◎野球肘
投球動作では肘が外反する(外に折れ曲がる)ような力がかかります。このため、肘の内側にひっぱる力、外側に圧迫力が働き、これが繰り返されることで発生した肘の障害を野球肘といいます。内側型と外側型があります。
◎野球肘(内側型)
症状は肘内側の腫脹や疼痛、投球動作での肘の痛みです。肘の内側にひっぱる力が働き、肘の内側の屈筋群付着部の炎症や内側の靭帯が伸ばされて不安定性が生じます。肘を強制的に外反するとゆるみが感じられます。
治療は運動後の肘のアイシングや炎症鎮痛作用のある外用薬の使用など消炎処置などのほか、投球動作の回数を制限することや、投球ホームの改善、肩、背中周りの骨格や筋肉のバランスをとる治療を行います。大人で肘の不安定性が強い場合には靭帯再建の手術をおこなわれることもあります。
◎離断性骨軟骨炎(外側型野球肘)
上腕骨小頭(上腕骨の関節部分の外よりの場所)に繰り返し加わる外力によって骨端障害が生じたものです。発症するのは少年期で、野球の投球動作をたくさん行う投手に多く発生します。
症状は肘の運動時痛や可動域制限、拘縮です。病気が進行すると軟骨がはがれ遊離体(関節ねずみと呼ばれます)となります。この遊離体が関節の隙間にはさまりロッキング症状(関節が動かなくなる)をおこします。レントゲン検査では上腕骨小頭の部分に変化が見られ、側面断層撮影やCTにより離断した骨軟骨片が確認できます。
病変が小さければ運動制限などの安静のみで経過を見ますが、大きいものは手術により固定します。遊離体が生じてロッキング症状があるものは関節鏡などで摘出します。