◎花粉症(花粉アレルギー)
○症状
花粉が飛散する季節に一致して、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状、目のかゆみ、なみだ、異物感、充血などの眼症状が出現します。鼻、眼症状が強いときには鼻痛、咽頭腫脹感、咽頭痛、腹痛、下痢、皮膚炎、頭痛、全身倦怠感、微熱などもみられます。ぜんそくをおこすことはまれです。
なお、北海道に多いシラカバ花粉症患者の約半数ではシラカバと抗原が類似したりんご、さくらんぼ、西洋梨、セロリ、にんじん、大豆、ヘーゼルナッツなどを食べると30分以内に口内にかゆみやビリビリ感が生じる口腔アレルギー症候群を合併することが知られています。
○原因
スギ、ヒノキ、アカマツ、カモガヤ、イネ、ヨモギ、ブタクサ、カナムグラなどが頻度の高いアレルゲンですが、その多くは花粉が風で運ばれるということです。
地方によって時期は多少ずれますが、春にはスギ、ついでヒノキ、マツ、ブナなどの樹木、夏にはイネ、カモガヤなどのイネ科植物、秋にはヨモギ、ブタクサなどのキク科植物、カナムグラが飛散し、花粉症の原因となります。
花粉に対するIgE抗体による1型アナフィラキシー型反応が、花粉にさらされる鼻粘膜、眼結膜で起きるために発症します。
毎年同じ様な時期に、鼻、眼症状が出現するときには、その時期に飛散する花粉アレルギーである可能性が考えられます。通年性に鼻、眼症状がある場合は複数の花粉アレルギーの事もありますが、花粉よりもハウスダスト、ダニ、カビ、ネコなどのペットへのアレルギーである可能性が考えられます。
皮膚テストや血液検査で花粉と反応するIgE抗体を測定し、要請ならその花粉による花粉症と診断されます。皮膚テストとしてはプリックテストが簡便なのでよく用いられます。皮膚を針先で出血しない程度に刺激し、そこに抗原液を数滴たらして20分後の皮膚反応で判定されます。
○治療、予防
花粉にさらされないよう飛散量の多いときは、帽子、めがね、マスクをします。マスクは花粉用のものが効果的です。外出から帰ったときは外で服をたたいて花粉を落とす、洗顔をする、こまめに掃除機をかける、寝具を外では干さないなども効果的です。
薬物療法としては飛散初期(症状の強い人はその1〜2週間前から)から抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬を服用します。症状のあるときは抗アレルギー薬や、ステロイド薬を点眼、点鼻します。
重症度に応じてこれらの薬の組み合わせを増やしていきます。特に鼻づまりが強いときはステロイド薬の点鼻、抗アレルギー薬のひとつの抗ロイコトリエン薬の服用、血管収縮約の点鼻をおこないます。ただし、血管収縮薬は即効性がありますが、指示された回数以上に用いると、使用後にかえって粘膜の血管が拡張したり、粘膜が萎縮して年中鼻症状が続くこともあります。そのため症状が改善されないときでも、点鼻橋時回数以内にとどめ、他の薬と併用して症状を抑えます。
◎経口アレルゲン
経口アレルゲンのおもなものは、牛乳、大豆、そば、小麦、えびやかになどの海産物、各種の食品添加物、着色料、防腐剤、経口薬剤です。牛乳、卵、大豆がもっとも頻度の高いアレルゲンです。
◎接触性アレルゲン
接触性アレルゲンのおもなものは、化粧品、洗剤、外用薬、塗装金属(ニッケル、コバルトなど)、ウルシなどの植物などです。
◎アレルゲンの侵入経路による症状
吸入によってはアレルギー性鼻炎、ぜんそく、過敏性肺炎など気道の病気が、経口によっては下痢、腹痛、嘔吐などを伴う胃腸炎が、接触によっては皮膚炎などの皮膚疾患がおきます。しかし症状は必ずしもアレルゲンが侵入した臓器にかぎられません。
食物アレルギーで胃腸症状はないのにじんましんや喘息が起きることがあるように、その人が過敏な臓器やアレルギー物質が分解、蓄積される場所で症状がおきることもあります。
◎アレルゲンの侵入経路と症状
アレルゲンは体へ侵入する経路によって吸入アレルゲン、経口アレルゲン、接触性アレルゲンなどに分けられます。薬剤ではそのほかに血管内、筋肉内などへの投与があります。
◎吸入アレルゲン
吸入アレルゲンには室内塵(ハウスダスト)、ネコ、小鳥などの動物の毛、ふけ、羽、スギ、カモガヤやブタクサなどの花粉、カビなどがあります。
○ダニ
アトピー性気管支喘息や通年性のアレルギー性鼻炎の最も重要な原因吸入アレルゲンは室内のほこりの中に生息するチリダニ科のヒョウヒダニ(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ)の糞や死骸です。接触によってアトピー性皮膚炎の悪化の原因ともなります。
ツメダニなど人を刺すダニとは異なり、ヒョウヒダニはふけ、あか、食物のカスなどをえさとするダニで、食卓のまわり、じゅうたん、寝具、ソファー、綿ほこりの中などに生息しています。そのため室内塵ダニともいわれます。温暖で多湿の環境を好み、夏に多く発生します。
最近谷によるアレルギー疾患が増えているのは、家屋の密閉性、保温性が高まり、チリダニが繁殖しやすくなったのが大きな原因といわれています。アトピー性ぜんそく患者の八割以上がチリダニのアレルゲンに対するIgE抗体をもっているといわれています。空中に舞い上がったダニの死骸、糞がアレルゲンとなりますが、最も多くダニにさらされるのは、就寝中にダニの発生源である布団から至近距離でダニアレルゲンを吸入するときです。ダニアレルゲンへの接触を減らすには、室内の通気を良くする、じゅうたんなど敷物を敷かない、布団を乾燥させるなどの方法でダニの繁殖を抑える、アレルゲンを撒き散らさない型の掃除機で布団、床のダニ抗原を吸引除去するなどの方法があります。また、高密度繊維性のふとんカバーでダニアレルゲンを通過させない方法も有効です。
○シックハウス(シックスクール)症候群
最近、家屋や家具から放出される化学物質によって目、鼻、咽頭の刺激症状、皮膚の紅班、湿疹、じんましん、疲れやすい、頭痛、などの症状が起きるシックハウス症候群(原因が学校や幼稚園の建材や建具である場合は、シックスクール症候群という)が問題となっています。その大部分はアレルギーではなく、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、シロアリ駆除剤、などによる直接的な刺激や中毒が原因と考えられています。