◎皮膚病治療の注意
皮膚病には、がんこで、治りにくいものが少なくありません。湿疹やじんましんをはじめとするありふれた病気にも、この傾向が見られます。そこで、実際に治療に当たって注意しなければならないことを知っておくことも、決して無駄ではないでしょう。
1まず、可能なかぎり原因をはっきりさせることが大切です。原因がわかれば、それを除く、あるいは避けることで治療することができます。原因の分かる場合の多くは、外からの刺激などで起きているときです。
原因を知るには、第一に発疹のでる前の生活状況や薬の使用歴、体に接触した可能性のある物質や食事の内容を思い起こすことが大切です。思わぬ外来性の物質が原因になっていることがあります。
第二に、皮膚病変の発生部位を良く見ることです。外部の刺激がおもな原因のときは、直接刺激を受けた皮膚の場所だけにできます。反対に血流を介して生ずる中毒、アレルギーがおものな原因のものでは、全身に左右対称にあらわれてきます。
第三に、軟膏療法で一時よくなってもやめるとすぐ再発し、軟膏療法でまた軽快するといったことを繰り返す場合は、一時的な外的因子のみが原因でないと考えられます。
2皮膚病が治りにくい原因の一つに、外からの色々な刺激があります。アトピー性皮膚炎の患者が夜間就寝中にかゆいために病変皮膚をかいて悪化させてしまうことがあります。外的刺激によって、いつの間にかはじめと違った別の病気に変わり、または新たに別の皮膚病が加わることもあります。例えば、湿疹のようにかゆい皮膚病では、ひっかいているうちに、細菌が感染して、とびひ、を併発することが良くあります。特に夏の小児湿疹ではこれが目立ちます。この事実を知らないで、いつまでも湿疹の治療だけを続けていたのでは、治らないばかりか、かえって、とびひ、がひろがる結果になります。