◎内側側副靭帯(MCL)損傷
膝の外側からの強い外力が加わり、膝の内側に走るMCLが断裂します。断裂時には断裂音を本人が感じることがあります。大腿四頭筋の起始部での損傷が多く、膝関節内側の近位部中心に痛みがあります。程度は捻挫程度のものから内側の関節支持機構が完全に断裂するものまであり、後者は交通事故などの強力な外力が加わった場合にみられ、他に半月板や前十字靭帯、後十字靭帯などにも損傷がおよんでいることもしばしばです。
治療では弾性包帯固定やブレースなどを用いた保存療法が基本ですが、重度損傷の場合には早期の手術療法が必要になることもあります。また、初期に保存療法が選択された場合でも、のちに機能不全がが残存した場合には、再建術がおこなわれる場合もあります。靭帯の付着部が骨片つきではく離した損傷では、骨片を元の位置に戻して固定すれば靭帯機能は回復します。
◎後十字靭帯(PCL)損傷
スポーツや交通事故などで、ひざを前方から強打して受傷することがほとんどです。仰向けで両膝を立てて横からすねの高さを見比べ、損傷側の高さが低ければ後十字靭帯の損傷の可能性が考えられます。確定診断にはMRI検査が有効です。
この損傷もひざ周囲筋力の強化だけで日常生活では支障が出ないことが多いのですが、痛みや膝不安定性のために靭帯再建術が必要になる場合もあります。
また、この靭帯でも付着部が骨片つきではく離した損傷では、骨片を元の位置に戻して固定すれば靭帯機能は回復します。