◎上腹部のしこり
上腹部に触れるものなら胃がん、膵がん、肝がんなどがあります。胃がんでこぶが触れる程度になると、だるさや貧血など、他の症状も出るのがふつうですが、肝がん、膵がんでは、初期症状があまり現れません。しこりの触れるようながんは、かなり進んだものです。
◎右上腹部のしこり
右上腹部のこぶは肝臓、胆のう、結腸、腎臓などのがんである可能性が高く、胆嚢がはれてこぶとして触れるものは、痛みや黄疸があるのが普通です。
高齢者では痛みもなく胆嚢が腫れることがあります。膵臓のこぶで、かつて受けた外傷がもとで大きく腫れるようなものがあります。
◎左上腹部のしこり
左上腹部にこぶができるものに脾臓のはれものや、腎臓のこぶ、腎臓のがん、嚢胞腎があります。
◎中央部のしこり
腹の中央部にかたいこぶが触れ、それが脈と一緒に拍動している場合もあります。大動脈の動脈瘤です。
◎下腹部のしこり
下腹部にこぶの触れる病気として卵巣嚢腫や子宮筋腫があり、非常に大きくなることが有ります。また、妊娠した子宮をこぶだと思ってあわてる人もいます。
◎右下腹部のしこり
右下腹部のこぶとしては、がんのほかに、虫垂炎の跡などのこぶがありますが、がんとの区別は難しいようです。
右下腹部も左下腹部もがんができやすく、回盲部がん、直腸がんやS状結腸がんなどもあります。
◎部位不定のしこり
遊走腎といって腎臓が非常に動きやすく、腹であちこち位置を変え、これをこぶとして触れることがあったリ、大便が腹にたまってこぶのように感じる場合など、全然心配のないものもあります。手術すべきものと、手術の必要のないものとが有ります。いずれにせよ、腹にしこりがあり、しかも痛みもないものには、がんなど悪性のものが多いのです。