◎関節リウマチによる膝関節の障害
全身性疾患である関節リウマチでは膝関節もおかされ、歩行障害や膝関節拘縮などの症状が出現します。変形性膝関節症では膝関節の内側または外側、あるいは膝蓋大腿関節のいずれか一箇所が選択的に悪くなることがほとんどですが、関節リウマチの場合には関節全体が悪くなることでレントゲン写真上は鑑別されます。そのほかの関節症状や血液検査などからも鑑別されます。
膝関節に対しての治療としては関節可動域訓練、大腿四頭筋強化訓練などの理学的療法、ヒアルロンやステロイド薬の間接内注入法がおこなわれ、さらに機能障害が著しい場合には人工関節の適応となります。
◎特発性骨壊死
大腿骨の下のところや脛骨の上のところ、まれに膝蓋骨に骨壊死が生じることがあり、安静時や歩行時の痛みを伴います。特徴的なことは、レントゲン検査で骨壊死像がはっきりしていない発症初期に安静時痛や夜間痛が強いことです。したがって、痛みの強い初期には診断がつかず、半年ほど経過してから診断がつくこともあります。MRI検査では早期から診断が可能です。その後、激痛は消失しますが、時間の経過とともに変形性膝関節症へと進展し、それによる症状が出現します。
治療では、人工膝関節置換術がおこなわれますが、変形性質関節症まで進展していない初期のもので、50−60歳以下の人であれば、骨切り術と骨移植が選択される場合もあります。骨壊死の部位や範囲によっては症状が軽く、消炎鎮痛剤内服、ヒアルロン酸の膝関節内注入などの保存的療法で経過を見ることもあります。