絞扼性神経障害は、神経の走行している経路のうち骨や靭帯などにより周囲を囲まれた構造になっている部位で神経が絞扼される(締めつけられる)ことによって生じる神経障害のことで、別名トンネル症候群ともよばれます。絞扼部位からさきの末梢神経に症状がみられます。
◎手根管症候群
手首よりやや末梢の手のひらにある手根管という管での正中神経が圧迫され、親指から薬指の指先がしびれたり、腕の痛みを生じる病気です。夜間から朝方に症状が強くなるのが特徴です。進行すると親指の付け根の筋が萎縮し、物がつまみにくくなります。中年以降のじょせいにおおくみられます。
◎肘部管症候群
肘の変形性関節症・ガングリオンなどや、小児期の骨折による外反肘・内反肘変形により生じます。中・高年の人が多く、肘の痛みと薬指・小指と小指球(てのひらの小指側の膨らんだ部分)の痺れが出ます。進行すると手の中にある指を横に開閉する筋がやせて、指先で物がつまみにくい、小指が曲がって伸ばせないという症状が出ます。
◎尺骨神経管症候群(ギヨン管症候群)
手関節部での尺骨神経の障害で肘部管症候群と同じあるいはその一部の症状が出ます。シビレは、手のひら側のみで甲側にはでないのが特徴です。原因としてはガングリオンなどの腫瘤による圧迫が多くみられます。
◎足根管症候群
足の内側のくるぶしの下での脛骨神経の障害で、足底の知覚障害と母指外転筋などの足部の筋力低下が見られます。