◎血中アルコール濃度と臨床症状
酒を飲むと、アルコールは胃や小腸から吸収され、血中に入ります。そして血中アルコール濃度と臨床症状との間には、濃度依存性の関係を認めます。
エタノールの致死量は血中濃度にして400〜500mg/dlといわれています。そしていわゆる一気飲みなどによる急性アルコール中毒での死亡例は、エタノール血中濃度が400mg/dlをこえているとされています。
◎致死量以上の血中アルコール濃度
致死量以上の血中アルコール濃度になると、中枢性の呼吸抑制(呼吸中枢がアルコールにより抑制され、呼吸困難となる)と低体温による不整脈が出現します。アルコールには麻酔作用があるため、呼吸をコントロールしている呼吸中枢が抑制されて呼吸が低下し、ついには呼吸停止となり、死に至るわけです。
またアルコール摂取時には末梢血管が拡張します。そのため体熱が放散されてからだが冷却状態となり、低体温(体温が34度以下)におちいります。低体温では不整脈が発生し、心臓が停止し死に至ることがあります。
◎死亡事故を防ぐ対処法
致死量の血中アルコール濃度が検出されても、呼吸抑制と低体温に注意しつつ治療した結果、全員回復し死亡例はないという研究報告があります。つまり一気飲みなどで急速にアルコールを摂取し、泥酔、こん睡状態におちいっても、適切に処置されれば、死亡には至らないということです。