◎反復性肩関節脱臼
外傷による肩関節の初回脱臼以後、上肢の運動に伴い脱臼が繰り返されるものを反復性肩関節脱臼といいます。外転・外旋位(からだの脇で投球するときの姿勢)で脱臼しやすく、症状としてはこの状態での不安感や脱臼時の疼痛・違和感などがあります。自然に整復されることもあります。
スポーツや日常生活に支障がある場合は損傷された軟部組織を修復する手術などがおこなわれます。
◎鎖骨骨折
転倒などによる肩の側面からの外力により生じます。鎖骨部の腫脹、疼痛、変形が見られ上肢の挙上が制限されます。レントゲン検査により骨折が診断されます。中央三分の一の骨折では鎖骨バンドなどによる固定で治療するのが基本ですが、遠位端の骨折で烏口鎖骨靭帯が断裂している場合や骨片が皮膚を突き破りそうな場合などは手術適用となるでしょう。
◎肩鎖関節脱臼
鎖骨骨折と同様で転倒などによる肩の側面からの外力により生じます。肩鎖関節は鎖骨と肩甲骨との間の関節で、鎖骨を方のほうに触れていくと前のほうに曲がっている部分があり、その2〜3センチさらに外側にあります。この部分に痛みがあり、脱臼があきらかであれば突出による変形が見られます。上肢を挙上すると痛みを感じます。レントゲン検査により肩鎖関節のずれが確認できます。
程度が軽ければ治療は上肢の安静が中心で、絆創膏固定のうえ三角巾や包帯で固定しますが、放置しても時間とともに痛みはなくなり変形だけが残ることが多いでしょう。ずれが大きい場合には肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯が完全に断裂しているため手術となります。