■頭部外傷の恐ろしさ
◎救急処置のチェックポイント
頭部外傷の結果おこる頭蓋内の損傷の一つに、硬膜外血腫があります。この損傷が起こったときには、受傷後、意識障害が起こりますが、しばらくすると自然に意識が冷め、また意識障害におちいるのが特徴です。
かつて、救急医療体制が今日ほど整っていなかったころ、この硬膜外血腫の意識清明期に、意識が戻ったからといって病院から帰宅させてしまい、数時間後に意識障害が起こって死亡したということがあったそうです。
脳神経外科医や熟練した医師であれば、硬膜外血腫の意識清明期であることを見逃すはずはありませんし、他の科の医師でも、どうして帰宅させたのだろうと疑問を持つほどに、今日では常識的な事柄になっています。