◎運動失調
筋力があるにもかかわらず運動がスムーズにできず、バランスがうまく取れない状態を運動失調といいます。上肢では字がうまくかけない、不器用、手が震える、下肢ではふらつく、めまいがする、転びやすい、階段上り下りが困難などとうったえ、さらに構音障害としてろれつが回らないとうったえます。
ゆっくりおこってくるものとして脊髄小脳変性症があります。脊髄小脳変性症は多くの病気の総称ですが、共通の症状は、体のバランスを失う、眼球が自動的周期的に一定方向へ動く、などがみられます。
また、小脳梗塞や小脳出血で運動失調が急に出現することがあります。
なお、前庭神経炎、聴神経腫瘍、メニエル病などでも運動失調が見られますが、これらはめまいをともなうのが特徴です。
◎けいれん
発作的に意識喪失が起こり、同時に、けいれん(ひきつけ)が現れる運動障害もあります。
気を失って倒れ、全身の筋肉を硬直化させ、次に十数秒間ガタガタとふるえ、泡を吹きます。数分で気がつきますが、自分では思い出せないことがおおいようです。したがって、目撃者や今までの経過をよく知っている、家族や友人などが意識障害の有無や持続時間などけいれんの内容を伝えることが重要となります。
脳の血管障害や腫瘍など、あらゆる脳の病気や傷でてんかんは起こりますが、これを症候性てんかんといい、脳の病気が証明できないものを真性てんかんといいます。
発症する年齢によっておおよその原因がわかります。生後三歳までは分娩損傷、感染症、熱性けいれん、先天性代謝異常によるものが多く、10〜25歳の学童期から青年期にかけては真性てんかんが多く見られます。
25歳以上になると、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷などがおもな原因となります。