関節の中が変化する病気
私たちは、一日に10万回も関節を動かしているといわれています。ただ動かしているだけでなく、股関節や膝関節を例にとれば、たったときに、上半身をしっかりと支えなければならず、跳んだり、走ったりしたときに関節にかかる衝撃を受け止めなければなりません。
このようなさまざまな酷使にも耐えられるように、関節はたいへん緻密な構造をしています。
まず、関節の上下の骨が前後左右にずれてしまわないように、靭帯という組織が関節を囲んでしっかりと支えています。
さらに、関節の上下の骨の先端は、弾力性に富んだ軟骨におおわれていて、骨と骨がぶつかるさいの衝撃を和らげています。
また、関節の中は、関節液で満たされていて、上下の骨がこすれあう際に生じる摩擦を少なくしています。関節液は機械にたとえると、潤滑油のような役目をしているのです。
このように、よくできた構造をしている関節も老化には勝てず、年をとるにしたがって老化による変化が起こってきます。
まず、軟骨へ十分な栄養がいきわたらなくなる為に、弾力性がなくなってきます。表面がかさかさして不透明な色になってきます。
さらに老化が進むと、軟骨全体が水気のないさばさばした感じとなり、弾力性がいっそうなくなるだけではなく、こすられてしだいに磨耗してきます。
軟骨の一部が擦り切れると、上下の骨が直接ぶつかるようになり、関節を動かしたときに痛むようになります。
骨と骨とが擦れ合うのですから、骨はすり減るのですが、逆に増殖もしょうじてきます。
クッションの役目を果たしている軟骨がすり減ってくると、受ける衝撃をやわらげるために面積を広げて、かかる負担を軽くしようとするはたらきがおこってきます。この結果、骨が増殖してくるのです。
骨が増殖してきても、外見からはわからないのですが、X線で撮影すると、ちょうど使い古した金づちのへりがさらさらになっているのと似たような骨の増殖による変形がうつります。
関節に、このような変形が起こるところから、変形性関節症という病名がついたのです。