○糖代謝とインスリン
血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度を意味し、健常者の場合、食事摂取によって上昇するものの、比較的狭い範囲にたもたれています。食物として摂取されたでんぷんなどの糖質は消化管で分解され、ブドウ糖になって吸収されます。体の細胞はブドウ糖を取り込み、エネルギー源として利用するとともに、過剰なブドウ糖はグリコーゲンに変換されて肝臓や筋肉に、また中性脂肪に貯蔵されます。空腹時に血糖値が低下すれば、貯えられたグリコーゲンはグルカゴンやアドレナリン(エピネフリン)などのホルモンの働きによって分解され、ブドウ糖として供給されます。いっぽう、食事摂取後、血糖値が上昇すれば、膵臓のベータ細胞からインスリンが分泌され、血糖値は低下します。
インスリンは血糖値を低下させる唯一のホルモンで次のようなはたらきをします。
1・血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪細胞などに取り込ませる。2・肝臓や筋肉で、ブドウ糖からグリコーゲンへの合成を促進する。3・肝臓におけるブドウ糖の産生や放出を抑える。4・脂肪細胞でブドウ糖の利用を促進し、脂肪の合成を促進し、脂肪の分解を抑える。
インスリンの作用の不足によって高血糖状態が持続する病気が糖尿病です。インスリンの作用不足はインスリン分泌の絶対的欠乏、インスリン分泌の相対的な不足、インスリン抵抗性によって起こります。