◎変形性腰椎症
背骨の加齢的変化により、背骨の辺縁の骨の突出(骨棘)ができたり、背骨の関節が肥大したり、椎間板が変性し突出したりして、腰痛や下肢痛が生じたものが変形性腰椎症です。変形性頸椎症と同様にこのようなレントゲン検査で見られる背骨の変形は中年以降の人にはごくふつうに見られるものであり、通常は病的な意味が無いことが多いです。あくまで腰痛等の症状を伴った場合が治療の対象になります。しかし椎間板ヘルニアや狭窄があきらかな場合には、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断されます。
◎腰椎椎間板ヘルニア
腰椎の椎間板が後方に脱出し、神経根を圧迫して、腰や足の疼痛やしびれ、まひなどの神経根症状をきたしたものを腰椎椎間板ヘルニアといいます。20代から50代の人に多く見られますが、10代の若い人や高齢者にもしばしば見られます。
治療では年齢や神経根症状の程度により異なりますが、典型的な若い人のヘルニアでは腰を前に曲げるのが困難な場合が多く、その際に腰痛と片側の坐骨神経痛が増強します。姿勢では腰の前屈、中腰、イスに座ることが痛みのため不自由になりますが、より重症な人では歩行が困難になったり、安静にしていても痛みが強い場合があります。さらに重症な場合には足に高度のまひが生じたり排尿が障害されたりします。高齢者の椎間板ヘルニアでは足の痛みが強く、歩行が障害され、日常生活動作がより強く制限されやすい傾向があります。
ラセーグテストといって、片足を膝を伸ばした状態でかかとを上に上げていくと、痛みのために動きが制限されるのが特徴です。MRIにより椎間板の局所的な突出がみられます。
治療では急性期には消炎鎮痛剤や、ブロック注射などで痛みを軽減させることと、痛みを生じる動作を避けるようにします。特に中腰やイスに座るのはできるだけ避けるようにします。車の運転も症状悪化の原因となります。数週間の経過で痛みはしだいに軽減し、2,3ヶ月の間に軽快する事が多いのですが、いつまでも痛みのために生活動作や仕事が制限される場合には手術療法が必要となることがあります。