大脳生理学によると、自律神経には面白い特徴が、二つあるそうです。
一つには、他人のことと自分のこととの区別がつかないのです。人の身の上に起こっているのか、自分のことなのか、その区別がつかない。
たとえば私が「あんたは馬鹿だ」「駄目なやつだ」と言ったとします。
そうすると、言われた本人はもちろん傷つきますし、免疫も下がる。
けれど実は、言った本人も傷つくのです。私がAさんに言ったことなのに、私の自律神経は「馬鹿」「駄目なやつ」という言葉が、私本人に向けられたのだと錯覚するのです。
だから言った本人も傷つくし、免疫が下がるのです。
ドラマの主人公の悲劇を見て、こちらも何か胸が痛くなったり、涙が流れたりします。架空の人物なのに、です。自律神経はそれくらい自他の区別がつかない。
だから、人と会ったときには、何でもいいから、なるべく人のことを褒めてあげるとか、あるいは感謝をする。「ありがとう」と、ともかく言う。本当に心の底から言えなくてもいいんです。形だけでも効果がある。
例えば、一年間続くような連続ドラマの場合です。すると不幸な役を演じる俳優さんの多くが病気になるんです。はっきりした病気にならなくても、体調は確実に悪くなる。
架空の世界で演じているだけですよ。セリフ、つまり形だけの言葉を発しているだけなのに、免疫が下がって身体がおかしくなる。言葉って、其れくらい大きな力を持っているのです。