○成人型アトピー性皮膚炎
成人のアトピー性皮膚炎は小児期から続いて起こることも、いったん小児期のアトピー性皮膚炎が良くなった後、再発する形で起こることも、又それまでははっきりしたアトピー性皮膚炎の症状がなくて起こってくることもあります。
成人型の特徴は額などの顔、首、前胸といった目立つ部位が赤く、あるいは赤黒くなって、強いかゆみも出てくることです。手のあれが目立つこともあります。成人のアトピー性皮膚炎は治りにくく、長期間の治療が必要です。かゆみをおさえることや社会生活を円滑に送るための対策としての治療が大切です。
アトピー性皮膚炎は遺伝的な体質が関係する病気で、この体質をアトピー体質といいます。両親の家系にぜんそく、花粉症、じんましんなどのアレルギー性疾患をもっている人によくみられます。患者自身も、同時にぜんそくをもっていることがあります。そのときは、ぜんそくが出ると湿疹が治り、逆にぜんそくがよくなると湿疹が出るということもみられます。
アトピー性皮膚炎の原因はよくわかっていません。アトピー素因という遺伝的体質が関連していることは間違いありません。
アレルギーの原因を食物、例えば卵白、母乳、牛乳、とする考え方もありますが、これらを食べても必ずしも悪化しません。アトピー性皮膚炎と食物との間には一定の関係はありません。ここの場合について、細かい注意を払うことが大切で、一律に食事制限をして、発育を妨げ、かえって湿疹を治りにくくしていることも少なくありません。つまり、食べさせてみて、それで湿疹が悪くなったと考えたとき、初めてそれをやめればいいということになります。
かゆいためによくかきますが、このかくことをやめるだけでアトピー性皮膚炎はかなりよくなります。
アトピー性皮膚炎が治りにくいのは、自宅療法のために治療が不適当であることが少なくありません。
また、アトピー性皮膚炎は、治療でよくなっても再発しやすく、そのとき、適切な治療ができるようにするためにも、一度医師に色々注意を聞いておくことも大切です。
治療上一番大切なのは、まず、かゆみをとめることです。というのは、かゆい子供は無意識にひっかいて、症状を悪化させるだけでなく、細菌感染を併発してしまいます。しかも、眠りが妨げられ、子供を神経質にする恐れがあります。事実、それまで治らなかったものが、適切なかゆみどめ(抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬)などで、目に見えてよくなることが多いからです。
皮膚炎を抑えるためにはまずこう薬療法をおこなうことです。副腎皮質ステロイド軟こうの外用は効果があります。現在色々な種類の副腎皮質ステロイド軟こうがありますが、皮膚の症状に応じて使い分けが必要です。