けいれんとは、急激に筋肉の収縮が起きることで、ひきつけとほぼ同じ意味と考えてよいでしょう。
◎けいれんの原因
けいれんは、生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者に至るまで、すべての年代層に起き得る症状ですが、けいれんの原因疾患は年代により特徴が見られます。
○小児のけいれん
小児のけいれんで考えられる病気は、熱性けいれん、てんかん、先天性代謝異常、脳炎、髄膜炎、脳腫瘍、頭部外傷などです。
このなかで最も多いのが熱性けいれんです。生後六ヶ月〜三歳の乳幼児が38度以上の高熱時に突然全身のけれん発作を起こします。しかし、けいれんは五分以内におさまることが多く、救急車を呼んで病院に着いたときには、すでにけいれんは止まっていることが大部分です。熱性けいれんは、おさまった後は脳や神経の異常を全く残しません。また、熱性けいれんを起こす乳幼児の約三分の二は、けいれん発作を一回しか経験しません。
○少年〜青年のけいれん
少年〜青年のけいれんでは、てんかん、脳炎、髄膜炎、脳腫瘍、頭部外傷、ヒステリーが考えられます。
○壮老年
壮老年では、脳血管障害(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)、てんかん、頭部外傷、脳炎、髄膜炎、脳腫瘍、低血糖、薬物中毒、ヒステリーなのです。
◎観察と手当て
けいれん・ひきつりをみたときは、まずあわてず患者さんのようすを観察しましょう。意識の状態、呼吸の状態(呼吸をしていなければただちに人工呼吸)、熱があるかどうか、体の一部分か全体的なけいれんか、持続時間はどのくらいかです。そして、床に寝かせ、ボタンやベルトをはずし服を緩め、嘔吐に対応するために横向けにします。
○気をつけること
けいれん・ひきつけを起こしたとき、以前は舌を噛み切らないようにと、口の中に布なおどを入れることがありました。しかし、舌をかんで大量出血することはほとんどなく、口の中に物を入れることで口の中をけがしたり、呼吸を妨げたり(気道閉塞)するので、口の中に物を入れるのは避けましょう。