲水量も増えます。エネルギー消費の増加により食欲があっても、体重が減少します。交感神経が興奮状態になるため、脈拍が速くなり動悸を感じます。不整脈もよくみられ、高齢者ではむくみや呼吸困難などの心不全症状を示すこともあります。

 また手などが細かく震えるために書体などが波打ったりします。筋力が衰えて疲れやすく、階段の上り下りや立ち上がるのもつらくなります。男性ではまれに過労、飲酒の翌日に筋肉の麻痺を起こすこともあります(周期性四肢まひ)。

 消化管の運動も過剰になり、下痢をしやすくなります。精神的には落ち着きがなく、せっかちになり、感情の起伏が激しくなります。ときに精神病を思わせる症状が出現したり、重症では昏睡におちいることもあります。

 高齢者では逆に周囲に関心がなくなり無欲状態になることも見られます。

 目の症状は特徴的で、眼球の突出、上まぶたのはれ、驚いたときのように大きな目になる、眼球運動の障害のために物が二重に見える(複視)、などですが、必ずしもそうなるとは限りません。目の症状の大部分は甲状腺ホルモン過剰ではなく、眼球の後ろの組織や眼球を動かす筋肉の免疫的な炎症によるものです。多くの場合、甲状腺はびまん性にはれてきます。

 バセドウ病の症状が感染やストレスをきっかけに急激に悪化して意識障害をきたす場合があります。これはバセドウクリーゼと呼ばれる重篤な状態で致死率が高く、集中的な治療が必要になります。


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◎ホルモンの病気の治療

○機能亢進症
 ホルモンの過剰状態である機能亢進症では、ホルモンの分泌を正常化することが必要です。これには内科的治療、外科的治療、放射線治療のいずれか、あるいはこれらを組み合わせておこなわれます。
 
 内科的治療は目的のホルモンの合成を抑制する薬剤、あるいはそのホルモンの作用を阻止する薬剤が投与される方法です。ホルモンを産生する腫瘍が原因の場合には、手術による摘出が原則ですが、一部の腫瘍では内科的治療でも腫瘍を縮小させることができます。

 放射線治療は、アイソトープで目印をつけた薬剤を投与し、目的の内分泌組織に取り込ませてホルモンを産生する組織を破壊します。放射線を外部から照射して腫瘍を破壊する方法も、視床下部や下垂体の腫瘍で用いられます。

○機能低下症
 ホルモンが不足している状態ですから、補給する必要があります。ホルモンの種類によって服用するもの、注射によるもの、点鼻薬として投与するものがあります。機能低下症は一部を除けば永続的なもので、一生にわたる治療が必要です。ホルモンも中には治療薬としては使用が困難なものもあります。

 このような場合、目的ホルモンと同様な作用をもつほかのホルモンや薬剤で代用されます。ホルモンの分泌が正常でも、ホルモンの作用が傷害されていれば、ホルモンを投与しても効果はなく、別の方法がとられます。

 機能低下症が薬剤、食品による場合は、これを使用中止するだけで回復します。


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◎ホルモンの働き つづき

 ホルモンは常に一定の割合で分泌されているわけではありません。必要な時期に、必要な量が、必要な期間、分泌されます。ホルモンの分泌調節はホルモンの種類によって異なります。生体の変化が内分泌組織に伝わると、ホルモンの分泌が促進されたり抑制されます。例えば血液中のグルコースが増加すると、この情報が膵臓に感知されて糖濃度を下げるインスリン分泌が増加し、逆に糖濃度が低下すると(低血糖)、インスリンの分泌は低下し、糖濃度を上げる作用のあるホルモンが分泌されます。

 また、ホルモンの種類によってはフィードバックという機構によって分泌が調整されます。例えば、甲状腺の甲状腺ホルモン分泌は下垂体の甲状腺刺激ホルモン(TSH)により、さらにTSHの分泌は視床下部ホルモンである甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TSH)により調節されます。もし血液中の甲状腺ホルモンが低下すると、それが視床下部や下垂体に伝えられます。その結果、TRH、TSHの分泌が増加して、ぞうかしたTSHは甲状腺を刺激して血液中の甲状腺ホルモンの濃度を正常に保つようにはたらきます。

 逆に、甲状腺からのホルモン供給が過剰になると、この情報も視床下部や下垂体に伝えられ、その結果TSHの分泌は低下消失し、甲状腺からのホルモン供給が低下します。このような機構をネガティブフィードバック機構と呼びます。この機構は副腎コルチゾールの産出を刺激するACTH(副腎皮質刺激ホルモン)とコルチゾールの間、下垂体ゴナドトロピン(卵巣や睾丸を刺激して性ホルモンの分泌や卵子の成熟、精子形成を刺激するホルモン)と性腺(女性の卵巣や男性の睾丸)から分泌される性ホルモンとの間でもみられるもので、血液中のホルモン濃度を一定に保つのに重要な役割を果たします。

 またフィードバック機構以外の調節機構があります。ひとつはホルモンの日内変化(日内リズム)です。ACTHの分泌、したがって副腎コルチゾールの分泌は朝方に高く、夕方に低くなるリズムがあります。恐らく中枢神経系に存在する一種の時計が、このリズムを調節していると思われます。私たちがストレスを受けた場合には、コルチゾールをはじめ多くのホルモンが分泌されますが、これは中枢神経系へ入った情報が下垂体に伝えられて分泌が増加するためです。

 成長や成熟、加齢に伴って分泌が変化するホルモンも少なくありません。下垂体ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)分泌は、小児期ではきわめて低値ですが、思春期の少し前からしだいに分泌が増加します。これが性腺を刺激して、性ホルモンが増加し、二次成長がみられるようになります。

 女性では更年期以降は卵巣機能が低下するため女性ホルモン分泌が低下し、負のフィードバック機構によってゴナドトロピンが増加します。男性でも加齢に従って睾丸機能が低下しますが、女性ほど明確ではありません。

 また、成長ホルモンの分泌は思春期には顕著に増加します。成長が止まったのちの成人でも成長ホルモン分泌は持続するものの、加齢とともに分泌は低下します。一方で、生命の維持に不可欠な甲状腺ホルモンや副腎コルチゾールは加齢による変化はほとんどありません。


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◎ホルモンの働き

 わたしたちのからだが、絶えず変化する外部の環境に適応したり、外敵から身を守るためにはいくつかのしくみが必要です。この目的のために神経系、内分泌系、免疫系の三つが密接な関係を保ちながら、体の機能を調整しています。例えば精神的なストレスはホルモンの分泌を変化させ、ホルモン系の異状が神経系や免疫系の作用に影響します。内分泌系はホルモンを介して体の機能を調整するシステムです。ホルモンは脳下垂体をはじめ複数の内分泌腺から分泌される物質で、多くは血液に運ばれて他の組織にいき、そこでいろいろな作用がおこなわれます。

 しかし一部のホルモンは血液を介さないで局所的に作用するものもあり、またホルモンの種類によっては複数の組織から分泌されるものもあります。最近では心臓や脂肪細胞など従来は内分泌組織とは考えられなかった組織からもある種のホルモンが分泌されていることもわかってきました。ホルモンはタンパク性ホルモン、ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、カテコールアミン、その他に分類されますが、いずれもごく微量で作用を発揮します。ホルモンの作用は多彩ですが、1成長と成熟の調節、2生殖器の調節、3エネルギー代謝の調節、4ストレスに対する防御、と言う役割をになっています。成長には成長ホルモンや甲状腺ホルモンなど多くのホルモンが必要です。また性機能の発達や維持には性ホルモンが決定的な役割を果たします。

 私たちが生きて行くためには必要量のエネルギーを消費し、残りを緊急時のために貯蔵しなければなりません。また、組織がうまく機能するためには血液中の電解質、糖分、脂質(コレステロールや中性脂肪)などが適切な濃度を保つ必要があり、これにも多くのホルモンが共同して調節します。さまざまなストレスに対する防御のためにもホルモンが必要です。

 それではホルモンはどのように作用を発揮しているのでしょうか。各ホルモンはそれに対応する受容体(レセプター)と結合することにより作用を発揮します。受容体は細胞膜あるいは細胞核の中に存在する物質で、一定のホルモンのみを認識してこれと結合します。受容体が結合すると、それに続いていろいろな生化学的な反応がおこり、最終的にそのホルモンに特有な作用があらわれます。

 ホルモン作用の特徴はひとつのホルモンが多数の機能を持っていることです。もうひとつの特徴は生体の一つの機能にたくさんのホルモンが関与することです。例えば血液中の糖(グルコース)濃度はインスリンのほか成長ホルモン、グルカゴン、コルチゾール、カテコールアミンなど複数のホルモンが調節します。


内分泌・代謝異常の病気


◎ホルモンの病気とは

 ホルモンの病気には、1分泌量の異常、2分泌時期の異常、3異常ホルモン分泌、4ホルモンの作用の異常(ホルモン受容体の異常)、5二次的なホルモン異常、6その他、があります。大部分は1の分泌量の異常で、分泌の過剰(機能亢進症)と分泌の低下ないし消失(機能低下症)に分類できます。

 機能亢進症の原因は、ない分泌組織の良性・悪性腫瘍が過剰なホルモンを分泌する場合が多く、そのほかに本来はない分泌組織ではない組織(例えば肺)の腫瘍がホルモンを過剰に分泌する場合(異所性ホルモン産生腫瘍)があります。またバセドウ病のように抗体によって内分泌組織(バセドウ病の場合は甲状腺)が刺激されたり、内分泌組織が炎症などによって破壊され、組織から多量のホルモンが流れ出しても機能亢進症状が起きます。

 機能低下症は、内分泌組織が1自己免疫性の炎症、2放射線、手術や腫瘍、3血管障害(出血や梗塞)、4感染など、により破壊される結果、ホルモンの産生が傷害されて生じます。まれに先天的に内分泌組織の欠損や、ホルモン産生遺伝子の異常によってホルモンがつくられないこともあります。また、摂取している食べ物や服用している薬剤によって内分泌組織の機能が抑制されることもあります。

 分泌時期の異状による病気はまれですが、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)が通常より早く分泌が始まる思春期早発症(性早熟症)などがこれになります。

 異状ホルモンによる病気は、ホルモン遺伝子の異状によって正常とは異なるホルモンが分泌されるまれなものです。また、ホルモン分泌が正常でも、その作用がはたらかない病気をホルモン抵抗症やホルモン不応症とよびます。多くはホルモン受容体の欠損など受容体の異状によるものです。ホルモン抵抗症の症状は機能低下症と似ています。

 なお受容体異常症の中には機能亢進症となるものもあります。受容体の異状によってホルモンの結合がなくても、受容体が活性化されてしまうと考えられています。

 二次的なホルモン異状は、本来はホルモンの病気ではなく、他の病気によってホルモン系の以上がみられるものです。たとえば拒食症(神経性食欲不振症)ではいろいろなホルモンの異状がみられますが、ホルモン組織の病気ではなく、治療によって体重が回復すればこれらの異状も正常化します。

 そのほか、他の疾患に対して使用される薬剤や食事によって機能亢進あるいは機能低下を示すことがあります。内分泌組織自体に病変があっても機能自体はおかされていないこともよく見られます。


静脈の病気


◎深部静脈血栓症

 表面上は、足のむくみや表面の静脈が浮き上がって見える以外、強い痛み発赤などの静脈炎の症状を呈さずに足や骨盤内部の静脈内に血栓が知らないうちに形成されている病態を指します。血栓が静脈へ期からはがれて血流に乗って、肺に到達して肺塞栓症を引き起こします。右側よりも左側に発生する頻度が高いです。手術、妊娠、長期の安静、悪性腫瘍などが誘因となります。静脈超音波検査や血管造影剤検査で、その存在や部位を診断し、治療はヘパリン、ワーファリン、血栓溶解薬などで血液を固まりにくくします。

○エコノミークラス症候群(ロングフライト症候群)

 深部静脈血栓症のうち、飛行機やパスなどの乗り物に長時間乗ることで起こるものをエコノミークラス症候群あるいはロングフライト症候群と呼びます。

 乗り物などの狭い座席で長時間同じ姿勢を続けていると、血液の循環が悪くなりますが、特に一般の航空機内は地上より気圧が低く乾燥しており、血栓が起こりやすい状況です。

 このような条件に加えて飛行時間が6〜10時間以上と長くなる場合は、静脈血栓がおこりやすく、それが血液にのって肺に入り込むと肺塞栓症を引き起こします。

 着席中や起立直後だけではなく、血栓形成後、数時間から数週間で発生する場合があります。足の痛み、むくみといった徴候があり、呼吸困難や胸痛、息切れが起これはこの病気の可能性があります。命にかかわることもあります。

 血液の固まりやすい体質の人は特にこの症状をおこしやすく、最近外傷を受けた人、大きな手術をした人、肥満気味の人、経口避妊薬(ピル)をのんでいる人にもおこりやすいといわれています。

 予防は血液の循環をよくすることと、脱水状態にならないことです。長時間同じ姿勢を保つことを避け、適度に体を動かすようにします。深呼吸も効果的です。衣類は体を締めつけないようなものを着用し、水分補給をこまめにしましょう。アルコールやコーヒーには利尿作用があり、水分の排出をうながすことになりますのであまりとり過ぎないようにしましょう。

日時:2012年2月22日 11:33
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静脈の病気


◎静脈瘤

 静脈の病気として最も多いのは静脈瘤で、足の表面にある静脈が、妊娠などをきっかけとして、心臓への血液の還流がさまたげられるために広がり、うねるようになり、特に立った姿勢で目立ちます。自覚症状がなければ放置されますが、長く立ち仕事をしたり圧迫すると血液が停滞して痛み、靴下を通してもはれて色の変わっているのがわかり、美容上問題になります。炎症を繰り返し、一部閉塞も生じて、ひどくなると皮膚が潰瘍になります。

 軽い場合は、安静にして足を心臓より高い位置にしたり、弾性靴下などを用いて圧迫するなど、静脈の還流をうながすことが重要です。苦痛を伴う場合は、外科的に広がった静脈を取り除く手術がおこなわれ、最近では日帰り手術も多くなっています。

 静脈内に薬剤を注入して、コブをつぶす治療法(静脈硬化療法)もおこなわれます。

◎閉塞性静脈炎(血栓性静脈炎)

 静脈が炎症を起こして閉塞してしまう病気です。手術や外傷のあと静脈がつまったり、悪性腫瘍や糖尿病、心臓病、妊娠などのときに合併してあわらわれることが多く、足に多く見られます。静脈炎がおこった側の足が急にはれ、静脈に沿って熱をもち、痛みます。静脈注射に対する反応としておこることもあり、特異体質の人におこりやすいものです。

 予防することが第一で、その方法は足をよく動かすことです。一度できると、血栓を溶かす薬が使われますが、慢性化すると効果が落ちてきます。感染が起これば個性物質も必要になりますし、血栓性静脈炎から肺梗塞も起こってくることがあります。

 上下の大動脈が炎症や腫瘍のために閉塞されると、上半身または下半身の血流が傷害され、障害のある半身に浮腫が起こり、生命にかかわる重大な病気になります。

日時:2012年2月20日 13:57
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血管の病気


◎レイノー病とレイノー症候群

 いろいろな原因で血管が収縮することがありますが、手や指を冷水につけたり冷やしたりしたとき、発作的に両手の細い動脈が収縮して血液が十分に流れなくなり、手が白く、あるいは紫色になり、ひどくなると痛くなることがあり、レイノー病と呼ばれます。若い女性に多い病気です。

 同様な現象が各種膠原病などのひとつの症状である場合と、キーボードを操作して手指を酷使する人に関連して発病する場合があり、レイノー症候群と呼ばれます。同様の職業病として電気のこぎりや削岩機を使う労働者に見られる白ろう病があります。

 これらに対しては保温がもっとも有効です。ホルモン薬や血管拡張薬、神経の麻酔などが使われることもありますが、あまり効果に期待できません。

日時:2012年2月19日 10:36
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血管の病気


◎動脈血栓症、動脈塞栓症

 動脈血栓症・動脈塞栓症は、手足の末梢動脈が血栓で突然閉塞することを言います。突然手足がしびれ、痛みを感じ、冷たくなり、色が白く、あるいは紫色に変色し、動かせなくなります。これは、皮膚の温度や色が変化し、疼痛を伴い、その領域を支配する血管の動脈の脈拍がふれられないことで、神経障害のためのしびれ、まひとは区別されます。

 閉塞部位をバイパスする側副血行路などが発達していないと、四肢の切断に至ることもあります。発症後すみやかに閉塞部位よりも心臓近位部からカテーテルを挿入して、先端のバルーンをふくらませ、引き抜くことによって血栓を除去することができます。閉塞した血管を急激に開いた場合、筋肉に障害が起こって、筋融解を起こし、血液成分を変化させ、高度の腎不全を招くことがあります。

 このような急激に発症する動脈血栓症には、その原因となった血栓がその動脈の閉塞部位以外のところで作られ、血流に乗ってそこに運ばれて完全閉塞する場合もあります。これを動脈塞栓症といいます。血栓の源は心臓にあることが多く、心臓弁膜症、心房細動、心筋梗塞、心筋症、心不全などがその基礎疾患であることが多いのです。動脈塞栓症が起こって初めて、重大な心疾患が発見されることもまれではありません。

 塞栓症が四肢に生じた場合は以上のような症状で住みますが、脳動脈に運ばれて閉塞した場合は、重篤な脳卒中となり、死亡もしくは重大な後遺症を残すのがふつうです。そのような血栓の源が心臓にある場合は、血栓を作らないように抗凝固療法を継続する必要があります。これには、アスピリンやワルファリンカリウムと言う薬剤を使用します。

 心臓の中に血栓を作る原因の第一は心房細動です。特にすでに脳梗塞(塞栓症)を経験した人、65歳以上、高血圧や心不全、糖尿病、虚血性心疾患を合併すると血栓ができやすくなります。高齢者が増加したため、心房細動が原因の脳塞栓症の発生がまれではなくなり、予防のためにワルファリンカリウムを服用することの重要さが叫ばれています。

日時:2012年2月18日 10:31
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血管の病気


◎閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)

 おもに、20〜50歳の男性に起こる病気で、喫煙者に多いものです。四肢、特に下肢の動脈の内膜に炎症が起こり、症状が進んでくるとその血管がつまって、その先の足の血行が悪くなって、痛んだり、さらに壊死にまで発展することがあります。

 この手足の状態を脱疽(だっそ)といいます。つまるっけっかんの部位は膝や肘よりも先の細い動脈です。したがって、指先など手足の先端に病変が生じやすいのです。

 治療では、冷やさないようにしましょう、冬には悪くなる傾向があります。血管拡張薬、温浴、マッサージ、運動等で血行をうながし保温につとめ、タバコは厳禁です。

 四肢先端の病変が潰瘍や壊死にまで進行した場合は、交感神経ブロックなどでよくなることがありますが、最終的には手術で指や足を切断せざるを得ないこともまれではありません。

◎閉塞性末梢動脈硬化症

 動脈硬化でも閉塞性血栓性血管炎と同じような症状が起こりますが、この場合は閉塞性末梢動脈硬化症と呼ばれ、50歳以上の男性に多い病気です。糖尿病が合併しても足指の一部に壊死が起こることがあります。

 はじめ、つまった血管のある足が冷たくなり、歩くと痛み、しばらく休むとおさまる、間欠性は行を呈し、さらに進むと、その足が白くなったり、チアノーゼが出たりして、足の脈拍が触れにくくなります。最終的には栄養が悪くなってくさってきます(脱疽)。

 この状態では静かにしていても痛みがおこります。少しの傷も治りにくく、また脱毛や爪の変形が起こります。病気の進行が止まると、他の血管からわき道(側副血行路)が通じて、またよくなることもあります。動脈硬化性の末梢動脈閉塞では虚血性心疾患を合併することが多いので、心臓の検査を受ける必要があります。症状がどの段階まで進んでいるのかの目安として、フォンタン分類がよく使われます。

 治療では、歩行距離が数百m以上で症状が軽いうちは、痛みが出現するまで下肢の運動をおこなうことによって副側血行路ができるようにつとめます。

 薬物療法のみで満足できる改善が得られるのは軽症の場合のみで、歩行距離が200m以下にいちじるしく制限されているときや安静時にも疼痛などの症状があったり、潰瘍、壊死が合併している場合などは、手術療法によって血管バイパス術を受けることになります。壊死が進んでいる場合は足の切断を余儀なくされます。手術療法以外、あるいはそれに並行して、血管を収縮させる神経をブロックしたり、カテーテルによってバルーンでひろげたり、レーザーで焼いたりすることもあります。最近は骨髄の細胞を虚血部位に注射して血管新生をうながす治療も行われます。

日時:2012年2月16日 10:23
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血管の病気


◎脈なし病

 20代の女性に多く、片側または両側の手首の動脈の脈をふれないことがあります。これは、その動脈が大動脈からわかれたところで、炎症のために極端に狭くなっているためで、同様のことは腹部大動脈にも、頭へ行く動脈にも、腎臓へいく動脈にもおこります。眼底に特徴のある変化が認められることがあります。高血圧が起こったり、大動脈弁の閉鎖不全がおこることもあります。

 病気の原因はまだはっきりしませんが、大動脈壁に何らかの免疫反応にともなう炎症があることは確かで、ある年齢までは多少とも進む性質を持っているようです。国の特定疾患治療研究事業対象疾患(難病)に指定されています。

 治療では、副腎皮質ステロイド薬、そのほかアスピリンなど抗炎症薬を使ってまず病気の進行を止めます。また頚動脈の閉塞や大動脈瘤、大動脈弁閉鎖不全などがあれば、外科的に治療することもあります。

日時:2012年2月15日 11:34
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◎解離性大動脈瘤

 突然のひどい胸痛で始まり、痛みが肩や背中、さらに腰に移ります。よく心筋梗塞と間違えられるほどです。症状が激しく血圧が非常に高い場合や、血圧は高いのに手足の脈を触れられないことや、左右の手の脈と大きさが異なることがあります。

 ショック状態となって1〜2時間で死亡したり、数日、数週間で悪くなることもあります。脳卒中や心筋梗塞を併発することもあります。

 治療は、解離性大動脈瘤が大動脈の心臓の最も近い部位に発生したときには緊急手術となります。この場合、人工血管を取り付けたり、大動脈弁を人口弁に取り換えたりします。心臓から遠く離れた部位にあるときは、血圧を下げる薬剤を投与してコブの増大を防ぎながら経過を観察します。特に発病後1〜2ヶ月は血圧を下げることが必要です。

 病気が進む場合や大動脈弁閉鎖不全を合併した場合などには、外科手術で人工血管を取り付けます。

日時:2012年2月13日 09:44
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◎動脈瘤

 動脈の一部がふくれてコブを作るのが動脈瘤です。胸の中で心臓に近い部分の大動脈や腹の中の大動脈、手や足の動脈にも、また頭の中にもできることがあります。

 大動脈瘤の原因は、大部分が動脈硬化と大動脈炎です。

 大動脈瘤の特殊な型に、解離性大動脈瘤、があります。高血圧が合併していることが多く、血圧の低い場合は、マルファン症候群など特殊な血管の病気です。もともと異常のあった大動脈の中膜層に出血し、大動脈の壁がさけて出血がその中に広がるもので、きわめて重い病気で、中年異常の男性に多いものです。
 
 ふつうの動脈瘤を真性動脈瘤といいます。動脈炎や外傷で動脈が切れて動脈瘤ができる事もあります。

◎真性大動脈瘤

 動脈瘤の部位によって、胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤にわけられます。

 症状は動脈瘤の場合、動脈がふくれてコブを作りますから、さわってみると、ドキンドキンと脈打つのがわかります。大動脈瘤が胸の中にあるときは外側からわかりませんがレントゲンでみると大動脈が局所的にふくれているものがわかります。何の苦痛も伴わないこともありますが、上胸部が痛いことがよくあります。進むと声がかれたり、食物を飲み込むのも苦労したり、呼吸が苦しくなったりします。

 胸部大動脈瘤が大きくふくれてくると、胸壁の骨をおかして、外へ出っ張ってきます。胸部大動脈瘤が拡張するとことも多く、へその辺りに拍動を感じて見つかります。そして、ついには破裂して出血し、死ぬこともあります。

 実際には破裂して急死する以外は無症状で、胸部レントゲン検査や腹部エコーで偶然に発見される場合が多く、ある大きさ以上の場合は、破裂を未然に防ぐためにコブの切除術がおこなわれます。

 梅毒が原因の時には胸部大動脈瘤が多く、大動脈炎のうちに根気よく何年間も梅毒の治療を続けて、病気が進むのを防がなければなりません。

 動脈瘤がだんだん大きくなる場合や強い痛みのある場合などには、破裂する危険があり、外科手術がおこなわれます。

日時:2012年2月12日 10:10
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◎動脈硬化症 つづき

 治療では長年かかって出来上がった動脈硬化を治すのは、なかなかうまく治りにくいですが、その病気の型によっては、治療の結果ある程度良くなりやすいものもありますし、また進行するのを予防する可能性があります。

 一般的には、生活を規則正しく、仕事をしたあとは適度な休養を取って、疲労が残らないようにします。徹夜、暴飲暴食などは控えなければいけません。

 すでに動脈硬化が進んでいるときは、その程度によって、十分な休養が必要ですが、心臓や脳の動脈硬化によって、心筋梗塞を起こした後や、脳梗塞を起こした後、また足の動脈硬化で歩くと痛むという場合を除いては、定期的な運動も必要です。

 次に、食物は、体重が増えない量に制限することが一番大切です。

 ふつう動物性脂肪を制限しますが、タンパク質のおおい肉は適度にとります。比較的若くて動脈硬化のおこった人では、脂質、特に豚肉や牛肉の脂肪、バターなどは禁止です。

 卵や牛乳もむやみに食べてはいけません。太った人の中には、早くから動脈硬化がおこる人がありますから、食事全体を減らして、腹八分目にとどめなければいけません。
 
 タバコは禁止し、酒は少量ならいいでしょう。糖尿病、高血圧、痛風などのある人はその治療ももちろん大切です。

 動脈硬化の薬物療法としては、コレステロールを低下させる薬剤が最も重要です。特に、すでに心筋梗塞などを発症しており、その再発を防止する必要のある人には、コレステロール低下薬はかなり効果があります。

日時:2012年2月11日 10:03
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◎動脈硬化症 つづき

 症状では、動脈硬化は、それが起こっている部位によって、症状、経過が違います。大動脈の硬化があっても、特別の症状を起こしません。心臓の冠状動脈に硬化がおこると、狭心症や心筋梗塞が起こったり、心不全になったりします。

 脳動脈に硬化がおこると(脳動脈硬化症)、あるときはめまい、頭痛、耳鳴りがあり、記憶力が低下し、不眠のほか気が短くなり、怒りっぽくなります。この病気が進むと、脳梗塞を起こし、足がまひしたり、口がうまくきけなくなったり、排尿が円滑にいかなくなったり、表情がなくなったり、認知症のようになることがあります。

 動脈硬化が腎臓におこると、萎縮腎といわれる状態になります。高血圧が急にひどくなることもあります。夜、何度もトイレに起きるようになり、薄い尿がたくさんでます。高血圧の進んだ時期には、必ず腎臓が悪くなり、尿にタンパク質が出、顔や足がはれてきて、また目がかすれてきます。そして、心臓も悪くなります。

 動脈硬化が足の動脈に起こると、足がしびれたり、冷たく感じたり、特有の症状としては歩行中痛んだり、だるくなったりし、少し休むとまた歩けるといったような状態になります(間欠性は行)。

日時:2012年2月 9日 09:50
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血管の病気


◎動脈硬化症

 動脈硬化は、動脈の老化現象で、年をとれば誰にでも起こり、一度おこって進んだものは完全に治らないといわれています。 動脈硬化はいろいろな型があり、中には、食物やストレスの影響が重大で、それによって悪くも、よくもなるというものがあります。

1 老人性の大動脈から直接分岐する比較的太い中動脈に石灰化がおこる型。

2 動脈の内壁にコレステロールなどの脂質がたまり、ふくらみを形成し、同時に動脈壁の平滑筋が増殖して内膜を狭くし、脳や心臓の病気の原因となる典型的な動脈硬化アテローム変性。

3 細動脈の硬化。

 動脈は内膜、中膜、外膜の三層からなっていますが、1は中膜に、2は内膜におもに変化がきます。また、これら二つの動脈硬化は、動脈の太いところか中程度のところにおき、血圧はふつうか、幾分高くなります。しかし、最大血圧は上がっても最小血圧は上がらず。90ミリHg以下です。これは、動脈の弾力性が少なくなったため、最大血圧だけが高くなったものです。3の細動脈硬化は、高血圧が長く続いた結果、動脈の末梢の細い部分が硬化するものです。

 この三つの型の動脈硬化は別々に純粋な形でつくることもありますが、ときに、組み合わさってくることもあります。

 これらのうち比較的性質の悪いもの、つまり、脳や心臓や腎臓などの重要な気管に動脈硬化による病変を起こして寿命をちぢめるものは、2と3の動脈硬化です。3の細動脈硬化は、むしろ高血圧の結果として生じるものですから、問題は高血圧のほうにあります。

日時:2012年2月 8日 10:34
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血圧・血管の主な病気


◎低血圧症

 一時的に血圧が下がるのは、心臓や血管の働きが弱ったときとか、大出血のあとにくるものです。

 いつも血圧が異常に低い状態というのは、1体質的に低い場合、2慢性の感染症、悪性腫瘍、重い貧血、3内分泌の病気(アジソン病、シモンズ病、粘液水腫など)、4栄養失調、5神経の病気などでおこります。

 ふつう、血圧が低いというのは、最大血圧が100mmHg未満を指しますが、一般に男性よりも女性のほうが5から10ぐらい低く、ことに若い人では、もっと低くても何も自覚症状がなければ正常です。いくつぐらいなければ異常だとは決めにくいものです。

 血圧が低くなる原因のわからない、体質的に血圧の低い場合を、本態性低血圧といいます。このような人の中で、寝ている状態では血圧が低くない場合もあり、血管の緊張の弱い人は起立した姿勢では血圧が低くなり、起立性低血圧と呼ばれます。この場合には、立ち上がるときに、めまいや立ちくらみを感じることが多く、動悸を訴える人もいます。

 起立性低血圧のような血圧調整障害は、学童が長時間起立していると血圧が低下し脳貧血で倒れることがあるように、若い人にしばしば見られます。これは、血管迷走神経反射といって、反射的に血圧や心臓を抑制するはたらきをもつ副交感神経系の異常な緊張亢進によるものです。このような神経反射が原因で一時的に低血圧をおこし失神する状態として、他にせきや排尿時の失神が知られています。せきや排尿という行為に伴い、一時的に血管迷走神経反射が作動して、低血圧になります。

 アルコールを飲んだり、お風呂から上がったりしたあとですでに心拍数があがったりした後ですでに心拍数が上がっている状態が存在すると、このような神経反射がおこりやすいのです。これは病気ではありません。

 中枢神経の障害で手足の動きが悪く、尿の排泄が順調でない人や糖尿病の人にも起立性低血圧がありますが、この場合は、立ちくらみがおこって血圧が下がっても脈が速くならず、反射経路の悪いことが推測されます。

 体質的に血圧が低いのは、痩せ型の人に多い傾向ですが、血圧が低くても、別に何の症状もない人もあります。

 疲れやすい、めまいがする、動悸がするなどの、いろいろな訴えのある人は、診察を受けて、他の病気ではないことを診断されたら、血圧を高める薬が処方されることもありますが、多くは神経症の治療ですみます。低血圧のために生命にかかわることは少ないので、症状がなければほうっておいてよいでしょう。

 起立性低血圧の人は、腹筋を強くする運動をしたり、立ち上がる前に足を屈伸してから、ゆっくりたつようにしたり、伸縮性の強いストッキングを使用して足に血が下がらないようにしたりします。それでも良くならないときは、血圧を上げる薬や、水分や塩分を体内にためるようなホルモン薬を使うこともあるでしょう。


血圧・血管の主な病気


◎本態性高血圧

 本態性高血圧の原因は、いまなお、はっきりしませんが遺伝や体質が重要なことは事実で、高血圧の両親の子供は、高血圧になることが多く、両親とも高血圧の無いときは、高血圧になることは少ないのです。

 体つきは、赤ら顔で、首が短く、がっしりした大人に多いのですが、もちろん、やせたひとでもなります。また、この病気は緊張した社会環境で起こるといわれ、年齢は男性で35〜50歳、女性で45〜55歳の間に急に多くなります。

 時には二十代でも本態性高血圧が始まります。35歳以下で高血圧になった場合、若年性高血圧と呼びます。若年性高血圧では腎性高血圧、内分泌性高血圧、血管性高血圧など、原因のはっきりした二次性高血圧が多いのです。

 症状ははじめは自覚していないことが少なくありません。会社や学校の定期健診などで血圧を測ったときに高いといわれ、それから気にするようになることが多いのです。
 
 頭が重い、頭痛、肩こり、めまい、耳鳴りがする、夜眠れない、便秘する。などと訴える人もありますが、高血圧自体が自覚症状を出現させているかどうかは不明です。


血圧・血管の主な病気


◎心臓や血管からくる高血圧

 一般に、慢性の心臓病では、心臓が弱っているにもかかわらず、血圧がやや上がっていることが多いのです。高血圧が心不全の一因になっていることが多いためです。

 大動脈弁閉鎖不全でも高いことがあります。心臓ブロックといって、心臓の打つ数が40以下になると脈圧が大きくなり、最大血圧は高くなります。

 また、先天性の大動脈縮窄という病気では大動脈の途中が生まれつき狭くなっていて、上半身の血圧が異常に高く、下半身の血圧が低くなります。大動脈炎でも高血圧が起こります。腎動脈が何かの原因で狭くなっても血圧が上がります。

 生理的老化現象としての動脈硬化の高血圧の原因の一つです。体全体の動脈の弾力が減ると、心臓から血液が入ってきたとき、大動脈壁がよく伸びないので、最大血圧が高くなります。しかし、最小血圧は上がらず、かえって下がることもあります。収縮期高血圧といい、たとえば200/80というように上と下の血圧に大きな開きがあります。この場合も降圧治療の対象となります。

◎薬物の副作用からくる高血圧

 長期に服用を続けていると、そのために血圧が高くなることがあります。特に注意すべきなのは、漢方薬などに含まれている甘草(グリチルリチン製剤」です。そのほか、副腎皮質ステロイド薬や非ステロイド性抗炎症薬、経口避妊薬、腎不全で使用するエリスロポエチンなどでも高血圧をきたすことがあります。

 この場合は薬剤を中止すると、たいていは数週間で血圧は元に戻ります。


血圧・血管の主な病気


◎中枢神経の異常からくる高血圧

 頭に外傷を受けたときとか、脳の中に腫瘍ができたとき、あるいはポリオなどによる神経病のあと血圧が上がることがります。

◎内分泌からくる高血圧

 下垂体、副腎、性器、甲状腺などホルモンの以上から起こる内分泌性高血圧です。

 クッシング症候群というのは、顔が満月のように丸くなり、体が異常に太って、腰や大腿の皮膚に赤いしわができ、血圧が上がるもので、副腎皮質または下垂体の腫瘍ないし肥大によるものです。

 原発性アルドステロン症は、高血圧、多尿とともに、手足が一時的にまひして力が入らなくなるもので、副腎皮質の病気です。

 褐色細胞腫は、副腎髄質の腫瘍から時々多量のアドレナリンやノルアドレナリンの分泌が起こり、一時的に血圧が上がり、頭痛、動悸、ふるえがきたり、尿に糖が出たりするものです。そのほか甲状腺機能亢進症でも、やせると同時に脈拍がふえ、血圧が上がります。脳下垂体の腫瘍でおこる末端肥大症でも血圧が高くなります。いずれも手術など原因となった病気の治療で治る可能性のあるものです。

 最近、肥満や糖尿病と高血圧の合併が多いことと、このような人では血液中のインスリンの濃度が高いことから、インスリンに対する感受性の低下が原因で高血圧になるという説があり、多くの研究がおこなわれています。


血圧・血管の主な病気


◎二次性高血圧

 高血圧の原因がはっきりしている場合には二次性高血圧といい、高血圧の原因がわからない場合には、本態性高血圧といいます。本態性高血圧は通常35歳以上の人が多く、二次性高血圧は比較的若い人に多くみられます。これらの中には、治療法が全く違うものや、治療が不要なものもあります。以前は、二次性高血圧は腎皮質性の高血圧を除いて、数パーセント未満のまれな病気と考えられていました。しかし、最近は原発性アルドステロン症や腎血管性高血圧などの原因は極めてまれとはいえないほど、しばしば発見されています。

 二次性高血圧は、若い人の高血圧のほかに、治療でなかなか血圧が下がらない場合や、高齢者で急激に高血圧を発症した場合などに疑われます。

 高血圧の原因は、神経やホルモン、特に副腎から出るアルドステロンやアドレナリン(エピネフリン)、腎臓から出るレニンと、それによって作られるアンジオテンシンの血管への作用とアルドステロンの過剰やナトリウムの蓄積など、色々なしくみとはたらきによります。

◎腎臓からくる高血圧

○腎性高血圧症
 さまざまな原因で腎臓が病気になると、そのために血圧が上昇します。血清クレアチニンが上昇することにより、腎臓の機能が低下している子音がわかります。

 代表的な疾患としては、各種の腎炎、尿毒症、多発性のう胞腎、糖尿病性腎炎などがあります。血圧が高いと、そのために腎臓の病気が進行するという悪循環を招きます。したがって、血圧を下げる必要がありますが、過度の血圧低下は逆効果ですし、実際に薬を使用してもなかなか下がりにくいのも事実です。


