◎腰椎分離症
腰椎の椎弓の一部に分離ができ、腰痛等の症状が出たものを分離症と呼びます。多くは第四腰椎または第五腰椎にみられます。小中学生の過度のスポーツ活動により、同部の疲労骨折として生じるとされています。レントゲン検査で分離を認めるものの全くの症状のない場合も少なくありません。椎間板の変性が進み椎体が前方にすべると腰椎分離すべり症と呼ばれます。いずれも腰を後ろにそらすと痛みが見られます。腰椎分離すべり症では神経根が圧迫され、腰痛のほかに坐骨神経痛が見られることがあります。
治療は腰痛症と同様です。小児の分離症では骨融合が期待できることもあります。しばらく運動を休み、コルセットを装着します。
大人の分離症や分離すべり症で腰痛や坐骨神経痛が強く、歩行障害が続くような場合には、腰椎固定術という手術がおこなわれることもあります。
◎腰椎変性すべり症
腰の骨の関節や椎間板の加齢的変化が原因で背骨がずれ、腰痛を生じたものを腰椎変性すべり症といいます。中年以降の女性に多くみられ、通常は四番目の腰椎と五番目の腰椎の間ですべり症がみられます。はじめは腰痛だけを訴えることもありますが、足の痛みやしびれ、歩行障害など、腰部脊柱管狭窄症と同様の症状が現れます。すべりの程度は腰を前に曲げると強くなることが多いのですが、症状は逆で腰を後ろに反らすと神経の圧迫が強くなり腰痛や足の痛みが増悪します。
レントゲン検査ですべりを見ることができますが、神経の圧迫のようすはMRIで調べるとわかることがあります。