◎下痢の場合
最も多い下痢の原因は急性胃炎、急性腸炎あるいは急性大腸炎です。肛門に近い腸の炎症ほど下痢を出します。
近頃は少ないですが、赤痢は粘血便のひどい下痢をします。(しぶり腹)。こういうときは、腹がゴロゴロなり、腹痛をともないます。コレラも外国から持ち込まれないかぎり発生しませんが、ひどい水様下痢をします。
食中毒でも下痢は一つの症状です。
潰瘍性大腸炎の下痢は、慢性に繰り返す頑固なもので、粘血便性の下痢が続くために消耗します。このような慢性の下痢を起こす病気では、便秘と下痢を交互に繰り返すこともあります。すい臓の病気では脂肪性下痢を起こします。大腸がんでも刺激性の下痢が起こります。
さらに、急性肝炎、食物アレルギーでも、下痢を起こすことがあります。
しかし、熱も痛みもなく元気な人が一日に2〜3回食後に下痢をすることは、それほど心配する必要はありません。
◎便の色、性質
わさび漬けのような便が出ればすい臓がんが疑わしく、仮に黄疸のはっきりしない時期でも、早々に診察を受けたほうがよいでしょう。
◎血便
便に血液が混じることを下血といいます。赤い血液が混じれば、まず肛門の病気、多くは痔を考えますが、繰り返し続くときや量の多いときは直腸がんの疑いがあります。黒い便(タール便)は上部消化管に相当量の出血があったことを示します。食道静脈瘤、胃・十二指腸潰瘍、胃がんを考えます。