便通が一日一回なく、時には一週間以上ないようなことを便秘といいます。便秘では、何らかの原因で排便が傷害され、腸管に異常に糞便が貯留した状態になります。便通は人によって回数も量もまちまちです。したがって、排便回数とともにその変化がとても重要になります。具合が悪くなければ、放置し自然に任せてもよいこともありますが、具合が悪ければ、原因を診断して治療する必要があります。
◎急性の便秘
急に便が出なくなるのは、嘔吐、腹痛、腸閉塞、のことが多く、胃、大腸、産婦人科疾患などの腹部手術の既往歴がある人におこりやすく、一度イレウス(腸閉塞)になると何度も繰り返すといった傾向が見られます。豆やワカメなど腸に入って膨れるような食べ物は食べ過ぎないようにしましょう。
また、発熱、激しい腹痛、腹部ぼうまんをともなう急性腹膜炎の後、開腹手術のあとは、腸の運動が弱くなり便秘するのがふつうで、おならで腸が動き始めたことがわかります。
◎慢性の便秘
慢性の便秘は常習性便秘が一般に習慣として起こり、特に女性におおいのですが、一部原因がわかっているものもあります。例えば、移動盲腸、先天性巨大結腸症などで、大腸に便がたまりやすい場所があること、腸の平滑筋の運動がよくないことによって便秘するのです。一般的に内臓下垂症の人は便秘しやすい体質です。
腸の通りが悪くなる病気、例えば腸狭窄、腸管癒着、S状結腸癌(大腸がん)のあるときには、便がよく出ません。腸狭窄には結核などの炎症のほか、ガンによる内空の縮小、腸管癒着の周囲からの圧迫によるものがあります。
肛門の病気のときの排便が思うようにいきません。先天性鎖肛は胎便(胎児の腸にたまる便)がでないことで気づかれます。子供の場合、先天性肥厚性幽門狭窄症の可能性があります。
そのほか、習慣、精神的興奮、緊張や環境の変化、食事の性質、運動不足によっても便秘します。