血圧・血管の主な病気


◎高血圧症

 一般に、最大血圧140ミリHg、最小血圧90ミリHg以上のとき、血圧が高いといいます。年齢によって違います。年をとると、高血圧の人は急激に増加します。

 一度、血圧を測って高かったらといって、すぐ高血圧症があるというわけではありません。血圧は色々な原因で変化するものです。安静な状態で何度かはかり、しかも日をあらためてはかって、やはり高いときにはじめて血圧が高いということになります。

◎軽症高血圧

 高血圧症は、血圧値によって分類されます。通常収縮期血圧が140〜159、拡張期血圧が90〜99ミリHgの範囲の高血圧を軽症高血圧と呼び、高血圧に基づく疾患の進展がもっともゆるやかな経過を示しますが、放置してよいということではありません。正常血圧とくらべると、はっきりと脳卒中や心筋梗塞の危険性が高く、10年、20年ののちにはこのような心血管疾患にかかりやすいことがわかっています。

 しかも問題は、このような軽症高血圧の範囲に入る人が極めて多いということです。たとえ疾患の発生率が、重症〜中程度の高血圧にくらべて相対的に頻度が低いとはいえ、全体から見ると何百万人〜何千万人という人たちがこれに相当するということになると、軽症高血圧といえども、このために心筋梗塞、脳卒中になる人の絶対数が、無視するわけにはいかないほど大きくなります。

 また、高血圧だけではなく、動脈硬化になりやすいほかの危険因子、例えば、高齢者や喫煙、高コレステロール血症、ていHDL血症、肥満、糖尿病、尿中微量アルブミン、心筋梗塞、脳卒中の家族歴などがひとつ、あるいは二つ三つ同時に存在していると、疾患の発症率は飛躍的に増大します。

 したがって、軽症高血圧も一般療法や、それで不十分なら血圧降下薬で十分に管理する必要がでてくるでしょう。


血圧とは


◎血圧

 血圧というのは、血管の中の血液が血管の壁に及ぼす圧力を言います。血管には動脈と毛細管と静脈があり、血液は心臓から動脈を経て毛細管へいき、静脈を経てまた心臓に帰ります。この血液の流れは、圧の高いところから低いところへ向かいます。つまり動脈では圧が高く、静脈では圧が低いのです。ふつう、血圧という場合は、このかなで動脈の中の圧をいい、静脈内の圧は動脈圧と呼びます。

○最大血圧と最小血圧

 心臓が収縮するごとに、動脈内の圧は上がったり、下がったりします。そのときの最高の圧を収縮期血圧、最大血圧または最高血圧と呼び、最低の圧を拡張期血圧、最小血圧または最低血圧と呼びます。最大血圧と最小血圧の差は脈圧と呼んでいます。最大血圧と最小血圧の差の三分の一を最小血圧に加えた値を、平均血圧といいます。常時、動脈にかかっている圧力の平均的な値です。

 血圧は心臓が排出する血液の量に影響されます。心臓が急に大量の血液を動脈内に送りだすと、最大血圧が高くなり、脈圧が大きくなります。

 最小血圧の調節は、主として毛細管に分かれるすぐ手前の細動脈でおこなわれたいます。細動脈を狭くすると、動脈の抵抗が大きくなって、最小血圧が高くなります。また、ここがゆるむと、最小血圧は低くなります。この部分は神経や色々なホルモンによって調整され、必要に応じて、緩めたり縮めたりしているわけです。

 血圧が異常に高くなると、高血圧症になります。俗に、血圧というと最大血圧だけを問題にされますが、最小血圧も重要です。最小血圧が上昇すると平均血圧も上昇するので、動脈への負担が増します。

日時:2012年1月28日 10:53
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皮膚のおもな病気 つづき


◎凍傷(しもやけ)

 冬のはじめ、10月末ごろから多くなります。手足が冬になると紫紅色になり、冷たくなる人に多くできます。

 しもやけには、紫紅色にはれあがって、たるがきのような形になっているものと、赤いまるい、皮膚面から扁平に高まった発疹との二つがあって、前者は子供に、後者は大人に多い傾向です。かゆみが強く、特による、寝床に入ってからひどくなります。なかには、くずれて潰瘍となり、また水ぶくれをつくって、内部に出血しているものもあります。

 手足に多いのですが、耳、鼻など、体の末端の部分にもよくできます。

 しもやけの原因は、寒さのために血液循環が悪くなるからです。しもやけのできやすい体質の人では、10度の気温ですでに皮膚の血液循環に変化があらわれ、しもやけが起こることになります。このため、しもやけは極寒とは限らず、すでに10月末ごろから始まるわけです。

 しかも、湿気が多い地方では、乾いた地方に比べて皮膚に寒さが作用する時間が長く、しもやけが起こりやすくなります。

 予防として血液循環をよくすることが第一です。

 手足のマッサージを毎日することが大切です。日中でも機会があるごとによくマッサージをしましょう。


皮膚のおもな病気 つづき


◎熱傷(やけど) つづき

 やけどの深さは、1〜3度に分けられます。

第1度

 表皮のやけどで、皮膚が赤くなり(紅班)、軽いむくみ(浮腫)がでて、ひりひりとした痛みがあります。

第2度

 表皮の下の真皮にまで及んだやけどで、赤くなって水泡ができます。神経が刺激されて痛みの強いのが一般的です。

 第2度熱傷は、さらに浅層熱傷と深層熱傷に分けられます。浅層熱傷は水疱のしたが赤くなっていますが、深層熱傷では白くなっています。深層熱傷になると、傷の治りが遅く、治ってもあとが残ってしまうことが多いものです。

第3度

 やけどによる皮膚障害が皮下脂肪まで及んだものです。真皮の血管や神経も壊れてしまいますので、皮膚は白色、黄白色となり、痛みも感じなくなります。しばらくすると壊死におちいった組織が取れて潰瘍ができます。なかなか治りにくく、治ってもあとが残ります。

 やけどの重症度、深さと面積で治療方法が異なりますが、部分的なやけどの応急処置としては、まず冷やすことです。水道水のような流水で30分から一時間くらい冷やしてから、病院を受診するようにしましょう。部分的なやけどでは感染をふぐため、消毒、抗生物質の軟膏塗布、さらには内服をして経過を診ます。浅いやけどでは数日から二週間以内にあとを残さず治ります。深いやけどは2〜3週間しても治りません。感染防止や壊死組織を除く治療を続けるか、場合によっては植皮手術をすることもあります。

 2度熱傷で体表面積の10パーセント以上、30パーセント以上を占めるときは、それぞれ中等症、重症、3度では3パーセント以上、10パーセント以上をそれぞれ中等症、重症とします。入院などのきちんとした治療が必要となります。特に3度の広範囲重症熱症は生命の危険性も大きいので、ただちに熱傷治療設備のある病院に運ぶ必要があります。

 また乳幼児は大人と比べて、熱傷面積が広くなくても、感染をおこしやすく、全身状態が悪くなりがちです。


皮膚のおもな病気 つづき


◎熱傷(やけど)

 いわゆるやけどです。やけどは皮膚に高温が作用して起こりますが、温度が高く、全身に及ぶと死亡することもまれではありません。浅いやけどではきれいに治ってあとを残しませんが、深いやけどでは瘢痕(ひきつれ)やケロイドになることがあります。

 やけどの浅い、深い、つまり皮膚の重症度は、温度とその接触時間で決まります。高温でも瞬間的接触であれば、意外に浅くてすみますが、湯たんぽのように低温でも長い時間接触しているときには、深いやけどになってしまいます。

 やけどを起こす原因は数多くあります。その中ではやはり、家庭で熱湯をかけたり、味噌汁、コーヒーやお茶のこぼしたりといったものが多いようです。てんぷらの油を浴びたり、ストーブやアイロンなどの接触もよくあります。花火をしているときの事故もあります。

 重症になることが多いのは、火災によるものです。

 やけどの重症度は、その深さと面積で決まります。手のひらの面積が体の表面積の全体の1%にそうとうするので、それを目安に面積を出すことが出来ます。また、九の法則といって、体の各部分が九%相当の面積を占めることを利用した方法もあります。この方法は大人用で、乳幼児では頭、顔の面積が大きいので補正が必要です。


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◎帯状疱疹(帯状ヘルペス)

 はじめは、頭痛、腰痛、そのほか神経痛のような痛み、だるい感じがあります。それに続いて、痛みのある皮膚に、米半粒大ぐらいの赤い発疹が五、六個ずつむらがってでき、それが全体としては線状、または帯状に並んできます。だんだん、小さな水ぶくれが目立ってきます。

 一つ一つの水ぶくれの内容は、はじめは透明で、そのまわりの皮膚が赤くなっているのが特徴です。だんだん内容はにごり、中には出血しているものもありますが、水ぶくれの中心部が黒くなって、凹んでいくのが特徴です。また、ほとんど片方だけにできます。

 原因として子供のとき水疱瘡にかかるとウイルスが体内に潜伏します。ちょっとした体調不良や免疫が落ちると、この潜伏ウイルスが活性化して、増殖し、皮膚の表面に出てきたものが帯状疱疹です。多くの場合は、三週間ぐらいでよくなります。二度これにかかることは、まずありません。

 治療上注意しなければならないのは、目のまわり、つまり三叉神経痛の領域に一致する部位にできるものに、眼球病変を起こすことがあることです。高齢者では後に長く神経痛が残ることがあります。この帯状疱疹後神経痛を残さないためには、できるだけ早期に治療を始めることが必要です。


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◎掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

 手のひらや足の裏に膿疱が出現して慢性の経過をとり、再発を繰り返して治りにくい病気です。かゆみを伴い、手のひらでは母指球、小指球部に多く、指腹にもできます。足の裏では土踏まずにできることが多く、たまに足裏とともに側縁にもできます。これは手のひら部にもいえます。局面を作っていて、境界が比較的鮮明で、乾燥してくると角化増殖、はがれ落ちが目立ちます。

 一般に全身症状はありませんが、時に発熱、関節炎、腹痛を伴うことがあり、本症と関係して、胸肋鎖骨間骨化症をしばしばおこすことが特異の所見としてあげられています。半数ぐらいに爪の変化を見ます。

 慢性の経過をとって難治であるのが特徴で、手のひら、足の裏に繰り返して膿疱を生じるのをみたら、本症を考えるべきです。

 原因はよくわかっていませんが、外国では、乾癬の一型と考える事があるようですが、日本では扁桃炎、歯ぐきなどの病巣感染と考える人が多いようです。みずむしと似ていますが、膿疱かた白癬菌、細菌などは証明されていません。比較的に多い病気です。

 治療では、病巣感染があるときは、その除去が第一です。副腎皮質ステロイド軟こうの外用も効果があります。非ステロイド系消炎薬、抗ヒスタミン薬、抗生物質などを用います。


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◎神経皮膚炎

 中年女性の首、特に首の後ろ(うなじ)によくできます。皮膚が灰白色をおび、きめが粗くなって厚くなります。楕円形もしくは帯状の発疹で、たむしと間違えられたりすることもあります。

 かゆみが非常に強いのが特徴で、また気がまぎれていると、かゆみが気にならないといったことがあります。

 治療法には副腎皮質ステロイド軟こうの外用。かゆみを抑えるために抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服があります。

◎中毒性の皮膚病

 食物、薬など、外から体内に入ったもののほかに、体内で発生した毒素(たとえば、内臓病変、月経、妊娠に伴ってできたもの)によって起こってくる内因性の皮膚の病気を総称して、中毒疹と呼んでいます。

 このうち、薬によるものは、薬疹で、ほとんどすべての薬品がその原因になるといっても過言ではありません。特に解熱約、抗てんかん薬、睡眠薬をはじめ、ペニシリンやそのほかの抗生物質、血圧降下薬、向精神薬、脳代謝改善薬や循環器用薬によるものが多くみられます。近年、高齢者を中心に多種の薬剤を内服している人が多く、薬疹の頻度が高まっています。薬を飲み始めてから1〜2週間、あるいは1〜3ヶ月、時には半年、一年くらい経ってから薬疹が出ることがあります。

 薬疹は湿疹や、水疱やじんましんなど、いろいろな皮膚病変を示します。したがって、発疹の形よりもむしろ薬を飲んでいるかどうか(薬剤歴)、薬を飲み始めてどれくらいして皮膚症状がでてきたかが薬疹を考える際に重要になってきます。

 中毒疹の誘因としては、腎臓、肝臓、胃腸の障害があり、月経前一週間は、他の時期よりも起こりやすく、食中毒では、腹痛、下痢、または便秘を伴っています。

 特定の原因に決まった発疹の形があるわけではなく、その形は色々です。一般にかゆみが強く、左右対称性にあらわれるのが特徴です。アレルギーが原因と考えられるものもあります。

 治療では、薬、食物、そのほかの原因がはっきりしているものでは、それを避けます。一度中毒を起こしたもの、ことに薬では、これを二度ととらないようにします。中毒疹は、繰り返すごとに悪化するものです。
 
 同時に、体の中に残っている毒素を早く体外に排出し、または無毒にします。ブドウ糖、ビタミンC、抗中毒・アレルギー治療薬の静脈注射が効果があります。

 肝臓、胃腸、腎臓の障害があるときには、これを改善します。

 範囲が広く急性症状が強いものには、副腎皮質ステロイド薬の内服が用いられます。

 外用療法は疹型に応じておこなわれます。


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◎皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)

 皮膚に発疹を認めないが、激しい皮膚のかゆみを訴えるものを、一般に皮膚掻痒症と呼ばれます。

 皮膚掻痒症は高齢者で皮膚がかゆくなる、全身がかゆくなる、体の一部がかゆくなる、の三つのタイプに分けられます。

 老人性皮膚掻痒症は、皮膚が乾燥するために起こり、足、腰、腹部がかゆくなることが多くなります。

 乾性野皮膚を持っている、さめはだの人にも同じ様におこります。冬に目立ち、あたたかくなると軽快します。

 全身がかゆくなるタイプは全身病の人にその前駆症状としておこる事があります。白血病、悪性リンパ腫、ガン、糖尿病、腎臓病、腎不全、甲状腺の病気、痛風などのときです。一般のかゆみ止めが効かないのが特徴です。

 また、体の一部分だけがかゆくなるものがあります。女子陰部の陰部掻痒症、肛門周囲の肛門掻痒症などです。限局性皮膚掻痒症のうちで、陰部掻痒症の原因としては、内分泌腺(特に卵巣)障害、月経、妊娠、更年期に併発してくるものの他、トリコモナス、子宮内膜炎、卵管炎など、婦人科疾患があげられます。

 治療では、かゆみ止めの内服、老人性皮膚掻痒症のように乾燥した皮膚の上に起こったものには、尿素軟膏やヘパリン類似物質を含んだ軟膏の外用、ビタミンAクリームも有効です。

 感染を併発していない限局性皮膚掻痒症には、副腎皮質ステロイド軟こうが有効です。


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◎じんましん

 ちょうど、虫に刺された後のように、淡紅色の浮腫性の発疹ができるものです。かゆく、引っかくと、そのすじに沿って皮膚が赤くはれてきます。ここの発疹は30分から2〜3時間で消えますが、いっぽう、次々に新しいものができてなかなか治りません。

 皮膚末梢の毛細血管透過性の亢進が発疹の原因です。それを誘発する物質(化学伝達物質)の多くは肥満細胞からでるヒスタミンで、かゆみの原因となります。

 かゆみを生じる物質の直接刺激ではなく、抗原抗体反応(アレルギー反応)によってじんましんの出てくることもあります。これは、ある原因物質(抗原)が一度体内に入ると抗体が産生され、再び同じ物質、あるいは似た物質が体内に入ると、これを排除しようとして抗原抗体反応がおこります。この結果、(ヒスタミン、アセチルコリン、セロトニン)が産生されて、じんましんが起こるのです。

 抗原としては、食物(魚介、肉、生乳、卵など)、薬剤(ペニシリン、ピリンなど)、ほこり、香料など、なんでも抗原になりえます。圧迫、摩擦、温熱、ストレスも原因になります。

 治療としては、抗ヒスタミン薬、あるいは抗アレルギー薬の内服となります。また原因がわかれば除くことが大切です。抗アレルギー薬は肥満細胞でのヒスタミン産生も抑えますが、抗ヒスタミン薬は産生されたヒスタミンの作用を抑えます。治療中断で再発することもありますが、根気よく治療しましょう。

 重症のときは副腎皮質ステロイド薬の内服が使われるときもあります。


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○成人型アトピー性皮膚炎

 成人のアトピー性皮膚炎は小児期から続いて起こることも、いったん小児期のアトピー性皮膚炎が良くなった後、再発する形で起こることも、又それまでははっきりしたアトピー性皮膚炎の症状がなくて起こってくることもあります。

 成人型の特徴は額などの顔、首、前胸といった目立つ部位が赤く、あるいは赤黒くなって、強いかゆみも出てくることです。手のあれが目立つこともあります。成人のアトピー性皮膚炎は治りにくく、長期間の治療が必要です。かゆみをおさえることや社会生活を円滑に送るための対策としての治療が大切です。

 アトピー性皮膚炎は遺伝的な体質が関係する病気で、この体質をアトピー体質といいます。両親の家系にぜんそく、花粉症、じんましんなどのアレルギー性疾患をもっている人によくみられます。患者自身も、同時にぜんそくをもっていることがあります。そのときは、ぜんそくが出ると湿疹が治り、逆にぜんそくがよくなると湿疹が出るということもみられます。

 アトピー性皮膚炎の原因はよくわかっていません。アトピー素因という遺伝的体質が関連していることは間違いありません。

 アレルギーの原因を食物、例えば卵白、母乳、牛乳、とする考え方もありますが、これらを食べても必ずしも悪化しません。アトピー性皮膚炎と食物との間には一定の関係はありません。ここの場合について、細かい注意を払うことが大切で、一律に食事制限をして、発育を妨げ、かえって湿疹を治りにくくしていることも少なくありません。つまり、食べさせてみて、それで湿疹が悪くなったと考えたとき、初めてそれをやめればいいということになります。

 かゆいためによくかきますが、このかくことをやめるだけでアトピー性皮膚炎はかなりよくなります。

 アトピー性皮膚炎が治りにくいのは、自宅療法のために治療が不適当であることが少なくありません。
 
 また、アトピー性皮膚炎は、治療でよくなっても再発しやすく、そのとき、適切な治療ができるようにするためにも、一度医師に色々注意を聞いておくことも大切です。

 治療上一番大切なのは、まず、かゆみをとめることです。というのは、かゆい子供は無意識にひっかいて、症状を悪化させるだけでなく、細菌感染を併発してしまいます。しかも、眠りが妨げられ、子供を神経質にする恐れがあります。事実、それまで治らなかったものが、適切なかゆみどめ(抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬)などで、目に見えてよくなることが多いからです。

 皮膚炎を抑えるためにはまずこう薬療法をおこなうことです。副腎皮質ステロイド軟こうの外用は効果があります。現在色々な種類の副腎皮質ステロイド軟こうがありますが、皮膚の症状に応じて使い分けが必要です。


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◎アトピー性皮膚炎

○小児のアトピー性皮膚炎

 小児でも、乳幼児と幼少児で皮膚炎症状が違います。

 乳幼児では、ジクジクすることも良くあります。頭では黄白色の厚いふけのようなものが見られます。時に、くび、胸から全身に広がります。体の皮膚の乾燥感をみることもあります。かゆみがあります。乳幼児期に自然に治ってしまう場合と、そのあと幼小児期の型に移行する場合があります。

 幼小児期のアトピー性皮膚炎は、乳幼児期から引き続いておこる場合と、乳幼児期の症状がおさまった後しばらくして出てくる場合があります。一部はブツブツ、ジメジメしますが、全体としては乾燥した皮膚炎です。

 全身の皮膚も乾燥気味で、少しザラザラした感じになることもあります。ひじやひざの裏、手、足などに皮膚が厚くなって表面が粗くなった状態がおこります。幼小児期には耳切れを起こすこともあります。かゆみが強く、引っかき傷をつくることもしばしばです。成長につれてよくなることが多いのですが、一部の人は成人型アトピー性皮膚炎に移行します。


皮膚のおもな病気 つづき


◎皮脂欠乏性皮膚炎

 皮膚の脂肪分泌や発汗が低下した高齢者の下肢、腕などに、冬になると起こってくる湿疹です。皮膚が乾燥してかさかさしているところは衣類などの刺激でできてくると考えられています。

 乾燥した皮膚の一部が赤くなって、浅いきれつがみられます。貨幣状湿疹が出てくることもあります。春になると自然に良くなってしまいます。

◎脂漏性湿疹

 えんどう豆大からソラマメ大の、わりあい境界がはっきりした紅色発疹で、黄色みを帯びるとともに、表面はこなを降りかけたようになります。
 
 かゆみがありますが、それほど強くはありません、脂漏部位といって、顔面、頭、わきの下、外陰部などの脂肪が多量に分泌される部位にできる湿疹です。

 原因は、脂漏性(脂肪分泌量の多い)体質のうえに、でんぷう菌というカビの一種が増えるためといわれています。

 幼時にもこれが起こりますが、2〜3ヶ月目に全身に広がって、皮膚が赤くなり、おおきな葉状の落屑(皮膚の表層が大小の角質片となってはげ落ちること)をみることがあります。

 治療では、脂肪分の多いものをとることをやめて、便通をよくします。外用薬として、副腎皮質ステロイド軟こうや抗真菌(カビ)薬の軟膏が効果があります。


皮膚のおもな病気 つづき


◎貨幣状湿疹

腕、下肢、腰や臀部にばらばらと出てくるコイン状のジクジクシタ湿疹で

す。かゆみが強く、かさぶたを作ってきます。治ったあとも色素沈着が長

く残ります。

 アトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性皮膚炎のある人によく見られます。原因

は細菌感染後のアレルギーと考えられています。

 全身に、ジメジメしたブツブツ(漿液性丘疹)が出てくることがありま

す。これは自家感作性皮膚炎と呼ばれるもので、貨幣状湿疹に良く伴いま

す。

 治療では、抗生物質の入った副腎皮質ステロイド薬の外用と抗アレルギ

ー薬の内服薬が使われます。自家感作性皮膚炎を起こしている場合は、副

腎皮質ステロイド薬を短期間内服することもあります。

◎自家感作性皮膚炎

 貨幣状湿疹、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎などの湿疹症状の悪化とと

もに、全身に赤い、あるいはジメジメしたブツブツ、小さな水疱などが出

てきます。かゆみがあり、ときに、体がだるくなることもあります。

 もともとの湿疹、皮膚炎の治療を行うとともに、副腎皮質ステロイド軟

こうの外用や、抗アレルギー薬の内服が行われます。副腎皮質ステロイド

薬の短期間内服することもあります。


皮膚のおもな病気 つづき


◎手の湿疹

 手の甲あるいは指の皮膚にできる湿疹です。色々な形があり、女性だけでなく、男性にもできます。

 症状としては、手の甲の皮膚に、まるいジメジメした局面を作ってくる貨幣状湿疹の型のものがあります。指の間から手の甲にかけて、赤くなってかゆいものがあります。指の側面が赤くなって、小さな水ぶくれがいっぱい並んでいるものもあります。

 原因としては中性洗剤などがあげられています。これで油が良く落ちるように、皮膚表面の脂も落ちてしまい、皮膚の表面はかさかさして荒れてきます。

 そのため、刺激を受けやすく、湿疹が起こってくるわけです。このとき、水仕事をやめると、簡単によくなります。アトピー素因のある女性に良くできます。水仕事中の水の汚れも湿疹の原因になっています。

 副腎皮質ステロイド軟こう、保湿クリームの外用薬が使われます。予防として、水仕事をしたあとに、手の手入れを入念にすることです。水道水などできれいに洗剤を落とす。そのあと、やわらかく乾いたタオルできれいにふき取って乾かす。そのあとにハンドクリームを丁寧にすり込んでおく。ゴム手袋を水仕事中に使うことも大きな予防になりますね。


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◎接触性皮膚炎(かぶれ)

 外側からの刺激が直接皮膚にはたらいて、その部分に限って起こる湿疹

性の病変です。接触部位に一致して赤く腫れ、ブツブツが出てきます。又

、丘疹が小水疱となって破れ、ジメジメして、ほてる感じのすることもあ

ります。炎症が強いと赤くなった部分が全体にはれてくることもあります

。慢性の、かぶれ、では、皮膚が厚く、かたくなるとともに、表面が粗く

なります。

 原因としては、酸、アルカリ、その他の毒物の接触のように、ただ一度

でも刺激がはたらいて、その直後にあらわれる(毒性、一次刺激性)物と

、何回か繰り返して刺激がはたらいているうちに起こるもの(アレルギー

性)とがあります。

 毒性、一次刺激性の、かぶれ、は、濃度が高かったり、作用時間が長い

と、誰にでも起こるものです。いっぽう、アレルギー性の、かぶれ、は、

低い濃度でもおこり、個人の体質が関係してきます。重金属(ニッケル、

クロムなど)やうるしなど多くの物質がアレルギーを起こします。

 治療としては、副腎皮質ステロイド軟こうの使用が基本です。抗アレル

ギー薬、抗ヒスタミン薬の内服が併用されます。広範囲であったり、炎症

症状が強く、腫れがひどいときは、副腎皮質ステロイド薬の内服がありま

す。

 予防として、かぶれの原因を確かめるパッチテストがおこなわれます。

確認できた原因物質には、接触しないことが予防になります。


◎化粧品のかぶれ(化粧品皮膚炎)

 顔面の黒皮症(顔が黒くなる)や、香水やオーデコロンがついた皮膚に

直接日光がはたらくと、皮膚が黒くなる、ベルロック皮膚炎は、ほとんど

見られなくなりました。しかし、化粧品の使い方を誤って、皮膚炎を起こ

したり、化粧品が毛穴につまって、ニキビになったりすることも良くあり

ます。


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湿疹

症状として急性型と慢性型とがあります。急性型は1かゆみが強く、2皮膚は赤くなってジメジメし、3皮膚の変化はさまざまで、ひとつのうちに多くの発疹型は含まれています。

 つまり、はじめは粟粒ほどの大きさの、小さな水疱を持った丘疹で、これが点状に散在しています。だんだんむらがって、それらが固まってきます。そのまわりには、新しく小さな丘疹ができてきます。引っかくと、皮膚が破れて、ジメジメした皮膚面をつくってきます。このために、湿疹と呼ばれます。さらに、このうえにほこり、細菌、皮膚からはがれてきた老廃物がまじって、かさぶたをつくってきます。

 この急性湿疹のとき、適当な治療がなされないと、だんだん皮膚が厚く、かたくなってきて、表面が粗くなってきます。これが慢性湿疹です。

 原因としては、はっきりわからないことが多いです。

 治療は基本的には副腎皮質ステロイド軟こうの使用が基本です。湿潤していたり、細菌感染が加わっているものに対しては、抗生物質を含むステロイド軟こうが使用されます。

 広範囲のもの、かゆみが強いものでは、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服が併用されます。夜間かゆみが強くなるときは、就寝30分前に抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、あるいはそのほかの睡眠薬が使用されます。


皮膚のおもな病気


湿疹と皮膚炎
 湿疹と皮膚炎は皮膚に炎症を起こしているいる病気で、ほぼ同じ意味の病名です。皮膚が赤くなって、ブツブツがでたり、皮膚表面が粗くなったりします。かゆみの強いのが特徴です。皮膚病の中ではありふれたものです。外来性の刺激、特に接触物質の毒性やアレルギーによって起こるのが接触皮膚炎(かぶれ)です。その他の刺激、生まれつきの体質などによっておこることもあります。しかし原因のはっきりしないことも多く、こういう場合を、湿疹と呼ぶこともあります。
 
 一般に、湿疹とかぶれの違いは。

1かぶれは、外から皮膚に作用したものがわかりますが、湿疹では、外部からの刺激ははっきりしません。

2かぶれでは、外から刺激がはたらいたところだけ、つまり接触した部位の皮膚に一致して境界がはっきりした病変をつくります。いっぽう、湿疹ではそれがはっきりしません。

3かぶれは湿疹に比べて、炎症症状が強く、赤みもはれもひどく、水疱をつくることもあります。自覚的にも、ほてる感じ(痛がゆい)があります。湿疹ではこれがなく、かゆみが強いものです。

 この区別を知っておくと、こう薬療法中に、こう薬でかぶれたかどうかを知ることができます。つまり、ほてりがだんだん加わってきたら、こう薬かぶれの可能性があります。

 湿疹、皮膚炎に含まれる皮膚病として、湿疹、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、手の湿疹、皮脂欠乏性皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎などがあります。

日時:2011年12月25日 09:46
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皮膚の病気 かゆみ つづき


治療の仕方

かゆみをとめる薬は止痒やく(しようやく)と呼ばれています。

■内服療法
 
・副腎皮質ステロイド薬
 アレルギー症状や炎症症状が強いときに使われます、副作用に十分注意する必要があります。

・抗ヒスタミン薬
 かゆみを起こす原因であるヒスタミンを抑える薬です。

 神経質で、いらいらしていて、かゆみが強いときは、精神安定作用が強い抗ヒスタミン薬が効きます。

・抗アレルギー薬
 内服薬ですが、ヒスタミンなどのかゆみの元になる物質が細胞から出てこないようにする薬です。一般に抗ヒスタミン薬より、アレルギー症状を抑え、かゆみを止める働きが強いといわれています。

・精神安定薬
 かゆみをとめるのに使われていますが、おもに心因性のかゆみが現れている人に使われます。ただ、自分でで勝手に使わないほうが良い薬です。

 他に、古くから使われているものに、カルシウムがあります。これは神経を鎮めるとともに、血管壁を丈夫にして皮膚の腫れをひかせ、かゆみをとめてくれます。

■こう薬療法

 こう薬の中にかゆみ止めが含まれている物を使います。

 ただし、皮膚の一部に限局しているものに使われるのであって、広範囲の全身に広がっているものでは、必ず内服療法を併用することが必要となるでしょう。

■光線療法

 人工太陽灯照明が一時的にかゆみをとめることがあります。人工太陽灯に用いられる光線は長波長の紫外線で、アトピー性皮膚炎や乾癬の治療に効果があります。


皮膚の病気 つづき


かゆみ

かゆみは皮膚病の特徴のひとつです。かゆみを伴う皮膚病は少なくありません。

◎かゆみの原因

 かゆみの原因となるものには色々あります。皮膚の摩擦、圧迫、温度の変化などの物理的な刺激でもおこってきますが、何か毒物が皮膚の中に入ってはじめて起こるものもあります。こういったかゆみをおこすものは、起痒物質(きようぶしつ)と呼ばれています。

 例えば、じんましんはアレルギーであるといわれています。このときは、ヒスタミンと呼ばれる有害なアミンが出てきています。そこで、ヒスタミンのはたらきを抑える抗ヒスタミン薬により、この毒素のはたらきがなくなるので、かゆみが止まるわけです。
 
 かゆみと痛みとは同じ感覚です。ただ、痛覚神経の末端に働く刺激が強いと、それを痛みと感じ、弱い刺激だとかゆみになってくるというように、刺激の強弱で二つに分かれてくるものです。例えば、毒素の強い蜂に刺されると痛くて、蚊にさされたときのように弱い毒素では、かゆみになってきます。もちろん、その中間の感覚が現れることもあります。そのときは、私たちは痛がゆいという表現をしているわけです。

■かゆみの色々

 かゆみがあるとき、それが自然に強くなったり、弱くなったりすることがあります。一般に寝床に入ると、かゆみは強くなる傾向があります。温まって皮膚が充血してくるからです。同じことは、お酒を飲んだ後でも起こります。痒いときの飲酒はできるだけ控えることです。

 いらいらしたり、緊張すると、かゆみが強くなりますが、逆に仕事に夢中になっている間は、かゆみをすっかり忘れているということもあります。かゆみは精神状態に支配されます。そこで、精神を落ち着かせるだけでも、かゆみは軽くなります。

 また、神経質な人ほどかゆみを強く感じますし、のんきな人ではそれほど感じないのも、こういうことがあるからです。

日時:2011年12月22日 13:45
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皮膚の病気 つづき


発疹の種類

 皮膚にでき、目で見て、手で触ることのできる病変を発疹と呼び、色々なものがあります。

■紅班
 皮膚と同じ高さの赤い斑点で、境界がはっきりしています。皮膚毛細血管の拡張によるもので、圧迫すると赤みが消えます。全身の皮膚が赤くなった状態は、紅皮症と呼びます。

■丘疹
 皮膚面から少し高まったもので、多くは赤みをおびています。丘疹の頂点に小さな水泡をもっているものは、湿疹に固有のものです。これは、引っかくと表面の皮膚が破れて、水が出て、じめじめしてきます。このため湿疹という名があるわけです。虫に指された後のように膨らんでいるものは膨疹といいます。じんましんに特有の発疹です。

■水泡(水ぶくれ)
 透明な液体が皮膚にたまったものです。これがにごって黄色になり、うみをもつと、のう胞といわれ、とびひの発疹です。

■かさぶた
 水泡やのう胞が破れると、皮膚のはがれたものが外のほこりと一緒になって内容の液体とまみれ、厚く固まったものを作ります。これらがかさぶたです。ちがまじっているとけつか、うみがまじってきいろいかさぶたをつくるとのうかといいます。

■きれつ(ひび、あかぎれ)
 皮膚にできる線のように細い裂け目で、ほとんどは角質から表皮にできますが、時に真皮におよぶ深いものもあります。乾燥や炎症によって起こります。手足、特に手の指、足の裏によくできます。

■びらん(ただれ)
 表皮の一部がはがれ(たとえば靴ずれのように)、また水疱、のう胞が破れて、鮮紅色のただれた皮膚面をむき出しにしている状態です。これは、表皮だけがはがれてできるので、治ればあとを残しません。

■潰瘍
 深く真皮や皮下組織に及ぶ皮膚の欠損で、治ったのちにあとを残します。

■結節・腫瘤(こぶ)
 皮膚が盛り上がり、かたまりを作った状態で、結節より大きいと腫瘤と呼びます。皮膚腫瘍の多くは、結節や腫瘤を形成します。
 皮膚病では、ひとつの病気の発疹は一種類とは限らず、どうじに二種類以上の発疹を持っているものが少なくありません。また、例えば水疱→のう胞、水疱→びらん→かさぶたといったように、ひとつの発疹からだんだん他の発疹に移り変わっていって、同時にいくつかの発疹が混じっていることも良くあります。

日時:2011年12月21日 11:21
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皮膚の病気 つづき


■保湿のための外用薬

1 ビタミンA軟膏
 ビタミンAを含んでいるもので、これにビタミンD、Eを配合しているものもあります。乾燥してかさかさした脂気のない皮膚、あるいは角層が厚くなっている皮膚の治療に用いられます。手や顔のあれる人は常用すると良いでしょう。

2 尿素軟膏 
 尿素を含む軟膏で皮膚の一番外にある角質の水分保持を高め、角質をやわらかくしてはがれやすくする作用があります。乾燥した皮膚をしっとりさせたり、する治療に使われます。

3 ヘパリン類似物質含有軟膏
 皮質欠乏性の乾燥皮膚に最近良く用いられています。

■光線療法

 日光光線のうち、波長の長い赤外線は温熱作用、中間の可視光は視覚作用、短い紫外線は種種の物理化学作用をもっています。

1 日光療法
 単純の日光浴でも健康保持に有効ですし、ビタミンD合成にも役立ちます。しかし、過剰の日光浴は紫外線による皮膚障害のもとになります。

2 赤外線療法
 温熱作用により、毛細血管を拡張・充血させます。消炎鎮痛作用、結構改善作用があります。凍傷、しもやけ、下腿の潰瘍などの治療に使われます。

3 紫外線療法
 紫外線の中でも波長の長い長波長紫外線を光増物質であるメトキサレンと併用して広く治療に使われています。乾癬、アトピー性皮膚炎、皮膚の悪性リンパ腫などに、また人工透析をしている人におこる頑固なかゆみにも有効です。

■レーザー治療

 レーザーエネルギーの熱作用で組織を破壊して治療します。メラニン色素を破壊して色を薄くするレーザー、血管を破壊して赤い色をうすくするレーザー、組織を焼いて小さな腫瘍などを破壊するレーザーなど目的に応じた異なるレーザー装置があります。

 老人性色素班などの色素班、単純性血管種やいちご状血管種もレーザー治療が効きます。毛の毛細胞を破壊して脱毛治療にもレーザーが使われています。このようにレーザーは色素性病変の治療や一部では美容目的でも頻繁に使われますが、レーザーの効く病気と効きのよくない病気とがあります。

日時:2011年12月19日 09:41
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皮膚の病気 つづき


◎皮膚病の治療法

 皮膚病の治療には色々な方法があります。皮膚科専門医とよく相談して、病気にあった治療法を選択することが大切です。治療法を大きく分けると、外用療法、内服療法、外科療法、光線療法、レーザー療法、その他の治療法があげられます。外用療法は、皮膚の表面に薬(外用薬)をつけて治す方法で、皮膚病では欠かせない治療法です。

 この中で、こう薬を使うときは、こう薬療法といっています。皮膚病の家庭薬の大部分はこれです。それだけに種類も多いわけです。

 目的によって分けると、1炎症を抑えるもの、2細菌を除き、あるいは予防するもの、3カビ(真菌)、特に白癬、カンジダの治療のためのもの、4皮膚に湿気をもたらし乾燥を予防するもの、5その他に分けられます。

◎炎症を抑えるための外用薬

 炎症を抑えることが多くの皮膚病の治療となります。もちろん炎症の起きる原因、例えば細菌や真菌(カビの一種)の感染を放置したままで炎症を抑えるだけではいけません。しかし原因のよくわからない皮膚の炎症では、とりあえずの治療となります。皮膚病ではかゆみが出ることが多いので、かゆみをとめて、ひっかかないようにして、治りを早くします。これが不十分の時には、かゆみの止めの内服薬を併用します。かゆみの強い皮膚病、湿疹、かぶれ(接触皮膚炎)、じんましん、皮膚掻痒症、滲出性紅班、中毒疹、小児ストロフルスなどに用いられます。

