吐血は消化器から、喀血は呼吸器から、いずれも口から血が出ることを言います。
◎吐血
食道の病気(潰瘍、マロリー・ワイス症候群、がん、静脈瘤)、胃の病気(潰瘍、がん、胃炎)からの吐血が多いのですが、十二指腸潰瘍からの出血、胆道出血が幽門を逆に胃に入り、それを吐血することもあります。固まった血液、流動性の血液といろいろです、出血から吐血までの時間が長く、胃にとどまっていた場合には、黒褐色になってでてきます。
大量に何リットルも出るのは、胃・十二指腸潰瘍、食道静脈瘤、肝硬変が多いのです。また、まれに胃炎でもそういうことがあります。
十二指腸より下部消化管からの出血は、逆流して吐血になることは少なく、ほとんどが黒い下血(血便)のかたちででます。でても排便までに時間がかかったり、トイレで見逃されることがあり、貧血が進んで突然めまいが起こったりします。
◎喀血・血たん
呼吸器からの出血ですから、ふつうは赤またはピンクで、泡っぽいものです。
しかし、大量に喀血したときは、吐血と区別がしにくいときもあります。出血する量はまちまちです。
また血が気管支に少したまり固まってでるときは、こっか色の塊としてでることもあります。
20〜30年前までは、喀血すなわち肺結核でしたが、このごろは肺がんの喀血が多く、特に初期にタンに赤線状に混じる血液が早期診断に大切な徴候です。
わずかの血たんは喉頭炎、咽頭炎など、かぜの時にもタンと一緒に出ることがあります。
気管支拡張症、肺吸虫症、肺の損傷のときも、ときに喀血します。大動脈瘤が肺や気管支に破裂したりすると、当然ながら大出血し、処置しないと急死ということが起こります。大量に喀血すると窒息を起こします。