どんな病気か
椎間関節を構成している上関節突起と下関節突起の間の骨がかけてしまって、脊椎の前方部分と後方部分が分かれている状態を脊椎分離症といいます。
また、上下の脊椎がずれている状態を、脊椎すべり症といいます。ずれ方は、下の脊椎に対して上の脊椎が前方(お腹側)のほうにずれているのが普通です。
脊椎すべり症には、脊椎分離症をともなう脊椎分離すべり症と、脊椎分離症を伴わない仮性すべり症とがあります。
脊椎分離症、すべり症とも、先天的におこるものと、後天的におこるものとがあります。後天的なものは、成長期におけるスポーツなどによる疲労骨折が原因ではないかと考えられています。
症状
分離しているだけなら何の症状もないことが多いですが、分離している為に脊椎間が不安定になり、椎間板や椎間関節に過大な負担がかかるために、しだいに慢性的な腰痛がおこってきます。
はじめは、朝起きたときや動きはじめに腰全体に重苦しい感じや鈍痛を覚えますが、動いているうちに楽になります。しかし、激しい運動や仕事で体をこくしすれば悪化します。特に足に放散する痛みや痺れなどがでてきたら、椎間板ヘルニアを合併している恐れがあります。
脊椎すべり症が高度に進行すると、椎間孔が歪んで、そこを通る神経根が圧迫されるために、足に放散する痛みが現れます。また、脊柱管にも変形がおこってなかの脊髄を圧迫し、腰部脊柱管狭窄症の症状が起こることもあります。
検査と診断
脊椎分離症は体の斜位からの、脊椎すべり症は側面からのX線検査で診断できます。しかし、脊椎分離症や脊椎すべり症があっても症状が起こるとは限らないので、他の要因が存在しないがどうかの検査も必要です。
治療
腰痛が強いときには、腰痛一般の治療に準じて安静にし、慢性化して痛みが軽くなったら、むしろ積極的に腰痛体操をおこなうようにします。
どうしても強い痛みがとれず、日常生活や仕事に支障をきたす場合は、手術をおこないますが、手術には多くの方法があり、手術後の療養きかんもさまざまです。