1副腎皮質ステロイド薬の軟膏

 色々の種類のものが販売されています。その効果の強弱によって、上手に使い分けることが必要です。

副作用
いろいろなものがあります。軟膏によるかぶれ(接触皮膚炎)があります。他に皮膚感染症(真菌、細菌、ウイルス感染)、皮膚の毛細血管拡張、口囲皮膚炎、多毛症、ニキビの発生などです。

適応
湿疹、かぶれなど多くの皮膚病に効果があります。この効果を上げるため
、ODT(密封)療法といって、副腎皮質ステロイド軟こうを湿疹の部分に塗り、そのうえからラップなどをかけ、セロハンテープで皮膚に密着させておき、一日一回取り替える方法があります。

2非ステロイド系抗炎症薬の軟膏

 副腎皮質ステロイド薬ではない抗炎症薬の軟膏です。一般に炎症を抑える力は劣りますが、皮膚の感染症を起こすなどの副作用が少ないので、顔の皮膚炎、軽い皮膚の炎症に良く持ちいられます。この軟膏により、かぶれを起こすことがあります。

3免疫抑制薬含有軟膏

 腎臓や心臓の移植のときに使われる免疫を抑える薬を含んだ軟膏が発売されました。アトピー性皮膚炎、特に顔の皮膚病変などに効果があります。副腎皮質ステロイド軟こうとは違った効きかたをします。

日時:2011年12月18日 14:29
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皮膚の病気 つづき


 3皮膚病ではかゆみがでてきて、苦しめます。かゆみは皮膚病の特徴のひとつといってよいかもしれません。このかゆみをうまくコントロールすることが、皮膚病治療のひとつのポイントとなります。

 4皮膚病には、体質(遺伝的要因)と関係があって、治りにくいものがあります。アトピー性皮膚炎、小児フトロフルスなどがこれに相当します。このときは、適当な対処療法(病気の治療というより病気の症状の軽減のための治療」を続けて、自然に治る時期を待つことも大切になってきます。また、ホルモンの影響で皮膚病変が生じ、一定年齢までは治りにくいものもあります。ニキビがその良い例です。また遺伝性疾患の多くは根本的治療は困難です。対処療法を根気よく続ける必要があります。

 5皮膚病は自分の目で病変を見ることができるため、素人療法、をしがちです。しかし、安易な、素人療法、は間違いのもとであり、病気を長引かせたり、悪化させたりすることがしばしば起こりますので注意しましょう。

日時:2011年12月17日 10:50
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皮膚の病気 つづき


◎皮膚病治療の注意

 皮膚病には、がんこで、治りにくいものが少なくありません。湿疹やじんましんをはじめとするありふれた病気にも、この傾向が見られます。そこで、実際に治療に当たって注意しなければならないことを知っておくことも、決して無駄ではないでしょう。

 1まず、可能なかぎり原因をはっきりさせることが大切です。原因がわかれば、それを除く、あるいは避けることで治療することができます。原因の分かる場合の多くは、外からの刺激などで起きているときです。

 原因を知るには、第一に発疹のでる前の生活状況や薬の使用歴、体に接触した可能性のある物質や食事の内容を思い起こすことが大切です。思わぬ外来性の物質が原因になっていることがあります。

 第二に、皮膚病変の発生部位を良く見ることです。外部の刺激がおもな原因のときは、直接刺激を受けた皮膚の場所だけにできます。反対に血流を介して生ずる中毒、アレルギーがおものな原因のものでは、全身に左右対称にあらわれてきます。

 第三に、軟膏療法で一時よくなってもやめるとすぐ再発し、軟膏療法でまた軽快するといったことを繰り返す場合は、一時的な外的因子のみが原因でないと考えられます。

 2皮膚病が治りにくい原因の一つに、外からの色々な刺激があります。アトピー性皮膚炎の患者が夜間就寝中にかゆいために病変皮膚をかいて悪化させてしまうことがあります。外的刺激によって、いつの間にかはじめと違った別の病気に変わり、または新たに別の皮膚病が加わることもあります。例えば、湿疹のようにかゆい皮膚病では、ひっかいているうちに、細菌が感染して、とびひ、を併発することが良くあります。特に夏の小児湿疹ではこれが目立ちます。この事実を知らないで、いつまでも湿疹の治療だけを続けていたのでは、治らないばかりか、かえって、とびひ、がひろがる結果になります。

日時:2011年12月15日 10:01
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皮膚の病気


◎皮膚病の特徴

 皮膚病は皮膚の病的変化です。皮膚は外から見えるために、皮膚の病的変化は昔からよく観察されています。したがって、いろいろな皮膚病が知られています。その中には遺伝性疾患や感染症のようにある程度原因のわかっている病気から、湿疹のようにありふれた病気なのに原因のつかめていないものもあります。また経過によって皮膚病を急性、慢性に分けることもできます。湿疹やじんましんにも、比較的短期間に治ってしまう急性型と、なかなか治らず、再発を繰り返す慢性型があります。皮膚病のかなりのものは慢性に経過し、しつこいものです。

 皮膚病には、湿疹や、ほくろのように、皮膚に限られる病気と、全身の病気の一部として皮膚に病変が生じているもの、内臓病変が直接皮膚に波及して皮膚病変を生じたもの、内臓病変の間接的な影響で皮膚病変が生じたり、悪化したものなどがあります。皮膚は内臓の鏡ということばがあるように、体内の変化に伴って生じた皮膚の変化が、内臓の病気を教えてくれることを示しています。例えば、肥満の人で、ガンジダ症や毛包炎ができると、糖尿病があることが多いのです。
 
 また皮膚は人体が外界と接する臓器ですので、しばしば外的刺激が皮膚病の原因、誘因となることがあります。かぶれ(接触皮膚炎)や、やけど(熱傷」がその例です。

日時:2011年12月14日 10:48
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腰椎・仙骨・骨盤のおもな病気 つづき


◎強直性脊椎炎

 腰や背中やくびの痛みとともに背骨がしだいに動かなくなっていく病気です。10代から20代の男性に多く発症します。背骨や骨盤の関節、ときに手足の関節に慢性炎症が生じ、進行すると背骨は一本の竹のようになり全く動かなくなります(骨性強直)。くびや背中、腰に前に曲がる変形が生じる事もあります。骨盤の関節である仙腸関節のレントゲン変化、腰の動きが制限される、腰や背中の痛み、呼吸時に胸が十分に拡張しないなどの異常により診断されます。

 原因はわかっていませんが、遺伝的な要因に加え細菌感染などが誘因となって免疫異常を生じ、背骨などの靭帯が骨に付着する部分に慢性の炎症が起きることが原因と考えられています。検査ではリウマチ反応は陰性でヒト白血球抗原でB27型が90%にみられます。

 原因が不明なため、根本的な治療法はありませんが一般的にシップ薬や抗リウマチ薬の内服、背骨や関節の変形や強直を防ぐための運動療法、リハビリテーションなどがおこなわれます。

◎二分脊椎

 胎児の発生の過程で背骨の後ろの部分で脊髄をおおっている椎弓に欠損ができる先天奇形です。おおくは腰仙椎に発生します。小さな欠損から大きな欠損までさまざまで、小さな欠損の場合には皮膚や筋肉はほぼ正常で症状はあらわれません。この場合は潜在性二分脊椎と呼ばれますが、腰仙部の脂肪腫や皮膚洞を合併することがあります。

 大きな椎弓欠損では欠損部分から神経組織が神経組織を包んでいる硬膜とともに体外に脱出し、のう状になっています。この場合は顕在性二分脊椎と呼ばれ、のう状の部分を脊髄髄膜瘤と呼びます。ただちに手術で欠損部分をふさぐ必要があります。さまざまな程度の下肢のまひが残るため、装具による足の変形の予防、歩行訓練などのリハビリテーションがおこなわれます。

◎恥骨・坐骨骨折

 恥骨や坐骨の骨折は高齢者がしりもちをついたときにしばしば生じます。特に骨粗しょう症により骨がもろくなっている場合には軽い外傷でも生じます。恥骨だけの骨折や坐骨だけの骨折の場合もありますが、恥骨と坐骨両方の骨折のばあもあります。

 痛みがある場合は安静が必要ですが、ギプス固定などの特別な治療は不要で、可能なら早期から歩いても問題ありません。


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◎急性腰痛症

 腰痛症のうち急性発症するものは短期間のうちに軽快することが多く、急性腰痛症と呼ばれます。ぎっくり腰も急性腰痛症のひとつです。椎間板ヘルニア、脊椎炎などレントゲン検査やMRIで診断できるあきらかな病気は急性腰痛症からは除外されます。

 急性腰痛の場合、骨盤のゆがみや関節のズレが起こっていると、時間がたつにしたがって症状は軽快しますが、なかなか全快しない場合は、関節のずれが残っている場合がほとんどです。

 ぎっくり腰など一週間以内でほぼ全快しない場合は、関節のずれが残っていますので骨盤や背骨のズレが見抜ける整体院で、しっかりとズレをとっておかないとぎっくり腰を再発しやすくなりますし、慢性腰痛へと代わっていく人も多くいます。いずれにせよ症状が出た場合は、歪みをわかりなおかつ歪みを正しい方向に修正できる整体院にいかれることをおすすめします。

◎坐骨神経痛

 腰の病気の多くは、骨の中にある神経根が椎間板や骨に圧迫されたり、筋肉にしばられたり、変性によって化学的刺激を受けたりして腰や脚の痛みを生じます。特に足の痛みでは大腿の後ろから下腿の後ろや外側といった坐骨神経にそった痛みとなることが多く、坐骨神経痛と呼ばれます。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが坐骨神経痛の原因となることが多く、坐骨神経そのものの病気が原因となることはまれです。


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◎腰痛症

 腰痛をきたす病気のうち、腰椎すべり症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍、脊椎炎などレントゲン検査やMRIで診断ができないものは腰椎症と総称されます。悪い姿勢、過労、中腰での無理な作業、運動不足・・・等の誘因がつづいて症状が出現します。急に発症したものでは、数週間のうちに治ることが多く急性腰痛症と呼ばれます。正しい姿勢や動作の指導、腰に負担のかからない作業の仕方や、適度な運動、骨盤のゆがみからでしたら骨盤バンドなどの使用が重要です。急性期の疼痛の強い時期をのぞき、あまり長期にわたり安静を続けるのは良くありません。できるだけ動ける範囲で無理をしないように動くことも大切になってきます。

 また、仕事や家庭の悩みや不満、うつ状態などは腰痛症が長引く原因となります。

 治療的には、骨盤のゆがみや、背骨のゆがみを見て歪みを作っている筋肉をよく緩め、骨格のバランスをとるように施術します。また、骨格のバランスを修正するようなストレッチの指導、骨盤の形状によっては骨盤バンドなどの使用が効果的です。よく骨盤バンドを長期間使用すると筋肉が落ちるという人もいますが、骨盤の骨の上に巻きますから体の運動制限がなくバンドの使用によって筋肉が落ちることはありません(ウエストに巻くコルセットは長期間の使用で筋肉が落ちます)。


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◎腰椎分離症

 腰椎の椎弓の一部に分離ができ、腰痛等の症状が出たものを分離症と呼びます。多くは第四腰椎または第五腰椎にみられます。小中学生の過度のスポーツ活動により、同部の疲労骨折として生じるとされています。レントゲン検査で分離を認めるものの全くの症状のない場合も少なくありません。椎間板の変性が進み椎体が前方にすべると腰椎分離すべり症と呼ばれます。いずれも腰を後ろにそらすと痛みが見られます。腰椎分離すべり症では神経根が圧迫され、腰痛のほかに坐骨神経痛が見られることがあります。

 治療は腰痛症と同様です。小児の分離症では骨融合が期待できることもあります。しばらく運動を休み、コルセットを装着します。

 大人の分離症や分離すべり症で腰痛や坐骨神経痛が強く、歩行障害が続くような場合には、腰椎固定術という手術がおこなわれることもあります。

◎腰椎変性すべり症

 腰の骨の関節や椎間板の加齢的変化が原因で背骨がずれ、腰痛を生じたものを腰椎変性すべり症といいます。中年以降の女性に多くみられ、通常は四番目の腰椎と五番目の腰椎の間ですべり症がみられます。はじめは腰痛だけを訴えることもありますが、足の痛みやしびれ、歩行障害など、腰部脊柱管狭窄症と同様の症状が現れます。すべりの程度は腰を前に曲げると強くなることが多いのですが、症状は逆で腰を後ろに反らすと神経の圧迫が強くなり腰痛や足の痛みが増悪します。

 レントゲン検査ですべりを見ることができますが、神経の圧迫のようすはMRIで調べるとわかることがあります。


腰椎・仙骨・骨盤のおもな病気 つづき


◎腰部脊柱管狭窄症
 
 背骨の中にある脊髄を保護する管を脊柱管と呼びます。指の太さほどの管ですが、もともと細かったり、加齢的変化によりさらに細くなると中の神経組織が圧迫され、痛みや痺れなどの症状が出ます。これが脊柱管狭窄症で腰の骨に起きると腰部脊柱管狭窄症といいます。中年以降の人に多くみられます。腰の骨の中にある神経組織は馬尾または神経根と呼ばれ、変性した椎間板や骨、靭帯などで圧迫されると神経の血流が障害され、腰痛、足のしびれ、痛み(坐骨神経痛)を生じます。特徴的な症状として間欠性は行があります。歩いているとしだいに足のしびれや痛みが強くなり、前かがみになったりしゃがんだりすると症状が軽快するものです。立ったり、腰を後ろにそらしても腰痛や足の症状が悪化します。反対に座ったり腰を前に曲げると症状が軽くなります。MRIにより腰椎の狭窄の有無、程度を知ることができます。

 治療では、日常生活で腰をそらさない、腰回し運動などやストレッチなどの保存療法をおこないますが、下肢のしびれや疼痛が続き不自由が強い場合、足の麻痺や排尿の異常がある場合には手術が必要となることもあります。神経を圧迫している骨や靭帯が取り除かれます。


腰椎・仙骨・骨盤のおもな病気


◎変形性腰椎症

 背骨の加齢的変化により、背骨の辺縁の骨の突出(骨棘)ができたり、背骨の関節が肥大したり、椎間板が変性し突出したりして、腰痛や下肢痛が生じたものが変形性腰椎症です。変形性頸椎症と同様にこのようなレントゲン検査で見られる背骨の変形は中年以降の人にはごくふつうに見られるものであり、通常は病的な意味が無いことが多いです。あくまで腰痛等の症状を伴った場合が治療の対象になります。しかし椎間板ヘルニアや狭窄があきらかな場合には、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断されます。

◎腰椎椎間板ヘルニア

 腰椎の椎間板が後方に脱出し、神経根を圧迫して、腰や足の疼痛やしびれ、まひなどの神経根症状をきたしたものを腰椎椎間板ヘルニアといいます。20代から50代の人に多く見られますが、10代の若い人や高齢者にもしばしば見られます。

 治療では年齢や神経根症状の程度により異なりますが、典型的な若い人のヘルニアでは腰を前に曲げるのが困難な場合が多く、その際に腰痛と片側の坐骨神経痛が増強します。姿勢では腰の前屈、中腰、イスに座ることが痛みのため不自由になりますが、より重症な人では歩行が困難になったり、安静にしていても痛みが強い場合があります。さらに重症な場合には足に高度のまひが生じたり排尿が障害されたりします。高齢者の椎間板ヘルニアでは足の痛みが強く、歩行が障害され、日常生活動作がより強く制限されやすい傾向があります。

 ラセーグテストといって、片足を膝を伸ばした状態でかかとを上に上げていくと、痛みのために動きが制限されるのが特徴です。MRIにより椎間板の局所的な突出がみられます。

 治療では急性期には消炎鎮痛剤や、ブロック注射などで痛みを軽減させることと、痛みを生じる動作を避けるようにします。特に中腰やイスに座るのはできるだけ避けるようにします。車の運転も症状悪化の原因となります。数週間の経過で痛みはしだいに軽減し、2,3ヶ月の間に軽快する事が多いのですが、いつまでも痛みのために生活動作や仕事が制限される場合には手術療法が必要となることがあります。


体幹部のおもな病気 つづき


◎脊椎圧迫骨折

 外傷により脊椎の椎体がつぶれて扁平になったものが脊椎圧迫骨折です。高齢者で骨粗しょう症により骨が弱くなると、布団を持ち上げたり、尻餅をつくだけでも圧迫骨折を生じ、自然に骨折を生じさせることさえあります。骨折は胸椎から腰椎にかけての部分に多く見られます。レントゲン検査で骨折を調べますが、初期にはMRIではじめて圧迫骨折が診断されることもあります。背骨にガンが転移して圧迫骨折を生じる(病的骨折)事もあるので、注意が必要です。

 治療は受傷後はとても痛く、寝返りや起立、歩行が困難なほどです。横向きなどの楽な姿勢で安静を保ち、痛みに対しては鎮静剤を服用します。1〜2週間で疼痛が軽減し、起立歩行が可能となります。

 骨折の程度や経過により、軟性のコルセットや硬性のコルセットをつけます。圧迫骨折の治療と同時に骨粗しょう症の検査も行い、再骨折を防ぐために治療を行います。

 圧迫骨折の治療が遅れ、椎体の後ろの部分が突出するとうしろにある脊髄が圧迫され、両下肢の麻痺を生じることがあります。腰痛や背部痛、足の麻痺が続く場合には手術が必要になることがあります。

◎肋骨骨折

 転倒や転落で胸に強い力が加わると肋骨骨折を生じます。胸の痛みが強く、安静時にも痛みを訴えます。さらに深呼吸やせきに伴って痛みが増強します。ゴルフスイングやせきによっても肋骨骨折を生じることがあります。レントゲン検査で肋骨の骨折を確認することになりますが、胸骨に近い軟骨部や移行部の骨折では骨折を確認できないことがあります。

 治療は、骨折の起こっている箇所にもよりますが、一箇所や二箇所の場合はほとんどそのままで、バストバンドを巻いてシップや痛み止めの服用で、2〜3週間おこないます。肋骨骨折の骨折箇所が複数ある場合など、場合によっては入院治療が必要になることもあります。


体幹部のおもな病気 つづき


◎脊柱側わん症

 背骨が側方にわん曲変形するものを脊柱側わん症と呼びます。思春期の女性に多くみられ、原因が不明のものを特発性側わん症といいます。ほかにも先天的な背骨の変形により側わんをきたす先天性側わん症、まひに伴う側わん症などがあります。

 特発性側わん症では思春期に見られるもののほか、乳幼児期に発症するもの、学童期に発症するもの、思春期に発症するものがありますが、発症時期が早いものの中には変形が進行するものがあり、注意が必要です。

 レントゲン検査で側わんの程度を定期的に計測し、変形の進行の程度を調べます。変形が中程度の場合には装具治療がおこなわれます。原則として終日装着しますが、経過により夜間のみの装着とすることもあります。変形が強い場合には手術で背骨の変形を矯正して固定します。側わん症そのものは背骨の変形ですから、痛みやまひの原因となることはありませんから、軽い場合であれば心配する必要はありません。


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◎脊髄腫瘍

 脊髄の中や周囲に発生する腫瘍は脊髄腫瘍と総称されます。脊髄は背骨の中にある脊柱管という管の中にありますが、この脊柱管の中にできた腫瘍を脊髄腫瘍といいます。脊髄は硬膜という膜に脳脊髄液とともに包まれていますが、硬膜の中にできる腫瘍は硬膜内腫瘍と呼ばれ、これは髄内腫瘍と硬膜内外腫瘍とに分けられます。硬膜の外にできる腫瘍は硬膜外腫瘍と呼ばれます。

 くびや背中や腰と、できる場所により症状は異なりますが、一般にまずくびや背中、腰の痛みが出現し、しだいに手や足の麻痺、歩行障害、排尿障害の疑われる部位のMRIにより診断されます。

 良性の腫瘍が疑われる場合には、腫瘍をすべて取り除く手術がおこなわれます。硬膜外腫瘍では悪性の事もあり、その場合には放射線治療や化学療法を行うこともあります。髄内腫瘍では腫瘍をすべて取り除けないこともある程度あるようです。

◎脊椎腫瘍

 脊髄やその周囲から発生した腫瘍が脊髄腫瘍と呼ばれるのに対し、背骨に発生した腫瘍が脊椎腫瘍です。背骨から発生したものは原発性脊椎腫瘍と呼ばれ、悪性腫瘍が背骨に転位したものは転移性脊椎腫瘍と呼ばれます。

 腫瘍によりその部分の背骨は弱くなり骨折を生じ、痛みの原因となります。頸椎、胸椎、腰椎と腫瘍のできる部位により、頸部痛や背部痛や腰痛を生じます。さらに腫瘍が脊髄の周囲に広がり、脊髄を圧迫すると脊髄まひが進行し、手や足のしびれ、筋力低下、歩行障害などが出てきます。MRIやレントゲン検査、CTなどで診断されます。

◎透析性脊椎症

 腎不全により血液透析を長期間おこなっていると、全身にさまざまな合併症が生じます。心臓疾患、動脈硬化、手根管症候群などの合併症が良く見られますが、大変厄介な背骨の合併症として透析性脊椎症があげられます。

 15〜20年以上透析を続けていると、頸椎や腰椎の椎間板に強い変性が起こったり、靭帯にアミロイドという特殊なタンパクが沈着して厚くなったり、骨が大変弱くなったりして、背骨が変形したり神経が圧迫されます。そして、くびや腰の痛み、手足の麻痺、歩行障害などを生じます。症状は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に似ています。

 治療もこれらの疾患とほぼ同様ですが、痛みが取れなかったり、歩行障害が続く場合には手術が必要になることがあります。十分な合併症対策が必要となります。


体幹部のおもな病気


◎胸部脊髄症

 背骨のうち胸椎の加齢的変化により、背骨の辺縁の骨の突出(骨棘)ができたり、背骨の関節が肥大したり、椎間板が変性し突出したりして、背骨の中にある脊髄が圧迫されて体幹や両足のまひが生じたものが胸部脊髄症です。中年以降に見られ、女性より男性に多く見られます。

 はじめは足がしびれる程度ですが、しだいに歩きにくくなり、足の力が弱くなったり、胴体から下の感覚がにぶくなります。進行すると排尿障害なども発生します。MRIにより胸椎部の脊髄が圧迫されてつぶれているようすが観察されます。

 胸部の脊髄症をきたす病気には脊髄腫瘍、椎間板ヘルニア、脊椎炎、骨粗しょう症に伴う椎体骨折、靭帯骨化症など、他にも色々なものがあります。

 進行すると治りにくい病気なので、両足がしびれたり、あるきにくくなったらすぐに専門医の診察を受けるようにしましょう。

◎胸部椎間板ヘルニア

 胸椎の椎間板ヘルニアによっても胸部の脊髄症をきたします。両足がしびれたり、歩きにくくなり、進行すると高度の歩行障害や下肢の筋力低下や知覚障害、排尿障害をきたすことは胸部脊髄症と同様ですが、しばしば背部痛や胸部痛を伴ったり急性に発症することが多い点が異なります。ヘルニアのある高位以下の体幹の知覚障害、下肢の深部腱反射亢進、上肢の症状がないことより胸髄の異常を疑い、MRIにより診断されます。腰部脊柱管狭窄症でも両足がしびれたり、歩きにくくなりますが、この場合には下肢の深部腱反射は低下したり、消失します。

 治療では、下肢のまひや歩行障害が出始めたら早めに手術がおこなわれます。手術ではヘルニアを切除し背骨の固定術をおこなうのが一般的です。

日時:2011年11月30日 13:54
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頸椎のおもな病気 つづき


◎筋性斜頸

 くびが片方に傾いている状態を斜頸といいます。最も多くみられるのは筋性斜頸です。首の前面を斜めに走っている胸鎖乳突筋という筋肉が生まれたときからかたくつっぱるために起こります。胎児の子宮内での位置が発生に関係し、骨盤位分娩児や難産で多くみられるとされています。

 生まれたばかりの赤ちゃんがいつもいっぽうを向いていて、顔を傾けるのと反対のくびにしこりがあれば、筋性斜頸が疑われます。90%の子供では自然に治ります。毎日、母親や父親が時間のあるときに子供の胸鎖乳突筋を良くマッサージしてあげるのも必要でしょう。しこりが固まってしまうとなかなか自然には治りにくくなってしまいます(筋肉が固まり変性した状態になってしまいます、一度筋肉が変性してしまうとなかなかもとには戻らなくなってしまいます)のでふだんから胸鎖乳突筋をやさしく伸ばしてあげたりまた、片方にだけくびが向かないようにしてあげましょう。

 斜頸がいつまでも治らないと顔や頭の変形をきたすことがあります。二歳を過ぎても斜頸が治らないようなら、手術をして胸鎖乳突筋のツッパリを取り除く必要があります。


頸椎のおもな病気 つづき


◎頸椎捻挫

 追突事故や転倒による頭部打撲などにより頚椎に外力が加わり頸部痛を生じたものが頸椎捻挫で、そのうち特に追突事故による頸椎の過伸展によるものはムチ打ち損傷と呼ばれます。軽い場合には首の筋肉や靭帯、椎間関節の軽度の損傷が疑われますが、重症のものでは神経根や脊髄の部分損傷が疑われるものも含まれます。神経根や脊髄が傷害されると、頸部痛ばかりでなくてや指の痛みやしびれ、筋力低下がみられます。脊髄が傷害された場合にはMRIにより診断されますが、その他のタイプではレントゲン検査やMRIで通常異常はみられません。

 また頸部の交感神経が傷害されるとめまいや耳鳴り、目がかすむなどの症状が現れます。受傷直後は頸部の比較的安静を保ちますが、頸椎カラーの装着は短期間のみとします。長い期間頸椎カラーを使い続けると首周りの筋肉が落ち、よけいに治りが悪くなる場合もあります。

 首の靭帯が交通事故などの外力により伸ばされて捻挫し、当然頸椎も前後などに少しずれた形となります。そのズレを上手に矯正することにより、受傷する前の頸椎のバランスに近く戻せれば戻せるほど後遺症も出なく軽快するでしょう。

◎寝違え

 寝違えは睡眠中に生じた頸椎捻挫と考えられますが、睡眠中によっぽど寝ぞうが悪いというならばその影響でしょうが、睡眠中に交通事故並みの外力が加わるということは無いので、これこそ、ふだんからの体のバランスが悪く、肩周りや、首周りの筋肉が硬くなりひっぱられていっぱいいっぱいのところで睡眠中肩やくびを冷やしたり少し悪い寝ぞうが引きがねとなって寝違えが起こります。

 ほとんどの場合が肩や、くびの筋肉の緊張により胸椎や頸椎が筋肉にひっぱられてズレそれによる痛みがほとんどです。

 治療では、くび、肩周りの筋肉をやさしくほぐし、筋肉にひっぱっられてずれていた骨を矯正してあげるだけでほとんどの場合改善します。それだけではなかなか改善しない場合や、寝違いが一週間以上続く場合などが腰からのバランスの影響が大きくかかわっていますので、骨盤のバランスがおかしくなっている場合が多くなります。骨盤のバランスを見抜き、上手に矯正できれば、くび肩の痛みも改善しやすくなるでしょう。


頸椎のおもな病気 つづき


◎頸椎椎間板ヘルニア

 頸椎の椎間板組織が後方の靭帯(後縦靭帯)を部分的または完全に破って脱出し、脊髄や神経根を圧迫して、首や上肢の疼痛やしびれ、麻痺などの脊髄症状や神経根症状が出たものを頸椎椎間板ヘルニアといいます。中年以降に多く見られますが、頚椎症性脊髄症や頸椎症性神経根症と異なり、二十代や三十代の若い人にもしばしばみられます。

 症状としては頸椎症性脊髄症や頸椎症性神経根症と同様で、くびや肩、腕や手の痛みやしびれ、筋力低下や知覚鈍まがみられます。進行すると字を書くことや箸、ボタンはめなどの手の運動障害や歩行障害といった脊髄症状がみられます。発症は頸椎症にくらべると急激で、痛みもより強いことが多いです。

 診断はMIRによって、ヘルニアの突出により神経が圧迫されているようすが観察され、ときに脊髄の中の変化もとらえることができます。しかしMRIでは症状と関係のない椎間板の突出が高頻度に見られ、診断上注意されるところです。
 
 椎間板の突出があるからといって症状がない場合もあるということです、逆に言えば症状の無い人の頸椎のMRIをとっても高頻度で椎間板の突出があるということになります。よほどヘルニアが突出していての神経的な痛みが生じている場合は頸椎椎間板ヘルニアとなりますが、突出が少なかったりする場合は、頸椎の捻れによる(骨のバランスによる)神経根障害も多く隠れているのかもしれません。

 治療は頚椎症性神経根症と同様に保存的治療が行われ、くびや上肢の痛みを主訴としている神経根症の場合には、多くは保存的治療のみで軽快します。頸椎などにかかわる筋肉の緊張をとり、頚椎のねじれやズレなどを優しく矯正していくだけでも多くの場合軽快します。
 
 しかし、痛みが長期にわたり持続し、生活や仕事の大きな支障になっている場合や手の運動障害や歩行障害などの脊髄症状がみられる場合には、手術療法がおこなわれることもあります。手術は首の前から椎間板ヘルニアを取り出し、その部分の背骨を固定する方法が一般的です。


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◎頸椎症性神経根症

 背骨の加齢的変化により、背骨の辺縁の骨の突出(骨棘)ができたり、背骨の関節が肥大したり、椎間板が変性し突出したりして、神経根が圧迫されて神経根症状をきたしたものを頸椎症性神経根症といいます。中年以降の人にしばしばみられます。神経根は脊髄から分岐した神経の枝で、頸椎では左右八対の神経根が七つの頸椎の左右から各分岐します。圧迫される神経根の高さにより痛みやしびれ、腕や手の筋力低下の部位が異なります。

 症状は頸部痛はほとんどでみられ、肩甲骨周囲、肩から腕に放散する痛みがみられます。腕から手にかけての痛みやしびれはふつう左右どちらかいっぽうに現れます。首を後ろに反らすと痛みが強くなることが多く、首を後側方にそらし頭部に圧迫を加えると肩から腕にかけて痛みが放散する(スパーリングテスト)場合には頸椎症性神経根症が疑われます。

 治療としては、頸椎の筋肉の過緊張と、それに伴う頸椎の捻れや、前後のずれなどをやさしくほぐし矯正をしていきます。それ以外にも、枕をらくな高さに調整したりすることも大事になってきます。多くはこれらの方法で軽快しますが、痛みが長期間続き、生活や仕事の支障になっているばあには、背骨を固定するなどの手術療法がおこなわれます。


頸椎のおもな病気 つづき


◎頸椎症性脊髄症

 頚椎の中にある脊髄を入れている管を脊柱管といいますが、もともと脊柱管が細い人に加齢性変化である頸椎症が生じると、脊髄が圧迫されて脊髄のまひ症状があらわれます。これが頸椎性脊髄症です。壮年から高齢者に多く見られますが、若い人にも見られるときもあります。

 外傷による脊髄まひを除くと日本では脊髄まひの原因で最も頻度が多いのが頸椎症性脊髄症です。

 はじめはくび、肩の痛み、手や指の痺れが見られ、しだいにての細かい運動ができにくくなります。字が書きにくくなったり、箸が使いにくくなります。進行すると歩行障害や排尿障害を伴います。上肢、下肢、体幹の知覚が低下し、触覚や痛覚が低下し、深部腱反射が亢進します。

 診断はMRIが重要で、椎間板や靭帯、背骨により脊髄が圧迫されている様子がわかります。

 治療では首周りの筋肉や頸椎の動きを少しずつつけるような治療と、冷やすと症状が強く出やすい場合もありますので、日常生活では首周りを冷やさないように気おつけましょう。

 脊髄症が進行し上肢の運動障害や歩行障害などの日常生活に大きな支障をきたす場合には手術がおこなわれます。頸椎の後方から脊柱管を拡大したり、脊髄を圧迫している背骨や靭帯を切除して、脊髄の圧迫が取れるような手術がおこなわれます。


頸椎のおもな病気


◎変形性頸椎症

 背骨の加齢的変化により、背骨の辺縁の骨の突出(骨棘)ができたり、背骨の関節が肥大したり、椎間板が変性し突出したりして、さまざまな変形が生じます。この背骨の変形を伴った変化が頚椎に生じ、首、肩、肩甲骨周囲の痛みを伴った場合が変形性頸椎症です。このようなレントゲン写真で見られる背骨の変形は中年以降の人にはごく普通に見られるものであり、通常は病的な意味がないことが多いのです。あくまで頸部痛などの症状を伴った場合が治療の対象とされます。

 中年以降の人に多くみられます。症状としてはくび、肩、肩甲骨周囲の痛みが生じます。首を後ろにそらすと首から肩にかけて痛みが生じ、頸椎の動きが制限されることがあります。

 頸椎の捻れやゆがみによって神経的な圧迫や、筋肉の過緊張が起こり症状が現れやすいので、首まわりの筋肉の硬さと頸椎の歪みをしっかり触診し筋肉はほぐし、頸椎はやさしく矯正するだけでも軽度の症状は消失しやすいでしょう

日時:2011年11月20日 16:40
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足のおもな障害 つづき


◎中足骨疲労骨折

 スポーツ活動や足部に負担の加わる作業などを毎日激しくおこなっている人では、足部の中央にある中足骨という骨に疲労骨折がおこることがあります。疲労骨折は第二、三中足骨似よく見られる現象です。

 治療では運動や作業の軽減が第一で、通常はこれだけで治癒します。病気が進んで完全な骨折になってしまった場合には手術による治療がおこなわれることもあります。

◎強直母指

 足の親指(母指)の付け根の関節の動きが悪いために、歩行の際に母指基底部に痛みが生じる病気です。まれに先天的な要因のために若年者に発生することもありますが、多くは中高齢者で加齢による関節の変化が原因となって生じます。特殊な靴の使用や痛み止めなどがおこなわれます。

◎種子骨障害

 足の親指の付け根の足の裏側には腱のすべりを滑らかにするために種子骨と呼ばれる小さな骨が二個あります。この骨の障害が原因で、母指基部の足底側に痛みが生じたものを種子骨障害と呼びます。この障害は怪我、マラソンなどのスポーツ活動によって起こることが多いのですが、中には原因不明の種子骨内部の細胞の障害(壊死)によるものもあります。


足のおもな障害 つづき


◎足部に生じる骨端症

 骨端症は成長期にみられる骨の障害で、骨のはしにあり骨の成長をつかさどる部分に変化がおこって痛みを生じる病気の総称です。足部では踵の骨、足部中央の舟状骨、足の指の付け根にあたる第二あるいは第三中足骨の先端に生じることがあります。このうち舟状骨、中足骨に生じる骨端症は発見者の名前からそれぞれ第一、第二ケーラー病と呼ばれます。

 踵部骨端症は10歳前後の学童にみられる疾患です。かかとの痛みがおもな症状で、診断にはレントゲン検査がおこなわれます。基本的に経過が良好な病気で、痛みがひどければスポーツ活動の制限などで経過が見られますが、成長が止まるころまでに症状が消えることがほとんどです。

 第一ケーラー病は五、六歳ごろに発生することが多く、歩いたり運動した際の足の内側の痛みがおもな症状で、レントゲン検査により診断されます。たいていの場合は経過は良好で、軽度の運動を避けるようにすることで成長の終了とともに問題なく治癒します。

 第二ケーラー病は10歳前後の女児におこることが多い病気で、歩行やつま先立ちしたときの足の前部の痛みが症状です。前二つの疾患と少し違い、骨の変形が残ったまま成長が終了してしまうことがあり、この場合には後々痛みを引きずる恐れもありますので、このころにしっかりした治療が必要となってきます。


足のおもな障害 つづき


◎足根管症候群

 足の裏(足底)の感覚を伝える神経(後脛骨神経)は足首のところで内くるぶし(内果)の後ろを通りますが、神経の通路はこの部分でもともとかなり狭いため、何かのきっかけで神経がこの部分で圧迫され、足底の痛み、シビレ、触った感じ(知覚)の異常を引き起こすことがあります。このような状態を足根管症候群と呼びます。

◎モートン病

 三番目と四番目の足の指の痛みを症状とする病気で、第三、四足指への神経の障害が原因です。中年女性に多く、きつい靴、ハイヒールを履くことで症状が強くなる傾向があります。
 
 治療としてまず踵の低い、先が広くゆったりした靴を履くようにします。足底板を使ったり、中足骨のずれによる神経の圧迫が原因のことも多くありますので中足骨のずれをみて適正な矯正を何度か繰り返すことと、歩き方の癖なども直すようにすると良いでしょう。


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◎足背部滑液包炎

 足背にはれが生じ、触れると中に液体がたまっているように感じられる場合には滑液包炎の可能性があります。滑液包炎は足部の皮膚のすぐ下にある滑液包と呼ばれる組織に炎症が起こるために生じるもので、ほとんどの場合、内部には血液の混じった浸出液がたまっています。押して痛みがある場合、痛みがそれほどない場合のいずれもあります。

 時間の経過とともに自然になくなることがほとんどです。

◎第五中足骨骨折

 足部を強く内側にひねった場合、外くるぶしのした、足部の一番外側にある第五中足骨と呼ばれる骨の、いちばんうしろの部分が骨折を起こすことがあります。けがのしかたが足首の捻挫と同じなので、足関節の捻挫と間違えられることがありますが、押していちばん痛みのある部位(圧痛点)を丁寧にさぐればわかります。骨折が疑われたときはレントゲン写真により骨折の有無と骨折部のずれの程度を診ることができます。たいていの場合ギプス固定で治りますが、骨折部が大きくずれている場合などは手術療法がおこなわれることもあります。


