◎糖尿病合併症の診断のための検査
○血中、尿中ケトン体
インスリンの作用不足が著しくなると、エネルギーを利用するために脂肪の分解が進み、血中にケトン体が増加します。その結果、尿中にもケトン体が出現しますので、試験紙で簡単に検査できます。ケトン体の増加は、1型糖尿病で起こりやすく、いちじるしい場合には、ケトアシドーシスになり、糖尿病性昏睡におちいる危険性があります。また、飢餓、長時間の絶食によってもケトン体が増えます。
○尿タンパク、尿中アルブミン
尿タンパクは腎臓の糸球体の機能低下を反映する重要な所見であり、陽性であれば糖尿病性腎症を疑う必要があります。尿中のアルブミン排泄量を定量することによって、早期腎症の診断ができるようになりました。蓄尿の一部や、早朝尿などスポット(随時)尿のアルブミン排泄量を測定し、判定されます。
○血算(血球計算)、血液生化学
糖尿病性腎症が進行すると貧血もおこります。血液生化学では血清脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロールなど)や腎機能(尿素窒素、クレアチニン)、肝機能(AST、ALT,ガンマGTP、ビリルビン、LDHなど)、膵機能などが重要です。
○眼底検査
糖尿病患者における白内障、網膜症、緑内障は視力障害(失明)の大きな原因であり、自覚症状の有無にかかわらず、視力、眼圧とともに眼底検査を定期的におこなう必要があります。眼底については網膜症の所見だけでなく、動脈硬化症や高血圧性変化の判定も大切です。
○神経機能検査
末梢神経障害二よってアキレス腱反射や膝蓋腱反射の減弱や消失が高率に見られます。そのほか、振動覚の低下や痛覚の低下によって神経障害の客観的評価をおこなうことができます。
○心電図検査
糖尿病では動脈硬化も促進され、心筋梗塞などの虚血性心疾患は生命予後を左右する重大な合併症です。無症候性心筋虚血、無痛性心筋梗塞など糖尿病患者では自覚症状を欠いたり、乏しくても重大な病変が認めることがあり、定期的な検査をおこなう必要があります。安静時の心電図では、変化が認められないことも多く、負荷心電図もしばしばおこなわれます。