◎気づきにくい重い病気
症状のはっきりした病気と違って、知らない間に病気が進み、ついには命取りになるような、重大な慢性の病気もあります。このうちあるものは、健康診断や人間ドックで毎年定期定期に検査を受けることによって、早期に発見され、適切な治療を受けて注意を守ると、健康を取り戻すことができるものです。
人の三大死因は悪性腫瘍、心疾患、脳卒中ですが、心疾患や脳卒中に関係する重要な病気として、高血圧、動脈硬化、糖尿病などがあります。
また、命にかかわる慢性病で、始まりのはっきりしないものには肝硬変、慢性腎炎など、必ずしも命にはかからないが重病なものに肺気腫、気管支拡張症、リウマチ、痛風、各種膠原病などがあります。職業に関係のある毒物やガス中毒などが、悪性腫瘍、慢性の血液病や臓器障害の原因となることもあります。
○ガン
頻度の高いガン(胃、肺、乳、子宮、大腸、肝など)については症状のないうちから定期検査を受けるようにしましょう。
検便、胃腸の透視や内視鏡検査、胸部X線検査、女性性器の細胞診、腹部超音波検査などがあります。
悪性腫瘍の始まりとしては、特別の理由がないのに体がだるい、貧血、やせる、食欲不振などがあげられます。
○高血圧症
これを進行させる因子、例えば肥満、糖尿病や高血圧症を防ぐようにし、心臓や脳などの動脈硬化による症状がないかどうかを注意します。たとえ症状がなくても、心電図、CTなどの検査によってはじめて、動脈硬化による心臓病や脳梗塞などが発見されることもあります。
○糖尿病
血糖と尿の定期的な検査で見つかり、口の渇きや感染しやすいこと、多尿の症状が出るころは重症です。
○血液の病気
貧血のほか、白血病などのように治療が困難で、全身の衰弱をもたらすものがあります。だるくて疲れやすい、めまいや動悸がする、歯ぐきや皮下に出血するなどの症状がありますが、最初はきずきにくいものです。血液と骨髄の検査でわかります。重金属や有機溶剤(シンナー)などの中毒で貧血や白血病などがおこることもあります。化学薬品を扱う職業の日とは、定期的な診断を受けるようにしましょう。
○肺結核
この30年間減ってきましたが、高齢者など抵抗力の弱い人は今でもかかりやすく、かかると長い療養を要します。
○慢性腎炎
高血圧と尿の検査などで見つけられますが、年をとると腎機能が悪くなり、例えば肺炎などにかかり、鎮痛薬や抗炎症薬を服用したときなどに浮腫が出て腎臓が悪いとわかる場合もあります。
そのほか行動に異常のある人や、ふさぎこんでいる人は、神経科の医師の相談を受けることが、統合失調症(精神分裂病)やうつ病などの精神病を進ませないために必要です。