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◎踵骨骨棘、足底腱膜炎

 いずれも足の裏、特に踵の部分に痛みを生じる病気です。足底腱膜は足の裏にある丈夫なすじで踵の骨に付着していますが、何かのきっかけでこの腱膜自身あるいは踵骨への付着部に炎症がおこることがあり、歩行や運動のときにくるぶしや足の裏の痛みが生じるようになります。長時間歩く人や運動選手などでよくおこりますが、ごく普通の生活をしている人でも時々生じます。

 治療としては、運動量や歩行量を減らす、足に良くあったクッション性の高い靴を履く、足底から下腿後面にかけてのストレッチング、足底板の使用や、シップなどの使用がおこなわれます。

◎踵部滑液包炎

 かかとの骨の後ろあるいはアキレス腱の後ろの部分に痛みが生じる疾患で、痛みは起床後に歩き始めたとき、あるいは長時間歩いたときなどにあらわれます。かたい靴や寝具などによる後方からの踵の圧迫が原因の事もありますが、特別な原因がなくても生じることもあります。

 治療としては、局部に加わる刺激や圧迫をできるだけ取り除くことが大事です。シップや軟膏も用いられますが、症状がなかなか取れない場合には足底板などの私用が良いでしょう。


足のおもな障害 つづき


◎爪周囲炎と陥入爪(そうしゅういえんとかんにゅうそう)

 爪周囲炎(爪囲炎とも)は爪の周囲に細菌感染が起こったもの、陥入爪は巻爪とも呼ばれ爪が横方向に湾曲し、爪の左右のふちが指の組織に食い込んだ状態をいいます。

 爪周囲炎では爪の周囲にはれ、痛み、発赤が生じ、指で押したり靴で圧迫されると強く痛みます。治療は患部の清潔保持と消毒、抗生物質の服用で、炎症を悪化させないことです。

 陥入爪がある人では繰り返して爪部に対する体重の負荷、靴による圧迫が原因で生じたと考えられるので、爪周囲炎を繰り返す場合にはかかとが低く、なるべく先のゆったりした靴を選んで履くようにし、爪部の清潔保持につとめます。また、爪は短く切り過ぎないようにします。このようにしても爪周囲炎を繰り返す場合には、陥入爪を矯正する手術がおこなわれることもあります。陥入爪があっても爪周囲炎を伴わない場合には特に治療の必要がありません。ただし爪の周囲の清潔保持につとめ、また靴の選択に注意してなるべく変形が進まないようにします。

◎うおのめ、たこ(鶏眼)

 皮膚科の疾患ですが、この疾患で整形外科を受診される人も少なくありません。どちらも皮膚角質の異常な増殖が原因で、皮膚の一部が異常にかたくなっているため、体重がかかった際に痛みを覚えるようになります。

 うおのめなどは、液体窒素などでうおのめ自体を低温やけどさせ、やけどをして皮膚が一枚ずつはがれていくような治療法がおこなわれます。うおのめは細菌感染が原因なので、深部までとりきれないと同じところに再発がおこります。

 たこなどは、その人の皮膚の体質などや、歩き方、はいている靴などや、骨盤のバランスが原因で足底に無理な負担がかかって起こりやすくなりますから、そういったところを改善していくことが再発防止にもなるでしょう。


足のおもな障害 つづき


◎通風性関節炎

 足の親指の付け根は痛風発作が最もよくおこる場所です。男性で原因がはっきりしないのにこの部位に急に痛みと発赤が生じた場合には痛風発作を考える必要があります。ふだんの血液検査で尿酸値が高めの人でなおさら痛風の可能性が高まります。痛風は血液中の尿酸という物質が多すぎるために起こる病気です。血液中に溶けきれない尿酸が関節の中に徐々に蓄積されていき、この蓄えられた尿酸が関節炎を引き起こしています。尿酸の蓄積は徐々に進みますが関節炎は急に起こることが特徴で、全く思い当たる原因がないこともあれば軽く母指をひねったなど些細なきっかけによって炎症が生じることもあります。なお痛風発作が女性に起こることは極めてまれです。

 症状は母指基底部の強い痛みで、はれや発赤を伴い細菌感染による蜂か識炎と症状が似ています。痛風発作は鎮痛薬の服用などで症状は数日で軽快しますが、痛風発作をおこした人は再発予防のため血液中の尿酸の濃度をコントロールする薬を継続的に服用する必要があります。

◎糖尿病性足部障害

 糖尿病の患者では足部に潰瘍ができることがあります。これは、糖尿病によって足部の神経や血管が冒されるためです。もともと足部の血流が低下しているため潰瘍は一度できるときわめて治りにくく、範囲が広がる傾向があり、またしばしば細菌感染を伴います。糖尿病による神経症ががある場合には痛みの感覚がにぶくなっているため、創部に知らないうちに体重をかけていることが多く、これも潰瘍が治りにくい原因の一つです。こういった特殊な問題があるので、糖尿病による足部潰瘍は専門の医師による治療が必要です。潰瘍は糖尿病の管理が不良の場合に生じることが多いので、予防が大変重要です。最近では、糖尿病になったら早めのインシュリン投与をすることにより糖尿病が完治することもわかってきました、糖尿病と診断されたら、早めの治療を行いましょう。


足のおもな障害


◎外反母趾

 足の親指の付け根が変形して親指の付け根が内側に突き出すようになり、親指の先は逆に外を向くようになった状態をいいます。最初の変形は親指に起こりますが、変形が進むと他の指にも変形が生じるようになります。この疾患は女性に多く、また遺伝的な要因も関与しているといわれています。

 症状は、おもに突出した親指の付け根内側の痛みです。これは変形によってここが靴で強く圧迫されるようになるためです。ハイヒールなどでつま先を締めつけるような履物や、ペタ足歩きなどが外反母趾の発生を促すことが知られています。ひとたび変形が生じるとなかなか元には戻りにくくなりますから、変形してきたら、歩き方や、指の運動、足底筋などの強化をすることにより外反母趾を治していくことが大切です。

◎偏平足障害

 土踏まずの形成が悪い(土踏まずが低い)と歩行に伴う衝撃を足がうまく受け止めることができず、歩行に伴って足底や足関節内側に痛みが生じることがあります。これを偏平足といいます。

 偏平足障害に対しては、歩く量の制限、靴の工夫、足底板の使用などによる治療が行われます。まれに、先天性の骨の形状の異常が原因である場合には手術がおこなわれることもあります。なお外見上のアーチの形成がはっきりするのは四歳以降ですので、これより小さい子どもでは偏平足の傾向があってもそれほど心配は要りません。

日時:2011年11月 9日 10:51
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足関節部のおもな病気 つづき


◎足関節部のその他の病気

 青少年期にはスポーツ活動の機会が多いこともあり、特有な足関節の障害が生じることがあります。有痛性外脛骨、有痛性三角骨、距骨後突起障害はいずれも生まれつき骨の形状に軽度の異常がある場合で、足関節に過度の負担が加わったために痛みが生じるようになった状態をいいます。

 足関節の外来るぶし(外果)の後方にはひ骨筋腱と呼ばれる腱がありますが、この腱がスポーツ動作などの際に繰り返して脱臼するようになることがあり、腓骨筋腱脱臼と呼ばれます。離断性骨軟骨炎は足関節の下部を形成する距骨という骨の関節面の一部がかけてしまう原因不明の病気です。いずれの病気も症状が強い場合には手術がおこなわれます。

 特別な原因がないのに足関節に急に強い痛みが生じてきた場合には痛風発作が疑われます。痛風発作はほとんどが男性に起こります。また足関節部には関節リウマチ、腫瘍、感染などでも障害が生じることがあります。


足関節部のおもな病気 つづき


◎アキレス腱断裂

 アキレス腱はふくらはぎの筋肉とくるぶしの骨をつなぐ太く丈夫な腱ですが、ジャンプや急に走り出そうとしたときなどこれが突然切れてしまうことがあります。切れた瞬間には後ろからけられたとかうしろからぼーるがあたったような感じがしますが、たいていの場合、痛みはそれほど強くありません。アキレス腱が切れても歩くことはなんとかできますが、つま先立ちはできなくなります。

 治療法には手術をして腱をつなぐ方法、ギプスなどで固定して腱の自然な修復をまつ方法がありますが、どちらの治療法にもそれぞれ長所と短所がありますが、最近ではギプス固定が多くなってきているようです。手術療法もギプス固定も予後はあまり変わらなくなってきているからでしょう。

◎変形性足関節症

 変形性関節症は関節の軟骨がすり減って関節の痛みや動きの制限が生じる疾患です。高齢者に多く、膝関節に生じることが多い病気ですが、足関節の場合、この疾患がおこることは幸いあまり多くはありません。しかし以前に足関節の骨折や繰り返しの捻挫を経験している場合には足関節にも変形性関節症が起こることがあります。
 
 治療は軽症であれば足底板などの装具を試すことから始まりますが、進行した症状であれば手術がおこなわれることもあるでしょう。


足関節部のおもな病気 つづき


◎足関節部の骨折

 足関節、特に内くるぶし(内果)は骨折が良くおこる部位でもあります。足関節の骨折は転倒、スポーツ外傷、交通事故などで捻挫とよく似た状況で起こります。

 足関節の骨折は関節という骨と骨が接して擦れ合うように動く部分におこる骨折であるため、骨折部をきちんと元通りの状態にもどさないとのちに関節の痛みや動きの制限といった障害が起こる可能性があります。このため足関節部の骨折は手術が必要なことが多くなり、骨折部をずれないようにきちんと整復した上で手術用のスクリューなどで固定することになります。

◎足関節外果部滑液包炎

 足関節の外くるぶし(外果)の付近に腫れが生じ、触れると中に液がたまっているように感じられた場合、滑液包炎の可能性があります。滑液包炎は足関節部の皮膚のすぐしたにある滑液包と呼ばれる組織の炎症で、たいていの場合、はれの内部には血液の混じった滲出液がたまっています。押して痛む場合も痛みがほとんどない場合もあります。

 時間の経過とともに自然に軽快することが多い病気です。


足関節部のおもな病気


◎足関節靭帯損傷(捻挫)

 足関節の捻挫は日常よくおこりやすい外傷で、階段や段差などで足首をくじいた場合に起こります。最も多いタイプは足関節を強く内返(内反)したために外くるぶし(外果)付近の靭帯の損傷を生じるタイプ(足関節外側靭帯損傷)で、足関節部の捻挫の八割以上がこのタイプです。外果の周囲には三本のおもな靭帯がありますが、内反捻挫で最も多いのは外くるぶしから斜め下にはしる前距ひ靭帯の損傷です。

 足関節を強くひねったあとで強い痛みが生じた場合には、まず捻挫を疑います。足関節は骨折のおこりやすい場所でもありますが、痛みのある場所を丁寧に探せば、たいていの場合靭帯の損傷と骨折を区別することが可能です。ただし捻挫と症状が良く似た骨折もありますので、そういった場合にはレントゲン検査が必要でしょう。

 足関節の捻挫ははじめの治療が不適切であったり、捻挫を繰り返している場合、関節が慢性的に不安定な状態となることがあります。このような状態になると、足関節の関節軟骨が徐々に傷ついて、長期的に足関節の痛みや動きの制限が生じる可能性があります。このためこのような場合には手術で靭帯の再建をすることがあります。

 治療としては、怪我をした直後は足関節を動かないように固定し、患部を冷却するとともに圧迫を加えて腫れがなるべく起こらないようにします。患部を心臓より高い位置に保っておけば腫れを予防するうえでさらに効果的です。


下腿のおもな病気 つづき


◎その他の病気

 マラソンやジョギングを相当おこなっている人で、運動時に下腿の痛みが現れるようになった場合には疲労骨折を疑う必要があります。また下腿の外側や後面に痛みやシビレ、触った感じが鈍い、異状にしびれる、といった知覚障害を覚える場合には、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの腰部の疾患を疑う必要があります。原因不明の下腿の痛みや腫れがあり、徐々に悪化する場合には腫瘍の発生を疑う必要もでてきます。


下腿のおもな病気


◎下腿三頭筋断裂

 ふくらはぎにある下腿三頭筋には肉離れが良く起こります。肉ばなれは筋肉が、自分自身の強い収縮力やが外から加わった強い力によって部分的に断裂することをいいます。断裂は筋肉全体に起こることはまれで、たいていの場合筋肉の一部のみに起こります。

 肉離れのでは症状のあらわれ方と圧痛(押して痛む場所)が何処にあるのかが診断のポイントとされます。スポーツの最中にふくらはぎに急に傷みがあらわれ、さわってみると筋肉に圧痛があり、じっとしていればそれほどではないが、その筋肉に力を入れようとすると強い痛みが生じるという場合は、肉離れがおこったと考えてまず問題ありません。

 肉離れの治療は受傷直後は、局所の安静、患部の冷却と圧迫が中心になります。肉離れが生じているのに痛みをこらえて無理に歩き回っていると、痛みも強くなるし、回復も遅れがちになります。安静は、単に痛みの問題だけでなく治りを早めるうえでも重要です。このため重症の肉離れではギプスで固定することもあります。

 また受傷後には筋肉の損傷がおこった部位に内出血や組織の腫れが生じます。患部を冷却し、伸縮性のある包帯などで適度に圧迫してやれば腫れや内出血を抑えることができます。痛みが非常に強い場合には、市販の痛み止めの薬の中には内出血の傾向を強めるものもありますので注意が必要です。また受傷直後の長時間の入浴、マッサージは内出血や腫れを強める恐れがあるので、控えましょう。

 肉離れを起こした筋肉は、損傷の程度にもよりますが、けがのあと三週間ほどである程度治ってきます。肉離れを起こした部分は正常な筋肉に比べてもろい組織で治る傾向があり、このために同じ場所で再度肉離れを起こすことが少なくありません。これを防ぐ確実な方法はありませんが、運動中に肉離れだと感じたら早急にまず、圧迫包帯とそのうえからのアイシングをして早めに筋肉内で起きている内出血を止めることが一番治りがよい方法となります。運動する人や、トレーナー、コーチなどもこういった知識をもっておくと治りの悪い肉離れになりにくくなるでしょう。

日時:2011年10月30日 12:39
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膝関節のおもな病気 つづき


◎ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

 ジャンプを繰り返しおこなうことで引き起こされる典型的な使いすぎ症候群です。膝蓋腱の付着部である脛骨粗面(膝下前面の突出部)から腱実質部への繰り返される牽引力による微小断裂の結果といわれています。オスグッド・シュラッター病とは同様なメカニズムで発生する疾患で、年代による発症様式の違いと考えられます。

 治療では運動の質と量の軽減または休止、十分なストレッチ、スポーツ終了後のアイシング、およびストレッチ、膝バンドなど、整体的には、整形外科で見落としている、膝の捻れや、前後のずれ、半月板のずれ、大腿四頭筋の付着部(骨盤)のずれによる筋肉の緊張など・・・。
 
 そういったところを丹念に見ていくと、整形外科では見ていませんから、ほとんどの場合そういった病態を整体的に治療することにより、ふだんのトレーニングもおこないやすくなります。

◎ベーカー嚢腫

 膝関節の後方にあり、膝関節と交通がある膝か嚢包というふくろに関節液が貯留したもので、変形性関節症やリウマチが基礎にある場合に起こります。
 
 病状は膝屈曲の制限とこわばり感があり、治療は穿刺廃液をおこなう場合がほとんどですが、再発を繰り返すことが多く、場合によっては手術で嚢包全体を切除されることもあります。


膝関節のおもな病気 つづき


◎ランナーひざ(ランナーズニー)

 これは単一の病体についての名称ではなく、ランニングを主たるスポーツ活動とするスポーツマンの膝痛に対する不特定の用語と定義され、診断のつかない膝痛、変形性膝関節症、腸脛靭帯炎、オスグッド・シュラッター病、膝蓋腱炎、鵞足炎など多岐にわたる疾患が含まれる、いわゆる使いすぎ症候群の総称です。

 治療としては、ランニング量の軽減、入念なコンディショニング、走路やシュウーズの検討また、下肢の形態や走り方に原因が考えられるばあには、足底挿板の使用やフォームの矯正などが必要です。その裏に疾患や外傷が隠れている場合もあります、決定的な疾患がない場合には医療機関での治療による治癒を期待することは難しく、長期にわたりランナー本人が向き合っていかなけらばならない病態といえますが、整体的には、整形外科で見落としている、膝の捻れや、前後のずれ、半月板のずれ、大腿四頭筋の付着部(骨盤)のずれによる筋肉の緊張など・・・。
 
 そういったところを丹念に見ていくと、整形外科では見ていませんから、ほとんどの場合そういった病態を整体的に治療することにより、ふだんのトレーニングもおこないやすくなります。


膝関節のおもな病気 つづき


◎半月板損傷

 半月板は膝関節内の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨性のクッションで、若年者ではスポーツによる損傷が、中高年では変性断裂(年齢による劣化)がおもです。ACL損傷(前十字靭帯損傷)を放置した場合には、内側半月の断裂が二次的に起こることが良くあります。

 症状は半月損傷の部位に一致した痛み、引っかかり感があり、損傷が大きな場合には損傷半月が反転して引っかかり、膝の伸展障害が出ることがあります。

 疼痛や機能障害の程度により、筋力強化による保存療法または関節鏡手術による半月板の切除や縫合がおこなわれます。また、先天性に半月板が特殊な形態をしていることにより損傷が起こりやすいことがあり、円盤状半月といいます。治療は関節鏡で切除がおこなわれます。

◎オスグッド・シュラッター病

 成長期特有のスポーツ障害で、筋収縮による繰り返しの牽引ストレスが成長軟骨にかかり引き起こされるいわゆる、使いすぎ症候群です。成長痛ともいわれるもので、ピークは13歳ごろです。症状はスポーツ後の脛骨粗面(膝下前面の突出部)の痛み、はれ、骨性の隆起などで、診断はよういとなりますが、骨腫瘍の後発部位と一致するためスポーツ専門医の受診が必要です。


膝関節のおもな病気 つづき


◎内側側副靭帯(MCL)損傷

 膝の外側からの強い外力が加わり、膝の内側に走るMCLが断裂します。断裂時には断裂音を本人が感じることがあります。大腿四頭筋の起始部での損傷が多く、膝関節内側の近位部中心に痛みがあります。程度は捻挫程度のものから内側の関節支持機構が完全に断裂するものまであり、後者は交通事故などの強力な外力が加わった場合にみられ、他に半月板や前十字靭帯、後十字靭帯などにも損傷がおよんでいることもしばしばです。

 治療では弾性包帯固定やブレースなどを用いた保存療法が基本ですが、重度損傷の場合には早期の手術療法が必要になることもあります。また、初期に保存療法が選択された場合でも、のちに機能不全がが残存した場合には、再建術がおこなわれる場合もあります。靭帯の付着部が骨片つきではく離した損傷では、骨片を元の位置に戻して固定すれば靭帯機能は回復します。

◎後十字靭帯(PCL)損傷

 スポーツや交通事故などで、ひざを前方から強打して受傷することがほとんどです。仰向けで両膝を立てて横からすねの高さを見比べ、損傷側の高さが低ければ後十字靭帯の損傷の可能性が考えられます。確定診断にはMRI検査が有効です。

 この損傷もひざ周囲筋力の強化だけで日常生活では支障が出ないことが多いのですが、痛みや膝不安定性のために靭帯再建術が必要になる場合もあります。
 
 また、この靭帯でも付着部が骨片つきではく離した損傷では、骨片を元の位置に戻して固定すれば靭帯機能は回復します。


膝関節のおもな病気 つづき


◎前十字靭帯(ACL)損傷

 単独損傷はスポーツ外傷がほとんどで、接触型の損傷と非接触型の損傷があります。接触型は他のプレーヤーと接触することによって膝関節に強い外力が加わりおこる損傷です。
それに対して非接触型の損傷は、ジャンプやその着地、カッティング、急激なストップ動作など、大腿四頭筋に急激に強い収縮力が起こったときやピボットシフトなどのひねり動作で損傷します。いずれの損傷でも、受傷時に本人がバキッという断裂音を聞いていることがしばしばです。

 受傷直後には体重がかけられないほど痛み、時間とともに膝関節がはれてきます。診断は特徴的な受傷機転と断裂音、関節血腫の存在、診察所見、さらにMRI検査からわかります。
さらにMRIでは半月板やそのほかの靭帯、関節面の合併損傷の有無などが確認できます。

 治療は早期に局所のアイシングにより膝の腫れを防ぎ、痛みが軽快したら膝の屈曲伸展の訓練をおこないます。大腿四頭筋の萎縮が必ず続発しますので、膝の動きが可能になればハーフスクワットやマシンをもちいたひざ周囲筋力強化をおこないましょう。1〜2ヶ月の時間経過とともに痛みはほとんど消失し、膝の動きも回復します。日常生活レベルの活動には問題がなくなります。

 その後、活動性が高い場合、すなわちスポーツを今後も継続したいばあや膝に負担がかかる仕事の場合には手術的に靭帯再建をおこなう必要があります。再建術をおこなわないと膝の不安定性のために思い切りの動座ができませんし、無理にスポーツをすると半月板や関節軟骨に二次的な損傷が起こり、将来、変形性膝関節症になるリスクが高くなります。いっぽう、手術をしない治療を選んだ場合には、ジャンプやカッティング動作、ひねり動作など、自分でこわいと思う動作を徹底的に避けることと、筋力強化訓練の継続が必要です。

 受傷時には診断がつかず、時間がたってから診断がついた場合でも、治療の考え方は同じです。ただ、最初の受傷から時間経過が長い場合には半月板などの合併損傷の率が高くなりますから、MRIで調べて、必要な治療を受けなければなりません。

 また、靭帯の付着部が骨片つきではく離するタイプの損傷もありますが、これは骨折の治療に準じて、早期に元の位置に骨片を戻して固定すれば靭帯機能は回復します。


膝関節のおもな病気 つづき


◎O脚変形

 子供のO脚には生理的内反膝のほかにブラント病、くる病などの代謝性疾患、軟骨無形成症などの骨系統疾患、外傷や骨髄炎後の成長障害によるものなどがあります。

 生理的内反膝は成長にともなう一時的なもので、1〜2歳でO脚であったものが、3〜4歳でX脚気味になり6歳ごろにX脚もきえます。ブラント病は歩行開始が早く、関節が柔らかい子ども、また肥満児に多く、そのため生理的内反膝に力学的要素が加わり生じるものとも考えられています。早期には装具による治療を行い、それが不十分な場合には手術療法が必要になります。

◎靭帯損傷

 多くはスポーツによる損傷で、前十字靭帯(ACL)、内側側副靭帯(MLC)、後十字靭帯(PLC)の順に多く見られます。内側側副靭帯と前十字靭帯の合併損傷も多く見られます。交通事故などの大きな外力で受傷したばあいには複合靭帯損傷(二本以上の靭帯が損傷)のことが多く、周囲組織の広範な損傷を伴います。


膝関節のおもな病気 つづき


◎膝関節遊離体

 関節表面からはがれ落ちた関節軟骨や小骨片が膝関節内を動き回ることがあります。関節ねずみともいわれます。関節液から栄養を受けて、徐々に大きくなります。関節にはまり込むと激痛と引っかかり、可動域制限などの症状が出ます。それが再び動くようになると、関節がスムーズに動くようになり、そのような症状を繰り返します。関節鏡手術による摘出が必要です。

◎離断性骨軟骨炎

 スポーツ活動を行う10代の子供に多く見られます。関節面の骨軟骨がはがれるもので、進行すると骨軟骨片が遊離体となります。関節軟骨の温存のために早期発見、早期治療が必要です。

 治療法は骨軟骨片の状態で決まります。成長期に発症した場合にはスポーツ活動の停止などの保存療法や、手術療法などがあります。骨軟骨片がはがれてしまったあとでは、元の位置に戻して固定する手術が必要になります、骨軟骨片が粉砕してしまっているときには元に戻すことができず、関節軟骨の修復術が必要になることがあるでしょう。

◎色素性絨毛結節性滑膜炎

 関節の滑膜組織が限局性またはびまんせいに異常増殖するまれな良性疾患で、膝関節に最も多く見られます。症状は、限局性のもの(結節型)では関節の引っかかり感のみのことが多いですが、びまん性(びまん型)の場合には関節内の血液貯留(関節血腫)を繰り返し、痛みを伴います。関節血腫を繰り返す場合には関節破壊へと進行します。治療は、結節型の場合には摘出術により治癒が期待できますが、びまん型の場合には完全な切除は難しく、短期または長期に再発を繰り返すこともしばしばです。再発を何度も繰り返し、関節破壊、骨破壊まで進行した場合には、人工関節置換術が必要になり、さらに周囲に広範囲に広がってしまったものでは切断術がおこなわれるばあいもあります。 


膝関節のおもな病気 つづき


◎関節リウマチによる膝関節の障害

 全身性疾患である関節リウマチでは膝関節もおかされ、歩行障害や膝関節拘縮などの症状が出現します。変形性膝関節症では膝関節の内側または外側、あるいは膝蓋大腿関節のいずれか一箇所が選択的に悪くなることがほとんどですが、関節リウマチの場合には関節全体が悪くなることでレントゲン写真上は鑑別されます。そのほかの関節症状や血液検査などからも鑑別されます。
 
 膝関節に対しての治療としては関節可動域訓練、大腿四頭筋強化訓練などの理学的療法、ヒアルロンやステロイド薬の間接内注入法がおこなわれ、さらに機能障害が著しい場合には人工関節の適応となります。

◎特発性骨壊死

 大腿骨の下のところや脛骨の上のところ、まれに膝蓋骨に骨壊死が生じることがあり、安静時や歩行時の痛みを伴います。特徴的なことは、レントゲン検査で骨壊死像がはっきりしていない発症初期に安静時痛や夜間痛が強いことです。したがって、痛みの強い初期には診断がつかず、半年ほど経過してから診断がつくこともあります。MRI検査では早期から診断が可能です。その後、激痛は消失しますが、時間の経過とともに変形性膝関節症へと進展し、それによる症状が出現します。

 治療では、人工膝関節置換術がおこなわれますが、変形性質関節症まで進展していない初期のもので、50−60歳以下の人であれば、骨切り術と骨移植が選択される場合もあります。骨壊死の部位や範囲によっては症状が軽く、消炎鎮痛剤内服、ヒアルロン酸の膝関節内注入などの保存的療法で経過を見ることもあります。


膝関節の主な病気


◎変形性膝関節症

 中年以降に増加する膝関節の変形性疾患で、老化現象のほかに外傷、膝関節にまたがる筋肉のバランスによる膝の捻れ、大腿骨と脛骨のずれ、関節炎、骨壊死に続発しておこる二次性のものなどがあります。発症に関連する因子には、年齢(40歳以上)、肥満な度が上げられ、やや女性に多い疾患です。遺伝性に全身的な変形性関節症を発症する疾患もあります。

 初期には膝関節の痛み、特に階段の上り下りや正座での痛み、長距離歩行後の痛みなどで気づきます。ほとんどの場合では膝の内側が悪くなります。進行すると膝はO脚に変形し、短時間の歩行でも痛みを感じ、膝関節に関節液がたまってはれる、膝の曲げ伸ばしの制限が見られるなどの症状が出てきて、日常生活で苦痛を感じるようになります。膝蓋大腿関節(お皿の裏側)の変形性関節症では、起立動作時の痛み、階段昇降での痛みが膝蓋骨の周囲や裏側に見られます。

 症状、膝のレントゲン検査、関節液の状態などから診断されます。レントゲン検査は立位で撮影したものがよりよくわかりやすいでしょう。それから、膝のレントゲン検査の重症度と本人が感じる症状の程度とは必ずしも一致しません。また、高齢者では加齢による骨の変化が多少は見られるのがふつうですから、重症度はレントゲン検査の所見だけで決まるものではなく、症状を含めた全体として判断される必要があるでしょう。

 治療法では、膝から上の筋肉を鍛える練習や、足の裏に足底板をいれたり、サポーターの装着、ヒアルロン酸の関節内注射、シップ薬の塗布、外科的には関節鏡手術や骨切り術、人工膝関節置換術などの手術療法があります。専門医と相談のうえ、治療法の決定が必要です。

 膝の上の筋肉を鍛える練習によっても痛みなどを改善されることも多いですから、そのときの症状に合わせた大腿四頭筋の強化法をするといいでしょう。

日時:2011年10月16日 09:40
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大腿その他の疾患


 大腿の上部、外側に原因のはっきりしない痛みがあり、特に夜間に強く、シビレや感覚の異常がある場合にはこの部分の皮膚の感覚を伝える神経(大腿外側皮神経)の障害の可能性があります。また特に思い当たる原因がないのに大腿に痛みや腫れがあらわれ、時間とともに徐々に悪化するような場合は主要などの可能性もありますので、そういった場合は専門の診察が必要です。

 大腿部の痛みは股関節や腰部の病気でも生じることがあり、特に子供では股関節の病気で大腿の痛みを訴えることが良くあります。またときどき鼠径ヘルニアでも大腿の痛みを感じることがあります。

日時:2011年10月15日 11:50
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大腿部のおもな病気


◎大腿四頭筋肉ばなれ、ハムストリング肉ばなれ

 肉ばなれは筋肉が、自分自身の収縮力や外から加わった強い力によって部分的に断裂した状態をいい、スポーツに伴っておこることが多い外傷です。ほとんどの場合断裂は筋肉の一部のみにおこり、筋肉全体が断裂することは極めてまれです。肉離れの診断では症状のあらわれかたと圧痛(圧迫したときの痛み)が何処にあるかが診断のポイントになります。スポーツの最中に急に傷みがあらわれ、傷むあたりを触ってみると筋肉に圧痛があり、その筋肉に力を入れようとすると強い痛みが生じる場合は、肉離れと考えてまず間違いないでしょう。

 大腿の場合、前面に痛みがあれば大腿四頭筋の損傷、後面にあればハムストリングの肉離れを考えます。前者では膝を伸ばそうと力を入れたとき
、後者では膝を曲げようとしたときに痛みが生じます。

 肉ばなれは手術を必要とすることはほとんどありません。怪我をした直後には筋肉の損傷部で内出血や組織の腫れが生じます。これが過度におこると治りが遅れるので、受傷直後はなるべく安静にして患部を氷などで冷やし、さらに伸縮性のある包帯などで適度に圧迫してはれや内出血を最小限に抑えるようにします。受傷直後の長時間の入浴やマッサージは内出血や腫れを強める恐れがあるので、控えましょう。

 肉ばなれは再発することがあるので、スポーツ復帰は決してあせることなく軽いジョギングなどから始めていき、ダッシュやジャンプなど筋肉の強い収縮を伴う動作は十分肉離れが治ってからさいかいするように。しましょう、また筋肉の損傷部はかたくもろい組織となったまま治る傾向があるので、再発予防のためには筋肉のストレッチを無理のやい範囲でおこなっていくことも大事です。

日時:2011年10月13日 10:35
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股関節部のおもな病気 つづき


◎大腿骨近位部骨折
 
 若年者で交通事故など外傷に伴う強い外力によっておこるものと、骨粗しょう症の傾向のある高齢者で転倒など比較的弱い外力によって生じるものがありますが、後者のほうが圧倒的に多く、高齢化により現在では毎年10万人以上の人が受傷しています。

 大腿骨近位部の骨折は、骨折の部位により大きく二つに分けられ、治療法も異なりますが、どちらのタイプでも基本的に手術が必要です。骨折が大腿骨頭の球状の部分のすぐ下で生じるものは大腿骨頸部内側骨折と呼ばれます。このタイプの骨折では、ずれの程度によって骨折部を固定する手術か、大腿骨頭を取り除いて代わりに金属でできた人工の骨頭を入れる手術がおこなわれます。
 
 もう一つのタイプは、骨折が大腿骨頸部の直下ではなく少し下の部分で起こるもので、大腿骨頸部外側骨折と呼ばれます。このタイプの骨折では通常骨折部を金属で固定する手術がおこなわれます。

 以前、よい手術法がなかった時代にはこの骨折により寝たきりになり、ついには亡くなられる人が多かったことが知られています。このため現在ではこの骨折がおこった場合、高齢者であってもなるべく早く手術がおこなわれ、リハビリを開始するというのが治療の原則になっています。高齢者で転んだあと股関節部に痛みがあり歩けなくなった場合には、この骨折が疑われます。


股関節部のおもな病気 つづき


◎変形性股関節症

 変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ったために関節の痛みや動きの制限が生じ、立位や歩行が困難になる病気です。特別な原因がないのにおこる場合(一次性変形性股関節症)と以前になにか別の病気があり、これが原因となっておこる場合(二次性変形性股関節症)があります。後者の場合、原因としては臼蓋形成不全、先天性股関節脱臼で十分な整復が得られなかった場合、大腿骨骨頭壊死、以前の骨盤や大腿骨の骨折、細菌の感染などがあります。

 症状として初期の変形性股関節症ではおもな症状は長時間の歩行、立位の後の股関節部の痛みです。人によって歩き始めた瞬間やイスから立ち上がった瞬間に痛みを覚えることもあります。進行すると痛みは強くなり、また短時間の歩行や立位でもすぐに痛みが現れるようになります。また関節の動きが悪くなるため、股関節を深く曲げる必要のある動作ができなくなり、たとえば足の指の爪が切れない、靴下がはきづらいなど日常生活に支障をきたすようになります。

 治療としては変形性股関節症では、基本的に一度悪化してしまったものを良い状態に戻すことは現在の技術では困難です。したがって痛みがそれほどひどくなければ整体的な治療を受けつつ、今以上に悪くしないようにすることも大切になってきます。
  
 痛みが強くて日常生活に支障をきたすようであれば手術による治療が行われます。

 手術の方法はおもに二通りあります。軟骨がすり減っている部分にかかる負担を減らすように骨の形を整える骨切り術と人工の関節を挿入する人口関節置換術がそれで、股関節の状態や年齢を考えたうえで適切な方法が選ばれます。年齢が若い場合にはこのほかに関節固定術がおこなわれることもあります。


股関節部のおもな病気 つづき


◎ペルテス病

 就学前から小学生の特に男児に多く見られる大腿骨頭の壊死性変化で、成長期に起こるため大人とは異なった経過をたどります。症状はは行が中心で、股関節の動く範囲の制限も見られます。成人の場合と異なり痛みの訴えがそれほど強くないことが多く、は行があるまま運動を続けていることも少なくありません。診断にはレントゲン検査が有効で、レントゲン写真で特有の骨頭の変化があればペルテス病と診断されます。また特に早期の症例ではMRIも使われます。

 治療では装具を使って骨頭の変性が生じるのを防ぐ方法が行われます。骨頭の変性が生じてしまった場合には将来的に変形性股関節症の発生が考えられますから、変形性股関節症が起こりにくいように骨の形を整える骨切り術が行われることがあります。

◎大腿骨頭壊死

 大腿骨頭は丸い部分のほとんどが軟骨でおおわれ、血液の循環は骨頭の付け根の狭い部分を通してのみおこなわれます。もともと血液の循環が制限されているため、何かをきっかけに骨頭への血液の供給が低下しやすく、そうなると細胞が死んで壊死と呼ばれる状態になります。骨は硬い組織ですので壊死が生じても直後には目立った変化があらわれませんが、時間がたつにつれ骨が弱くなって骨頭の一部が陥没し、股関節に痛みが生じるようになります。この時期になるとレントゲン検査でも骨頭の形がはっきり変わって見えるので診断は容易になりますが、初期で陥没が生じる前の状態ではレントゲン検査による診断が難しいこともあり、この場合にはMRIや骨シンチグラフィーなどの検査が必要になります。

 大腿骨頭壊死は原因がはっきりしないこともありますが(特発性大腿骨頭壊死)、長期にわたる過度の飲酒が壊死をひきおこすことが知られています。ほかに大腿骨頸部の骨折で骨折部を固定したあとに骨頭の壊死が生じることがあり、また他の病気の治療のため投与された副腎皮質ステロイド薬が骨頭壊死を引き起こすこともあります。

 整形外科的な治療では、人工股関節置換術がおこなわれますが、若年者では人工関節の耐久性の問題を考えて股関節骨切り術がおこなわれることもあります。


股関節部のおもな病気 つづき


◎大腿骨頭すべり症
(大腿骨骨端線離解骨折を含む)

 成長期の子供の骨には骨の両端に骨が成長するための骨端線と呼ばれる部分があります。ここはふつうの骨にくらべて組織がやわらかいため、大きな力が加わった場合にはここで骨にずれが生じてしまいます。子供の場合、大腿骨頭に骨端線があり、交通事故などで大きな力が加わったばあにはこの部分がずれて、急性型の大腿骨頭すべり症(あるいは大腿骨頭の骨端線離解骨折)と呼ばれる状態になります。いっぽう、10代の特に男性では特別にけがなどしていないのに徐々に骨端線部がずれてくることがあり、慢性型の大腿骨頭すべり症と呼ばれます。慢性型のすべり症は左右両方の股関節におこることが多く、何らかの体質的な要因が関与していると考えられています。また、急性型の中にもそれほど大きな力がはたらかなくてもずれが起こる症例もあり、このような場合にも慢性型と同様、何らかの体質的な要因が関与していると考えられています。

 大腿骨頭すべり症の症状は股関節部の痛みですが、慢性型の場合、痛みは立ったときや歩行時にあるだけで通常安静時にはありません。診断ではレントゲン検査が重要ですが、初期の症例ではずれがごくわずかで、診断が難しいことがあります、たんに骨盤のずれによる股関節部の痛みの場合も多いので、そういった方には骨盤の矯正をすることと、股関節をまたいでいる腸骨筋や大腰筋などを上手に緩めることにより痛みが亡くなる場合も多くあります。

