いっぽう、索状層からのコルチゾールの分泌はおもに下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)により制御されています。コルチゾールはグリコーゲン合成促進やグルコース利用の抑制など、糖代謝への影響が強いために糖質ステロイドとも呼ばれます。そのほか、脂肪動員作用やタンパク異化(タンパク質を分解する作用)、電解質作用(アルドステロンと類似の作用)、免疫抑制作用、ストレス防御作用など多様です。アレルギー疾患や自己免疫疾患で糖質ステロイドが使用されるのは、その免疫抑制作用のためです。
副腎網状層からは、副腎アンドロゲンと呼ばれるステロイドが分泌されています。その分泌調整機構はまだよくわかっていませんが、副腎アンドロゲンは加齢とともに減少します。副腎アンドロゲンは睾丸のテストステロンより男性化作用は弱いものの、タンパク同化作用があり、筋肉量を増加させたり骨を強くする作用があります。
副腎髄質は皮膚とは全く由来が異なり、交感神経系から生じたものと考えられます。髄質ではアミノ酸であるチロシンからアドレナリン(エピネフリン)というホルモンが合成貯蔵されます。アドレナリンは不安、驚愕、怒りなどの交感神経が興奮する場合に分泌され、おもの心臓に作用し、脈拍を速めます。そのほかに肝臓、脂肪に作用して脂肪を分解したり、グリコーゲンを分解する作用もあります。
副腎からはアドレナリンのほかノルアドレナリン(ノルエピネフリン)も同時に分泌されますが、その比率は20%程度です。交感神経節からはおもにノルアドレナリンが分泌され、心臓に対する作用よりも血管収縮作用が強く、血圧を増加させます。