どんな病気か
第一肋骨と鎖骨の間の隙間を通過した神経血管束は、わきの下の少し前で烏口突起
(肩甲骨の外側上端にある小さな骨の突起)の下を通ります。ここでは肋骨から出
て烏口突起に付着している小胸筋が、神経束を前方からおおっています。
過外転とは、腕を外側から頭上に上げることですが、この運動により小胸筋が引
き伸ばされます。そのさい小胸筋が異常に緊張して神経血管束を圧迫するものを、
過外転症候群といいます。
症状は上肢のしびれであり、電車のつり革につかまっているときなどにおこりま
す。この病気になりやすい人は、職業上、過外転の姿勢をとる機会が多い人です。
時には、腕を頭上にあげて寝る習慣の人にもみられます。
検査と診断
腕を過外転の姿勢にしてとう骨動脈の脈をみるライトテストで、脈が弱い、ふれな
いといった変化があれば、この病気が疑われます。しかし、他の胸郭出口症候群の
病気でも、ライトテストはふつう陽性なので、過外転症候群と確定するには、動脈
造影が必要です。
治療
過外転の姿勢でおこなう作業が原因の場合は、斜角筋を緩めたりそれに伴う首の
骨のバランスを調整します。
それでもなを強い症状が続くときは、小胸筋を切離する手術がおこなわれます。