 整形外科的な治療では、急性型では通常手術が行われ、骨端線のずれを整復して手術用の特殊なねじなどで固定します。慢性型でも手術が行われることが多く、ずれの程度と病気経過により骨端線の固定か骨の形を整える手術(骨切り術)が行われます。


股関節部のおもな病気


 股関節は骨盤と大腿骨をつなぐ大きな関節です。骨盤側はソケットのような形をしていて臼蓋(きゅうがい)と呼ばれ、そのくぼみの中にボールのような形をしていて大腿骨頭と呼ばれる大腿骨の端部がはまり込んでいます。股関節は体重を支える重要な関節の一つで、股関節に異常があると立ったり歩いたりが困難になってしまいます。

◎先天性股関節脱臼

 新生児や乳児で、大腿骨頭が骨盤の臼蓋のなかにきちんとはまらずに臼蓋から外にずれた状態になっていることがあり、先天性股関節脱臼と呼ばれます。はっきりした原因はわかっていませんが、遺伝的な要因、生まれたあとの股関節の位置のいずれもが発生に関係しているといわれています。
 
 発生率はおよそ新生児1000人に一人で、女児に多く、女児の発生率は男児の5〜10倍にもなります。

 早期発見、早期治療が重要です。治療にはまず装具が用いられますが、一歳未満で診断されて治療を始めた場合には装具による固定だけでたい体よい結果が得られます。逆に一歳以降に治療を始めた場合には装具だけでは完全に整復できない場合が多くなります。
 
 先天性股関節脱臼が完全に整復されないまま成長すると、正常では大きくくぼんでいるはずの臼蓋がずっと浅い形となり、大腿骨頭が臼蓋のなかにしっかりはまり込めない状態になることがあります。これを臼蓋形成不全といいます。臼蓋形成不全があると変形性股関節症になりやすいので、症状が強くなくても変形性股関節症の発生を防ぐための手術が行われることもあります。


手関節のおもな病気  つづき


◎手根管症候群

 手首から2〜3センチ先にある手のひら部分で正中神経が手の骨と靭帯で囲まれた手根管という管を通過します。この部分で神経が靭帯により徐々に圧迫を受けてまひを生じる病気です。特徴的な症状は指先のシビレと夜間痛で、夜間から朝方にかけて手がじんじんシビレ、痛みを感じたり、目が覚めたときにシビレを感じたりします。痛みはときに上腕や肩まで感じることがあります。朝起きると手のむくみや指のこわばりを自覚することが多く、ときに腱鞘炎も合併します。

 しびれは指先が中心で、親指、人差し指、中指と薬指の親指側半分に生じます。女性に多く(90パーセント以上)、閉経期や妊娠・出産時などホルモンのバランスが変化したときに症状が出やすい傾向にあります。両側の症状が出ることもあります。進行すると母指球(親指の付け根のふくらみ)の筋がやせて(筋萎縮)、指先でのつまみ動作が難しくなります。

 手首を手のひら側に曲げた状態を数分間保つと痺れが誘発されます(ファーレンテスト)。などでわかります。

 整体的な治療では、手首、前腕、肘、肩周りなどをよく弛めます。胸郭出口症候群からくる症状のときもありますから、頸椎の捻れや、胸椎のバランスもよく診て、左右差などや、筋肉のかたまりなどがあったら入念にほぐしておきます。

◎書けい

 字を書こうとすると手が震える、うまく手が動かないなどの症状が出ます。手自体の異常はなく、心理的要因が関与しており、筋緊張異常(ジストニア)の一種と考えられています。うまくおこなえない動作以外のほかの動作をするときには異常が出ないのが特徴です。書字以外に、キーボードをうまく打てない、楽器を弾きにくいなどの症状を示す場合もあります。
 
 精神安定剤の内服がされますが、さまざまな日常におけるストレスなどがいちばんの影響となっていることがおきな原因となりますから、それらを取り除くことや、自身の考え方に気づくようなカウンセリングが必要となるでしょう。


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◎化膿性腱鞘炎

 指の腱の周囲にある腱鞘滑膜の化膿性炎症で刺し傷など指の外傷後に生じます。指から手の腫脹、発赤、疼痛が見られ、悪化すると悪寒、発熱などの全身症状も出現します。屈筋腱の化膿性腱鞘炎では、指は軽度屈曲位となり、伸展すると疼痛が増強します。細菌による化膿性炎症なので抗生物質の効果が疑わしいときは化膿している部位を手術で切開し腱の周囲をきれいにする処置が必要となります。処置が遅れると炎症が広範囲に波及し指の機能に障害を残す可能性があります。

◎指屈筋腱損傷

 指屈筋腱損傷には、開放創による腱断裂、皮下断裂、腱付着部の断裂があります。指屈筋腱には浅・深日本の腱があり、深指屈筋腱損傷ではDIP関節(最も先の関節)が、浅指屈筋腱損傷ではPIP関節(指先から二番目の関節)が屈曲できなくなります。開放性(傷のある)断裂では組織の挫滅・汚染が強くないかぎり受傷当日にすみやかに腱縫合を行うことが望ましくなります。遅くとも三週間以内に縫合を行います。挫滅がひどいときなどすぐに縫合できない場合は二次的に腱移植が行われます。屈筋腱の損傷部位により難易度が異なり、PIP関節から手のひらのMP関節までの部位での損傷では浅・深二本の腱が同時に損傷され、癒着などを生じやすいためノーマンズランドと呼ばれていました。誰も手をつけることのできない場所といったところでしょうか。以前は一時修復をせず二次的に腱移植がおこなわれていましたが、近年は鋭的損傷(断片がきれいに切れている)の場合は一時修復を行うことが多くなっています。


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◎ヘバーデン結節

 指の最も先にあるDIP関節の変形性関節症のことを指します。中年以降の女性に多く見られ、急性期には関節の発赤、腫脹、疼痛が見られ、指をよく使うと悪化します。症状が軽快すると関節部に骨性隆起による変形(出っ張り)が残ります、いわゆる指が節くれた状態となりますが、障害はほとんどありません。症状のある時期には消炎鎮痛剤の外用薬の使用や、テーピングによるDIP関節固定を行うことが有効です。

◎バネ指

 手のひらに近い指のMP関節の手のひら側にある指屈筋腱の腱鞘炎で中年以降の女性に多く見られます。親指・中指・薬指に多く、指の屈伸時に弾発現象(指の屈伸で引っかかり)を生じますが、初期には痛みだけのこともあります。腱鞘部に腫脹や圧痛があり、指を曲げ伸ばしすると引っ掛かりが存在します。

◎デュピイトラン拘縮

 手掌部に繊維性の索状物が徐々に形成され、指の拘縮(曲がって伸ばせない状態)を生じる病気です。中年以降の男性に多く、何らかの遺伝的素因の関与が考えられています。索状物ができるのは手のひらや薬指、小指の付け根に多く、両側性にみられることもあります。
 
◎マレット指

 つき指によって指のDIP関節(一番先の関節)が少し曲がったまま、伸ばせない状態です。指を伸ばす伸筋腱の付着部がつき指により断裂し、DIP関節の疼痛、腫脹、伸展制限(完全に伸びない状態)がみられます。
 
 通常は腱のみの断裂ですが、伸筋腱付着部が骨折をともなってはく離している状態となることもあります。


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◎とう骨遠位端骨折

 手をついて転倒すると受傷します。前腕の二本の骨のうち手首の親指側にあるとう骨の圧痛、腫脹、疼痛、変形が見られます。レントゲン検査にて診断されます。受傷機転や骨折のようすで三種類に分類されます。

・コーレス骨折:手のひらをついて受傷したとに生じ、手根骨やとう骨遠位骨片は背側(甲側)へ転位し手首はフォーク状の変形となります。

・スミス骨折:手の甲をついて受傷したときに生じ、コーレス骨折とは逆に手根骨やとう骨遠位骨片は掌側へ転位します。

・バートン骨折:関節面を含む骨片とともに手根骨が転位した(ずれた)もので、とう骨背側の骨片とともに転位する背側バートンと、掌側骨片とともに掌側へ転位する掌側バートンがあります。

治療:転位した状態を戻す整復操作を行います。よい整復位が得られればギプス固定を行います。整復位の保持が難しい場合や関節内の骨折でずれがある場合、粉砕骨折で五mm以上とう骨に短縮が生じている場合は手術が行われます。
 
 正中神経まひ(手根管症候群)が生じることがあるので注意が必要です。

◎関節リウマチによる変形

 リウマチの滑膜炎により手指関節の破壊が進行すると高率に変形が生じます。最も多く見られる変形は、手指の尺側偏移(MP関節から指が小指側へずれる)、スワンネック変形、ポタン穴変形です。変形の進行はリウマチに対する薬物療法のコントロールが行われます。


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◎ガングリオン

 関節や腱鞘から発生するゼリー状の内容を有する腫瘤(嚢腫)です。手

関節の背側(甲側)やてくびのとう側(手のひら側)に生じることが多く

、通常は無症状ですがときに腱鞘などの痛みを生じることもあります。

治療:吸引したり、表面から押しつぶしたりしますが、再発しやすいのが

特徴です。基本的には良性であり、長期的には自然消滅することも多いの

で放置することが多いですが、痛みなどの症状を引き起こしているときに

は手術で切除されることもあります。

◎月状骨軟化症(キーンベック病)

 手根骨の中の月状骨の壊死を生じる疾患で、手関節の疼痛が主症状です

。手背の月状骨を押すと痛みがあります。原因は不明ですが聞き手に多く

、手をよく使う職業の男性に多く見られます。

診断:手関節レントゲン検査にて月状骨に硬化像や扁平化、分節化などの

変化が見られます。レントゲン検査にて変化のない場合の診断には、MR

Iや骨チンチグラフィーが有用です。

治療:手関節の疼痛がないか軽い場合にはそのまま放置します。疼痛が障

害となる場合には、とう骨短縮術や月状骨の自家腱組織との置換。部分関

節固定術など種しゅの手術が行われます。

◎舟状骨骨折

 手をついて転倒すると受傷します。手関節とう側の疼痛と親指を開いた

ときにできる手首の親指の付け根にできる二本の伸筋腱の間のくぼみの圧

痛が見られます。変形や腫脹は目立ちません。

診断:レントゲン検査にて診断されますが、通常の手関節二方向の撮影で

は見落としやすいので、この骨折を疑った場合、舟状骨撮影をおこなうか

、CTや断層撮影で精査をおこないます。

治療:骨折したばかりのときは肘から親指までギプス固定で治療します。
骨片間にずれがある場合や手根骨の背屈変形のある場合は手術が行われま

す。舟状骨骨折は偽関節(骨がつかないでそのままとなった状態)が多い

ことで有名です。


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◎手根部靭帯損傷

 外傷や炎症などにより手根骨(手首にある小さい骨で八つある)の配列異常が生じ、結果的に手根骨の間に関節症性変化(軟骨の変性などの変化)が進行する病態です。いずれも手首の痛みを生じますが、レントゲン検査にて配列異常が認められる静的不安定性と負荷を加えたときにあきらかとなる動的不安定性とがあります。

◎舟状ー月状離開

 手根骨のうち、舟状骨と月状骨との間に障害が出たものです。舟状骨と月状骨間の解離が生じ、レントゲン検査で三mm以上のすきまがみとめられます。進行すると舟状骨周辺の二次性の関節症となり、舟状ー大菱形小菱形骨間関節の変形やSLACと呼ばれる状態が生じます。

◎月状ー三角離開

 月状骨と三角骨との間に障害が出たもので、月状骨や舟状骨に対し三角骨は中側へむく変形が見られます。いずれも診断には通常のレントゲン検査のほか、掌背屈や側屈のなどのストレスをかけて撮影します。
 
 治療は、外傷などによる急性期の解離では靭帯を修復する手術が行われます。慢性期では症状が軽ければサポーターなど対症療法を行いますが、症状が強ければ関節固定や手根部の部分切除、あるいは部分関節固定などの手術が行われます。


手関節のおもな病気


◎変形性手関節症

◎関節リュウマチ
  
 リウマチの関節炎によってとう骨手根関節(前腕の親指側にあるとう骨と手のひらの付け根にある手根骨との間の関節)あるいは遠位とう尺関節(前腕にある二本の骨の間の関節)に破壊が生じ痛みや腫脹などの症状が出現します。とう骨手根関節の破壊が進行すると手根骨はとう骨の手のひら側に亜脱臼を生じやすくなり、手首に段差ができるような状態になります。また、遠位とう尺関節の滑膜炎が進行すると尺骨の亜脱臼が生じて前腕の回内外運動(手を前腕を軸として回転させる動き)が傷害されます。

 手首の甲側の中央に位置する指の伸筋腱(伸ばす腱)の周囲に滑膜炎がおよぶと、腱の周りに腫脹が見られ、徐々に腱断裂が生じます。この断裂は小指側から生じることが多く、最初に小指が伸びにくくなります。

 治療は手関節の装具やサポーターを使用しますが、滑膜炎が持続し骨破壊が進行する場合には関節形成手術などの手術的治療を考えければなりません。腱断裂が生じた場合には早期に手術を行うことが望ましいのですが、腱の処置だけでなく関節の処置を含めた再建術が必要となります。

◎ドケルバン病

 手関節のとう側(親指側)の骨の出っ張りをとう骨茎状突起と呼びます。この部位には親指の外転(横に開く)や伸展(伸ばす)をおこなう腱が走っていて、腱が骨からずれないように、靭帯性腱鞘とよばれるこうぞうがあります。

 この腱鞘に生じた狭窄性腱鞘炎をドケルバン病といいます。手、特に親指を過度に使用すると生じます。同部の圧痛、腫脹があり、親指の屈伸で疼痛が出現します。親指を中に入れてげんこつをつくり、そのまま手関節を尺屈すると疼痛が誘発されます。

 治療は手の使用を制限すること、サポーターやスプリントなどの装具、手首や手のひらの骨の矯正やその周りについている筋肉をよく緩めます。症状が難治性の場合は手術的に腱鞘を切開することもあります。

日時:2011年9月21日 09:49
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肘のおもな病気 つづき


◎肘部管症候群

 肘の内側をぶつけると小指に痺れが出る場所がありますが、その場所で尺骨神経が圧迫を受けることにより発症します。原因は肘の変形性関節症・ガングリオンなどや、小児期の骨折による外反肘・内反肘のどの変形です。

 中高年の男性が多く、肘の痛みと薬指・小指と小指球(手のひらの小指側のふくらんだ部分)の痺れが出ます。指の甲側もシビレがでるのが特徴です。進行すると手の中にある指を横に開閉する筋がやせて、指先で物をつまみにくい、小指が曲がって伸ばせないという症状が出ます。圧迫部位では神経を軽くたたいても指先にシビレを感じます(チネル徴候)。肘を曲げたままの状態を続けるとシビレが増強します(ひじ屈曲テスト)。末梢神経伝達速度検査や筋電図検査をおこないます。

 治療は急激に発症したようなっ外傷の要素のある場合には、肘関節の安静をとり伸展位での固定を行ったり、副腎皮質ステロイドの注射が行われますが、一時的で手術が最も効果があります。手術は、上腕骨の肘の内側の骨を切除する方法や神経の走行を内側に移す方法などがあります。


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◎野球肘

 投球動作では肘が外反する(外に折れ曲がる)ような力がかかります。このため、肘の内側にひっぱる力、外側に圧迫力が働き、これが繰り返されることで発生した肘の障害を野球肘といいます。内側型と外側型があります。

◎野球肘(内側型)

 症状は肘内側の腫脹や疼痛、投球動作での肘の痛みです。肘の内側にひっぱる力が働き、肘の内側の屈筋群付着部の炎症や内側の靭帯が伸ばされて不安定性が生じます。肘を強制的に外反するとゆるみが感じられます。

 治療は運動後の肘のアイシングや炎症鎮痛作用のある外用薬の使用など消炎処置などのほか、投球動作の回数を制限することや、投球ホームの改善、肩、背中周りの骨格や筋肉のバランスをとる治療を行います。大人で肘の不安定性が強い場合には靭帯再建の手術をおこなわれることもあります。

◎離断性骨軟骨炎(外側型野球肘)

 上腕骨小頭(上腕骨の関節部分の外よりの場所)に繰り返し加わる外力によって骨端障害が生じたものです。発症するのは少年期で、野球の投球動作をたくさん行う投手に多く発生します。

 症状は肘の運動時痛や可動域制限、拘縮です。病気が進行すると軟骨がはがれ遊離体(関節ねずみと呼ばれます)となります。この遊離体が関節の隙間にはさまりロッキング症状(関節が動かなくなる)をおこします。レントゲン検査では上腕骨小頭の部分に変化が見られ、側面断層撮影やCTにより離断した骨軟骨片が確認できます。

 病変が小さければ運動制限などの安静のみで経過を見ますが、大きいものは手術により固定します。遊離体が生じてロッキング症状があるものは関節鏡などで摘出します。


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◎上腕骨か上骨折

 手をついて転倒することにより受傷します(特に子供に多い)。肘周辺の腫脹、疼痛、変形が見られます。合併損傷として神経損傷(特に前骨間神経まひ)や動脈損傷があり、麻痺の症状や循環障害には注意を要します。血行障害による前腕筋の壊死(ホルクマン拘縮)が生じると重篤な機能障害をきたします。

 治療は、子供では整復位が得られればギプス固定を行います。整復位の保持が難しい場合はベット上で持続的に牽引を行うか、手術的に金具で固定することになります。後遺症としては内反肘変形が生じやすいことが上げられます。大人では転移がない場合を除き原則手術になるでしょう。

◎ホルクマン拘縮

 筋膜でかこまれた筋の区画のなかの圧力が急激に上昇し、循環障害から最後は筋壊死に至る状態を筋区画症候群と呼びます。ホルクマン拘縮はこの筋区画症候群が前腕部に生じたもので、前腕以外の筋、神経が虚血壊死におちいり高度の手の変形、拘縮を生じる病態です。

 上腕骨か上骨折などの骨折、軟部組織損傷、動脈損傷、上肢圧迫、やけどなどで生じます。前腕の筋内の圧力が上昇し、前腕の強い疼痛、腫脹、循環障害、麻痺などの症状が多くは受傷から数時間〜十数時間以内に出現します。急性期で内圧が30mmHg以上では圧を減ずるため上腕遠位から手のひらまで筋膜切開をおこない圧力を減少させる手術を緊急に行います。

◎肘内障

 2〜5歳の子供で手をひっぱって発生します。急に泣き出して上肢を動かさなくなります。原因は前腕の二本の骨のうち、肘の外側にあるとう骨の関節に当たる部分が牽引されることにより靭帯の中にもぐりこみ、戻らなくなるからです。肘と前腕を持ち前腕を外側へ回す、もしくは内側へ回しながら肘を屈曲すると整復されますが、ときに整復されにくいこともあります。肘内障は繰り返しておこることがしばしばありますが、成長とともに発生しなくなります。


肘のおもな病気 つづき


◎上腕骨内側上か炎(ゴルフ肘)

 肘の内側の骨の出っ張りである上腕骨内側上かの部位の炎症で、手首を掌屈(手首を手のひら側に曲げる)する筋がついている場所で、物を持って手関節を掌屈すると痛みが出ます。こぶしを作り手関節を抵抗を加えながら掌屈すると疼痛が増強します。

 治療は上腕骨外側上か炎に準じた治療を行います。

◎内反肘

 肘の部分で前腕が内側へ変形している状態をいいます。正常では手のひらを上に向けて肘をまっすぐに伸ばすと、上腕の軸に対して前腕の軸はやや外側をむいています。(10〜15度程度外反しています)。内反肘ではこれに対して前腕の軸が内側へ向いている状態になります。

 内反肘の原因として、先天性では上腕骨の滑車(肘の関節を作っている部分)の形成不全、先天性とう尺骨癒合症などで生じます。後天性(外傷などの生後の何らかの理由によるもの)の原因としては、子供の上腕骨か上骨折に代表される肘近傍の骨折後の変形治癒や骨端線障害で生じます。変形を矯正するためには、骨を切る手術が必要となります。

◎外反肘

 内反肘とは逆に上腕の軸に対して前腕の軸が正常(10〜15度程度外反)より外側を向いている状態をいいます。原因として先天性では先天性とう骨頭脱臼など、後天性では上腕骨外か骨折後の偽関節や変形治癒、上腕骨小頭骨折、とう骨頭骨折や脱臼などで生じます。外反肘では肘の内側にある尺骨神経が肘を曲げると伸ばされるため、数年から数十年して徐々に麻痺が出現する遅発性尺骨神経まひとなりやすいことが知られています。


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◎関節リュウマチ性肘関節炎

 リウマチのタイプのうち、多関節破壊型やムチランス型で見られ、多く

は左右両側に生じます、関節の疼痛、熱感、腫脹などの関節炎の症状がみ

られ、進行すると肘の可動域が制限されたり、逆に骨吸収により関節が弛

緩し、ぐらぐらする状態となることもあります。
 
 リウマチの症状として肘の障害が生じているため、リウマチの全身的な

治療を行うことが重要です。肘の関節炎症状が軽ければサポーターや装具

などによる治療を行います。手術ではリウマチによる滑膜の増殖があって

も関節破壊が少なければ滑膜を切除する手術、進行していれば人工関節の

手術が行われる場合があります。

◎上腕骨外側上か炎(テニス肘)

 肘の外側にある上腕骨の出っ張りを外側上かと呼び、前腕にある手首を

背屈する(手首を甲の側へ持ち上げる)伸筋がついている場所です。上腕

骨外側上か炎はこの部分の炎症で、手関節の背屈運動を繰る返すことによ

って生じます。

 腱鞘炎あるいは付着部炎とおなじで中年の女性に多くみられます。上腕

骨外側上か部を押すと痛みがあり、手首の運動、特にフライパンなどを持

って手関節を背屈すると強く痛みます。

 治療は手をなるべく安静にし、サポーターやテニス肘バンドなど外側上

かのややさきの前腕部を圧迫すると痛みが減ります。その他シップや消炎

鎮痛剤の外用薬、筋のストレッチや、肘から手首まわりの骨のバランスと

、そこについている筋肉のほぐしを行います。


肘のおもな病気


◎変形性肘関節症

 ひじ関節の外傷後や過度の使用により生じます。特に力仕事などで長期間関節に負担がかかると生じます。ひじ関節の運動時の痛みがあり、関節の可動域が徐々に制限され、肘が曲がりにくくなるあるいは伸びにくくなるといった症状が出ます。関節部分を押すと痛みがあり関節に腫脹が見られます。レントゲン検査では関節の隙間が狭くなり、周囲に骨の棘が形成され、関節の骨が硬化して白く見えるなどの関節症による変化が見られます。
 治療は症状が軽ければ肘の負担をなるべく減らすこと、サポーターの使用、消炎鎮痛剤の使用など。拘縮や疼痛が強く日常生活動作が傷害されていれば、骨棘の切除などやもしくは関節形成、あるいは人工関節置換術などが行われます。肘の内側を走行している尺骨神経が骨棘などにより圧迫を受け肘部管症候群を生じることがあります。

◎肘関節遊離体

 関節内に遊離した骨や軟骨の組織を関節内遊離体と呼びます(関節ねずみ)。肘関節で遊離体が生じる原因としては、離断性骨軟骨炎や関節の外傷による骨・軟骨はく離、変形性肘関節症、滑膜性骨軟骨腫症、関節リュウマチなど多くの疾患があります。
 典型的な症状は遊離体が関節の隙間にはさまるロッキング症状(関節が動かせなくなる)で、肘の運動時痛や可動域制限が生じることもありますが、ロッキングを生じなければ無症状のこともあります。骨組織を含む遊離体はレントゲン検査にて確認できます。ロッキングなど症状があるものは関節鏡などで遊離体を摘出します。

日時:2011年9月11日 09:52
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上肢のおもな病気


◎上腕骨頸部骨折

 上腕骨頸部骨折は中高年に多く、転倒などで肩の外側をぶつけたり、手や肘をついたりすると生じます。肩の外側で三角筋の部分の腫脹、疼痛を認めます。運動痛があり、腕を動かすことができません。骨折の仕方により治療が異なります。ずれのない骨折では保存治療となります。上肢を三角巾と包帯などで固定してはれや痛みが減るとともに、上肢をぶらぶらさせる運動等を開始します。骨形成がみられたら徐々に運動を増やします。
 転移のあるもののうち、二つに分かれている骨折では整復が不十分である場合や三つ以上に折れている骨折では手術で骨折部を固定されます。

◎病的骨折

 腫脹などにより骨の強度が不足する状態となった結果、通常では骨折を生じないような外力でも骨折を生じ、そのような骨折を病的骨折といいます。上腕骨では、骨嚢腫、動脈瘤性骨嚢腫、骨組織球症などの腫瘍類似疾患、骨肉腫や軟骨肉腫、骨悪性繊維性組織球腫などの骨悪性腫瘍、がんの骨転移などで生じます。
 治療は疼痛を軽減するため、急性期には上肢の固定、鎮痛剤の投与などが行われますが、その後は原因となっている疾患の治療に準じます。

◎投球骨折

 投球動作では腕を振るときに上腕骨を外側へひねるような力が加わります。この力によって上腕骨の骨幹部(中央あたり)にらせん状の骨折を生じることがあり、これを投球骨折といいます。同じ様な骨折は腕相撲でも生じることがあります。
 骨折部の転移が少なければ固定をおこないます。転移が大きく整復できないときや、とう骨神経まひが合併しているときは手術が行われます。

日時:2011年9月 7日 11:36
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肩のおものな病気 つづき


◎反復性肩関節脱臼

 外傷による肩関節の初回脱臼以後、上肢の運動に伴い脱臼が繰り返されるものを反復性肩関節脱臼といいます。外転・外旋位(からだの脇で投球するときの姿勢)で脱臼しやすく、症状としてはこの状態での不安感や脱臼時の疼痛・違和感などがあります。自然に整復されることもあります。
スポーツや日常生活に支障がある場合は損傷された軟部組織を修復する手術などがおこなわれます。

◎鎖骨骨折

 転倒などによる肩の側面からの外力により生じます。鎖骨部の腫脹、疼痛、変形が見られ上肢の挙上が制限されます。レントゲン検査により骨折が診断されます。中央三分の一の骨折では鎖骨バンドなどによる固定で治療するのが基本ですが、遠位端の骨折で烏口鎖骨靭帯が断裂している場合や骨片が皮膚を突き破りそうな場合などは手術適用となるでしょう。

◎肩鎖関節脱臼

 鎖骨骨折と同様で転倒などによる肩の側面からの外力により生じます。肩鎖関節は鎖骨と肩甲骨との間の関節で、鎖骨を方のほうに触れていくと前のほうに曲がっている部分があり、その2〜3センチさらに外側にあります。この部分に痛みがあり、脱臼があきらかであれば突出による変形が見られます。上肢を挙上すると痛みを感じます。レントゲン検査により肩鎖関節のずれが確認できます。
 程度が軽ければ治療は上肢の安静が中心で、絆創膏固定のうえ三角巾や包帯で固定しますが、放置しても時間とともに痛みはなくなり変形だけが残ることが多いでしょう。ずれが大きい場合には肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯が完全に断裂しているため手術となります。


肩のおもな病気 つづき


◎石灰沈着性棘上筋腱炎

 肩の腱板に石灰沈着する急性炎症で、発症時は夜も眠れないほど疼痛が強いのが特徴です。レントゲン検査で腱板に石灰沈着が見られます。消炎鎮痛薬、副腎皮質ステロイド薬の腱峰下滑液包注射が有効です。急性期には石灰の穿刺吸引もおこなわれます。石灰は炎症の消失とともに収集される傾向にあります。

◎野球肩障害

 投球動作を繰り返すことにより肩関節周囲に炎症や損傷などが生じ、投球動作により痛みが生じる状態です。痛みを生じる部位としては、腱板その他の腱組織、関節唇(関節を作っている肩甲骨側のくぼみの周囲にある軟骨)、肩甲骨と上腕骨をつないでいる肩甲上腕靭帯、腱板の周囲に存在する滑液包などでいずれも局所への過度の負担がかかることによって炎症性変化や損傷が生じたものと考えられます。投球動作は全身運動であるため、時には下肢の問題により肩に負担がかかっているような場合もあり、投球フォームのチェックをおこない問題を見つけ出すことが重要です。

◎肩関節脱臼

 転倒などにより肩関節が脱臼する外傷です。ほとんどは前方への脱臼で、肩の疼痛のため腕は動かせなくなり肩関節前方に脱臼した骨頭を触れます。レントゲン検査により脱臼を確認できます。関節か(関節を作っている肩甲骨側のくぼみ)のふちや骨頭の骨軟骨が脱臼字にすれて損傷を生じたり、大結節の骨折を合併することがあります。治療はすみやかに脱臼を整復することが必要で、時には麻酔をかけて整復します。整復後は上肢を安静にし、時間の経過ともに徐々に運動を開始します。合併症としてエキカ神経まひ、反復性肩関節脱臼があります。


肩の主な病気


◎頸肩腕症候群

 頸部、肩、腕から手にかけての痛み、しびれ、筋力低下、循環障害などの自覚症状を呈する病気で原因が特定できないものを指します。多くはパソコンなど上肢を長時間使用する環境で頸部から肩、上腕にかけての筋の疲労などに伴って発症し、自律神経症状などが加わります。頸椎症や頸椎椎間板ルニアなどの頸椎疾患や胸郭出口症候群、肩関節疾患の一部などにおいても同様の症状が出ることがあり、これらの病気を鑑別する必要があります。

◎肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)

 肩には腱板という幅広い腱が存在します。この腱板は肩関節の外転(腕を上に上げる動き)や外旋(腕を外へねじる動き)運動をおこなうときに働きますが、肩関節周囲炎ではこの腱板に加齢の要素が加わって炎症が生じ、外傷がないのに痛みが持続する状態となります。
 40さいくらいからあきらかな誘因がなく発症して、腕を上げるときの痛みや夜間など自発痛(動かさなくても痛みがある状態)が生じます。痛みのために上肢を動かさないでいると徐々に関節が拘縮(運動範囲が狭くなる)します。数ヶ月から一年程度で徐々に痛みは改善しますが、拘縮を生じると疼痛が長く残ることがあります。

◎肩腱板障害

 腱板という腕を上げる働きをしている腱が切れるため、上肢挙上障害(腕が上がらない)あるいは挙上するときの方が痛むなどの症状が出る疾患です。中年以降に生じ、手の過度の使用や加齢によって腱板に磨耗や変性が生じたために比較的軽い外傷で発症します。典型例では腕を90度まで介助してもち上げた状態で、そのままの位置を続けるようにさせて支えている手を離すと、その位置を保つことができず腕が落ちてしまいます。また、挙上できる鈴では70度あたりまで外転すると疼痛が生じますが、その位置を過ぎれば痛みが減少する症状がみられます。これは腱板がついている上腕骨の大結節が肩の肩峰に近づき、腱板が間にはさまり痛みが出るためです。

日時:2011年9月 3日 10:04
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末梢神経損傷


 それぞれの外傷による神経損傷で、運動まひ、知覚麻痺、筋萎縮、自律神経障害を生じます。末梢神経損傷の重症度は、1まひが一時的で数ヶ月以内に完全に自然回復するもの、2自然回復するが、神経が切れており、神経は徐々にしか伸びないため回復に時間がかかるもの、3神経が切れておりそのままでは回復しないもの、の三種類があります。外見からは区別できません。神経幹刺激試験、末梢神経伝達速度検査、筋電図検査などが必要です。
 感覚や筋力が回復する時間は限られており、3の場合には遅くとも数ヶ月以内に手術を受ける必要があります。

◎腕神経叢損傷

 頸椎から手にいく神経は5本ありますが、これらが外傷によりひっぱられて生じる神経損傷です。オートバイ事故や転落事故、重いものの落下などで起こります。分娩時にも生じることがあります(分娩まひ)。損傷された神経の数や部位によりまひの型が異なります。脊髄から神経が引き抜かれている(引き抜き損傷)は修復不能です。神経を展開して損傷部を確認し修復可能であれば神経移植術を、不能であれば神経移行術をおこないます。

◎とう骨神経損傷

 上腕骨中央部の骨折や肘上での骨折、睡眠中の圧迫、上腕部への注射などでおこります、症状としては手首や指を伸ばすことができなくなり(下垂手)、手の甲の親指と人差し指の間の部分の感覚がにぶくなります。

◎正中神経損傷
 
 前腕屈側の切創、上腕骨か上骨折などでおこります。親指から中指までと、薬指の親指側と、手のひらの感覚が傷害されます。手首を手のひら側に曲げる筋の一部、親指ー中指の指屈筋、短母指外転筋がまひします。

◎尺骨神経損傷

 肘周囲の骨折に合併することがあります。症状は肘部管症候群と同じです。

◎総ひ骨神経損傷

 膝の靭帯損傷、ひ骨小頭(膝の外側や後ろにある骨の出っ張り)の圧迫などでおこります。症状としては足首や足の指が上へ持ち上がらない下垂足や、足の甲や下腿の外側がしびれたりします。

日時:2011年9月 1日 09:39
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末梢神経障害(絞扼性神経障害)


 絞扼性神経障害は、神経の走行している経路のうち骨や靭帯などにより周囲を囲まれた構造になっている部位で神経が絞扼される(締めつけられる)ことによって生じる神経障害のことで、別名トンネル症候群ともよばれます。絞扼部位からさきの末梢神経に症状がみられます。

◎手根管症候群

 手首よりやや末梢の手のひらにある手根管という管での正中神経が圧迫され、親指から薬指の指先がしびれたり、腕の痛みを生じる病気です。夜間から朝方に症状が強くなるのが特徴です。進行すると親指の付け根の筋が萎縮し、物がつまみにくくなります。中年以降のじょせいにおおくみられます。

◎肘部管症候群

 肘の変形性関節症・ガングリオンなどや、小児期の骨折による外反肘・内反肘変形により生じます。中・高年の人が多く、肘の痛みと薬指・小指と小指球(てのひらの小指側の膨らんだ部分)の痺れが出ます。進行すると手の中にある指を横に開閉する筋がやせて、指先で物がつまみにくい、小指が曲がって伸ばせないという症状が出ます。

◎尺骨神経管症候群(ギヨン管症候群)

 手関節部での尺骨神経の障害で肘部管症候群と同じあるいはその一部の症状が出ます。シビレは、手のひら側のみで甲側にはでないのが特徴です。原因としてはガングリオンなどの腫瘤による圧迫が多くみられます。

◎足根管症候群

 足の内側のくるぶしの下での脛骨神経の障害で、足底の知覚障害と母指外転筋などの足部の筋力低下が見られます。


各部位の症状ー皮膚の異常(色が変わる・かゆい)


◎皮膚の色が変わる

  紅班のできる病気で感染症以外にも各種の紅班症、赤あざ(血管腫)、酒さ(赤鼻)の場合があります。赤あざは生まれたときからある赤い斑点で、酒さは酒飲みに多く見られ、鼻のさき、ほおやあごにみられる赤い血管拡張です。
 赤い色のほかには、そばかす、しみのような色素沈着症、白班を生ずるしろなまずがあります。
 黒色になるアジソン病、ほくろなど、紫斑のできる紫斑病、黄色くなる胆石症や肝炎などによる黄疸があります。

◎皮膚がかゆくなる

 かゆみは皮膚病の特徴のように思われていますが、自覚症状としてあらわれるものはそう多くはありません。湿疹、薬や化学物質に触れてできるかぶれ、浮腫性で引っかくとはれるじんましん、皮膚掻痒症、神経皮膚炎、陰部や足の指間にできる湿疹様の白癬、他人から感染して皮膚の柔らかいところにできる疥癬、中心に水疱を持った赤い丘疹である小児ストロフルスなどがおもなものです。
 全身病によるかゆみとしては次のようなものがあります。
 糖尿病のときには、全身がかゆくなることがあります。そのほか皮膚のかゆみを強く訴える神経症があります。
 そのようなものでも、かき続けると慢性湿疹のような皮膚変化を帯びてくるものです。


各部位の症状ー皮膚の異常(発疹・かたさの変化)


◎発疹ができる

 皮膚や粘膜にできる斑点などの変化を発疹といいます。発疹にもいろいろあります。赤い斑点で皮膚から高まっていないのは紅班、皮膚面から少し高まったものを丘疹、その大きなものを結節、透明な液が皮膚にたまったものを水泡、黄色の膿を持つものをのう胞、水泡やのう胞が破れ、ない液が皮膚片やほこりとまみれて固まったものをか皮、皮膚面からはがれ降りる角質の破片を鱗せつまた落せつ、表皮が破れ鮮紅色のただれた皮膚面がむき出しになった状態をビラン、真皮、皮下組織にまで及ぶ皮膚の欠損が潰瘍です。
 高い熱とともに発疹の出る場合は伝染性の病気が多く考えられ、はしか(麻疹)、猩紅熱、発疹チフス、腸チフス、膠原病も考えられます。
 はしかの発疹は、いったん下がった熱が再び発熱するときに出ます。
 熱が軽いかでなくて発疹のできる場合は、水疱瘡、風疹、小児ストロフルス、湿疹、じんましん、薬疹、梅毒などが考えられます。水疱瘡では紅班が水泡となり、黒いか皮に変わります。風疹では全身に発疹ができます。じんましんは強いかゆみを伴います。
 水ぶくれのできるものに、水疱瘡、水泡症、ヘルペスがあります。

◎皮膚のかたさが変化する

 皮膚が厚くなるもの(角化)には、魚の目、たこ、とりはだ、さめはだ、乾癬、角化症などがあります。栄養障害では弾力がなくなります。手足から全身の皮膚が硬くなってツルツルした感じになるのは強皮症です。


