◎とう骨遠位端骨折
手をついて転倒すると受傷します。前腕の二本の骨のうち手首の親指側にあるとう骨の圧痛、腫脹、疼痛、変形が見られます。レントゲン検査にて診断されます。受傷機転や骨折のようすで三種類に分類されます。
・コーレス骨折:手のひらをついて受傷したとに生じ、手根骨やとう骨遠位骨片は背側(甲側)へ転位し手首はフォーク状の変形となります。
・スミス骨折:手の甲をついて受傷したときに生じ、コーレス骨折とは逆に手根骨やとう骨遠位骨片は掌側へ転位します。
・バートン骨折:関節面を含む骨片とともに手根骨が転位した(ずれた)もので、とう骨背側の骨片とともに転位する背側バートンと、掌側骨片とともに掌側へ転位する掌側バートンがあります。
治療:転位した状態を戻す整復操作を行います。よい整復位が得られればギプス固定を行います。整復位の保持が難しい場合や関節内の骨折でずれがある場合、粉砕骨折で五mm以上とう骨に短縮が生じている場合は手術が行われます。
正中神経まひ(手根管症候群)が生じることがあるので注意が必要です。
◎関節リウマチによる変形
リウマチの滑膜炎により手指関節の破壊が進行すると高率に変形が生じます。最も多く見られる変形は、手指の尺側偏移(MP関節から指が小指側へずれる)、スワンネック変形、ポタン穴変形です。変形の進行はリウマチに対する薬物療法のコントロールが行われます。