◎脊髄腫瘍
脊髄の中や周囲に発生する腫瘍は脊髄腫瘍と総称されます。脊髄は背骨の中にある脊柱管という管の中にありますが、この脊柱管の中にできた腫瘍を脊髄腫瘍といいます。脊髄は硬膜という膜に脳脊髄液とともに包まれていますが、硬膜の中にできる腫瘍は硬膜内腫瘍と呼ばれ、これは髄内腫瘍と硬膜内外腫瘍とに分けられます。硬膜の外にできる腫瘍は硬膜外腫瘍と呼ばれます。
くびや背中や腰と、できる場所により症状は異なりますが、一般にまずくびや背中、腰の痛みが出現し、しだいに手や足の麻痺、歩行障害、排尿障害の疑われる部位のMRIにより診断されます。
良性の腫瘍が疑われる場合には、腫瘍をすべて取り除く手術がおこなわれます。硬膜外腫瘍では悪性の事もあり、その場合には放射線治療や化学療法を行うこともあります。髄内腫瘍では腫瘍をすべて取り除けないこともある程度あるようです。
◎脊椎腫瘍
脊髄やその周囲から発生した腫瘍が脊髄腫瘍と呼ばれるのに対し、背骨に発生した腫瘍が脊椎腫瘍です。背骨から発生したものは原発性脊椎腫瘍と呼ばれ、悪性腫瘍が背骨に転位したものは転移性脊椎腫瘍と呼ばれます。
腫瘍によりその部分の背骨は弱くなり骨折を生じ、痛みの原因となります。頸椎、胸椎、腰椎と腫瘍のできる部位により、頸部痛や背部痛や腰痛を生じます。さらに腫瘍が脊髄の周囲に広がり、脊髄を圧迫すると脊髄まひが進行し、手や足のしびれ、筋力低下、歩行障害などが出てきます。MRIやレントゲン検査、CTなどで診断されます。
◎透析性脊椎症
腎不全により血液透析を長期間おこなっていると、全身にさまざまな合併症が生じます。心臓疾患、動脈硬化、手根管症候群などの合併症が良く見られますが、大変厄介な背骨の合併症として透析性脊椎症があげられます。
15〜20年以上透析を続けていると、頸椎や腰椎の椎間板に強い変性が起こったり、靭帯にアミロイドという特殊なタンパクが沈着して厚くなったり、骨が大変弱くなったりして、背骨が変形したり神経が圧迫されます。そして、くびや腰の痛み、手足の麻痺、歩行障害などを生じます。症状は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に似ています。
治療もこれらの疾患とほぼ同様ですが、痛みが取れなかったり、歩行障害が続く場合には手術が必要になることがあります。十分な合併症対策が必要となります。