◎手根部靭帯損傷
外傷や炎症などにより手根骨(手首にある小さい骨で八つある)の配列異常が生じ、結果的に手根骨の間に関節症性変化(軟骨の変性などの変化)が進行する病態です。いずれも手首の痛みを生じますが、レントゲン検査にて配列異常が認められる静的不安定性と負荷を加えたときにあきらかとなる動的不安定性とがあります。
◎舟状ー月状離開
手根骨のうち、舟状骨と月状骨との間に障害が出たものです。舟状骨と月状骨間の解離が生じ、レントゲン検査で三mm以上のすきまがみとめられます。進行すると舟状骨周辺の二次性の関節症となり、舟状ー大菱形小菱形骨間関節の変形やSLACと呼ばれる状態が生じます。
◎月状ー三角離開
月状骨と三角骨との間に障害が出たもので、月状骨や舟状骨に対し三角骨は中側へむく変形が見られます。いずれも診断には通常のレントゲン検査のほか、掌背屈や側屈のなどのストレスをかけて撮影します。
治療は、外傷などによる急性期の解離では靭帯を修復する手術が行われます。慢性期では症状が軽ければサポーターなど対症療法を行いますが、症状が強ければ関節固定や手根部の部分切除、あるいは部分関節固定などの手術が行われます。