世の中には、無数といってよいほど色々な薬物や毒物があふれています。これらの薬物、毒物が体内に入り体に悪い作用を及ぼすことを中毒といいます。
急性中毒患者の発生頻度について正確な統計はありませんが、厚生労働省がまとめている人口動態統計による中毒死者数は年間で約5000人で、交通事故による死者の約半分に相当します。また、推定中毒患者数は年間約100万人、医療機関を受診する患者数は推定50万人です。
。つまり、詳細な事情聴取が大切で
◎中毒の見分けかた
中毒診断の第一歩は中毒を疑うことです。薬剤の空き袋、空き瓶の存在、意識レベル、吐物、排泄物の性状、口臭、粘膜や皮膚の色などを注して観察します。特に次のようなケースでは、中毒の可能性を念頭に対処することが必要です。
1原因不明の意識障害
2激しい嘔吐や下痢
3通常では説明がつかない症状
4自殺企画や自損傷
5精神科疾患を有するとき
しかも、初期は軽症か無症状のこともあります。のうやく中毒の一部、医薬品中毒の一部、毒キノコ中毒などでは、特に初期症状は一見無症状や軽症に見えるために、見逃してしまったり、安易に対処してしまうことがあります。
◎119番通報時に伝える情報、持参品
なにを、どのくらい、どうやって摂取したかを簡潔につたえましょう。そして、症状を詳しく説明してください。また、薬のパッケージや袋、飲んでいたビン、吸入していた袋、などを持参します。
◎手当て
意識障害が高度のときは、嘔吐による窒息や誤嚥性肺炎を起こします。安易に吐かせたり飲ませたりしてはいけません。まずは横に寝かせて回復体位にします。そして救急車の到着を待ちましょう。
もし、薬剤のラベルに、吐かせる、あるいは牛乳を飲ませるようになどの指示がある場合は、その指示に従います。吐かせる方法は、まず少量のぬるま湯を飲ませて吐きやすくし、小児だったらお腹を抱えて持ち上げ、
下向きで頭を低くするような姿勢をとり、のどの奥を指で押すようにします。大人では、似たような姿勢をとってもらって行います。
しかし、腐食性毒物(硫酸、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムなど)、石油製品(ガソリン、灯油、軽油)は、安易に吐かせると合併症を引き起こす危険性があります。吐かせずに救急車を待ちましょう。