◎下腿三頭筋断裂
ふくらはぎにある下腿三頭筋には肉離れが良く起こります。肉ばなれは筋肉が、自分自身の強い収縮力やが外から加わった強い力によって部分的に断裂することをいいます。断裂は筋肉全体に起こることはまれで、たいていの場合筋肉の一部のみに起こります。
肉離れのでは症状のあらわれ方と圧痛(押して痛む場所)が何処にあるのかが診断のポイントとされます。スポーツの最中にふくらはぎに急に傷みがあらわれ、さわってみると筋肉に圧痛があり、じっとしていればそれほどではないが、その筋肉に力を入れようとすると強い痛みが生じるという場合は、肉離れがおこったと考えてまず問題ありません。
肉離れの治療は受傷直後は、局所の安静、患部の冷却と圧迫が中心になります。肉離れが生じているのに痛みをこらえて無理に歩き回っていると、痛みも強くなるし、回復も遅れがちになります。安静は、単に痛みの問題だけでなく治りを早めるうえでも重要です。このため重症の肉離れではギプスで固定することもあります。
また受傷後には筋肉の損傷がおこった部位に内出血や組織の腫れが生じます。患部を冷却し、伸縮性のある包帯などで適度に圧迫してやれば腫れや内出血を抑えることができます。痛みが非常に強い場合には、市販の痛み止めの薬の中には内出血の傾向を強めるものもありますので注意が必要です。また受傷直後の長時間の入浴、マッサージは内出血や腫れを強める恐れがあるので、控えましょう。
肉離れを起こした筋肉は、損傷の程度にもよりますが、けがのあと三週間ほどである程度治ってきます。肉離れを起こした部分は正常な筋肉に比べてもろい組織で治る傾向があり、このために同じ場所で再度肉離れを起こすことが少なくありません。これを防ぐ確実な方法はありませんが、運動中に肉離れだと感じたら早急にまず、圧迫包帯とそのうえからのアイシングをして早めに筋肉内で起きている内出血を止めることが一番治りがよい方法となります。運動する人や、トレーナー、コーチなどもこういった知識をもっておくと治りの悪い肉離れになりにくくなるでしょう。