各部位の症状ー毛・爪の異常


◎毛の異常

 脱毛症のうち、ホルモン(内分泌)の異状によって毛が薄くなったり、色が変わったり、切れたりすることがよくあります。
 バセドウ病や甲状腺機能低下症、シモンズ病、小人症、丹毒、急性の感染症の場合です。甲状腺機能低下症では、まゆのがいそく三分の一が脱毛し、他にむくみなどが特徴的です。出産のときに大量出血を起こしてなるシーハン症候群では無気力、低血圧が主症状ですが、わき毛や陰毛がなくなるのが特徴です。出産とは関係のない下垂体前葉機能低下症では脱毛が見られ、病変が下垂体から視床下部まで及ぶと、体がやせてきます。
 丹毒は連鎖球菌の感染によるもので、皮膚に傷があるところに起こってきます。発熱、倦怠感といった全身症状とともに、病変部の皮膚は赤く、かたくなり、圧痛があり、その境界は明瞭です。
 逆に、毛が多く、濃く、かたくなったりすることがあります。主として、副腎の病気でみられます。クッシング症候群では、顔は赤く満月様で、肩や腹は肥満し、ニキビが顔や背中にたくさん出ます。下腿や顔、背中が毛深くなり、腹部や上肢、下肢の付け根辺りに皮膚の裂けた線状ができ、下肢、上肢に皮下出血がよくおこります。
 副腎性器症候群は、子供に見られるまれな病気で、副腎で作られる男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌過剰のために、性徴異常、特に男性化の症状がみられます。男子では性早熟、女子では陰核の肥大や多毛症などが見られます。
 白髪は、高齢になると生理的にも増えてきますが、遺伝的にわか白髪になる人もあり、消耗性の大病や精神的労苦のあると急に増えることも有ります。

◎爪の異常

 貧血のとき、スプーン形に爪が反り返ることが有ります。
 チアノーゼのある心臓の病気、肺の病気のとき、爪が大きく逆に丸みをおびてきます。


各部位の症状ー手足の筋力の異常(知覚麻痺・筋力低下)


◎知覚麻痺
 
 知覚が全くないもの、多少悪いもの、触っただけなのにいたいと感じるようなもの、さわりもしないのに皮膚がピリピリしびれた感じになるものなど、さまざまな知覚麻痺があります。
 知覚麻痺は手足の先のほうに起こることもあり、片側のことも両側のこともあります。 
 脊髄の病気で、下半身が全く麻痺することがあります。脊髄ろう、髄膜炎、脊髄腫瘍、脊髄外傷、脊椎外傷などがそれです。脊髄空洞症では、左右非対称の筋萎縮や温度覚のみの障害(触覚や深部感覚は保たれている)、排尿障害、下肢のつっぱりなどがみられます。
 脳の病気として脳卒中、脳炎、脳腫瘍、末梢神経の病気として多発神経炎で知覚麻痺を起こします。

◎まひ以外の筋力低下

 脳神経の病気以外の多発性筋炎や進行性筋ジストロフィーなどの筋肉の病気や、重症筋無力症や肺がんの一部で見られる神経と筋の間の情報伝達の障害を起こす病気でも、筋力の低下がしばしば見られます。
 多発性筋炎では、左右非対称に全身各所の筋が痛くなったり、弱くなったり、筋萎縮が起こり、発熱や倦怠感がみられます。
 進行性筋ジストロフィーは遺伝性、進行性の筋肉の病気で、子供に多いですが、必ずしも子供だけの病気ではありません。おもな症状として、筋萎縮、筋力低下(脱力)、腱反射の衰弱・消失などが見られます。
 重症筋無力症は、朝方に比べ夕方に筋力低下が悪化するのが特徴です。周期性四肢まひは飲酒や糖分を多くとったあと、夜中や早朝に急に上下肢ともに筋力の低下をきたすものです。この筋力の低下は数時間から数日で回復するのが特徴です。
 テタニーは、一つの病気というよりは、ひとつの病的な状態で、血中のカルシウムが低下したときに起こります。精神的不安感がおこり、手足がしびれ、そのうち手足がかたくなってけいれんします。


各部位の症状ー手足の筋力の異常(運動まひ)


 筋力低下や感覚の異常を起こす病気は、脳神経や筋の病気によることが多く、急に起こるものと、気がつかないうちにだんだんおこるものとがあります。
 脳卒中などの血管障害は、脳・神経系の病気のなかで最も急に始まるものです。比較的急なものとしては、脳炎、髄膜炎などの急性の感染症・炎症の場合があります。ゆっくり始まる代表的なものは変形性疾患で、パーキンソン症候群などがあります。症状に波のある場合としては、血管障害の再発の繰り返しや脱髄疾患がその代表です。

◎運動まひ

 手足が完全にきかない、”完全麻痺”と、少しは聞くが十分ではない”不完全まひ”があります。また、つっぱっている”強直性まひ”と、だらりとしている”弛緩性まひ”とがあります。片方の手か足だけ麻痺してる場合、片方の手も足もすべてまひしている場合(片まひ)、両方の手、あるいは両方の足だけが麻痺している場合など、組み合わせは多様です。
 脳の病気で麻痺を起こすのは、高齢者では脳出血、脳梗塞(脳なんか)が多く、若い人では心臓弁膜症などの心臓病のある場合、心臓から血栓が流されて脳の動脈に引っかかり、脳塞栓となって片まひを起こすことがあります。
 脊髄の病気としてはポリオ、脊髄症、、脱髄疾患(多発性硬化症など)、髄膜炎、脊髄腫瘍、脊髄外傷、筋萎縮性側索硬化症などでまひが起こります。変形性頸椎症は骨粗しょう症の進んだ高齢者には多い病気です。



各部位の症状ー腹のしこり


◎上腹部のしこり

 上腹部に触れるものなら胃がん、膵がん、肝がんなどがあります。胃がんでこぶが触れる程度になると、だるさや貧血など、他の症状も出るのがふつうですが、肝がん、膵がんでは、初期症状があまり現れません。しこりの触れるようながんは、かなり進んだものです。

◎右上腹部のしこり

 右上腹部のこぶは肝臓、胆のう、結腸、腎臓などのがんである可能性が高く、胆嚢がはれてこぶとして触れるものは、痛みや黄疸があるのが普通です。
 高齢者では痛みもなく胆嚢が腫れることがあります。膵臓のこぶで、かつて受けた外傷がもとで大きく腫れるようなものがあります。

◎左上腹部のしこり

 左上腹部にこぶができるものに脾臓のはれものや、腎臓のこぶ、腎臓のがん、嚢胞腎があります。

◎中央部のしこり
 
 腹の中央部にかたいこぶが触れ、それが脈と一緒に拍動している場合もあります。大動脈の動脈瘤です。

◎下腹部のしこり

 下腹部にこぶの触れる病気として卵巣嚢腫や子宮筋腫があり、非常に大きくなることが有ります。また、妊娠した子宮をこぶだと思ってあわてる人もいます。

◎右下腹部のしこり

 右下腹部のこぶとしては、がんのほかに、虫垂炎の跡などのこぶがありますが、がんとの区別は難しいようです。
 右下腹部も左下腹部もがんができやすく、回盲部がん、直腸がんやS状結腸がんなどもあります。

◎部位不定のしこり

 遊走腎といって腎臓が非常に動きやすく、腹であちこち位置を変え、これをこぶとして触れることがあったリ、大便が腹にたまってこぶのように感じる場合など、全然心配のないものもあります。手術すべきものと、手術の必要のないものとが有ります。いずれにせよ、腹にしこりがあり、しかも痛みもないものには、がんなど悪性のものが多いのです。


各部位の症状ー腹がふくれる


◎嚢状にふくれる

 腹壁の一部から腹膜が嚢状にふくれだし、そのなかに腹腔内臓が出てくる腹壁ヘルニアでも、腹の一部が出てきます。この場合は、患者を寝かせると、腫れがひいてしまうのでわかります。立ったときに下腹部がふくれ、寝かせると小さくなるもの、内臓から発生する腫瘤があります。寝かせると、下腹部にこぶし様のかたまりが触れます。

◎腹水がたまる

 腹に水がたまると、腹が膨らんで見えます。腹水といいます。全身にむくみの起こる病気で、心臓の病気、肝臓の病気などにみられます。
 心臓の病気では、心臓のポンプ作用がおろとろえてきたとき、心不全になり、肝臓もはれ、腹に水もたまってきます。
 弁膜症、心筋疾患のある心臓病のときなどがそうです。また、心臓に血液が戻るのをさまたげられているような状態でも、肝臓・脾臓などがはれ、腹水がたまります。収縮性心膜炎などの場合もそれです。
 腎臓の病気では、ネフローゼ症候群のとき腹水が著しく出ます。この病気のときはむくみのわりに全身状態はよく、むくみが出てはじめてきずくというような場合も少なくありません。
 門脈系の圧の高いときにも腹水が生じます。肝硬変、脾臓の病気などでみられます。横向きに寝かせると、腹の中の水が下側に移動し、その部分がふくれて飛び出します。
 腹水が多くなると、横にしても水が移動できなくなりますので、あまりかたちが変わりません。

◎腸にガスがたまる

 腹が大きくなる原因の一つに、腸のガスが多くなる状態が上げられます。腹がはり、軽くたたくとポンポンと鼓のような音がします。
 急に起こって激しい腹痛を伴うときは、急性腹膜炎、イレウス(腸閉塞)や食中毒などが考えられます。
 習慣性便秘など、はっきりした病気がなく、腹がはって困るというような場合は、便通を整えてみて、よくなるようなら心配は要りません。


各部位の症状ー歯の異常


◎歯が痛む
 冷たい水や空気に触れたときだけに歯が痛む場合は、初期の虫歯や歯のすり減ったときが考えられます。このような初期に歯の治療をすれば、簡単に完全に治ります。
 ひとりでにズキズキ痛む場合は、急性の歯髄炎や歯根膜炎からあごの骨の炎症に移行する時の痛みで、激しくて夜も眠れないこともあり、ときに頭や耳までひびきます。
 歯髄膜炎では、歯を動かしたり、たたいたとき、かみ合わせたときにも痛みがあります。
 虫歯も歯根膜炎が進むとなかなか治りにくくなります。

◎歯が浮く、歯がゆるむ

 熱のある病気、腎臓病、糖尿病などでは、歯が浮いていて食事がとりにくくなることがあります。
 また、あまりすっぱいものを食べたときや、かたいものをかみすぎたときなども歯が浮きます。
 歯の周囲の骨や歯根膜に炎症のあるときや、歯槽膿漏やあごの腫瘍で、歯のまわりの骨が吸収・破壊されたとき、歯はゆるんできます。
 金属をかぶせた歯がゆるみ、にぶい痛みを感ずるのは慢性歯根膜炎です。

◎歯ぐきから血が出る

 歯を磨いたり、りんごをかじったときに血が出るのは歯肉炎が考えられます。奥歯の根のところが赤くただれてくずれ、歯が浮くようなときは、がんや肉腫、血液の病気の徴候のこともあるので注意が必要です。
 少量の歯ぐきの出血は、歯肉炎や歯槽膿漏のときに見られ、血が持続してとまりにくいときは、血液病(白血病、紫斑病、壊血病、血友病)の疑いも考えておかなければなりません。

◎歯ぎしり

 歯ぎしりは、精神の過度の緊張や無意識に力が入って咀嚼筋がけいれんを起こし、かみ合っている上下の歯が左右に運動するときに、すれておとをたてます。

 緊張の原因がなくなれば、自然に歯ぎしりは治ります。神経症に分類されます。


各部位の症状ー声がかれる・首の異常


◎声がかれる
 喉頭炎、喉頭ジフテリア、喉頭がんによるほか、声帯ポリープや反回神経まひなどによっても、こえがかれることがあります。もちろん、単なる声帯の使いすぎやかぜによってもおこります。
 また肺がんのときや、甲状腺機能低下症でも声がかれて、しゃべりにくくなるときがあります。

◎くちびるがはれる
 数日のうちに、首がはれて痛むものには、おでき、リンパ節炎、急性蜂巣炎があり、だんだんグリグリができて長く続くのはリンパ節の病気を考えてよいでしょう。
 甲状腺がはれるバセドウ病や甲状腺腫もくびの前がはれて見えます。バセドウ病は女性に多く、眼球突出、動悸や多汗が主症状ですが、甲状腺のはれは意外に気づきにくいものです。

◎首が痛い

 首が痛い場合には、手を使う仕事をしている人に見られる頸肩腕症候群、頸椎の骨折・脱臼、寝たあとの片側の首が痛む寝違え、肩こりと一緒に首から後頭部にかけて不快な痛みがくる緊張型頭痛などが考えられます。

◎首が曲がる

 首が曲がってくる斜頸や、首が回らない頸椎の脱臼、後縦靭帯骨化症もあります。後縦靭帯骨化症では手の知覚麻痺や歩行障害を伴います。
 首の筋肉が硬直し、発熱・頭痛・吐き気を伴うときには、脊髄の病気、髄膜炎、脳炎、くも膜下出血に注意しなければなりません。


各部位の症状ーのどの異常


◎のどが痛む

 最も多いのはいわゆるかぜです。咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎、扁桃周囲膿瘍では熱も高く、そのほか、咽頭ジフテリアなどが考えられます。
 咽頭・喉頭炎では、のどがかわいてヒリヒリし、発熱・頭痛を伴います。扁桃炎では、痛みが耳にひびき、つばを飲み込むのも痛く口をあけにくくなります。ジフテリアでは、扁桃に白い斑点か膜がつきます。

◎のどがかわく

 夏の暑い日に運動をしたり、入浴のあと汗をかくと、のどが渇くのは当然ですが、特に汗をかかなくても、乾燥したところにいるとのどがかわきます。これは健康な人でも当然おこる生理的な現象で、水分を取れば治ります。
 また、非常に緊張したり興奮したときにも、のどが渇いて水をどんどん飲むことがあります。この場合は一時的なものですから、当然尿が多くなり、心配は要りません。
 鼻がつまり、口だけあけて呼吸していると、のどがカラカラに渇きます。いっぽう、塩辛いものをたくさん食べたり、酒類を飲みすぎると、のどが渇いたように感じます。これらすべての現象は一時的なもので、一晩過ぎて原因がなくなれば治ってしまうようなものです。
 しかし、特に運動もしないのに一日中に何リットルも水を飲んだり、毎晩のように夜中に水を飲みに起きるような状態がおこることがあります。
 一般には尿の量も増えていきますが、尿崩症や糖尿病などがないか、奥調べてもらう必要があります。腎臓の病気、腎不全(尿毒症)でも、のどが渇きますし、顔や手足にむくみがあるときは、甲状腺の機能が低下している場合もあります。
 病気で熱の出ているときには、のどが渇くのは当然ですが、高血圧症や心臓病で利尿薬をたくさん飲んでいるために、のどが渇くことがあります。
 薬を飲んでいてこのような場合は、よく主治医に相談して、やたらに水を飲むような状態は避けるべきです。


各部位の症状ー舌の異常


 舌には健康の一つの指標になります。
 胃が悪いと食欲がなく、舌が白くなったりするほか、尿毒症や脳卒中では茶色く汚いコケがついたり、薬の内容によっては色がついたりします。

◎舌が荒れる、ただれる、斑点

 荒れて痛む、吐き気・下痢・食欲不振を伴うのは、胃腸病、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍です。
 さらに舌が渇き割れるというようなときには、重い全身病、特に肝がん、すい臓がん、直腸がんなどが考えられます。
 ただれて痛むのは舌炎、舌潰瘍など、舌がんでも舌のヘリに治りにくいただれができたり白くなったりします。薬の副作用で、口内炎を生じ、舌にも強い炎症を起こすことがあります。
 赤くはれて動かしにくくなるのは、ほうそう炎、舌炎・潰瘍の進んだもの。
 舌全体に異様な強い痛みを訴えることもあり、舌痛症といわれ、心因的な要因が考えられます。
 白い斑点ができるものには、アフタ性舌炎やガコウソウ、ベーチェット病が考えられます。ガコウソウは、新生児、乳幼児、高齢者にみられ、免疫が低下したり、口腔を清潔にしないと口腔内に常在するカンジダがふえて病変を生じます。口腔粘膜、歯肉、舌表面に扁平な白色膜が付着し、はがしにくいのを無理にはがすと、あとにびらんができたり出血したりします。ベーチェット病では、口腔粘膜に痛みを伴う潰瘍がはじめの症状としてみられ、脈絡膜炎、視力低下、四肢にくるみ大の痛みのある発疹や痛みのある外陰部潰瘍が見られます。
 赤い斑点ははしか(コプリック班)など、小児の急性の感染症に特異的なものがあり、特に川崎病の症状の一つでもあります。川崎病では、発熱後2〜3日で目が充血し、唇も赤くなります。全身の皮膚には赤い発疹が出て、口の中も赤くなり、したはいちごのように赤くブツブツになるのが特徴です。

◎舌のシビレ

 舌のシビレは、薬物中毒や糖尿病などで起こり、神経筋疾患で舌にしわがよって小さくなることがあります。


各部位の症状ーくちびると口の異常


◎くちびるの異常

 かぜのときのヘルペスなどのほか、くちびるがあれる場合には、急性胃炎、熱の出たときがあります。ただれる場合には性病も考えられます。
 貧血の人は色が薄く、紫がかっている(チアノーゼ)のは先天性の心臓病や弁膜症、タバコをたくさん吸う人などに多いのです。下唇がけいれんを起こすときは、脳・神経疾患の初期症状に気をつけなければなりません。
 くちびるの両端が割れるのは、胃腸の悪いときや、かぜ、ビタミンB2欠乏症に多く見られます。

◎口の異常
 
 ほおの内側や舌などに白いものができて痛いのはアフタ性口内炎、ベーチェット病、白板症、子供の場合には、はしかなどが考えられます。口腔カンジダ症では白いブツブツが広がるようになります。口の中がはれるものには口の粘膜の病気があります。
 破傷風やあごの病気のために、口が開きにくくなることがあります。

◎口が臭い

 歯槽膿漏や歯肉炎のほか、のどの病気、肺壊疽など呼吸器の病気、慢性胃炎、胃がんなど消化器の病気でも臭くなります。病気でなくても、歯をよく磨かない人やタバコをすう人の口は臭いです。

◎口が渇く

 精神的に緊張したとき、入れ歯をしたあと、高熱・下痢の場合などのほか、全身的には糖尿病、局所的には口内炎がある場合に口が渇きます。


各部位の症状ー鼻の異常



◎鼻汁が変わる

 急性鼻炎の場合が多いのですが、はじめ鼻の中が乾いて痛いような感じがし、水性の鼻汁が出て、だんだん濃い、膿のようなものになります。
 さむけや熱が伴います。急性副鼻腔炎では、多く片側の鼻づまりがひどく膿汁がでます。
 慢性鼻炎でも鼻づまり、膿汁を出します。慢性副鼻腔炎でも同様です。

◎鼻がつまる(鼻閉)

 扁桃肥大やかぜの初期によく起こる症状です。鼻のガンは見逃せない原因です。片側性の血が混じる鼻汁が続くようであれば、早めの診察がよいでしょう。

◎鼻血が出る

 鼻を打ったときや強くかみすぎたとき、何かで鼻内を傷つけたときにはだれでも出血します。出血しやすい場所がな鼻とのどの境にあります。
 高血圧や心臓の病気、肝臓の病気、白血病、紫斑病など出血を伴う病気のときも、しばしば出ます。
 鼻茸(はなたけ)(出血性)、悪性腫瘍、鼻ジフテリア、月経時のほか、交通事故の際の鼻血は頭蓋底骨折の場合があるので、注意しなければなりません。

◎臭覚の異常

 鼻の病気のために嗅覚神経がおかされて末梢神経に臭気が届きにくくなる関係から、臭覚がにぶくなることがあります。かぜや副鼻腔炎のときに起こります。
 臭覚が過敏になることもあり、ヒステリー、神経衰弱、妊娠、月経時などによく見られます。また実際には匂いがないのに、においを感じること

◎くしゃみ

 ある物質に対するアレルギーによるのがアレルギー性鼻炎で、多くは目のかゆみ、くしゃみ、鼻汁、鼻づまりの症状がみられます。有名なスギの花粉によるものは早春に、ブタクサによるものは夏から秋におこります。
 これに対し、血管運動性鼻炎では、特にアレルギーを起こすものが見当たらず、くしゃみや急な鼻汁がみられ、目の症状はすくないのがふつうです。


各部位の症状ー耳の異常


◎耳が痛い

 急性中耳炎、外耳の病気などが典型的なものです。中耳炎はかぜに続いておこり、頭痛を伴います。外耳の病気では食物をかんだり飲み下したりすることが困難なほど痛みます。耳管狭窄症(耳管炎)では耳の奥がキンキン痛みます。イヤホンや反響する室内で大きな音を聞いた後耳痛を訴える、音響外傷では、鼓膜が破れていないか注意します。

◎耳鳴りがする

 一般に外耳、中耳の悪いときには低い音、内耳が悪いときには高い音がします。耳の炎症や高熱を伴う病気のときなどにあり、メニエル病ではめまいといっしょにおこります。高血圧症、更年期障害、脳腫瘍などでも起こります。原因のわからないことが少なくありません。

◎耳だれが出る

 健康な人でも、耳あかが非常に柔らかく流れ出すことがあります。また、耳に入った水が耳垢を溶かして出る場合もあります。多くは慢性中耳炎、外耳道炎、外耳道のおできなどが原因です。

◎難聴

 難聴は耳の病気、ときに鼻の病気に伴って現れます。外耳道や中耳が故障したときは、聞こえにくくなっても大きな音は聞こえます(伝達難聴)。内耳から聴中枢の系統がおかされると、高い音が聞きにくくなります。(感音難聴)。
 耳あか、中耳炎、耳管狭窄症などで伝音系が故障する他、騒音性難聴や老人性難聴があります。内耳や聴神経がひどくおかされると、ついには全然聞こえなくなることもあります。


各部位の症状ー目の異常(見えにくい)


◎見えにくい
 視力が落ちる場合と視野が狭くなる場合とがあります。視力が落ちる場合、最も多いのは、近視、遠視、乱視、老眼です。いずれも目の水晶体の調節作用が弾性的におこなわれなくなったためにおこるもので眼鏡によって調節します。
 白内障は、高齢者に多く、糖尿病性、目の外傷後、生まれつきのものもあります。瞳の奥(水晶体)が白くにごって見えます。緑内障は瞳の奥が青く見えるもので、だんだん視力が落ちることが多いのが特徴です。角膜ヘルペス実質型、ぶどう膜炎のほか、ビタミンの欠乏によって起こるものがあります。
 ビタミンAが欠乏すると、とりめ(夜盲)がおこり、夜間や暗いところで物が見えなくなります。ビタミンB1の欠乏に視神経炎が有り、明るいところではまぶしく、見ようと思うところに影ができます。ビタミンB2の欠乏によるびまん性表層角膜症では、くろめに薄い濁りが無数にでき涙が出ます。
 目のぶどう膜と網膜に炎症を起こす膠原病の一つにベーチェット病があります。視力の落ちる網膜の病気としては、硝子体出血、中心性しょう液性網脈絡膜症、網膜はく離などです。いずれも全身の重大な病気と考えるべきです。視神経萎縮でも視力が落ち、脳腫瘍の場合には視野の欠損が起こります。

◎色の区別がつきにくい
 遺伝的に色の区別がつきにくい色覚異常(色盲)があります。前色盲はまれで、日本人は、赤系緑系の識別に少々困難を感ずる赤緑色弱が多いのが特徴です。


各部位の症状ー目の異常(はれる・赤い)


◎目がはれる、痛む

 目にごみが入ったり、突いたりしたとき、目頭に粒腫ができたとき(外麦粒腫、内麦粒腫)のほか、炎症があります。目頭の皮膚が赤くはれて痛みが強く、ときに発熱があるのは涙嚢炎です。まぶたや結膜がはれて充血し、瞳の奥が黄色く見え、くろめが曇るのは全眼球炎で、失明状態に至ります。
 発熱や過労のあとに、角膜に小さな水泡ができたり、それが破れて潰瘍になるのは角膜ヘルペスです。涙がたくさん出て、再発を繰り返します。治療後も白斑が残ると、視力はすこぶる低下します。

◎目が赤い、目やにが出る

 急にしろめが真っ赤になったような場合、単に結膜下出血であるならば、何の心配も要りませんが、もし眼底出血ですと重大です。
 赤いうえに目やにが出れば、たいてい結膜炎です。もっともふつうに見られるのは細菌性結膜炎で、結膜は充血出血し、目ぼしができ、粘液膿性の目やにが出ます。目やにが黄色膿性で、固まらず絶え間なく分泌されるのは、淋菌性結膜炎です。目やには、少ないが、まぶしく涙が多く、まぶたの裏に白い幕がかかり、ブツブツができるようなときには、流行性角膜炎です。まぶたの裏側に白い膜がかかり、ブツブツができるようなときには、流行性角結膜炎です。まぶたの裏側の結膜面に灰白色の膜がかかり、この膜から出血しやすいような場合には、偽膜性結膜炎、春季カタルが考えられます。
 裏まぶたに透明な水泡状の粒ができて、一見トラコーマと疑われるものに濾胞性結膜炎があります。


各部位の症状ー顔の形が変わる


◎顔の一部がふくれる、はれる

 顔の一部分の外傷や腫瘍のように外からみてすぐにわかる場合のほか、耳鼻咽喉うや歯・あごの病気のために腫れる場合、内臓の病気などによってむくむ場合、脳・神経の病気や精神の病気が原因で表情が変わる場合、などがあります。
 流行性耳下腺炎は子供に多いのですが、耳の下から一面にふくれて、俗におたふくかぜといわれています。
 押すと痛みがあり、腫れがひどくなると痛みのために口を大きく開けることができなくなり、かたいものを食べられなくなります。虫歯や歯槽膿漏からおこる急性化膿性の歯根膜炎や智歯周囲炎では、頬やあご、時には上くちびるが急に腫れます。
 三叉神経痛では、顔がぴりぴり痛んで形が変わり、夜も眠れないことがあります。

◎まひ

 顔面神経まひや脳卒中では、まひのために顔の片側の緊張がなくなって、よだれを垂らしたり、片方の目が閉じにくくなります。
 顔面神経まひは、神経が急につめたり温度にさらされるとき、例えば窓を開けて冷たい風にあったったまま眠ったときなどにおこります。

◎けいれん

 発作時に顔の筋肉の一部にけいれんを起こすのはチックで、てんかんや破傷風では、突然笑ったような顔つきになります。

◎無表情
 パーキンソン症候群のときには、無表情な顔つきとなるのが特徴です、そのほか、小刻み歩行、手足のふるえ、聞き取りにくい小さな声がパーキンソン症候群ではみられます。

◎むくみ

 顔がむくむのは、急性子球体腎炎、ネフローゼ症候群などです。腎不全に加え、心不全時にも全身のむくみの一環として顔面のむくみが出現します。

◎目がでたように大きい
 
 目が飛び出したようにギョロッと大きくなるのは、目の腫瘍やバセドウ病の特徴で、やせたり、動悸がしたりします。


各部位の症状ー脳と神経の病気2


◎炎症による頭痛と発熱

 脳腫瘍は頭痛、嘔吐、視力障害などで始まります。感染症の代表は脳炎と髄膜炎で、発熱、頭痛、けいれん、頭の強直、意識混濁を起こす危険な病気です。このほか、中耳炎や先天性心疾患に合併する脳膿瘍などがあり、進行まひ、脊髄ろうなどの梅毒やポリオなどもあります。

◎脳・神経・筋の変性疾患

 パーキンソン症候群、脊髄小脳変性症が代表的な変性疾患で、発作性に血圧が下がり、意識消失がおこることもあります。脊髄小脳変性症は多くの病型の総称ですが、共通の症状は、体のバランスを失う、眼球が自動的周期的に一定方向へ動く、などが見られます。
 神経・筋疾患では、筋萎縮、筋力低下が手先や足先から始まることが多く、筋肉が小さく部分的にけいれんすることがあります。筋萎縮性側索硬化症、脊髄性進行性筋萎縮症、進行性ジストロフィー、多発性筋炎、中毒性の病気などであらわれます。
 重症筋無力症、周期性四肢まひでは、手足などの筋肉に力が入らなくなったり、またよくなったりします。

◎けいれんと意識障害

 発作的に意識喪失がおこり、同時に、けいれん(ひきつけ)があらわれます。気をうしなって倒れ、全身の筋肉を硬直化させ、次に十数秒間ガタガタとふるえ、泡を吹きます。脳の血管障害や腫瘍など、あらゆる脳の病気や傷でてんかんは起こりますが、これを症候性てんかんといい、脳の病気が証明できないものを真性てんかんといいます。


各部位の症状ー脳と神経の病気1


 脳・神経の異常は、手足の麻痺や意識障害、言語障害などから気づかれます。経過として急に起こってくるものと、気がつかないうちにだんだんおこってくるものがあります。
 脳卒中などの血管障害は、脳・神経系の病気のなかでももっとも急に始まるものです。比較的急なものとしては、脳炎、髄膜炎などの急性の感染症・炎症の場合があります。ゆっくり始まる代表的なものは変性疾患で、パーキンソン症候群などがあります。内分泌・代謝異常、中毒、老化現象によるものもそうです。
 症状に波のある場合としては、血管障害の再発の繰り返しや脱髄疾患がその代表的なものです。その現れ方は、大脳から末梢までの運動神経のどこかに障害があると、原因に関係なく、そのいく先の筋肉が運動する力を失います。

◎知覚鈍ま
 知覚神経のどこかに病変・障害があると、それに応じて視力、聴力、知覚、嗅覚など感覚の障害が起こり、感度がにぶくなったり、しびれたり、痛んだりします(手足のまひ)。
 病気としては、知覚障害、視力障害、手足の麻痺などの症状を繰り返すことが特徴的な多発性硬化症、触った感じはわかるが温覚や痛覚や傷害される脊髄空洞症、バランス感覚や排尿障害を伴う脊髄ろうや梅毒があります。自律神経の障害では、腹痛、吐き気、下痢、脈拍異常、血圧変化その他の循環障害、発汗など全身の調節が悪くなります。脳の高度の障害では意識障害、発熱、失禁など、反射神経の故障ではけいれん、めまい、硬直化などの症状を現します。

◎脳・脊髄の血管障害によるまひと意識障害
 脳内に出血するため意識障害、こん睡状態、呼吸困難、けいれん、嘔吐、発熱、異常発汗などをともないます。
 高血圧の人が突然活動時に発症することが多い脳出血、高血圧など生活習慣病によっておこってくる脳動脈硬化症、半身麻痺や言語障害を伴う脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)、激しい頭痛で発症するくも膜下出血、症状が二十四時間以内に消失する一過性脳虚血発作などがあります。


各部位の症状ー精神の異常2


◎幻覚妄想
 外界に何もないのに見える(幻視)、聞こえる(幻聴)、あるいはなんでもないものを当人だけ特別な意味があると信じ込む(妄想)、特に他人から迫害されていると誤って確信する(被害妄想、強迫観念)など、ある特別なイメージ、観念が浮かんできて、追い払えずに苦しむ状態が多いのですが、逆にそれが愉快でたまらないという状態もあります。統合失調症(精神分裂病)にしばしばみられます。
 妄想は、出現様式によって妄想気分、妄想着想、妄想知覚に分けられます。妄想気分は、周囲が不気味に感じられ、何か大きな事件が起こりそうな不安を感じることであり、妄想着想は、突然原因や動悸なしに「自分は天皇の子孫だ」などと確信することです。
 妄想知覚は何かを知覚した後、了解不能な意味づけをし、それを確信します。躁病や統合失調症では、自己を過大評価する誇大妄想がみられます。また、うつ病では自己を過小評価する微小妄想がしばしば出現します。
 アルコール依存症や幻覚剤などの薬物、頭部外傷のため、脳のはたらきに化学的変化をおこし、幻覚妄想が生ずることがあります。

◎記憶減退・知能低下
 経験したことを思い出せなくなる状態には健忘や記憶力低下があります。全くでたらめの作り話をしたり、思い出せないことを勝手に補うのはコルサコフ症候群といいます。ノイローゼでもそういう徴候を示すことがあります。高齢者では一般に新しいことは忘れやすく、昔のことはよく覚えていて、思い出せます。
 生まれつき知能が低いのは精神発達遅滞、以前には正常だった知能が衰えるのは認知症(痴呆)といいます。知能低下に似た状態は統合失調症や、アルコール中毒、脳性小児麻痺、老化やアルツハイマー病でもあらわれます。

◎感情失禁
 脳血管性痴呆では感情が変わりやすく、少しのことで泣いたり、またすぐ笑ったりします。


各部位の症状ー精神の異常1


精神に障害を起こす原因は、器質性、機能性、心因性の三つの精神病が考えられます。外傷、中毒などで脳に障害を起こし、精神に異常をきたすものを器質性精神障害といいます。心配、不安、悩みなどが高じる精神的影響によって、こころのはたらきに故障を起こすものを心因性精神障害といいます。
 脳や体に何の物質的変化も認められず、精神的な原因もはっきりしない精神障害(統合失調症、精神分裂病、や躁うつ病)があります。これを機能性精神障害(内因性精神病)といいます。
 精神の異常は、振る舞い、顔つき、話し方、話の内容などにあらわれるその人の気持ちの故障から察するよりほかありません。脳に物質的な変化、または病気がある場合(意識混濁状態、記憶減退状態、知能低下状態)と、脳は物質的におかされておらず、病気もない場合とが有ります。

◎思考の乱れ
 支離滅裂になる統合失調症、次々に話題が変わる統合失調症や躁病、逆に渋滞するうつ病、脳梗塞、てんかん、精神発達遅滞などがあります。

◎離人症状
 自分の体が自分のものという感じがしなかったり、外界の状態がよく感じられない状態です。統合失調症、うつ病、または神経症にみられます。

◎興奮
 健康な人も興奮しますが、原因がなくなるとすぐおさまります。病的な興奮では、はっきりした原因もなく興奮し、体が落ち着かなく、多弁になります。躁病や統合失調症、心因性の興奮や、アルコール、覚せい剤による興奮、ステロイドを大量に服用したときなどの薬物による興奮もあります。

◎心気・不安・抑うつ状態
 頭が重い、体の調子が悪い、眠れない、疲れやすい、記憶力が減ったなど心身の不調を訴える状態です。
 神経症やうつ病が考えられます。神経症には不安障害、恐怖症、強迫性障害などがあり、自律神経の失調が高じると、性格異常とみなされることもあります。


各部位の症状ー手足の痛み(神経痛など)


 手足や指の痛みは、神経痛や血管・リンパ管の病気などによってもおこることがあります。
◎神経痛
 神経痛は末梢神経障害による痛みを意味します。臀部から下肢の後ろ側にかけて痛む坐骨神経痛をはじめとして、四肢には上腕神経痛のような神経痛がよくおこるものです。
 神経痛は、病名として取り扱うより症状と考え、できるだけその原因をはっきりさせて、対症療法より原因療法を行うべきです。
 原因としては、帯状疱疹(ヘルペス)というウイルス疾患、糖尿病、中毒、腫瘍や骨による圧迫、椎間板ヘルニアなど色々な病気があります。肺がんでは腕の神経痛がおこることもあります。また原因があきらかでない神経痛もありますが、全部を単純な神経痛としてかた付けないようにしましょう。

◎血管、リンパ管の病気による痛み
 手足へいく動脈や静脈が狭くなったリ、閉塞したりするため、血液が十分循環しないためにおこる痛みです。
 動脈が狭くなったために、血流が減少して起こる下肢の痛みは、歩行時に増強し、歩けなくなることがありますが、いったん休むと、再び歩行可能となる特殊性があります。これを間歇性は行といいます。
 糖尿病、高脂血症、高血圧や喫煙者に合併してくる下肢の閉塞性末梢動脈硬化症は、近年増加しており、間欠性は行がみられます。青壮年の男性にみられるビュルガー病は、閉塞性血栓性血管炎とも呼ばれ、間欠性は行、下肢の安静時疼痛、難治性潰瘍がみられます。このほか、レイノー症候群、リンパ管炎、動脈塞栓症、血栓性静脈炎でも手足が痛むことがあります。

◎その他の痛み
 インフルエンザ、敗血症など、高熱の出る病気に伴って手足や関節が痛むことがあります。
 他に痛みを起こすものに、足の指骨のケーラー病、うおのめ、職業病ノキーパンチャー病などがあります。


各部位の症状ー手足の痛み(炎症・外傷・骨・関節)


◎炎症
 手足、あるいは四肢の痛みは、単純な皮下組織の炎症、蜂巣炎、爪周囲炎、静脈やリンパ管の炎症、腱鞘炎、骨髄炎が多いものです。手足に炎症がある場合、手足の付け根のリンパ節が腫れ、おさえると痛いことが多くなります。痛風は手や足指に尿酸がたまって炎症を起こし、痛みが激しい病気です。特に男性におこりやすく、第1指の関節の発赤、腫脹、熱感などで始まることが多いものです。

◎外傷
 打撲、捻挫、骨折、脱臼のほか、腱断裂のような外傷が有れば痛みます。筋肉痛、つき指は、日常しばしばおこります。

◎骨の痛み
 炎症や外傷ではなく、骨の腫瘍でも痛みます。骨にはガンの転移が起こり、ちょっとした原因で骨折もしやすくなります。慢性では、膝部脛骨前面のオスグッド・シュラッテル病でもおこります。

◎関節の痛み
 関節の痛みが急に起こることがあります。化膿性関節炎で細菌感染によることが多く、子供ではリウマチ熱の部分的症状として発生することもあります。前者は、一つの関節をおかすことが多く、リウマチ熱では、多くの関節が同時に腫れて痛み、全身の発熱が著明です。
 慢性の関節の痛みは関節リウマチに多く、指、ひじ、ひざなどがはれて痛みます。複数の関節が痛み、朝起きたときに手がこわばるのが特徴です。変形性関節症も起こりやすく、膝関節に多発します。


