◎心臓や血管からくる高血圧
一般に、慢性の心臓病では、心臓が弱っているにもかかわらず、血圧がやや上がっていることが多いのです。高血圧が心不全の一因になっていることが多いためです。
大動脈弁閉鎖不全でも高いことがあります。心臓ブロックといって、心臓の打つ数が40以下になると脈圧が大きくなり、最大血圧は高くなります。
また、先天性の大動脈縮窄という病気では大動脈の途中が生まれつき狭くなっていて、上半身の血圧が異常に高く、下半身の血圧が低くなります。大動脈炎でも高血圧が起こります。腎動脈が何かの原因で狭くなっても血圧が上がります。
生理的老化現象としての動脈硬化の高血圧の原因の一つです。体全体の動脈の弾力が減ると、心臓から血液が入ってきたとき、大動脈壁がよく伸びないので、最大血圧が高くなります。しかし、最小血圧は上がらず、かえって下がることもあります。収縮期高血圧といい、たとえば200/80というように上と下の血圧に大きな開きがあります。この場合も降圧治療の対象となります。
◎薬物の副作用からくる高血圧
長期に服用を続けていると、そのために血圧が高くなることがあります。特に注意すべきなのは、漢方薬などに含まれている甘草(グリチルリチン製剤」です。そのほか、副腎皮質ステロイド薬や非ステロイド性抗炎症薬、経口避妊薬、腎不全で使用するエリスロポエチンなどでも高血圧をきたすことがあります。
この場合は薬剤を中止すると、たいていは数週間で血圧は元に戻ります。