◎幻覚妄想
外界に何もないのに見える(幻視)、聞こえる(幻聴)、あるいはなんでもないものを当人だけ特別な意味があると信じ込む(妄想)、特に他人から迫害されていると誤って確信する(被害妄想、強迫観念)など、ある特別なイメージ、観念が浮かんできて、追い払えずに苦しむ状態が多いのですが、逆にそれが愉快でたまらないという状態もあります。統合失調症(精神分裂病)にしばしばみられます。
妄想は、出現様式によって妄想気分、妄想着想、妄想知覚に分けられます。妄想気分は、周囲が不気味に感じられ、何か大きな事件が起こりそうな不安を感じることであり、妄想着想は、突然原因や動悸なしに「自分は天皇の子孫だ」などと確信することです。
妄想知覚は何かを知覚した後、了解不能な意味づけをし、それを確信します。躁病や統合失調症では、自己を過大評価する誇大妄想がみられます。また、うつ病では自己を過小評価する微小妄想がしばしば出現します。
アルコール依存症や幻覚剤などの薬物、頭部外傷のため、脳のはたらきに化学的変化をおこし、幻覚妄想が生ずることがあります。
◎記憶減退・知能低下
経験したことを思い出せなくなる状態には健忘や記憶力低下があります。全くでたらめの作り話をしたり、思い出せないことを勝手に補うのはコルサコフ症候群といいます。ノイローゼでもそういう徴候を示すことがあります。高齢者では一般に新しいことは忘れやすく、昔のことはよく覚えていて、思い出せます。
生まれつき知能が低いのは精神発達遅滞、以前には正常だった知能が衰えるのは認知症(痴呆)といいます。知能低下に似た状態は統合失調症や、アルコール中毒、脳性小児麻痺、老化やアルツハイマー病でもあらわれます。
◎感情失禁
脳血管性痴呆では感情が変わりやすく、少しのことで泣いたり、またすぐ笑ったりします。