各部位の症状(背中の痛み)


 背中が痛む原因には二つの場合が考えられます。

◎姿勢の異常から
 背中が丸くなって鈍痛が起こる病気には、変形性脊椎症があります。背骨の老化による変形が原因です。
 姿勢の異常の中には、脊柱が左右いずれかに曲がっているものがあり、脊柱側わん症といいます。原因はさまざまですが、特発性脊柱側わん症といって、S字状に曲がっていることが有ります。少女に多く、片方の肩が下がっているとか、片側の背や胸が出っ張っていることで気づかれます。
 椎間板の一部が椎体のなかにめり込んだものをシュモール結節といい、ときに突発的に胸が締め付けられて狭心症と間違われることがあります。
 脊椎過敏症は、上部胸椎を一つか二つたつたたくと疼痛がありますが、全身にわたってはおかされず、背中がつっぱって曲がりにくいことはありません。若い女性に多く見られる疾患です。
 脊椎の圧迫骨折は、高所から墜落して尻餅をついたときによくおこります。背中の胸椎の突起をたたくと激痛が走ります。特に高齢で骨粗しょう症の人でおこりやすくなります。
 背中から肋骨に沿った痛みを肋間神経痛といいます。通常は片側におこるという特徴があります。

◎神経痛、関連痛の場合

 帯状疱疹は、肋間神経に沿って水泡を伴う発疹と神経痛を起こします。
 通常これも片側に起きますが、皮膚の水泡が治ったあとも長期に強い痛みが残ることがあります。そのほか関連痛といって、心臓、肺、腎臓、肝臓、胆のう、胃腸疾患があると、背中が知覚過敏になることがあります。急性や慢性膵炎では腹痛より背中の痛みが主となる場合があります。
 また、腎盂腎炎も女性に多い病気で、尿の回数が多く排尿時異常感を感じる膀胱炎の症状に加え、発熱と片側の背中の痛みが出現します。背中をたたくと痛いのが特徴です。
 肋骨にひびや骨折が起きた場合もよく背中に痛みが走ります。


各部位の症状(肩こり)


 頚椎は運動範囲が広く、重い頭を乗せているので、変形性脊椎症をおこすことがよくあり、肩こりの原因になります。
 変形性の頸椎症は高齢者に極めて多い病気で、肩こりや後頭部痛、重症になれば手の痺れの伴います。骨粗しょう症の強い人には特におこりやすくなります。ムチ打ち症も含め、頸椎の外傷のあとに肩や肩甲骨の内側にこりや痛みを訴える人は多く、頚椎の運動で症状が強くなり、若い人にも見られます。
 これは、背中や頸椎が捻れたり歪んだりしてそれについている筋肉が異常に緊張したり、神経を圧迫されて痛みやコリがおこってくるものです。
 そういったときは、整体で筋肉をまずもみほぐし、捻れたり歪んだりしている背骨を矯正していきます。
 頚椎に関係して肩腕などにこりや痛みを起こすものは頸肩腕症候群と総称しています。キーパンチャーなどの特殊な職業で頸肩から上腕の筋肉を反復して使い、特別の筋肉だけに特に力を入れるとき、筋が疲労し、肩から上腕の痛みを生じます。頸椎の後面に沿って縦走する靭帯が骨化して頸から肩にかけて痛む後縦靭帯骨化症があります。
 頸髄を経て頸椎から肩、背中、上肢へ行く神経が出ていますが、この間で圧迫を受けて肩こりや上肢のだるさなどをおこすのが胸郭出口症候群です。このなかには、両手を頭の下に組んで枕のようにして寝る習慣による、腕や上肢のこりやシビレ等もあります。第七頸椎に先天的に肋骨のはえている頸肋がある場合には、なおさら症状は出やすくなります。ただし、頸肋のある方は、まれですが。
 また、手に行く血管が圧迫されるための血行障害の症状も伴います。肺尖部の肺がんが進行して頸腕神経を圧迫して肩の痛みを起こすことがあります。
 五十肩(肩関節周囲炎)では軽いときは肩こりとして感じます。肘を直角に曲げて上腕を外側に回旋してみれば、必ず回旋制限があるはずです。
 肩関節を外旋させる筋は、まとまって関節包に付着しており、50歳を過ぎれば変形して、外傷がなくても自然に断裂することがあります。このときは上腕を横から上げていくと、約45〜90度でこりや痛みが強くなります。それ以外では痛みが和らぐことが多いようです。これも五十肩によく合併して見られる症状です。この部位に激烈な炎症症状を伴って石灰化がおこることがあり、化膿性炎症、痛風などと間違われることがあります。


各部位の症状ー腹痛(上腹部・下腹部)


◎上腹部
 胃・十二指腸潰瘍では、特に空腹時に上腹部に痛みがありますが摂食により軽快する場合が有ります。胃・十二指腸潰瘍の穿孔は上腹部痛では最も痛みが激しく、急性腹膜炎が必ず起こります。
 急性膵炎(膵壊死)による上腹部痛も激烈で、重篤な病気です。この痛みは急に起こって持続し、左肩や左背中に放散して嘔吐を伴います。急性虫垂炎の初期には、上腹部、みぞおち付近が痛み、右下腹部へ痛みが移ることがあります。
 右よりの上腹部痛は、胆のう炎、胆石症が考えられますが、発熱、黄疸を伴うときは特に重症です。

◎下腹部
 右下腹部が痛むときに多いのが急性虫垂炎です。圧迫して痛みが増し、吐き気があれば虫垂炎と思ってよいでしょう。
 便秘では下腹部痛を訴えることがあります。大腸憩室があるとおこりやすくなります。腸ねん転や腸閉塞(イレウス)では激しく痛み、排便がなくなり腹が張ります。子供の右下腹部によくおこる腸重積症の腸閉塞の一つです。
 尿管結石の場合には、急に起こる激しい痛みが内股や陰部に放散し、血尿などがでるのでわかります。また脳血管障害を起こした人や男性の場合、前立腺肥大や前立腺がんで尿道が狭くなり、尿が出なくなることがあります。このような尿閉の人では、膀胱が尿で充満し下腹が痛くなります。ふつうの場合は排尿がないことからすぐにわかりますが、脳血管障害を起こした人や高齢の場合は見逃しやすく、気をつけないといけません。



各部位の症状ー腹痛(腹部全体・女性)


 腹痛は日常しばしば経験される症状で、色々の病気によって起こります。ここでは主として、急性に起こる腹痛についてです。

◎腹部全体

 場所がはっきりしない、あるいは移動するものを含め、腹部全体が痛む場合で、多いのが子供の急性胃炎です。このときは同時に食欲がなく、吐いたり下痢したりすることが多いのですが、過食や飲みすぎによるものは別として、細菌性食中毒の時には発熱を伴い、下痢、嘔吐などの症状が激烈です。下痢が特にひどい場合は、急性胃炎を考えます。
 便通がなく、ガス(おなら)も出ないようになり、腹がなって痛み、腹が膨れ、嘔吐が始まれば、イレウス(腸閉塞)の心配をしなければなりません。
 同じ様な腹部全体の痛みですが、最初は左右下腹部とか上腹部の痛みで、ある時期を境に腹部全体の痛みになり、腹が張って嘔吐する、熱がでてきた場合は急性腹膜炎を考えなければなりません。
 急性に来なくて鈍痛や重苦しい感じがあり、腹が膨れて張るようなときは、ガン性の腹膜炎、肝硬変などにより腹水がたまった場合が考えられます。
 腹部外傷や腸閉塞のとき、またまれな病気ですが、腹部大動脈瘤とその破裂は、激しい腹痛とショックを伴います。
 腎臓はじめ各種臓器の下垂症でも、起立時に腹部全体の痛み、あるいは臓器によっては右寄りなどの腹痛を訴えます。紫斑病や回虫症でも、腹痛発作を起こすことがあります。
 梅毒の脊髄ろうや神経梅毒でも腹痛を訴えます。単なる神経痛のこともあります。

◎女性の場合
 卵巣嚢腫の茎捻転や子宮外妊娠破裂では、右と左、いずれかに痛みがおこります。後者のときには、貧血とショックを伴うこともあり、すぐ開腹手術を要します。婦人科の病気としては、そのほか子宮内膜症や子宮筋腫などでも下腹部が痛みます。子宮筋腫では、月経の量が多くなり、時に貧血の原因となります。


各部位の症状(胸痛)


 胸の痛みは、胸のまわりの筋肉や神経、胸の中の心臓や肺、胸膜などの病気でおこります。大血管や食道の病気でなることもあります。女性の場合は乳腺に関する病気でなることもあります。一般に短時間によくなるものは病気ではなく、原因のはっきりしない筋肉痛のようなものであることが少なくありません。
 腕を動かしたり、背骨を曲げたり、回したりするときに痛む胸の筋肉の痛みや、背骨の病気(変形性脊椎症、脊髄腫瘍、椎体圧迫骨折など)があります。
 重いものを持ったり、急いで歩くとき、数分間、胸の真ん中から左のほうが圧迫されるように痛くなるのは狭心症です。
 かぜやインフルエンザでせき、たんが長く続くと、誰でも胸の前や奥が痛みます。
 いきんだり、せきをしたりしたとたんに起こり息苦しくなる自然気胸、胸が締め付けられるような狭心症、奥深く激しく不安感を伴う急性心筋梗塞や、高血圧のある解離性大動脈瘤、そのほか不整脈、心臓神経症、心膜炎などがあります。
 動作や呼吸で痛みが強くなり、圧迫やたたくと痛むときは肋骨骨折や脊椎圧迫骨折があります。特に動作と関係なく、胸の表面か痛くなる場合、肋間神経痛、後に水泡のできる帯状疱疹、乳房に炎症をきたす乳腺炎、乳腺症などがありますが、これは外からみてすぐにわかります。ちくちくする痛みや、痛む部位が一致していない心臓神経症があります。
 そのほか腹の病気でも、胸やけなどで胸に痛みを感じることがあります。


一般的な症状(頭痛)


 頭痛を起こすおもな病気には、内科の病気が最も多く、ついで目の病気、鼻の病気、耳の病気、歯と口とあごの病気、脳・神経の病気、婦人病などです。

◎軽い発熱をともなう
 急性で一時的に起こる頭痛の原因で一番多いのは、かぜです。ただのかぜではなくインフルエンザとなると、筋肉・関節痛をともなう高熱が出ます。そのほかの熱が出る病気もよく頭痛をともないます。
 
◎高熱と意識のくもりを伴う
 脳炎、髄膜炎など脳の病気ではしばしば意識がくもります。

◎激しい頭痛、比較的軽い頭痛
 脳の血管に急激な変化、例えば脳卒中で出血が起こると、激しい頭全体の頭痛がし、ついで意識を失うこともあります(くも膜下出血、脳出血)。片頭痛も頭蓋内の血流量が急に変化するものと考えられています。脳梗塞、低血圧などでも軽い頭痛を感じることがあります。

◎顔面または側頭部痛
 三叉神経痛では、突然刺すような痛みが顔面片側におこります。三叉神経の帯状疱疹は片方のひたい、目や口のまわりに痛みがあり、数日して水疱を伴う発疹が出現します。肩こりなどと同様、首から後頭部にかけて、凝った痛みのおこる緊張型頭痛があります。頭痛の多くがこのタイプです。

◎目、耳、鼻、歯などの病気に伴う
 緑内障、副鼻腔炎(蓄膿症)では前頭部から目、鼻の奥に痛みを感じます。中耳炎では側頭部、耳の周りに痛みがおこります。虫歯のときにも頭痛を伴います。


一般的な症状(吐血・喀血・血たん)


吐血は消化器から、喀血は呼吸器から、いずれも口から血が出ることを言います。

◎吐血
 食道の病気(潰瘍、マロリー・ワイス症候群、がん、静脈瘤)、胃の病気(潰瘍、がん、胃炎)からの吐血が多いのですが、十二指腸潰瘍からの出血、胆道出血が幽門を逆に胃に入り、それを吐血することもあります。固まった血液、流動性の血液といろいろです、出血から吐血までの時間が長く、胃にとどまっていた場合には、黒褐色になってでてきます。
 大量に何リットルも出るのは、胃・十二指腸潰瘍、食道静脈瘤、肝硬変が多いのです。また、まれに胃炎でもそういうことがあります。
 十二指腸より下部消化管からの出血は、逆流して吐血になることは少なく、ほとんどが黒い下血(血便)のかたちででます。でても排便までに時間がかかったり、トイレで見逃されることがあり、貧血が進んで突然めまいが起こったりします。

◎喀血・血たん
 呼吸器からの出血ですから、ふつうは赤またはピンクで、泡っぽいものです。
 しかし、大量に喀血したときは、吐血と区別がしにくいときもあります。出血する量はまちまちです。
また血が気管支に少したまり固まってでるときは、こっか色の塊としてでることもあります。
 20〜30年前までは、喀血すなわち肺結核でしたが、このごろは肺がんの喀血が多く、特に初期にタンに赤線状に混じる血液が早期診断に大切な徴候です。
 わずかの血たんは喉頭炎、咽頭炎など、かぜの時にもタンと一緒に出ることがあります。
 気管支拡張症、肺吸虫症、肺の損傷のときも、ときに喀血します。大動脈瘤が肺や気管支に破裂したりすると、当然ながら大出血し、処置しないと急死ということが起こります。大量に喀血すると窒息を起こします。


一般的な症状(出血傾向)


 特別、何かにぶつかった覚えもないのに、皮膚に内出血の起こることや、繰り返し鼻出血がおこったり、歯が悪くないのに朝歯を磨くとき血が出ること、女性で生理出血が止まらないことがあります。
 このように出血しやすく血が止まりにくい状態を、出血性素因と呼び、しばしば全身に出血のための大小さまざまの赤または赤紫色の出血班ができます。このような症状があったら、診察と詳しい検査を受けなければなりません。
 出血傾向は大きく分けて、血管の壁が弱くなったり、アレルギーをおこしたりするなど、血管に何らかの問題がある場合、血小板に問題がある場合、肝臓で作られる凝固因子に問題がある場合にみられます。

◎血管に変化のおこった場合
 多いのは老人性紫斑病で、高齢者の手の甲、前腕および下腿に出血班が見られます。この場合は心配いりません。
 鼻出血だけの場合は、ふつう鼻の粘膜の細い血管がきれたものが多く、耳鼻科で治療してもらいます。また、中年あるいは高齢者の場合は高血圧の人に、鼻出血がみられます。
 子供では、ビタミンCの欠乏による壊血病があります。特に人工栄養児では気をつけてください。アレルギー性の病気の場合に出血班がみられることがあります。

◎血液凝固が不十分な場合
 血液の凝固が不十分で出血しやすくなっている場合には、特に血小板の減る血小板減少性紫斑病や、先天的に血が固まりにくい血友病があります。
 また薬物中毒、肝臓の病気、白血病などの血液の病気、放射線障害などでも起こります。
 また血のつながった家族の中に同様の症状を持つ人がいないか調べましょう。


一般的な症状(下痢・便の異常)


◎下痢の場合
 最も多い下痢の原因は急性胃炎、急性腸炎あるいは急性大腸炎です。肛門に近い腸の炎症ほど下痢を出します。
 近頃は少ないですが、赤痢は粘血便のひどい下痢をします。(しぶり腹)。こういうときは、腹がゴロゴロなり、腹痛をともないます。コレラも外国から持ち込まれないかぎり発生しませんが、ひどい水様下痢をします。
 食中毒でも下痢は一つの症状です。
 潰瘍性大腸炎の下痢は、慢性に繰り返す頑固なもので、粘血便性の下痢が続くために消耗します。このような慢性の下痢を起こす病気では、便秘と下痢を交互に繰り返すこともあります。すい臓の病気では脂肪性下痢を起こします。大腸がんでも刺激性の下痢が起こります。
 さらに、急性肝炎、食物アレルギーでも、下痢を起こすことがあります。
 しかし、熱も痛みもなく元気な人が一日に2〜3回食後に下痢をすることは、それほど心配する必要はありません。

◎便の色、性質
 わさび漬けのような便が出ればすい臓がんが疑わしく、仮に黄疸のはっきりしない時期でも、早々に診察を受けたほうがよいでしょう。

◎血便
 便に血液が混じることを下血といいます。赤い血液が混じれば、まず肛門の病気、多くは痔を考えますが、繰り返し続くときや量の多いときは直腸がんの疑いがあります。黒い便(タール便)は上部消化管に相当量の出血があったことを示します。食道静脈瘤、胃・十二指腸潰瘍、胃がんを考えます。


一般的な症状(便秘)


 便通が一日一回なく、時には一週間以上ないようなことを便秘といいます。便秘では、何らかの原因で排便が傷害され、腸管に異常に糞便が貯留した状態になります。便通は人によって回数も量もまちまちです。したがって、排便回数とともにその変化がとても重要になります。具合が悪くなければ、放置し自然に任せてもよいこともありますが、具合が悪ければ、原因を診断して治療する必要があります。

◎急性の便秘
 急に便が出なくなるのは、嘔吐、腹痛、腸閉塞、のことが多く、胃、大腸、産婦人科疾患などの腹部手術の既往歴がある人におこりやすく、一度イレウス(腸閉塞)になると何度も繰り返すといった傾向が見られます。豆やワカメなど腸に入って膨れるような食べ物は食べ過ぎないようにしましょう。
 また、発熱、激しい腹痛、腹部ぼうまんをともなう急性腹膜炎の後、開腹手術のあとは、腸の運動が弱くなり便秘するのがふつうで、おならで腸が動き始めたことがわかります。

◎慢性の便秘
 慢性の便秘は常習性便秘が一般に習慣として起こり、特に女性におおいのですが、一部原因がわかっているものもあります。例えば、移動盲腸、先天性巨大結腸症などで、大腸に便がたまりやすい場所があること、腸の平滑筋の運動がよくないことによって便秘するのです。一般的に内臓下垂症の人は便秘しやすい体質です。
 腸の通りが悪くなる病気、例えば腸狭窄、腸管癒着、S状結腸癌(大腸がん)のあるときには、便がよく出ません。腸狭窄には結核などの炎症のほか、ガンによる内空の縮小、腸管癒着の周囲からの圧迫によるものがあります。
 肛門の病気のときの排便が思うようにいきません。先天性鎖肛は胎便(胎児の腸にたまる便)がでないことで気づかれます。子供の場合、先天性肥厚性幽門狭窄症の可能性があります。
 そのほか、習慣、精神的興奮、緊張や環境の変化、食事の性質、運動不足によっても便秘します。


一般的な症状、尿の異常(回数や量の異常)


 腎臓は体内でできた老廃物や不必要なものを尿として体外に出しますが、同時に体液の量と質を一定に保つようにします。したがって、尿として出された水は、体内の不要物質のみでなく、必要物質をも含むと同時に、その量はからだの必要によって増減します。
 一日の尿量は、健康成人で平均1500mlくらいですが、厚いときや運動をして汗をかき水を飲まなければ減ります。水をよけいに飲んだり、緑茶や紅茶など尿を多くする成分を含むものを飲んだら尿が増えるのは当然です。

◎回数や量が多い

 尿は、腎臓から出て尿管を通り、膀胱にたまったものが、一日数回尿道からでます。その回数はあまり変わりません。膀胱炎などがあると、排尿のとき痛んだり、排尿刺激が増すので排尿回数が増えます。
 また男性が年をとり前立腺肥大症などがあると、十分に圧を加えないと尿がでにくくなり、排尿に時間がかかり十分に出てしまわないので一度に少ししかでず、夜寝ていても、起きて何度でも少しずつ排尿することになります。
 尿量が異常に多くなる病気には糖尿病、慢性の腎臓病、尿崩笑などがあり、特に尿崩症では一日10リットルに達することがあります。

◎回数や量が少ない
 尿量が少ないと、膀胱の刺激が起こらず、排尿回数が減ります。腎臓が本当に悪くて尿毒症の末期ともなれば、乏尿となります。また腎臓はなんともなくても、尿道に石がつまったり、排尿を起こす神経経路に障害が起こったりすると、尿が膀胱にいっぱいたまり、しかもでないということもおこります。これを尿閉といいます。
 尿道から細いカテーテル(ゴムやプラスチックの細管)を入れて、取り除くこともあります。尿量が異常に少なくなる病気としては、急性腎炎、ネフローゼ、腎不全の末期、肝硬変、うっ血性心不全、出血多量のとき、やけど、日射病、膀胱ガン、尿道結石、尿道狭窄、脱水症などがあります。


一般的な症状(汗の異常)


 汗の分泌をうながす中枢は脳にあるので、精神的に脳が刺激されると汗をかきます。驚いたとき、緊張したときには汗がでます。
 また、高い温度が直接に汗腺にはたらいても汗の分泌が起こります。労働や運動ででる汗は生理的なもので、病気ではありません。太った人は汗をかきやすい、といったこともあります。
 
◎汗をほとんどかかない
 
 汗腺の発育が悪く体質的に汗をかかない人もいますが、下痢や嘔吐が続いて脱水状態になり、汗が少なくなることがあります。
 特に子供や高齢者は脱水になりやすいので、注意しましょう。甲状腺機能低下症では、さむけ、不活発、脈が遅い、むくみなどの症状とともに、また尿毒症では、むくみ、動悸、無尿などとともにみられます。
 また、汗は自律神経によって調節さていますので、自律神経そのものの異常でも、汗がでなくなることがあります。体の片側だけ汗が出なくなる場合は、末梢の自律神経障害が疑われます。

◎汗が多い

 全身に汗をかく病気としては感染症などによる発熱性疾患のほかに、動悸、眼球突出や甲状腺のはれのみられるバセドウ病、まひや意識障害をきたす脳卒中のあとなどがあります。肺結核などの慢性の消耗性疾患でも寝汗をかきます。
 子供でも、疲れすぎたときには暑くなくても大量の寝汗をかくことがあります。

◎汗の色とにおい

 神経質な女性で、目のまわり、ひたい、わきの下、股、陰部、口、鼻の周囲などに薄茶色のついた汗をかく人がいます。これを色汗症といいます。色のある薬を飲んで、その色のついた汗をかくことがあります。
 汗は時間がたつと、誰でも多少の匂いが出るものですが、わきがのようにアポクリン腺から出る汗は鼻をつくにおいがあります。
 皮膚がんなど皮膚病の場合にも悪臭を発します。


一般的な症状、運動の異常(運動失調・けいれん)


◎運動失調
 筋力があるにもかかわらず運動がスムーズにできず、バランスがうまく取れない状態を運動失調といいます。上肢では字がうまくかけない、不器用、手が震える、下肢ではふらつく、めまいがする、転びやすい、階段上り下りが困難などとうったえ、さらに構音障害としてろれつが回らないとうったえます。
 ゆっくりおこってくるものとして脊髄小脳変性症があります。脊髄小脳変性症は多くの病気の総称ですが、共通の症状は、体のバランスを失う、眼球が自動的周期的に一定方向へ動く、などがみられます。
 また、小脳梗塞や小脳出血で運動失調が急に出現することがあります。
 なお、前庭神経炎、聴神経腫瘍、メニエル病などでも運動失調が見られますが、これらはめまいをともなうのが特徴です。

◎けいれん
 発作的に意識喪失が起こり、同時に、けいれん(ひきつけ)が現れる運動障害もあります。
 気を失って倒れ、全身の筋肉を硬直化させ、次に十数秒間ガタガタとふるえ、泡を吹きます。数分で気がつきますが、自分では思い出せないことがおおいようです。したがって、目撃者や今までの経過をよく知っている、家族や友人などが意識障害の有無や持続時間などけいれんの内容を伝えることが重要となります。
 脳の血管障害や腫瘍など、あらゆる脳の病気や傷でてんかんは起こりますが、これを症候性てんかんといい、脳の病気が証明できないものを真性てんかんといいます。
 発症する年齢によっておおよその原因がわかります。生後三歳までは分娩損傷、感染症、熱性けいれん、先天性代謝異常によるものが多く、10〜25歳の学童期から青年期にかけては真性てんかんが多く見られます。
 25歳以上になると、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷などがおもな原因となります。


一般的な症状(嚥下困難・胸やけ)


◎嚥下困難(飲み込みにくい)

 飲み込むときに使えたり、むせたりすることがあります。あきらかな病気がなくても、呼吸とタイミングが合わず、むせることはよくあります。赤ちゃんがミルクを飲むときにむせるのはこのためです。
 まず病気として最初に考えられるのは、食物の通る道の異常です。扁桃炎、食道や胃の噴門けいれん、ガンや食道裂孔ヘルニアで食道が狭くなります。さらに、大動脈の異常や大動脈瘤で食道が圧迫される場合に使える感じが起こります。
 食べ物が飲み込みにくいときは、のどであれば耳鼻咽喉科、首より下であれば内科をまず受診しましょう。
 脳梗塞など中枢神経の病気ではのどの神経がまひしてむせたり飲み込めなくなることがあります。

◎胸やけ
 胸やけは食道の下の部分の運動障害で起こるといわれ、胃液酸度の上昇、食道内への胃液の逆流、食道内圧の高まりなどで起きます。
 また、甘いものや穀物(イモ類)を食べると胃内圧を高めたり、発酵することによって胸やけがおこりやすくなります。
 病気では逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、慢性胃炎のとき起こります。さらに妊娠でもうったえることがあります。
 最も多くみられるのは、食道裂孔ヘルニアで胃が胸空のほうに飛び出し、胃の入り口である噴門のしまりが悪くなり、胃液が食道に逆流することによって胸やけが起こります。これは、高齢の腰が曲がった人によくみられます。
 げっぷは、胃がガスによって著しく引き伸ばされ、胃から食道を通って、体外へガスが出る現象を言います。多くの人が経験する、炭酸飲料、ビールを飲んで出るげっぷは、このようなげっぷです。
 げっぷがしばしばおこったり、臭いにおいのあるときは病的で、胃・十二指腸潰瘍、胃がんが考えられます。


一般的な症状(せき・たん)


 せきは、のど、気管、気管支、胸膜のどこかの刺激によって出るものです。気道に炎症があって分泌物をともなうと、これをたんとして吐き出します。せきはたんをともなうときと、たんのないときがあり、たんの出ないせきをからせきといいます。血圧降下薬のなかには、副作用で空せきをおこしやすくするものもあります。
 
 たんにもいろいろあって、鼻から下がってくるたん、水のような薄いたん、粘液、うみ、泡、血液、腫瘍片や異物を含むたんなどいろいろで、たんの検査は病気の診断にも極めて大切です。

◎風邪を引いたとき
 せきとたんを出すいちばんふつうの病気はかぜです。かぜが長引くときは、なかに感染症が加わったか、マイコプラズマ肺炎など特殊な肺炎か、もともと肺や心臓病の病気があって治りにくいか、何かわからない病気が隠れているか、よく調べてもらう必要があります。

◎特にたんを多量に出す病気
 気管支拡張症のときは大量のたんが出ます。肺膿瘍で悪臭のする汚い膿のようなたんが出るときは、病原菌についてよく調べる必要があります。
 副鼻空や扁桃の病気でもたんを多く出すことがあります。

◎血たんを出す病気
 肺がんのはじめの症状として、血たんがあります。また、心臓弁膜症の進んだ時期には、時々血たんを出し、肺結核と間違えられることがあります。今はまれですが、寄生虫病の肺吸虫症では、せきとたん、特に血たんがでます。


一般的な症状(脈の変化)


 通常脈を手首の動脈で診ますが、はっきりしない場合はくびや股関節の太い動脈をみます。自分で調べる場合は首の動脈を軽くおさえてみてください。
 激しく運動したとき、緊張したとき、驚いたとき、熱い湯に入ったとき、食事を取ったときなど、脈拍の数は増えますが、間もなく元に戻ります。安静時の脈拍数は大人で70くらいです。
 年をとるにしたがって脈は少なくなります。スポーツマンの場合も静かにしているときは脈が比較的少なくなります。

◎脈の数が多い(速い)
 ふつう熱がでると脈の数も増えます。
呼吸器や心臓の病気、急性の感染症のとき、特に見られます。
 熱がほとんどなくても、心臓に異常のあるときは脈の数が増えます。心筋疾患、心臓弁膜症、心筋梗塞などのときです。成人で毎分100以上を頻脈といいます。出血、貧血でも脈が増えます。

◎脈の数が少ない(遅い)
 不整脈のうち、心臓ブロック、洞不全症候群は脈が少なくなります。毎分50以下を除脈といい、ひどい痛みや嘔吐のときも脈が少なくなることがあります。

◎脈が乱れる(不規則になる)
 心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症などの心臓病では、心房細動、心房粗動、期外収縮などの不整脈を合併しやすく、脈が乱れることがあります。高熱や重病の場合、心臓が弱ると、脈が途切れる結滞を起こしたり、不規則になったりすることがあります。高熱や重病の場合、心臓が弱ると、脈がとぎれる結滞を起こしたり、不規則になったりすることがあります。飲酒、コーヒー、喫煙でも起こりますが、心臓の悪くない人では危険のないことが多いです。


一般的な症状(動悸)


 胸でドキドキ脈打つのを感じることを動悸といいますが、心臓はふつうに打っているのに神経質になってドキンドキンと感じることと、心臓が強く打ったり、速く打ったり、不規則に打ったりするのをかんじる場合があります。
 心臓の打ち方は速くも強くもないのに、静かにしているときや、夜、床に入ってから眠れないときなどに、ドキドキ感じ、耳でも脈を感じるような場合は、一般的に何でもありません。
 これがあまり気になる人は、心臓神経症、あるいは更年期障害ですが、動くとよけいひどくなるのは、心臓や肺の病気が多く、検査が必要です。太くなった動脈の脈がふれる大動脈瘤なども動悸を感じます。
 緊張しているとき、驚いたとき、興奮したとき、高い山に登ったときなどは、動悸が激しくなります。心臓や肺に病気がある人ではよけいに強く感じます。
 心臓病(拡張型心筋症、心筋梗塞、高血圧性心疾患、心内膜炎、心臓弁膜症、先天性心疾患など)のほかに、バセドウ病、貧血や慢性気管支炎、肺線維症、肺気腫などの肺の病気があります。
 心臓の病気の場合は、動機のあるとき、心臓の打ち方が強かったり速くなるだけでなく、不規則だったり極端に遅くなることが多く、脈の数が大人で120以上に増えることはまれではありません。
 心臓の病気が不整脈だけ(絶対性不整脈や発作性頻拍症)の場合もあり、時々脈が抜けるような場合には無害性のもの(散発性期外収縮)もあります。


一般的な症状(失神)


 急に、一時的に気が遠くなることを失神、意識が完全になくなって、読んでも痛みの刺激を与えても反応しない状態を昏睡、意識は低下しているが、少しは反応する状態を意識混濁といいます。
 どの状態も早く診察を受ける必要があります。このとき大切になるのが、意識障害の程度がどのくらいなのかをきちんと報告することです。
 また、どのような状態で、気を失ったのか、めまいを感じたが非常に重要になります。本人は意識が戻った後も、どのような状態で気が遠くなったり、気を失ったりしたのかをほとんどの場合覚えていませんので、目撃したまわりの人の話が診断の決める要素にもなってきます。
 けいれんを伴う失神であれば、てんかんの可能性が高くなります。動悸を感じて、めまいや失神をおこしたのであれば、頻脈症や除脈など不整脈によると考えられます。
 失神・めまいの大半は、脳循環不全か、低酸素血症によっておこります。この脳循環不全によるめまいは、回転性いわゆるグルグル回るようなめまいではなく、フーとまたはフワーッと感じるようなめまいです。
 失神の原因として一番多いのは、脳貧血で、炎天下にたっていて日射病で倒れるのはこの状態です。血液が下半身にたまり、血圧が下がって頭の血の循環が悪くなり、意識がなくなります。
 病気としては、アダムス・ストークス症候群やファロー四徴の低酸素発作、一過性脳虚血発作、てんかん、起立性調節障害、心臓神経症、外傷による脳震盪などがあります。
 また、疲労が慢性的に蓄積したり、血液中の電解質のバランスがくずれたときなどにも失神することがあります。
 このほか、排尿後、スーッと気が抜けて起きる排尿失神や、激しいせきをしたあとに起こるせき失神などもあります。


一般的な症状(眠れない)


◎眠れない
 不眠症には、痛みや尿意などがおこったり、体や精神の色々な病気のために本当に睡眠が十分取れていない場合と、不安神経症などのために眠れないと感じて問題にしている場合とがあります。ふつう年をとるにしたがって睡眠時間は短くなり、また眠りも浅く目覚めやすくなります。眠れないと感じている人も大部分は夜の寝つきが悪いという程度で、病的な睡眠不足ではないことがおおいのです。
 病的な睡眠不足ではやせたり、食欲がなくなったり、頭がぼんやりしたりすることが多く、動脈硬化、高血圧症、糖尿病などの、からだの病気に対する治療が必要です。お茶やコーヒーの飲みすぎや、夜食の食べすぎなど寝つきを悪くする原因がないかよく反省してみましょう。
 PTSD(心的外傷後ストレス障害)、統合失調症(精神分裂病)や躁鬱病などの精神疾患の始まりには、ただ不眠だけがおもな症状としてあらわれる場合があります。
 眠りが浅くて夢ばかりみる、目がさめても不快感が残る、わずかな睡眠で足りるのだが、しだいに疲れがたまってやってくる、などというようなうったえをします。無理に眠ろうとせず、ただ横になっているだけでもよいと考えるようにするなど、精神的治療が大切です。

◎眠りすぎ
 不眠とは反対に、眠りが深すぎたり、眠りが長かったりする人がいます。若いときには夜更かしをして朝起きることが苦痛になりやすいものですが、強くおこせば、はっきり目が覚めるような眠りなら心配ありません。
 しかし、どんなに刺激してもはっきり目を覚まさないときは、意識の障害からくる昏睡や睡眠薬による急性中毒、脳炎などを注意しなければなりません。


一般的な症状(めまい)


 からだの平衡を取るはたらきが悪いために起こる不愉快な感じをめまいといいます。

◎一時的な脳の循環障害
 炎天下に長くたっていると、突然目の前がくらくらする感じで、立っていて、あるいは歩いていてバランスがとれなくなることがあります。酒、タバコの飲みすぎでもおこります。
 このように原因のはっきりしている場合は、繰り返さないかぎりあまり問題にしなくてもよいでしょう。同じような症状は貧血、低血圧、高血圧、除脈や発作性頻脈症などの不整脈、脳動脈硬化のある人にもよく起こります。特に低血圧の人では、寝ていて急に起きたときや、座っていて立ち上がったときなどに立ちくらみが起こります。
 頭部外傷、脳出血、脳腫瘍、不安神経症などの初期症状として,めまいが起こることがあります。脳梗塞や一過性脳虚血発作のときも起こります。

◎まわりのものが回る
 めまいとして特徴があるのは内耳の病気です。メニエル病といって、発作時にまわりがぐるぐる回るめまいがあり、耳鳴りと吐き気をともないます。中耳炎や発作性難聴など、そのほかの耳の病気でも、よくめまいを起こします。
 目の病気としては、単なる乱視や斜視くらいでも、めまいを起こすことがあり、このときにもまわりのものが動く感じになります。


一般的な症状(のぼせ・冷え)


◎のぼせ
 発熱をともなうときにはウイルス、細菌による感染の疑いがあります。不適当な暖房などで上半身が熱いときはのぼせますし、寒くてもかえってのぼせる人や、恥ずかしいときにのぼせる「のぼせ症」や「赤面症」もあります。
 更年期障害や熱中症初期にのぼせが出ることもあります。心臓の動悸が激しいときには、バセドウ病、自律神経失調症なども考えられます。のぼせや動悸は、更年期障害や自律神経失調症とされがちですが、甲状腺の病気や多血症のことがあるので注意が必要です。
 降圧剤の血管拡張剤を服用すると顔面が紅潮し、のぼせることがあります。

◎寒気と冷え
 冷たい物の食べすぎや睡眠不足などでも寒気を感じますが、ゾクゾクするさむけ、そして発熱ということになれば、やはりウイルスや細菌による感染症、敗血症が考えられます。
 特に多いのは、急性の腎盂腎炎、扁桃炎などです。
 農業従事者など腰・手足が冷え、疲れやすい状態がおこりますが、それが女性の場合には卵巣機能不全や月経異常ということがあります。
 心不全や甲状腺機能低下症のときには、冷えるだけでなく、全身が硬くむくみます。
 手足など末梢性のひえがあるときには、動脈硬化症、ピュルガー病、脈なし病ともいわれる大動脈炎症症候群、寒冷により手足が白くなり、その後紫色になるレイノー病などが考えられます。


一般的な症状(発熱・微熱、周期的)


◎微熱が出る
 興奮したり、激しい運動をしたり、暑い部屋にいると、体温が少し上昇しますし、女性では一般に排卵から月経までの間や妊娠中、体温は上がります。妊娠中に微熱が続くことがあります。しかし、これらは病気ではなく、単に生理的な減少です。
 高齢者では、肺炎や腎盂腎炎のような高熱の出る病気でも、あまり高く上がらず、微熱にとどまる場合が少なくありません。
 微熱の出る病気で、特に注意しなければならないのが、せきやたんのでる肺結核、やせくるガン・白血病、リンパ節の腫れる悪性リンパ腫、関節痛などをともなう膠原病で、これらの病気はともに重篤化する可能性があります。膠原病は種しゅの症状が一度に出るとは限らず、見逃されやすいものです。
 微熱だけが症状である場合には、原因が不明のことが少なくありません。が是の後など、数日で微熱が下がりきらない場合には、風以外の原因をあきらかにすることが望ましいでしょう。

◎周期的に発熱する
 同じ熱でも、その出方が、感染性心内膜炎、悪性リンパ腫、マラリア、一部の膠原病のように、波状的・回帰的に数日間の周期で熱が上がったり、下がったりを繰り返す場合もあります。
 いずれにしても、体温を繰り返し正確に測定して、記録しておき、あまり長引かないうちに診察してもらうことが第一です。


