日本におけるインフルエンザの流行・拡大は、小学校で始まると考えられています。 小学生は罹患(りかん)率が高く、それが家庭で成人や高齢者に感染していきます。
高齢者は罹患率は低いのですが、逆に死亡率は高く、インフルエンザにかかると重篤な症状となり、死亡率が高くなります。
インフルエンザの中、A型のウイルスはヒトだけでなく、鳥やブタ、馬、鯨など他の動物にも感染します。通常はヒトからヒトへというように同種の間で感染し、ヒトが他の動物のインフルエンザにかかることはほとんどありません。
しかし、インフルエンザウイルスの遺伝子情報が子のウイルスにコピーされる時に、遺伝子情報が変更され性質が変わる(変異する)ことがあります。変異によって、これまでヒトに感染しなかったインフルエンザウイルスがヒトへ感染するようになり、さらに、ヒトからヒトへ感染するウイルスが現れる場合があります。このようにして、ヒトからヒトへ感染する新しいインフルエンザが出現した場合を、「新型インフルエンザ」といいます。
鳥インフルエンザは、自然界で鳥が感染するインフルエンザです。通常はヒトに感染することはありませんが、近年、東南アジアを中心にヒトが感染する例が報告されています。最初は1997年に香港で18名がA型のH5N1に感染した鶏より感染し、内6名が死亡しています。このA型H5N1の運び屋として水鳥や渡り鳥(カモなど)が確認されています。特にこのウイルスは鶏が大量死することが、注目されています。ヒトからヒトへの感染はまだ確認されていないので、新型インフルエンザとはいえませんが、鳥インフルエンザが新型インフルエンザになる可能性はあります。
予防法は、帰宅後うがいや手洗いをする、マスクをつける、人混みを避けるなど、通常のインフルエンザと同じです。しかし、この場合ヒトは全く抗体を持っていませんのでワクチンを接種する必要があります。現在のワクチンは新型インフルエンザには効きませんが、新型インフルエンザに効くワクチンを早期に実用化するために、世界中で研究が行われています。新型インフルエンザの治療には、抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)が有効であると考えられています。このため、国や一部の自治体では、新型ウイルスの出現に備えて、抗インフルエンザ薬の備蓄を行っています。
インフルエンザウイルスは抗原性の違いにより、A型、B型、C型に分類されますが、パンデミック(流行が短期間に世界的に拡大し、多数の人々が年齢を問わず感染する状態)をおこすのはA型です。
A型ウイルスはさらに、表面抗原の違いによりHA(H1〜H15)、NA(N1〜N9)の亜型に分類されています。ヒトでパンデミックを起したのはH1〜H3の3種、N1〜2の2種です。
パンデミックは、ウイルスの表面抗原とくにHAが不連続変異をおこして新しい型になったため、この新型ウイルスに免疫を持たない多くのヒトに感染が拡大したと考えられています。