自然の止血機構と血栓
血管が破れると、破れた部分から血液成分が血管外へ流れ出てきます。この現象を出血といいます。
肺、心臓、肝臓などの重要な臓器に出血したり、出血が多量になると生命にかかわりますが、私たちの体には、この出血を最小限に食い止めようとする自然の働きが備わっています。これを止血機構といいます。どのような仕組みで止血機構が働くのでしょうか。
まず、血管が破れると、その部分の血管が収縮し、血液の流れが緩やかになって出血量が少なくなります。
ついで、血液中の血小板が破れた部分の血管の内側の内皮下組織、特にコラーゲンに粘着します。血小板の細胞は色々な物質を放出していますが、そのうち、特にアデノシン2リン酸、トロンボクサンA2などの物質の働きによって、血小板は互いにくっつきあって固まってきます(凝集)。この凝集した血小板の塊によって、破れた血管の部分は一応ふさがれて、出血は止まります。