一般的な症状(だるい・疲れやすい)


 病気のために感じるだるさは、しばしば熱やむくみと一緒に起こります。今までは同じことをしてもだるさを感じなかった程度のことでだるさを感じるのは異常で、病気の始まりの可能性があります。
 熱がでるときは、一般にだるさを感じることが多く、寒気も感じます。はしか、風疹、インフルエンザ、急性ヘントウ炎、肺炎、腸チフス、腎盂腎炎、感染性心内膜炎、胸膜炎、気管支炎などです。
 特にだるさが特徴的といわれるものは、肝炎や腎炎の始まり、貧血、糖尿病などです。肺結核などの結核も、かつてはだるさを感じる病気の代表でしたが、今では少なくなりました。
 熱のある場合はたいてい早い処置を必要とします。
 熱のない場合は、慢性の病気が多く、むくみをともなうことがあります。むくみをともなう場合は、主臓器である心臓、肝臓あるいは腎臓の働きが低下していることが多く、それぞれ病気がある程度進行していることが多いようです。貧血やガン、白血病の初期症状のことがあります。
 糖尿病も、だるさを訴える代表的な病気で、低血糖、甲状腺機能低下症(粘液水腫)や慢性副腎機能低下症なども、だるさがおもな症状になります。
 低血圧では、立ちくらみやだるさを主症状とします。高血圧や心不全などで利尿剤を服用していると、血液中のカリウムイオンやナトリウムイオンが体から失われ極端にだるくなることがあります。


一般的な症状(顔色)


 一般に顔色がいいとか悪いとか言って、健康かどうかの目安とされます。もちろん、その日とその人によって独特の色とつやがあり、表情があって、それらのあらわれを基準にしての顔色というのです。
 したがって、なんとなく元気がなく皮膚のつややハリがないとき、また血色が悪く、白っぽく見えたり、くすんで見えると、顔色が悪いといいます。このような時は、顔の皮膚の血管が収縮して、皮膚の表面から血の色がよく見えなくなり、顔色が蒼白となっており、激怒したときや急に熱がでる前に悪寒を感じているときにも起こります。
 貧血のため赤血球の数が減ったり、赤血球中の赤色素が少なくなると、皮膚の色が白くなり、顔色が青白くなったりします。各種貧血をきたす疾患で見られ、特に高齢者ではガンによるものに注意しなければなりません。
 逆に多血症といって、血液中の赤血球が多くなる病気があり、顔色は赤みがかって見えます。顔色が赤みがかって見えることは、熱があるときや恥ずかしいときにもあります。これは血管が拡張しているためです。一酸化炭素やヒ素による中毒のときは、顔色がばら色になるとともに、頭痛、めまいをともないます。
 顔色が青紫色に見えることをチアノーゼといいます。唇や手足の先が青紫色になるのが特徴です。先天性心疾患、重度の肺疾患や多血症の場合が多く、ふつう酸素が血液中に不足した状態です。突然チアノーゼが出ることは様態が悪化したときですから、すぐに酸素吸入などの処置が必要です。
 顔色が黄色に見えるのは黄疸です。ただし手のひらな度に出るのは、みかんの食べすぎなどでも黄色くなることがあります。黄疸は、おもに肝臓や胆道の病気でも起こり、胆石症、胆道系ガンや膵臓ガンでは、黄疸が初発症状のことがあります。また、肝臓の感染症や薬剤による肝障害にもみられ、赤血球の壊れる病気でも起きます。目の結膜(白目の部分)をみるとよくわかります。


一刻を争う症状(その他の重要な症状2)


 ほとんどが急な症状として現れますが、腎臓病による呼吸困難、貧血や高血圧症による動悸、肝硬変による黄だんなどは、徐々に症状が現れます。また、喘息による呼吸困難、ある種の頻脈症による動悸、肝硬変による黄だんなどは、繰り返し現れることがあり、診察を受ける際、本人が十分に会話できない場合は、本人に代わって家族が過去の症状を離すことがとても重要となります。
 なお、乳幼児や高齢者の場合の特殊性は、いつもと様子が異なるときは、症状が激しくならないうちに診察を受けるようにすることが必要です。

○急性の運動麻痺(脳卒中、髄膜炎、多発神経炎、頭部外傷、脊髄の外傷など)を診る場合。

○呼吸困難とともにぜーぜーひゅーひゅー、呼吸のたびごとに音のでる場合(気管支喘息)、呼吸困難、せき、たんなどがみられる場合(重症の肺炎、肺梗塞)、激しい呼吸困難でチアノーゼがあらわれるもの、特に寝ていると苦しくて起き上がろうとする場合(重症の心臓病)、徐々に体重が増加して息苦しくなる場合(慢性腎不全など)。

○急に起こる眼痛(緑内障など)や視力の低下(網膜はく離や眼底出血)。

○激しい動悸(発作性頻脈症、心房細動)、特に胸痛のある場合(狭心症や心筋梗塞)、吐き気・嘔吐や冷や汗が出て顔面蒼白になる場合(各種の重病、例えば心筋梗塞、肺梗塞や胃腸出血など)。

○下痢を一日に10回以上繰り返し、便に粘液や出血を伴う場合(急性胃腸炎や食中毒、コレラ、過敏性腸症候群など)。

○そのほか、急性黄だんになる場合(急性肝炎や肝硬変の増悪、胆石症、胆のう炎など)。

コレラは、それぞれ重大な病気の症状だある場合がありますので、一刻の猶予もありません。


一刻を争う症状(その他の重要な症状1)


 意識障害、頭痛、胸痛、腹痛のほか、次のような症状のある場合は、早く診察を受けましょう。

○大量の喀血(肺がん、肺結核など)、吐血(胃潰瘍、胃がん、肝硬変など)、下血(流産、前置胎盤など)、血尿(腎結石や泌尿器のガン)、外傷の大出血や、なかなか止まらない鼻出血(紫斑病)など、大出血の場合。

○高熱が38−40度にもおよび、朝は多少下がりますが、午後に上昇するか、一日中持続し、なかなか解熱しない場合(感染性心内膜炎、肺炎、胆のう炎、腎盂炎や敗血症)。

○全身のけいれんがある場合。

◎乳幼児や高齢者の場合の特殊性

 乳幼児や高齢者は抵抗力が弱いので、これらの症状の早期発見と早めの処置が必要になります。
 どちらの場合にも、これらの症状が思わぬ重病の始まりとなることがあるので注意します。
 ことに乳幼児は苦しみを表現できず、不機嫌や泣くだけのことがあります。高齢者は見かけ上の症状が軽く、典型的な症状がなく、なんとなく元気がないとか、食欲がなくなり、重病になることがあります。


一刻を争う症状(激しい痛み)


 原因のはっきりしない激しい痛みが突然おこってきた場合は、頭痛でも胸痛でも腹痛でも、部位が何処であっても、急な治療が必要な重病の可能性があります。
 特に、顔が蒼白になり、手足が冷たく感じられたり、冷や汗が出たり、吐き気や嘔吐のある場合や気が遠くなった場合には、血圧が下がっていたり、ショック状態にあることが考えられるので、至急診察を受ける必要があります。
 痛みのために身の行き場がなくて、転げまわったりしないように、なるべく静かにさせ、原因のわかるまでは、胸や腹を冷やしたり、温めないほうがよいでしょう。
 手足が冷たくなったり、ふるえがきた場合は、体全体を毛布などでくるみ、手足を暖めることもよいでしょう。
 急な激しい頭痛はくも膜下出血で見られ、さらに意識障害におちいることもあります。また激しい胸痛は、狭心症、心筋梗塞、解離性大動脈瘤、肺梗塞の可能性があります。肺梗塞では呼吸困難やせきが出ることがあります。
 解離性大動脈瘤の場合は、前胸部から背部、さらに腰部へと移行する激痛が特徴です。腹痛の場合は胆石による急性胆のう炎、急性膵炎、虫垂炎、イレウス(腸閉塞)、胃・十二指腸潰瘍による消化管の穿孔、腹部大動脈瘤の破裂、卵巣嚢腫の茎捻転や子宮外妊娠などの婦人科の病気でみられ、尿管結石の場合は側腹部から背部痛が見られます。


一刻を争う症状(意識障害)


意識がなくなった場合、誰でも重大なことと考えますが、以前からてんかんなどで意識のなくなる発作を繰り返している人は、そのときの応急手当を医師から教えてもらっておけば、必ずしもあわてることはありません。
 しかし、初めて意識がなくなったときは、そのあとすぐに回復したとしても、一応、一度は診察を受けておいたほうがよいでしょう。
 中年以上では脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など)、一過性脳虚血発作、子供ではけいれんと一緒に起こるてんかん、高熱のでたときに起こる熱性けいれんをともなう意識障害のこともあります。
 脳神経系の感染症ないし炎症の代表は脳炎や髄膜炎で、頻度は高くありませんが重病です。脳炎と髄膜炎は場所的に共通あるいは移行する傾向があり、意識障害他、発熱、頭痛、嘔吐、けいれんなどがみられ、さらに進行して脳に膿がたまる脳膿瘍となることもあります。
 まれな重病に、心臓病から来る意識消失(除脈によるアダムス・ストークス症候群やショック)、糖尿病・腎臓病・腎臓病などの悪化による昏睡、外傷や内臓からの大出血(吐血など)によるショックがあり、危険な意識消失となります。
 夏に子供がかかる日射病や職業的に高温の部屋で働く人がかかる熱中症では、体温が上昇して脱水状態になり、ひどくなるとけいれんを起こし、意識障害、頭痛、吐き気などが見られます。炎天下でのクラブ活動など、このような環境下では、十分な水分補給が重要です。
 自殺行為やガス中毒などでは、早く処置をしなければなりません。
 以前から意識消失を繰り返す人(たとえばてんかんなど)でも、顔色や倒れ方などの様子がいつもと違っていれば、早く診察を受けるようにしましょう。意識障害の場合、重要なことは、呼びかけや痛みに対応するかどうか、全く無反応な昏睡かどうかなどの意識の障害の程度、呼吸や脈拍、心臓の鼓動があるかないか、手足が動くかどうか、けいれんがあるかどうか、高熱があるかどうか、などを調べることです。


病状による病気の見分け方


◎気づきにくい重い病気
 症状のはっきりした病気と違って、知らない間に病気が進み、ついには命取りになるような、重大な慢性の病気もあります。このうちあるものは、健康診断や人間ドックで毎年定期定期に検査を受けることによって、早期に発見され、適切な治療を受けて注意を守ると、健康を取り戻すことができるものです。
 人の三大死因は悪性腫瘍、心疾患、脳卒中ですが、心疾患や脳卒中に関係する重要な病気として、高血圧、動脈硬化、糖尿病などがあります。
 また、命にかかわる慢性病で、始まりのはっきりしないものには肝硬変、慢性腎炎など、必ずしも命にはかからないが重病なものに肺気腫、気管支拡張症、リウマチ、痛風、各種膠原病などがあります。職業に関係のある毒物やガス中毒などが、悪性腫瘍、慢性の血液病や臓器障害の原因となることもあります。

○ガン
 頻度の高いガン(胃、肺、乳、子宮、大腸、肝など)については症状のないうちから定期検査を受けるようにしましょう。
 検便、胃腸の透視や内視鏡検査、胸部X線検査、女性性器の細胞診、腹部超音波検査などがあります。
 悪性腫瘍の始まりとしては、特別の理由がないのに体がだるい、貧血、やせる、食欲不振などがあげられます。

○高血圧症
 これを進行させる因子、例えば肥満、糖尿病や高血圧症を防ぐようにし、心臓や脳などの動脈硬化による症状がないかどうかを注意します。たとえ症状がなくても、心電図、CTなどの検査によってはじめて、動脈硬化による心臓病や脳梗塞などが発見されることもあります。

○糖尿病
 血糖と尿の定期的な検査で見つかり、口の渇きや感染しやすいこと、多尿の症状が出るころは重症です。

○血液の病気
 貧血のほか、白血病などのように治療が困難で、全身の衰弱をもたらすものがあります。だるくて疲れやすい、めまいや動悸がする、歯ぐきや皮下に出血するなどの症状がありますが、最初はきずきにくいものです。血液と骨髄の検査でわかります。重金属や有機溶剤(シンナー)などの中毒で貧血や白血病などがおこることもあります。化学薬品を扱う職業の日とは、定期的な診断を受けるようにしましょう。

○肺結核
 この30年間減ってきましたが、高齢者など抵抗力の弱い人は今でもかかりやすく、かかると長い療養を要します。

○慢性腎炎
 高血圧と尿の検査などで見つけられますが、年をとると腎機能が悪くなり、例えば肺炎などにかかり、鎮痛薬や抗炎症薬を服用したときなどに浮腫が出て腎臓が悪いとわかる場合もあります。
 そのほか行動に異常のある人や、ふさぎこんでいる人は、神経科の医師の相談を受けることが、統合失調症(精神分裂病)やうつ病などの精神病を進ませないために必要です。


検査の知識(おもな検査)


◎尿の検査 つづき

○尿潜血
腎や尿管、膀胱などの異常

 尿中に赤血球が出ているかどうかを調べる検査です。
 通常は尿中には赤血球は出現しませんが、糸球体腎炎などの腎疾患、尿管結石、膀胱炎や膀胱腫瘍があると、血尿といわれる状態がおこります。肉眼で見ても鮮紅色の尿が出ていれば判定は容易ですが、微量の赤血球の存在は尿潜血反応で確認します。
 赤血球のヘモグロビンが存在すると、反応は陽性となりますが、筋肉が損傷したときにでるミオグロビンでも尿潜血反応は陽性を示します。また、試験しでも検査原理から、大量のビタミンCの存在かでは陰性となることに注意しなければなりません。尿潜血が陽性の場合には尿の固形成分で赤血球の存在を確認したり、他の腎、尿路系の病的所見を確認する必要があります。

○尿ビリルビン、ウロビリノーゲン
肝疾患や溶血性貧血の診断
 赤血球のヘモグロビンが代謝されると、ビリルビンとなりますが、通常は尿中にはでません。しかし、急性肝炎や肝硬変などで血清のビリルビンが増加すると、皮膚や眼球結膜の黄だんに気づく前に、尿中にビリルビンが出現するようになります。
 いっぽう、ビリルビンが胆汁から腸に至り、腸内細菌による還元を受けたものがウロビリノーゲンです。
 ウロビリノーゲンは腸で吸収されてから一部が尿に現れます。通常でも弱陽性ですが、肝疾患や溶血性貧血では陽性となります。

○尿ケトン体
肝疾患や溶血性貧血の診断
 尿にケトン体が出てくるのは糖尿病のコントロールが不良で、ブドウ糖の利用が十分にできないときです。さらに飢餓や下痢、嘔吐などで糖質が不足したり、糖質の利用が傷害されると、脂肪酸の分解によってエネルギーをえることからも発生します。
 とりわけ、糖尿病性ケトアシドーシスになると、尿中ケトン体は著しく増加することが多くなります。


検査の知識(おもな検査)


◎尿の検査 つづき

○尿糖
糖尿病の一時スクリーニングに有効
 血液中のブドウ糖(血糖)は腎臓を通過するとき、一部は糸球体でろ過されて尿中に入りますが、途中の尿細管で再吸収されるため、通常では尿中には出てきません。しかし、血糖値が高くなると、糸球体でろ過されるブドウ糖が多くなり、尿細管での再吸収能を上回るようになるため尿糖が検出されるようになります。
 すなわち、糖尿病であっても、血糖のコントロールがよくなったり、軽い場合には尿糖は陽性にはなりません。尿糖の検査だけで糖尿病の存在を否定することはできないので巣。逆に、尿糖が陽性であっても糖尿病以外の他の疾患によることもあります。

○尿タンパク
腎臓、膀胱疾患で陽性
 健康な人でもごく微量の尿淡白が検出されますが、一日150mg以上排泄されると病的とされます。
 蛋白尿は本来一日の排泄量で調べるものですが、一般的には随時尿を測定して、その濃度から判断します。このため、多量に水を飲んだときの薄い尿では、結果が変わってしまうこともあります。
 運動時や発熱時の蛋白尿、立位を取ったときにみられる蛋白尿は腎臓に原因があるわけではなく、病的なものとはみなされません。急性糸球体腎炎やネフローゼ症候群などでは、大量の蛋白尿のために血液中のタンパク質が減少するようなことがおこります。膠原病でも腎臓に病変があると、蛋白尿が見られ、糖尿病では腎症に進むと蛋白尿が出現し、透析療法が必要になります。
 糖尿病腎症の初期をとらえるためには、尿中の微量アルブミン検査も行われています。


検査の知識(おもな検査)


◎尿の検査

 尿は簡単に採取できる検体です。しかも全身の代謝を反映して多くの代謝産物をふくむ検体であることから、腎臓や膀胱の異常にとどまらず、心臓、肝臓、代謝ホルモンの病気を含めて、多くの病気の診断に極めて有用な検査です。
 近年、尿検査は多項目を測定できる試験紙の開発により、手軽なスクリーニング検査として利用されています。通常は、PH、タンパク、糖、ケトン体、ビリルビン、ウロビリノーゲン、潜血などが簡易に測定されます。
 また、尿中に排泄される細胞成分や結晶などを集めて顕微鏡で観察することによって、血尿や膀胱炎の有無、腎障害の程度や悪性腫瘍の有無なども調べることができます。
 さらに、尿中に排泄されている糖やタンパクの量をより正確に測定したり、ナトリウムやカルシウム、ホルモンやその代謝産物の量を測定することで、病気の状態をより詳しく調べることができます。
 尿の検査は時間による変化を避けるために通常は採尿直後の新鮮尿を使うのが原則です。食事や運動の影響をできるだけなくすために食後や運動直後は避けたいところです。清涼飲料水や缶入りのお茶などにはビタミンCが多量に含まれているので尿糖の検査を陰性にすることがあります。検査前にはこれらを飲まないようにします。
 女性の場合には、尿の中に膣の分泌物や外陰部の成分が混ざることがあるので、最初と最後の尿を避けた中間尿を採ることがすすめられます。
 検査値には、尿比重として反映されることもありますが、尿量や排尿回数にも注意を払う必要があります。また、尿のにおいなどから、糖尿病やまれな代謝異常が発見されることもあります。
 尿の色も時には重大な疾患を予想させることにつながります(鮮紅色は血尿、コーヒー色はミオグロビン尿など)。


検査の知識 つづき


○診療機関ごとに結果が異なる

 検査方法や試薬の標準化が進み、同じ様な値が出されるようになってきましたが、それでも方法によっては異なった結果が得られる場合があるのです。また、同じ施設で同じ機械と試薬ではかっても、日によって検査結果に若干のズレが生じます(測定誤差)。

○個人の基準値があるべき

 基準値を考えるときに大事なのは、基準範囲は集団の検査結果から最大公約数的に得られたものであって、大きな幅があることです。しかし、個人の検査値はこの範囲の中でもより限定された値をとります。基準範囲の中にとどまった動きであっても、個人的にとっては異常な変動である場合もあります。
 個人の基準値を知るためには年一回くらいは定期的に検査を受け、自分の基準範囲をなるべきデータを蓄積しておくほうがよいでしょう。

○検査を組み合わせて考える

 一つ一つの検査項目を時には総合して判断しなければいけない場合もあります。やや専門的になりますが、検査を総合的に組み合わせて、判断材料とするようにしているのです。

日時:2011年6月 6日 09:44
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検査の知識


◎検査値の読み方

○基準値(標準値)と正常値

 検査を受けたときには、その結果が正常だったか、異常値だったか気になるものです。これは当然ですが、実は正常か異常かをはっきりさせるのは簡単ではないのです。
 超音波画像やX線写真、CT画像、あるいは顕微鏡で見る病理組織学的検査では、医師や技師たちが慎重に観察して異常な部位を見つけ出します。ここには経験と科学的な情報に裏づけされた深い観察力が要求され、その技術を一般の人が身につけるのは難しいことです。
 いっぽう、血液や尿などを測定して行われる検査の場合には、結果が数値として出てくることが多く、一般の人にもなじみやすいため、正常か異常かに、よりこだわりやすくなります。しかし、何気なく正常値といっていることには実は落とし穴があります。正常値から少しでもはずれてしまうと、結果を示す文字の色が黒ではなく赤や青に変わったり、高値をしめすHや底値を示すLがついたりすると、なんとなく不安になり、こだわりたくなるのです。

○正常値ではく基準値

 現在は検査の正常値でなく、基準値という呼びかたをするのが正しいとされています。それはなぜでしょうか。
 いわゆる検査の正常範囲を決めるには、多くの健康な人たちの検体を測定したうえで、その分布を調べ統計学的な処理をして、上限、下限を決めています。実は、このとき上限から下限までの範囲の中にはこれらの健常者のうち95%までが含まれるように決めるのです。最初から健常者のうち5%はこの範囲からはずれるので、1000人の健常者がその検査を受けると50人が正常範囲外の検査結果を示すことになります。また検査対象外となる集団が変わればこの統計値も少しずつ変わります。
 このことから正常値と呼ぶのは適切でなく、基準値、基準範囲と呼ぶようになりました。ですから基準値をわずかに超える検査値があってもそれは多くを気にしなくてもよいことになります。

○性や年齢を考慮した基準値

 検査によっては、基準となる範囲が男女によって異ならなければならない場合もあります。また、乳幼児、小児期、思春期、成人、高齢者で少しずつ基準値を変えなければならない場合もあります。女性の閉経前後では女性ホルモンの減少にともない、検査結果が大きく変わることもあります。

○食事や時刻、季節の影響

 検査は多かれ少なかれ食事摂取の影響を受けます。特に血糖値や中性脂肪などは食前と食後では大きな変化をともなうことがあります。他の検査では変化は無視できる場合もありますが、検査結果を見るときには、検査を受けたのが朝食前だったか、朝食後だったか、食事からどのくらい時間がたっていたかを考慮する必要があります。
 また、朝と夕方では値の異なる検査、季節により変動する値も考慮が必要です。

日時:2011年6月 5日 09:49
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事故や災害にあったとき(地震など)


 地震と津波は突然に襲い、瞬時にして住居を、生活を、そしてライフラインを破壊してしまいます。
 また、大地震では火災の発生、衛生状況の悪化など二次災害も発生し、広範囲かつ長期間にわたり深刻な被害をもたらします。日ごろから大地震に備えた準備をおこなっておきましょう。

◎地震への対応

 地震発生時に身を守る方法は次のとおりです。まずは火を消して、ガスの元栓を閉め火災発生を予防します。次に、ヘルメットやクッションなどで頭部を保護しておきましょう。

○屋内にいた場合

 家屋の耐震性が低いと、家屋の倒壊による怪我、最悪の場合は圧死してしまいます。のこため家屋の耐震性が重要です。家具の転倒防止や落下物防止対策も大切です。
 地震によって家屋が倒壊する危険性は一階が最も多く、二階以上にいる人はあわてて一階に降りてきてはいけません。一階にいた場合は、太い柱や丈夫そうな家具のそばで様子を見ましょう。あわてて外に飛び出すと、かわらやガラスの破片などの落下物で怪我をしやすいでしょう。

○屋外にいた場合

 屋外でのけがで最も多いのは、ガラス片、かわら、外壁タイル、看板などの落下物による受傷です。屋外で地震に合ったときは、かばん、バックなどで頭部を保護し、大きな街路樹の下や、公園などに非難しましょう。

○車内にいた場合

 自動車を運転中に地震を感じたら、ブレーキをゆっくり踏んで道路左側に静かに停車します。列車や地下鉄に乗っていたときは、係員の指示に従ってください。パニックにならないようにすることが大切です。

◎火災、爆発、テロへの対応

 火災や爆発事故では、火災や熱風によるやけど、一酸化炭素などの有害ガスによる中毒、爆風で飛来してきたものによる怪我や打撲傷、骨折、内臓破裂に注意します。
 やけどをしたときは、まず安全な場所に移動し、水でぬらしたタオルをやけどに当て、病院で診察を受けましょう。火災や爆発事故でのやけどで恐ろしいのは、顔面熱傷や気道(空気が通る口腔、咽頭、喉頭、気管、気管支)熱傷です。これらの熱傷は受傷後は症状がなく、数時間してから著明な症状を示すことがよくあります。特に気道熱傷は、喉頭や気管、気管支壁がむくみ、呼吸ができなくなる可能性が高く、大変危険です。気道熱傷が疑われる場合はすみやかに病院で診てもらいましょう。
 テロにあったときはいち早く安全な場所に移動し、自分や周囲の人々の障害に応じた手当てが必要です。


事故や災害にあったとき(交通事故)


 交通事故負傷者数は100万人をこえています。残念ながら交通事故はもっとも身近な外傷といえます。
 そして、交通事故を起こしたり、または、交通事故に遭遇したときは、すぐに負傷者への応急手当を行い、少しでも悲惨な結果を回避する必要があります。

◎負傷者の救助と応急手当が最優先

 交通事故は、交通量が多く、複雑な状況下で発生することが多いので、事故現場には予期せぬ危険が潜んでいます。このため、負傷者をすみやかに救助するとともに、救助者自身の安全を確保し、応急手当を安全に行える場所を確保する必要があります。

1道路外の空き地、広場、駐車場など車の通行が少なく、救急車との連絡が容易な場所。

2交差点、坂道、カーブ、中央分離帯わきは避ける。

3夜間は証明のある場所を選ぶ

 負傷者の移動については、可能なかぎり多くの人数でやさしく運びます。交通事故では首の骨やくびの脊髄が損傷されていることが多く、頭部や頸部がぐらぐらしないよう両手でしっかりと固定しながら移動させます。そして、意識の有無、呼吸や脈拍の有無をチェックし、必要な応急手当(心肺蘇生法、止血法、意識が内場合の回復体位)をはじめます。

◎救急車到着時の対応

 救急車が近づいてきたら、可能なかぎり誘導、案内を行いましょう。そして、救急隊員にわかる範囲で情報を伝えます。
1負傷者の容態・・・意識、呼吸、脈拍、出血、骨折など
2事故発生時の状況
3実施した応急手当の内容
4その他、目撃情報


事故や災害にあったとき(溺水)


◎救助方法

 ニュースでよく報道されていますが、救助者まで溺れてしまうことがあります。これは、一人で救助しようとしても、溺水者は意外に重く、しがみつかれたりして救助者まで溺れてしまうからです。したがって、溺れている人を見つけたら、まず人を集めることが大切です。
 次に、手短にあるよく浮くものにロープを結びつけて、これを投げて溺水者につかまらせます。
 溺水者との距離が数メートルであれば、棒や釣竿をのばしてつかまらせてもよいでしょう。
 ロープや竿がなくっきしに引き寄せることができない場合でも、よく浮くものを投げ入れて、溺水者がつかまり浮いていられるようにしましょう。

◎手当て

 水から引き上げることができたら、まず意識、呼吸、脈拍をチェックしましょう。呼吸停止のときは、ただちに口対口人工呼吸を行います。
 泳いで救助したとき、水中であっても口対口人口呼吸はできます。
 心停止におちいっていいれば、ただちに心マッサージを開始します。そして、救命処置を行い、意識があるときは、体の水分をふき取り、保温につとめます。


事故や災害にあったとき(感電,落雷)


◎感電したとき
 
○救助者はまず電源を切ること

 感電のとき、電流が流れたままだと救助者も感電してしまいます。このため、感電したと思われる負傷者がいたら、まず電源を切ることが最優先です。電気製品のスイッチを切ったり、コンセントを抜いたり、ブレーカーを切ったりしましょう。
 電源を切ることができず、負傷者が電線を握って離せないことがあります。乾いたゴム手袋や皮手袋をはめ、さらにゴム製靴をはき、電気を通さない木や竹の棒で負傷者から電線を引き離します。

○負傷者の手当て
 
 電源を切って、負傷者を電線や電気製品から離し(救助者も感電しないように)、また、適切な場所などに移して安全を確保したら、意識、呼吸、脈をチェックします。
 感電による即死の原因は、ほとんどが電流により神経や心臓の働きが傷害され、呼吸停止や心臓停止におちいってしまうことです。したがって、感電の負傷者が意識がなかったリ、呼吸停止、心停止におちいっていいれば、ただちに心肺蘇生術を開始してください。

◎雷が落ちたとき

 雷は強大な電気エネルギーを有しているので、落雷では約10%が死亡し、その大部分は即死です。
 したがって、落雷に遭わないようにするとことが一番大切です。

○落雷に遭わないために
 
 ゴロゴロと雷が鳴り始めたら、まだ雷鳴が遠いからといって油断せず、広いとこと(ゴルフ場、田畑、運動場など)から屋内に引き上げてください。移動するときは、背を低くし、金属製品、カーボン樹脂製釣竿、ゴルフクラブ、かさ、などは身につけないようにします。
 また、高い木、電柱、送電塔には落雷しやすいので近づかないようにしましょう。

○雷に打たれたときの手当て

 どんなに軽傷に見えても、落雷に遭った人に対する処置は、感電のときと同じです。すぐに救急車を呼び、次に意識、呼吸、脈拍をチェックしましょう。そして、呼吸停止におちいっていれば、ただちに心肺蘇生術法を開始します。


薬物、毒物中毒の手当て


 世の中には、無数といってよいほど色々な薬物や毒物があふれています。これらの薬物、毒物が体内に入り体に悪い作用を及ぼすことを中毒といいます。
 急性中毒患者の発生頻度について正確な統計はありませんが、厚生労働省がまとめている人口動態統計による中毒死者数は年間で約5000人で、交通事故による死者の約半分に相当します。また、推定中毒患者数は年間約100万人、医療機関を受診する患者数は推定50万人です。
。つまり、詳細な事情聴取が大切で
◎中毒の見分けかた

 中毒診断の第一歩は中毒を疑うことです。薬剤の空き袋、空き瓶の存在、意識レベル、吐物、排泄物の性状、口臭、粘膜や皮膚の色などを注して観察します。特に次のようなケースでは、中毒の可能性を念頭に対処することが必要です。
1原因不明の意識障害
2激しい嘔吐や下痢
3通常では説明がつかない症状
4自殺企画や自損傷
5精神科疾患を有するとき

 しかも、初期は軽症か無症状のこともあります。のうやく中毒の一部、医薬品中毒の一部、毒キノコ中毒などでは、特に初期症状は一見無症状や軽症に見えるために、見逃してしまったり、安易に対処してしまうことがあります。

◎119番通報時に伝える情報、持参品

 なにを、どのくらい、どうやって摂取したかを簡潔につたえましょう。そして、症状を詳しく説明してください。また、薬のパッケージや袋、飲んでいたビン、吸入していた袋、などを持参します。

◎手当て

 意識障害が高度のときは、嘔吐による窒息や誤嚥性肺炎を起こします。安易に吐かせたり飲ませたりしてはいけません。まずは横に寝かせて回復体位にします。そして救急車の到着を待ちましょう。
 もし、薬剤のラベルに、吐かせる、あるいは牛乳を飲ませるようになどの指示がある場合は、その指示に従います。吐かせる方法は、まず少量のぬるま湯を飲ませて吐きやすくし、小児だったらお腹を抱えて持ち上げ、
下向きで頭を低くするような姿勢をとり、のどの奥を指で押すようにします。大人では、似たような姿勢をとってもらって行います。
 しかし、腐食性毒物(硫酸、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムなど)、石油製品(ガソリン、灯油、軽油)は、安易に吐かせると合併症を引き起こす危険性があります。吐かせずに救急車を待ちましょう。


アルコール中毒の手当て


◎血中アルコール濃度と臨床症状

 酒を飲むと、アルコールは胃や小腸から吸収され、血中に入ります。そして血中アルコール濃度と臨床症状との間には、濃度依存性の関係を認めます。
 エタノールの致死量は血中濃度にして400〜500mg/dlといわれています。そしていわゆる一気飲みなどによる急性アルコール中毒での死亡例は、エタノール血中濃度が400mg/dlをこえているとされています。

◎致死量以上の血中アルコール濃度

 致死量以上の血中アルコール濃度になると、中枢性の呼吸抑制(呼吸中枢がアルコールにより抑制され、呼吸困難となる)と低体温による不整脈が出現します。アルコールには麻酔作用があるため、呼吸をコントロールしている呼吸中枢が抑制されて呼吸が低下し、ついには呼吸停止となり、死に至るわけです。
 またアルコール摂取時には末梢血管が拡張します。そのため体熱が放散されてからだが冷却状態となり、低体温(体温が34度以下)におちいります。低体温では不整脈が発生し、心臓が停止し死に至ることがあります。

◎死亡事故を防ぐ対処法

 致死量の血中アルコール濃度が検出されても、呼吸抑制と低体温に注意しつつ治療した結果、全員回復し死亡例はないという研究報告があります。つまり一気飲みなどで急速にアルコールを摂取し、泥酔、こん睡状態におちいっても、適切に処置されれば、死亡には至らないということです。


ガス中毒の手当て


 ガス中毒で最も多いのは、燃料の不完全燃焼や自動車の排気ガス吸入などによる一酸化炭素中毒で、住宅火災時に発生する青酸ガス、塩素系ガスによる中毒もあります。

◎一酸化炭素中毒のメカニズム

 一酸化炭素中毒は、家屋火災、ガス器具の不完全燃焼、自動車排気ガス吸入、炭鉱内、トンネル内爆発事故などで発生し、時として集団発生します。
 一酸化炭素と赤血球のヘモグロビンとの親和性は、酸素とヘモグロビンとの親和性の約250倍です。しかし、一酸化炭素ヘモグロビンは酸素運搬機能を持たないため、細胞、組織および器官は酸素欠乏の状況となり、最後は死滅してしまいます。
 一酸化炭素中毒の症状は、血中一酸化炭素、ヘモグロビン濃度と関係しています。

◎手当て

 室内でガス中毒者を見つけたら、救助者はまず窓を開け、新鮮な空気をいれ、換気をしましょう。
 そしてガスの元栓を切り火の気がないことを確認し、患者を現場から安全な場所へ移動させ、新鮮な空気を吸わせます。次に意識状態を確認します。意識状態が悪い場合は、ただちに回復体位としましょう。
 一酸化炭素中毒は、後になって脳や脊髄を傷害することがあります。意識が改善したあとも、診察を受けることが必要です。

日時:2011年5月27日 10:08
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急病の手当て(強い頭痛・強い胸痛のとき)


◎強い頭痛

 頭痛は日常的によく見られる症状です。神経的緊張や過労、ストレスが引きがねとなる筋緊張性頭痛は命にかかわることはありません。また、片頭痛や群発頭痛も激しい頭痛がありますが、命にかかわることはほとんどありません。
 しかし、命にかかわる頭痛と、そうでないものとは一般には区別できません。強い頭痛を訴えている人を見たら、まず医師の診断を受けましょう。さらに、意識障害をともなっている場合は、命にかかわる頭痛であることが多くなります。

◎強い胸痛
 
 強い胸痛を訴える人は、狭心症、心筋梗塞、解離性大動脈瘤など心肺停止の原因になり、重篤な場合が多くなります。
 一般に命にかかわるような重症の病気・怪我による胸痛では、意識障害、顔面蒼白、冷や汗、血圧低下をともなうことが多く、分単位で病状が急激に悪化することがよくあります。

◎手当て

 強い頭痛では意識障害、めまい、吐き気・嘔吐、まひをともなうことが多いので、回復体位とし、気道閉塞にすぐ対応できるようにしておきます。
 強い胸痛では、衣類を緩め楽な姿勢にしたり、横にして両足を少し高くして寝かせます。逆に心不全のときは、胸痛に呼吸困難をともなっているので、上体を起こしたまま(起座呼吸)にしておきます。


急病の手当て(ひきつけ・けいれんのとき)


けいれんとは、急激に筋肉の収縮が起きることで、ひきつけとほぼ同じ意味と考えてよいでしょう。

◎けいれんの原因

 けいれんは、生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者に至るまで、すべての年代層に起き得る症状ですが、けいれんの原因疾患は年代により特徴が見られます。

○小児のけいれん

 小児のけいれんで考えられる病気は、熱性けいれん、てんかん、先天性代謝異常、脳炎、髄膜炎、脳腫瘍、頭部外傷などです。
 このなかで最も多いのが熱性けいれんです。生後六ヶ月〜三歳の乳幼児が38度以上の高熱時に突然全身のけれん発作を起こします。しかし、けいれんは五分以内におさまることが多く、救急車を呼んで病院に着いたときには、すでにけいれんは止まっていることが大部分です。熱性けいれんは、おさまった後は脳や神経の異常を全く残しません。また、熱性けいれんを起こす乳幼児の約三分の二は、けいれん発作を一回しか経験しません。

○少年〜青年のけいれん

 少年〜青年のけいれんでは、てんかん、脳炎、髄膜炎、脳腫瘍、頭部外傷、ヒステリーが考えられます。

○壮老年

 壮老年では、脳血管障害(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)、てんかん、頭部外傷、脳炎、髄膜炎、脳腫瘍、低血糖、薬物中毒、ヒステリーなのです。

◎観察と手当て

 けいれん・ひきつりをみたときは、まずあわてず患者さんのようすを観察しましょう。意識の状態、呼吸の状態(呼吸をしていなければただちに人工呼吸)、熱があるかどうか、体の一部分か全体的なけいれんか、持続時間はどのくらいかです。そして、床に寝かせ、ボタンやベルトをはずし服を緩め、嘔吐に対応するために横向けにします。

○気をつけること
 
 けいれん・ひきつけを起こしたとき、以前は舌を噛み切らないようにと、口の中に布なおどを入れることがありました。しかし、舌をかんで大量出血することはほとんどなく、口の中に物を入れることで口の中をけがしたり、呼吸を妨げたり(気道閉塞)するので、口の中に物を入れるのは避けましょう。




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