◎皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)
皮膚に発疹を認めないが、激しい皮膚のかゆみを訴えるものを、一般に皮膚掻痒症と呼ばれます。
皮膚掻痒症は高齢者で皮膚がかゆくなる、全身がかゆくなる、体の一部がかゆくなる、の三つのタイプに分けられます。
老人性皮膚掻痒症は、皮膚が乾燥するために起こり、足、腰、腹部がかゆくなることが多くなります。
乾性野皮膚を持っている、さめはだの人にも同じ様におこります。冬に目立ち、あたたかくなると軽快します。
全身がかゆくなるタイプは全身病の人にその前駆症状としておこる事があります。白血病、悪性リンパ腫、ガン、糖尿病、腎臓病、腎不全、甲状腺の病気、痛風などのときです。一般のかゆみ止めが効かないのが特徴です。
また、体の一部分だけがかゆくなるものがあります。女子陰部の陰部掻痒症、肛門周囲の肛門掻痒症などです。限局性皮膚掻痒症のうちで、陰部掻痒症の原因としては、内分泌腺(特に卵巣)障害、月経、妊娠、更年期に併発してくるものの他、トリコモナス、子宮内膜炎、卵管炎など、婦人科疾患があげられます。
治療では、かゆみ止めの内服、老人性皮膚掻痒症のように乾燥した皮膚の上に起こったものには、尿素軟膏やヘパリン類似物質を含んだ軟膏の外用、ビタミンAクリームも有効です。
感染を併発していない限局性皮膚掻痒症には、副腎皮質ステロイド軟こうが有効です。