意識がなくなった場合、誰でも重大なことと考えますが、以前からてんかんなどで意識のなくなる発作を繰り返している人は、そのときの応急手当を医師から教えてもらっておけば、必ずしもあわてることはありません。
しかし、初めて意識がなくなったときは、そのあとすぐに回復したとしても、一応、一度は診察を受けておいたほうがよいでしょう。
中年以上では脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など)、一過性脳虚血発作、子供ではけいれんと一緒に起こるてんかん、高熱のでたときに起こる熱性けいれんをともなう意識障害のこともあります。
脳神経系の感染症ないし炎症の代表は脳炎や髄膜炎で、頻度は高くありませんが重病です。脳炎と髄膜炎は場所的に共通あるいは移行する傾向があり、意識障害他、発熱、頭痛、嘔吐、けいれんなどがみられ、さらに進行して脳に膿がたまる脳膿瘍となることもあります。
まれな重病に、心臓病から来る意識消失(除脈によるアダムス・ストークス症候群やショック)、糖尿病・腎臓病・腎臓病などの悪化による昏睡、外傷や内臓からの大出血(吐血など)によるショックがあり、危険な意識消失となります。
夏に子供がかかる日射病や職業的に高温の部屋で働く人がかかる熱中症では、体温が上昇して脱水状態になり、ひどくなるとけいれんを起こし、意識障害、頭痛、吐き気などが見られます。炎天下でのクラブ活動など、このような環境下では、十分な水分補給が重要です。
自殺行為やガス中毒などでは、早く処置をしなければなりません。
以前から意識消失を繰り返す人(たとえばてんかんなど)でも、顔色や倒れ方などの様子がいつもと違っていれば、早く診察を受けるようにしましょう。意識障害の場合、重要なことは、呼びかけや痛みに対応するかどうか、全く無反応な昏睡かどうかなどの意識の障害の程度、呼吸や脈拍、心臓の鼓動があるかないか、手足が動くかどうか、けいれんがあるかどうか、高熱があるかどうか、などを調べることです。