原因
なぜ正中神経が横手根靭帯で圧迫されるのかは不明ですが、この病気が中年女性に多いことから、内分泌機能の変化に関係があると考えられています。また、関節リウマチや甲状腺機能障害などが原因だとする報告もあります。
いずれも、手の使いすぎが誘因であることはたいていの人に共通しており、前記の原因がいくつかあって、そこに手の使いすぎが加わった時に発病するものと思われます。
検査と診断
手首の関節を強く内側に曲げる手関節掌屈試験でしびれ感が強くなり、上腕に血圧計のバンドを巻いて圧迫するターケット試験でしびれ感が現れることでこの病気が疑われます。さらに筋電図などによって診断します。
治療
簡単な装具で手首の部分を固定したり、消炎鎮痛剤を内服したり、手関節部の正中神経周囲に副腎皮質ホルモン剤を注射することで、多くは症状が消えますが、時に手術が必要となることもあります。
手術
手関節の手のひら側の皮膚を7〜8センチ切り開いて、正中神経を圧迫している横手根靭帯を切離します。手術は全身麻酔か、わきの下の部分の正中神経に麻酔剤を注入するえきか神経ブロックで行われ、輸血の必要もなく、短時間で行われます。
手術後、指のしびれ感はすぐに消え、手は使えるようになるのですが、筋力の回復には長時間を要することが多いです。(一年以上)
手術によって多くは完治しますが、関節リウマチや甲状腺機能障害などが原因とわかっている場合は、それらの病気の治療を続けなければなりません。また、時に、もう一方の手にも症状が現れることがありますので、手術後も注意が必要です。