今日からいよいよ12月に入りました。
今年も残すところあと一ヶ月です、早いものですね。
旧暦の12月を「師走(しわす)」と呼び、現在でも新暦の12月の別名としても用いられています。それではこの「師走」とはどのような師が走るの意なのでしょうか。
今の時代を見回してみても、それがわからないのも無理はありません。
なぜならこの師は明治以降に廃止されてしまったからです。
御師(おんし、おし)が走る。
これが「師走」の語源です。
それではこの御師とはどのような人たちだったのでしょうか。
昔の人々は「一生に一度はお伊勢参り」というくらいに、伊勢神宮へ詣でることを憧れ、あの時代にあって年間500万人もの人々が伊勢参りをしたという記録さえ残っています。しかしそれをなし得たのも、人々を伊勢神宮へガイドする職業があったからです。それが「御師」です。
御師は日本最古(世界最古?)の旅行業といわれるように、ただ人々を聖地へ先導するだけではなく、宿泊の手配や食事、土産の買い付けなど、至れり尽くせりのサービスでガイドをしたそうです。そういう意味では純粋な信仰心から「一生に一度はお伊勢参り」というだけではなく、伊勢参りには当時の人々にとってのバケーション旅行の意味合いもあったようです。ただ御師の呼称が「御祈祷師」の略とされているように、彼らはお祓いや神事なども行うことから、今風にいえばスピリチュアル・ガイドという位置づけがふさわしいといえるでしょう。そして、そんな御師が1年で最も忙しいのが師走なのです。