どんな病気か?
骨の中では、まず類骨と呼ばれる未完成の骨様組織ができ、この類骨にカルシウムが沈着して硬い骨が完成するという新陳代謝がおこなわれています。
カルシウムが類骨に十分に沈着しないと、柔らかい類骨の部分が多い骨となり、骨が柔らかくなって変形しやすくなります。この状態が成長期の子どもに起こった場合をくる病といい、大人に起こった場合を骨軟化症といいます、つまり、くる病も骨軟化症もまったく同じ病気です。
骨が柔らかく、もろくなって変形しやすくなる点は骨粗しょう症と似ていますが、骨粗しょう症は、骨の質量が減少してくるのに対し、骨軟化症は、骨の質量は変わらず、骨の類骨の部分が増え、骨性部分が減少してくるという質的な変化が起こってくる点が違います。
原因
類骨に沈着するカルシウムは、血液中のリンと合体し、リン酸カルシウムの形で沈着します。この骨の代謝を促進しているのはビタミンDです。
したがって、体内のビタミンDの量が不足すると、骨の代謝が円滑におこなわれず、骨軟化症が起こってきます。
ビタミンDは、バター、卵黄、魚肉、レバーなどの中に含まれていますが、これらの食品から摂取するビタミンDの量が足りないと体内のビタミンD不足が起こってきます。また、体内でビタミンDの働きが活性化されるためには、日光に当たることが必要ですので、長期間日光に当たらない生活を続けていると、結果的にビタミンD不足におちいります。
昔は、このようにしておこる骨軟化症が多いといわれていたのですが、現在ではこの様はケースは少なく、肝障害、腎障害などのためにビタミンDが十分に働かなかったり、胃切除後の慢性下痢のために、ビタミンDの腸殻の吸収が悪かったりするビタミンD不足による骨軟化症が多くなっています。
また、先天的に腎臓でのリンの再吸収の能力が低く、尿と一緒にリンが排泄されすぎてしまう為に、血液中にあるリンの量が少なくなっておこる骨軟化症もあります。
この様に、骨軟化症は色々な原因で起こるので、詳しい検査を受けて原因をはっきりさせることが大切です。
症状
発症初期は、特別これといった症状はありません。
骨軟化症が進行してくると、あちらこちらの骨や関節に痛みがおこってきます。このため、関節リュウマチと思い込んでいる人もいるようです。
痛みは、腰背部におこることが多く、そのほかに股関節、膝関節、足関節などの体重のかかる関節も痛みます。
そのうちに下肢の脱力感がおこってきて、立ち上がったり、階段の上り下りができにくくなってきます。
治療が遅れると胸郭や骨盤の変形、脊柱の後湾が起こってきます。
骨がもろくなるのですが、骨粗しょう症とは違い骨折はあまり起こりません。
治療
ビタミンD剤を内服します。
最近では、微量で効く活性型ビタミンDが用いられるようになっていますが、過剰に服用すると血液中のカルシウムの量が多くなりすぎ、吐き気、嘔吐、食欲不振のどの副作用が起こりますので、指示を守って服用します。
また、必要に応じてカルシウムやリンの薬剤の併用します。