◎眠れない
不眠症には、痛みや尿意などがおこったり、体や精神の色々な病気のために本当に睡眠が十分取れていない場合と、不安神経症などのために眠れないと感じて問題にしている場合とがあります。ふつう年をとるにしたがって睡眠時間は短くなり、また眠りも浅く目覚めやすくなります。眠れないと感じている人も大部分は夜の寝つきが悪いという程度で、病的な睡眠不足ではないことがおおいのです。
病的な睡眠不足ではやせたり、食欲がなくなったり、頭がぼんやりしたりすることが多く、動脈硬化、高血圧症、糖尿病などの、からだの病気に対する治療が必要です。お茶やコーヒーの飲みすぎや、夜食の食べすぎなど寝つきを悪くする原因がないかよく反省してみましょう。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)、統合失調症(精神分裂病)や躁鬱病などの精神疾患の始まりには、ただ不眠だけがおもな症状としてあらわれる場合があります。
眠りが浅くて夢ばかりみる、目がさめても不快感が残る、わずかな睡眠で足りるのだが、しだいに疲れがたまってやってくる、などというようなうったえをします。無理に眠ろうとせず、ただ横になっているだけでもよいと考えるようにするなど、精神的治療が大切です。
◎眠りすぎ
不眠とは反対に、眠りが深すぎたり、眠りが長かったりする人がいます。若いときには夜更かしをして朝起きることが苦痛になりやすいものですが、強くおこせば、はっきり目が覚めるような眠りなら心配ありません。
しかし、どんなに刺激してもはっきり目を覚まさないときは、意識の障害からくる昏睡や睡眠薬による急性中毒、脳炎などを注意しなければなりません。