◎尿の検査
尿は簡単に採取できる検体です。しかも全身の代謝を反映して多くの代謝産物をふくむ検体であることから、腎臓や膀胱の異常にとどまらず、心臓、肝臓、代謝ホルモンの病気を含めて、多くの病気の診断に極めて有用な検査です。
近年、尿検査は多項目を測定できる試験紙の開発により、手軽なスクリーニング検査として利用されています。通常は、PH、タンパク、糖、ケトン体、ビリルビン、ウロビリノーゲン、潜血などが簡易に測定されます。
また、尿中に排泄される細胞成分や結晶などを集めて顕微鏡で観察することによって、血尿や膀胱炎の有無、腎障害の程度や悪性腫瘍の有無なども調べることができます。
さらに、尿中に排泄されている糖やタンパクの量をより正確に測定したり、ナトリウムやカルシウム、ホルモンやその代謝産物の量を測定することで、病気の状態をより詳しく調べることができます。
尿の検査は時間による変化を避けるために通常は採尿直後の新鮮尿を使うのが原則です。食事や運動の影響をできるだけなくすために食後や運動直後は避けたいところです。清涼飲料水や缶入りのお茶などにはビタミンCが多量に含まれているので尿糖の検査を陰性にすることがあります。検査前にはこれらを飲まないようにします。
女性の場合には、尿の中に膣の分泌物や外陰部の成分が混ざることがあるので、最初と最後の尿を避けた中間尿を採ることがすすめられます。
検査値には、尿比重として反映されることもありますが、尿量や排尿回数にも注意を払う必要があります。また、尿のにおいなどから、糖尿病やまれな代謝異常が発見されることもあります。
尿の色も時には重大な疾患を予想させることにつながります(鮮紅色は血尿、コーヒー色はミオグロビン尿など)。