どんな病気か
脊柱管の後方を覆っているべき椎弓が、胎内にいる間に完全に癒合せず、開いたまま生まれてくる先天性の病気で、発症率は一万人に二〜三人です。重症な方は、脊髄などが大きく脱出していて、生後直ちに手術が必要です。
原因
普通は胎生十週間前後で脊椎の左右に骨核が出現し、それが生まれるまでに中央でつながって椎弓を形成します。ところがこの病気では、椎弓が左右に分かれたままの状態で出生し、その原因は不明です。
症状と分類
軽度のものはなんら症状がなく、何かの診察の際に偶然発見されることが多いのですが、生まれたときに腰のやや下部に柔らかい腫瘤を触れたり、体の表面にのうしゅができていて発見されることもあります。重症の場合は、普通足の麻痺を伴います。
ひ裂と脱出の程度により、次の四つの形に分類されます。
潜在性脊椎裂
椎弓にひ裂があるだけで、脊柱管の内容は脱出していません。時に脊髄の発育異常をともなうことがありますが、多くはなんら症状がなく、X線検査の際に偶然に発見されることが多いです。
脊髄膜ヘルニアを伴う脊椎裂
脊髄を包む脊髄膜(硬膜とくも膜)が椎弓のひ裂部から脱出して盛り上がっています。一般にまひなどの神経障害を伴います。
脊髄ひ裂
もっとも重症な型で、嚢腫が皮膚や脊髄膜に含まれておらず、脊椎や神経根が体表にむき出しになっています。
治療
脊髄膜へルニアや脊髄、脊髄膜ヘルニアは、生まれてから数日間で急速に神経症状が悪化するので、生後二十四時間以内に緊急手術がおこなわれますが、足の麻痺は防げません。残った足の機能を最大限に生かして歩けるようにするため、長期間にわたってリハビリテーションや装具療法が必要になることになります。