どんな病気か?
ブドウ球菌、連鎖球菌などの化膿菌の感染で、関節の中が化膿する病気です。
細菌の感染は、関節のなかに達する深い大きな傷から直接入ったり、敗血症や猩紅熱などの感染の原因となっている細菌が、血流とともに関節内に流れてきたりしておこります。
また、化膿性の骨髄炎は、関節に近い部位に起こることが多く、この膿が入る為に関節が化膿することもあります。時には、病気の治療の為に、関節内に薬を注射したり、針を刺して関節内にたまった液を抜いたりした際に感染することもあります。
症状
関節がはれて激しく痛み、熱感を持ったり、赤くなったりしますが、股関節などの体の深いところにある関節の場合は、腫れなどの炎症症状が外見からはわかりにくいこともあります。
体温が上がることは少なく、患部に熱を持つことのほうが多いようです。
動かすと痛みが強くなるため、関節を動かすことができにくくなります。
化膿性菌や化膿に伴って出現する多核白血球、炎症性肉芽といった病変の破壊力は大きく急速で、関節軟骨をはじめとする関節の重要な部分が破壊され、このためにも関節の動きやその他の機能が失われます。
検査と診断
関節液を採取し、化膿性菌が検出できれば診断がつきますが、化膿菌が証明できないこともあって、この場合にはX線検査で関節の破壊証明できるまで断定できないことがあります。
治療
治療には入院が必要です。検査で化膿菌が検出できなかったときは、添え木や牽引などで関節を固定して全身の安静を保ち、点滴で静脈に抗生物質を注入します。
化膿菌が検出できたときは、少しでも早く化膿菌を殺し、関節内の破壊を最小限にとどめるために、関節を切開してチューブを挿入し、洗浄液を常に注入して関節内を洗うとともに、関節内に抗生物質を注入します、この治療は子どもの場合もおこなわれます。
治療の開始が遅れたときは、手術をして関節のなかを大きく開いて、炎症性肉芽組織などをできるだけ除去したあと、洗浄液で関節内を洗い続けます。
手術で関節炎は治っても、関節の動きなどが小さくなってしまうことが多く、関節を動かせるようにする手術もありますが、化膿が再発する危険があるので、手術まで何年も待たなければなりません。