◎頸椎症性神経根症
背骨の加齢的変化により、背骨の辺縁の骨の突出(骨棘)ができたり、背骨の関節が肥大したり、椎間板が変性し突出したりして、神経根が圧迫されて神経根症状をきたしたものを頸椎症性神経根症といいます。中年以降の人にしばしばみられます。神経根は脊髄から分岐した神経の枝で、頸椎では左右八対の神経根が七つの頸椎の左右から各分岐します。圧迫される神経根の高さにより痛みやしびれ、腕や手の筋力低下の部位が異なります。
症状は頸部痛はほとんどでみられ、肩甲骨周囲、肩から腕に放散する痛みがみられます。腕から手にかけての痛みやしびれはふつう左右どちらかいっぽうに現れます。首を後ろに反らすと痛みが強くなることが多く、首を後側方にそらし頭部に圧迫を加えると肩から腕にかけて痛みが放散する(スパーリングテスト)場合には頸椎症性神経根症が疑われます。
治療としては、頸椎の筋肉の過緊張と、それに伴う頸椎の捻れや、前後のずれなどをやさしくほぐし矯正をしていきます。それ以外にも、枕をらくな高さに調整したりすることも大事になってきます。多くはこれらの方法で軽快しますが、痛みが長期間続き、生活や仕事の支障になっているばあには、背骨を固定するなどの手術療法がおこなわれます。