◎上腕骨頸部骨折
上腕骨頸部骨折は中高年に多く、転倒などで肩の外側をぶつけたり、手や肘をついたりすると生じます。肩の外側で三角筋の部分の腫脹、疼痛を認めます。運動痛があり、腕を動かすことができません。骨折の仕方により治療が異なります。ずれのない骨折では保存治療となります。上肢を三角巾と包帯などで固定してはれや痛みが減るとともに、上肢をぶらぶらさせる運動等を開始します。骨形成がみられたら徐々に運動を増やします。
転移のあるもののうち、二つに分かれている骨折では整復が不十分である場合や三つ以上に折れている骨折では手術で骨折部を固定されます。
◎病的骨折
腫脹などにより骨の強度が不足する状態となった結果、通常では骨折を生じないような外力でも骨折を生じ、そのような骨折を病的骨折といいます。上腕骨では、骨嚢腫、動脈瘤性骨嚢腫、骨組織球症などの腫瘍類似疾患、骨肉腫や軟骨肉腫、骨悪性繊維性組織球腫などの骨悪性腫瘍、がんの骨転移などで生じます。
治療は疼痛を軽減するため、急性期には上肢の固定、鎮痛剤の投与などが行われますが、その後は原因となっている疾患の治療に準じます。
◎投球骨折
投球動作では腕を振るときに上腕骨を外側へひねるような力が加わります。この力によって上腕骨の骨幹部(中央あたり)にらせん状の骨折を生じることがあり、これを投球骨折といいます。同じ様な骨折は腕相撲でも生じることがあります。
骨折部の転移が少なければ固定をおこないます。転移が大きく整復できないときや、とう骨神経まひが合併しているときは手術が行われます。