◎強直性脊椎炎
腰や背中やくびの痛みとともに背骨がしだいに動かなくなっていく病気です。10代から20代の男性に多く発症します。背骨や骨盤の関節、ときに手足の関節に慢性炎症が生じ、進行すると背骨は一本の竹のようになり全く動かなくなります(骨性強直)。くびや背中、腰に前に曲がる変形が生じる事もあります。骨盤の関節である仙腸関節のレントゲン変化、腰の動きが制限される、腰や背中の痛み、呼吸時に胸が十分に拡張しないなどの異常により診断されます。
原因はわかっていませんが、遺伝的な要因に加え細菌感染などが誘因となって免疫異常を生じ、背骨などの靭帯が骨に付着する部分に慢性の炎症が起きることが原因と考えられています。検査ではリウマチ反応は陰性でヒト白血球抗原でB27型が90%にみられます。
原因が不明なため、根本的な治療法はありませんが一般的にシップ薬や抗リウマチ薬の内服、背骨や関節の変形や強直を防ぐための運動療法、リハビリテーションなどがおこなわれます。
◎二分脊椎
胎児の発生の過程で背骨の後ろの部分で脊髄をおおっている椎弓に欠損ができる先天奇形です。おおくは腰仙椎に発生します。小さな欠損から大きな欠損までさまざまで、小さな欠損の場合には皮膚や筋肉はほぼ正常で症状はあらわれません。この場合は潜在性二分脊椎と呼ばれますが、腰仙部の脂肪腫や皮膚洞を合併することがあります。
大きな椎弓欠損では欠損部分から神経組織が神経組織を包んでいる硬膜とともに体外に脱出し、のう状になっています。この場合は顕在性二分脊椎と呼ばれ、のう状の部分を脊髄髄膜瘤と呼びます。ただちに手術で欠損部分をふさぐ必要があります。さまざまな程度の下肢のまひが残るため、装具による足の変形の予防、歩行訓練などのリハビリテーションがおこなわれます。
◎恥骨・坐骨骨折
恥骨や坐骨の骨折は高齢者がしりもちをついたときにしばしば生じます。特に骨粗しょう症により骨がもろくなっている場合には軽い外傷でも生じます。恥骨だけの骨折や坐骨だけの骨折の場合もありますが、恥骨と坐骨両方の骨折のばあもあります。
痛みがある場合は安静が必要ですが、ギプス固定などの特別な治療は不要で、可能なら早期から歩いても問題ありません。