○その他の特定の機序、疾患によるもの
糖尿病の第三の病型は、さらに細分化して、A「遺伝子素因として遺伝子異常が固定されたもの」と、B「他の疾患、条件に伴うもの」に分けられます。Aは、最近次々にあきらかになった単一遺伝子異常による糖尿病であり、インスリン遺伝子やインスリン受容体遺伝子異常などのほか、若年発症で濃厚な家族歴があり(常染色体優性)、若年発症成人型糖尿病と呼ばれるものやミトコンドリアDNAの異常による糖尿病などが含まれています。
ミトコンドリアはエネルギー産生に重要な働きをしている細胞内小器官ですが、ミトコンドリアDNAの変異によってインスリン分泌が低下し、超尿病をきたすことがあきらかになりました。このタイプは、母系遺伝すること、難聴を伴うことが多いなどの特徴があり、日本人では全糖尿病の1パーセント程度に見られるといわれています。
その他の糖尿病のBは、いわゆる二次性糖尿病であり、膵外分泌疾患、内分泌疾患、肝疾患、薬剤性などに細分されます。内分泌疾患によるものは、末端肥大症、クッシング症候群、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症などに伴うものです。
ありふれた2型糖尿病と診断されている中に、これらの内分泌疾患による二次性のものがひそんでいる場合があります。例えば、末端肥大症では脳下垂体の腫瘍を摘出することによって、糖尿病が完全に治癒する可能性があります。薬剤性のものでしばしば見られるのは副腎皮質ホルモン薬服用中にみられる糖尿病です。