妊娠は貧血になりやすく、妊婦の約30パーセントは貧血を起こしているという統計があります。
妊婦が貧血になる原因の一つに水血症があります。これは妊娠末期に入るにつれて、血液中の血漿量(主に水分)が増えてくるために、相対的に血液中の赤血球の数が減少して、貧血の状態になるものです。
しかし、妊婦の貧血の原因はこれだけではなく、むしろ鉄分の不足のほうが原因としては重要なことがわかってきました。
女性はもともと鉄分不足状態にある人が多い上に、こういう人が妊娠すると、胎児に鉄分を取られる為にますます鉄分不足になって鉄欠乏性貧血になるのです。日本の妊婦には、この鉄欠乏性貧血が多いのですが、ビタミンB12や葉酸の不足による巨赤芽球性貧血も時にみられます。
貧血を起こすと、体がだるい、息切れや動悸を強く感じるなどの貧血の一般症状が現れてくるのですが、これは妊娠でも良く起こる症状である為、貧血を起こしていることに気づかない人が少なくありません。
貧血を早期発見するためには、妊娠中の定期健診をきちんと受けることが大切です。
ふだんから鉄分不足気味の人が妊娠した場合は、食事から鉄分をとるだけでは不十分で、鉄剤や、ビタミンB12や葉酸も一緒に服用することが大切です。